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第一章 妹との別れ、妖精との出会い
閑話 ガンテツの誤算
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目を覚ますと、真っ白い世界にいた。
「ああ、戻ってきたんだな」
二度目となる狭間の世界にガンテツは目を細めながら呟いた。
一度目にこの世界に来てから何十年も経っているがすぐにわかった。
「さて、約束の期限がきました。待っておりましたよガンテツ。久しぶりですね」
「ディナールか・・・」
静かに声をかけた眼の前の女性。
ここ狭間の世界で、異世界アトランティスを管理する女神ディナール。
年の頃は12~13歳位の少女が、貴族の着るような小綺麗な服装で佇んでいる。
落ち着いた口調と年齢が一致しない不思議な女神だ。
「二十年ぶりか・・・もう少し子供たちと一緒にいたかったぜ」
「約束ですからね。特別サービスもこれで終わりです」
「分かっているがよ」
ワタルが二十歳になるまで地球にいることができる。それがディナールとの約束だった。
別れの日が近づくにつれて、何度本当のことを言ってしまおうかと思ったガンテツ。
結局、二人には黙って消えることにした。
「きっとワタルは俺のことを恨むだろうな。・・・ハルカは泣いているかな」
「ワタルさんは立派になられましたよ。ハルカさんを守ってくれるでしょう」
「全く人ごとだと思って」
「・・・あなた」
ガンテツの後ろからそっと抱きつく白い影
「よぉ!久しぶりだなサツキ」
そこには随分前に死んだはずの妻サヤカがいた。
「いつまで待たせるのよ。でも子どもたちの事ありがとう」
「お前は若いまんまだな。うらやましいぜ」
「ふふ、あなたは年をとったけど昔のまんまよ。少し安心した」
「少し、二人の時間をあげましょう」
こうしてガンテツは狭間の世界で、ディナールの部下となった。
・・・・・・・・・
ガンテツが一度目にアトランティスに召喚されたのは、何十年も前。
いつものルートをトラックで配達していた時、事故にあった。
光包まれて狭間の世界に来てみると、ディナールとは違う女神にアトランティスで世界を救ってほしいとお願いされた。
「なんで、そんな事しなきゃいけないんだ?とにかく戻してくれ!」
「あなたは一度、死んでいます。無理なのです。しかし、アトランティスを救ってくださいましたら、特例で戻してくれあげましょう」
渋々了承したガンテツはアトランティスに飛ばされる。
様々な出会いや裏切りがあり、ついに黒の精霊を討ち取った。
そして、アトランティスで出会ったサヤカと当時、サヤカのお腹の中にいたワタルの3人で期限付きで地球へ戻ることができた。
・・・・・・・・・
「ガンテツ様!ガンテツ様!」
「ああ、ガンテツ様はいませんよ。奥様のところじゃないですか」
「また、サボリかー!」
慌てた様子で部屋に飛び込んできたエルザは同僚に向かって叫ぶ。
ここはアトランティスを管理するための屋敷だ。
エルザは新たにアトランティスの管理者代行となったガンテツの部下になっていた。
「はい。あなたあ~ん」
「やめろ恥ずかしい。」
「はい。あなたあ~ん」
「ったく、あ~・・・」
「あーー!いたーガンテツ様」
ガンテツが狭間の世界で働き始めてから七年が過ぎた。ガンテツは時間を見つけてはサツキの元を訪れ、イチャついている。
「どうしたエルザ?」
「どうしたじゃないですよガンテツ様!いつもサボって、どこかにいかないで下さい!」
「あらあらそんなに怒らないのエルザ。彼氏に嫌われるわよ」
「ぐっ!コイツ等・・・と、とにかく大変なんです」
どうやらただ事ではないことが起こった様子を察した二人は表情を変えた。
「ガンテツ様の息子さんが亡くなりそうです」
・・・・・・・・・
「おう!邪魔するぜ」
「これはこれはガンテツ様どうなさいました?」
ガンテツが訪れたのは、狭間の世界の地球担当の社。いかにも日本風の神社に大きな鳥居が佇んでいる。
「アマテラスはいるか?」
「アマテラス様は休暇を取っております。どこぞに旅行に行くと仰っていました。今は私が管理を代行しています」
眼の前のメガネをかけた青年はオオクニという名前で、地球を管理しているアマテラスの部下である。
「ちっ!俺が来ることを知って隠れやがったな。だったらオオクニでもいいや。俺の息子は死んだんだろ?」
「なぜ知ってるんですか!?・・・ああエルザに聞かれたのか。・・・まいったな」
アマテラスとオオクニがワタルが死んだことを話している時に、エルザは聞き耳を立てていた。そして、そのままダッシュでガンテツのところへ向かったのだ。
「そんなことはどうでもいい。とりあえずワタルの魂を地球に戻してくれ。まだ完全には死んでないんだろ?」
「・・・・・・何を言ってるんですか?それが無理なことくらい知ってるでしょ?あなたも管理者代行なんですよ」
「知っているさ・・・そのうえで頼んでいる。頼むよ。あいつはまだやり残したことがあるんだ」
ガンテツは自分の歳の半分程の青年に頭を下げた。
「ワタルさんの死因は働き過ぎによる病気です。あれだけ自分を追い詰めれば病気にもなります。何も不思議なことはない」
「やっぱりそうか。」
「ええ、分かって頂けましたか?」
「・・・・・・」
オオクニは頭を下げているガンテツを見る。
「ゴホン!さてオオクニ君。ものは相談だが・・・君はエルザと上手く行ってないらしいな?」
「そ、そうですが。今は関係ないでしょ?」
ガンテツは不敵な笑みを浮かべた。
「いや、関係あるさ。エルザは部下とはいえ、娘同然。そんなエルザが悩んでいる(イライラしている)のは忍びない」
「な、何が言いたいんですか?」
「うちには、エルザのことをよく知る五人の精霊と親と慕っている妻がいる。つまりうまく仲をとりもってやらんでもない」
「・・・ズルいですよ」
「奥手な君の代わりに、経験豊富なお姉様方がアドバイスをしようというのが変かな?」
さらにガンテツはダメ押しをする。
「さらに俺はエルザに休暇を与え、旅行にでも行って貰おうと思っている。きっとエルザは楽しんでくれるだろう」
「はぁーー・・・わかりました。でも、生き返らせるのはだめです。転生先を決める前にガンテツ様に会わせるだけです。それでいいですね」
「ああ、それでいい」
ガンテツは満足げに頷く。
「でも、お話したらすぐにワタルさんをこちらに戻してくださいね。転生先は私が決めますので」
「わかってる。わかってる。」
「必ずですよ。本当に頼みますよ」
・・・・・・
それから数時間後
「何勝手にワタルさんを転生させてんだーーー!!!」
エルザの彼氏のオオクニの声がこだましたのだった。
「ああ、戻ってきたんだな」
二度目となる狭間の世界にガンテツは目を細めながら呟いた。
一度目にこの世界に来てから何十年も経っているがすぐにわかった。
「さて、約束の期限がきました。待っておりましたよガンテツ。久しぶりですね」
「ディナールか・・・」
静かに声をかけた眼の前の女性。
ここ狭間の世界で、異世界アトランティスを管理する女神ディナール。
年の頃は12~13歳位の少女が、貴族の着るような小綺麗な服装で佇んでいる。
落ち着いた口調と年齢が一致しない不思議な女神だ。
「二十年ぶりか・・・もう少し子供たちと一緒にいたかったぜ」
「約束ですからね。特別サービスもこれで終わりです」
「分かっているがよ」
ワタルが二十歳になるまで地球にいることができる。それがディナールとの約束だった。
別れの日が近づくにつれて、何度本当のことを言ってしまおうかと思ったガンテツ。
結局、二人には黙って消えることにした。
「きっとワタルは俺のことを恨むだろうな。・・・ハルカは泣いているかな」
「ワタルさんは立派になられましたよ。ハルカさんを守ってくれるでしょう」
「全く人ごとだと思って」
「・・・あなた」
ガンテツの後ろからそっと抱きつく白い影
「よぉ!久しぶりだなサツキ」
そこには随分前に死んだはずの妻サヤカがいた。
「いつまで待たせるのよ。でも子どもたちの事ありがとう」
「お前は若いまんまだな。うらやましいぜ」
「ふふ、あなたは年をとったけど昔のまんまよ。少し安心した」
「少し、二人の時間をあげましょう」
こうしてガンテツは狭間の世界で、ディナールの部下となった。
・・・・・・・・・
ガンテツが一度目にアトランティスに召喚されたのは、何十年も前。
いつものルートをトラックで配達していた時、事故にあった。
光包まれて狭間の世界に来てみると、ディナールとは違う女神にアトランティスで世界を救ってほしいとお願いされた。
「なんで、そんな事しなきゃいけないんだ?とにかく戻してくれ!」
「あなたは一度、死んでいます。無理なのです。しかし、アトランティスを救ってくださいましたら、特例で戻してくれあげましょう」
渋々了承したガンテツはアトランティスに飛ばされる。
様々な出会いや裏切りがあり、ついに黒の精霊を討ち取った。
そして、アトランティスで出会ったサヤカと当時、サヤカのお腹の中にいたワタルの3人で期限付きで地球へ戻ることができた。
・・・・・・・・・
「ガンテツ様!ガンテツ様!」
「ああ、ガンテツ様はいませんよ。奥様のところじゃないですか」
「また、サボリかー!」
慌てた様子で部屋に飛び込んできたエルザは同僚に向かって叫ぶ。
ここはアトランティスを管理するための屋敷だ。
エルザは新たにアトランティスの管理者代行となったガンテツの部下になっていた。
「はい。あなたあ~ん」
「やめろ恥ずかしい。」
「はい。あなたあ~ん」
「ったく、あ~・・・」
「あーー!いたーガンテツ様」
ガンテツが狭間の世界で働き始めてから七年が過ぎた。ガンテツは時間を見つけてはサツキの元を訪れ、イチャついている。
「どうしたエルザ?」
「どうしたじゃないですよガンテツ様!いつもサボって、どこかにいかないで下さい!」
「あらあらそんなに怒らないのエルザ。彼氏に嫌われるわよ」
「ぐっ!コイツ等・・・と、とにかく大変なんです」
どうやらただ事ではないことが起こった様子を察した二人は表情を変えた。
「ガンテツ様の息子さんが亡くなりそうです」
・・・・・・・・・
「おう!邪魔するぜ」
「これはこれはガンテツ様どうなさいました?」
ガンテツが訪れたのは、狭間の世界の地球担当の社。いかにも日本風の神社に大きな鳥居が佇んでいる。
「アマテラスはいるか?」
「アマテラス様は休暇を取っております。どこぞに旅行に行くと仰っていました。今は私が管理を代行しています」
眼の前のメガネをかけた青年はオオクニという名前で、地球を管理しているアマテラスの部下である。
「ちっ!俺が来ることを知って隠れやがったな。だったらオオクニでもいいや。俺の息子は死んだんだろ?」
「なぜ知ってるんですか!?・・・ああエルザに聞かれたのか。・・・まいったな」
アマテラスとオオクニがワタルが死んだことを話している時に、エルザは聞き耳を立てていた。そして、そのままダッシュでガンテツのところへ向かったのだ。
「そんなことはどうでもいい。とりあえずワタルの魂を地球に戻してくれ。まだ完全には死んでないんだろ?」
「・・・・・・何を言ってるんですか?それが無理なことくらい知ってるでしょ?あなたも管理者代行なんですよ」
「知っているさ・・・そのうえで頼んでいる。頼むよ。あいつはまだやり残したことがあるんだ」
ガンテツは自分の歳の半分程の青年に頭を下げた。
「ワタルさんの死因は働き過ぎによる病気です。あれだけ自分を追い詰めれば病気にもなります。何も不思議なことはない」
「やっぱりそうか。」
「ええ、分かって頂けましたか?」
「・・・・・・」
オオクニは頭を下げているガンテツを見る。
「ゴホン!さてオオクニ君。ものは相談だが・・・君はエルザと上手く行ってないらしいな?」
「そ、そうですが。今は関係ないでしょ?」
ガンテツは不敵な笑みを浮かべた。
「いや、関係あるさ。エルザは部下とはいえ、娘同然。そんなエルザが悩んでいる(イライラしている)のは忍びない」
「な、何が言いたいんですか?」
「うちには、エルザのことをよく知る五人の精霊と親と慕っている妻がいる。つまりうまく仲をとりもってやらんでもない」
「・・・ズルいですよ」
「奥手な君の代わりに、経験豊富なお姉様方がアドバイスをしようというのが変かな?」
さらにガンテツはダメ押しをする。
「さらに俺はエルザに休暇を与え、旅行にでも行って貰おうと思っている。きっとエルザは楽しんでくれるだろう」
「はぁーー・・・わかりました。でも、生き返らせるのはだめです。転生先を決める前にガンテツ様に会わせるだけです。それでいいですね」
「ああ、それでいい」
ガンテツは満足げに頷く。
「でも、お話したらすぐにワタルさんをこちらに戻してくださいね。転生先は私が決めますので」
「わかってる。わかってる。」
「必ずですよ。本当に頼みますよ」
・・・・・・
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「何勝手にワタルさんを転生させてんだーーー!!!」
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