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第一章 妹との別れ、妖精との出会い
第9話 こんな物でどうしろと?
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「ま・ほ・う!魔法♪魔法♪」
俺は浮かれていた。一度は諦めかけた魔法。魔力タンクとしてどう生きていけば良いか絶望しかけたが、ウェンディとの契約で風魔法が使えるようになった。
「いや~ウェンディが下げてから上げるという高度な方法を持っていたとは恐れ入ったぜ」
「はぁ~魔法魔法ってうるさいわよ。」
ウェンディはクルクル回りながら歓喜の踊りをしている俺をジト目で見ている。
「だって仕方ないだろ。異世界ラノベ好きの俺にとっては嬉しくないわけ無いだろ?」
「だからラノベって何よ?」
「お?俺にラノベを語らせるのか?多分説明に3日くらいかかるぞ」
「・・・もういいわよ」
過酷な仕事のストレスでダメになりそうな時、支えになってくれたのはハルカの笑顔とラノベを読むことだった。
時には最強の魔法使いでモンスターをバッタバッタとなぎ倒し、またある時にはチート魔法で国造りをしたりする主人公に自分を重ねて現実逃避していたのだ。
ブツブツ
「とりあえずコイツにキスをしたことがバレなきゃいいわ。仮契約ってことで信じているし。でもあとでエアロ様に相談しなきゃならないわ」
「なにボソボソ言ってんだ?」
なんだか考え込んでいるウェンディに声を掛けた。
「何でもないわよ。こっちのことよ」
どうやら機嫌が悪いらしい。
まぁ年甲斐もなくはしゃいでしまった俺のせいかもしれない。
「それで?魔法が使えるようになったあなたはどうするの?私はエアロ様にあなたのサポートをしろとだけ言われてるんだけど」
「そりゃそこら中の魔物をバッタバッタと倒すのさ。風魔法でな!」
ビシッとサムズアップしてドヤ顔を決めた。
「馬鹿じゃないの?目的もなくそんな事をしたら危険な魔法使いとして人族に討伐されるわよ。そうじゃなくて、どうやって生活していくのか聞いてるの?」
「・・・・・・全然考えてなかった。親父にも異世界を楽しめとしか言われてないし・・・どうしよ?」
でも仕方ないじゃないか。突然目的もなく異世界に飛ばされて何をしたらいいんだ?ラノベの主人公みたいに魔王を倒しに行くのか?お姫様が攫われているか?
「・・・はぁ~あきれた・・・ってお父様に会ったって言ったわよね?ガンテツ様に。」
「ああ会ったぞ。ここに飛ばされる前に狭間の世界ってとこで」
俺が地球で死んでしまったことは何となく言いづらかったので、親父に会ったことだけ伝える。
「ねぇねぇ。ガンテツ様はどんな方なの?やっぱり金髪で高身長で、誰もが惚れるお顔何でしょ?肖像画は見たけど本人に会ってみたいわ♪」
「いや、短髪角刈りで・・・・・・いやそんな感じだ」
「きゃーー!やっぱり♪」
キラキラした目で見つめられた俺は、本当のことを伝えようとしたけど思いとどまった。
憧れは憧れのままの方が良い、真実はいつでも残酷だ。
例え、それがバリバリの角刈りで、地球ではトラックを乗り回して演歌をこよなく愛する男だったとしてもだ。
まして、俺がドロップキックをかましてふっ飛ばしたと知ったら、ウェンディに嫌われてしまうだろう。
「そんなことより、エアロ様から何か聞いてないのか?エアロ様は親父から俺のサポートを頼まれたんだろ?」
「そうよ。私はエアロ様からあなたにアトランティスのことを教えながら、一人で生きていけるように手伝ってほしいと言われたわ」
「それだけか?確かにありがたいが、魔王を倒してくれとか、お姫様が攫われたから助けてやってくれとか言われなかったか?」
「魔王って誰よ?それにお姫様なんかいっぱいいるわよ。いちいちどこかのお姫様一人助けるために、あなたを呼ばないと思うわよ」
ウェンディは呆れた声で言った。
「世界が滅亡しかけたりしてないのか?」
「いたって平和ね。戦争もここ100年くらい起きてないわ」
ああ、その戦争は親父が勇者をやっていたやつだろう。
「それじゃ本当に異世界で自由に暮らせってことか。しかし、いきなりそんなこと言われてもな・・・」
あまりにも色々起きたせいで、この世界で何をやるか頭がまわらなかったな。
さて、そうなると暮らしていくために仕事をしなきゃいけないだろう。
「なぁウェンディ。サポート内容に俺を養っていくということは入って・・・」
バキッ
「ヘブッ!」
「入ってないわよ!馬鹿じゃないの?どこの世界に妖精に養ってもらう契約者がいるのよ。恥ずかしくないの?ハァーなんでこんなのと契約しちゃったのかしら」
ウェンディは、ドロップキックで見事なツッコミを入れた。やっぱりこいつとならお笑い界の天下をとれるかもしれない。
「じょ冗談だって。地球式のボケだって」
「そんなの知らないわよ」
まぁ俺も本気で養って欲しいとは考えていない。とりあえずは仕事を見つけないと。
「あっ!そうだ!ワタルの異世界生活に役立つ物があるってエアロ様がいってたわ!」
「ウェンディ・・・そういう大切なことは早めに言おうな」
「確かあなたの直ぐ側に置いておくようなことを言っていた気がするわ」
そんな事を言われたので俺は周りを見渡す。
ブンブン飛び回るウェンディ。
キラキラしながら漂う幼霊
相変わらずの鬱蒼した木々。
「あっ」
「なにあれ?」
そこには一台の荷車とそれに繋がれた木馬があった。
「何あれ?」
「こんな物でどうしろと?」
俺は浮かれていた。一度は諦めかけた魔法。魔力タンクとしてどう生きていけば良いか絶望しかけたが、ウェンディとの契約で風魔法が使えるようになった。
「いや~ウェンディが下げてから上げるという高度な方法を持っていたとは恐れ入ったぜ」
「はぁ~魔法魔法ってうるさいわよ。」
ウェンディはクルクル回りながら歓喜の踊りをしている俺をジト目で見ている。
「だって仕方ないだろ。異世界ラノベ好きの俺にとっては嬉しくないわけ無いだろ?」
「だからラノベって何よ?」
「お?俺にラノベを語らせるのか?多分説明に3日くらいかかるぞ」
「・・・もういいわよ」
過酷な仕事のストレスでダメになりそうな時、支えになってくれたのはハルカの笑顔とラノベを読むことだった。
時には最強の魔法使いでモンスターをバッタバッタとなぎ倒し、またある時にはチート魔法で国造りをしたりする主人公に自分を重ねて現実逃避していたのだ。
ブツブツ
「とりあえずコイツにキスをしたことがバレなきゃいいわ。仮契約ってことで信じているし。でもあとでエアロ様に相談しなきゃならないわ」
「なにボソボソ言ってんだ?」
なんだか考え込んでいるウェンディに声を掛けた。
「何でもないわよ。こっちのことよ」
どうやら機嫌が悪いらしい。
まぁ年甲斐もなくはしゃいでしまった俺のせいかもしれない。
「それで?魔法が使えるようになったあなたはどうするの?私はエアロ様にあなたのサポートをしろとだけ言われてるんだけど」
「そりゃそこら中の魔物をバッタバッタと倒すのさ。風魔法でな!」
ビシッとサムズアップしてドヤ顔を決めた。
「馬鹿じゃないの?目的もなくそんな事をしたら危険な魔法使いとして人族に討伐されるわよ。そうじゃなくて、どうやって生活していくのか聞いてるの?」
「・・・・・・全然考えてなかった。親父にも異世界を楽しめとしか言われてないし・・・どうしよ?」
でも仕方ないじゃないか。突然目的もなく異世界に飛ばされて何をしたらいいんだ?ラノベの主人公みたいに魔王を倒しに行くのか?お姫様が攫われているか?
「・・・はぁ~あきれた・・・ってお父様に会ったって言ったわよね?ガンテツ様に。」
「ああ会ったぞ。ここに飛ばされる前に狭間の世界ってとこで」
俺が地球で死んでしまったことは何となく言いづらかったので、親父に会ったことだけ伝える。
「ねぇねぇ。ガンテツ様はどんな方なの?やっぱり金髪で高身長で、誰もが惚れるお顔何でしょ?肖像画は見たけど本人に会ってみたいわ♪」
「いや、短髪角刈りで・・・・・・いやそんな感じだ」
「きゃーー!やっぱり♪」
キラキラした目で見つめられた俺は、本当のことを伝えようとしたけど思いとどまった。
憧れは憧れのままの方が良い、真実はいつでも残酷だ。
例え、それがバリバリの角刈りで、地球ではトラックを乗り回して演歌をこよなく愛する男だったとしてもだ。
まして、俺がドロップキックをかましてふっ飛ばしたと知ったら、ウェンディに嫌われてしまうだろう。
「そんなことより、エアロ様から何か聞いてないのか?エアロ様は親父から俺のサポートを頼まれたんだろ?」
「そうよ。私はエアロ様からあなたにアトランティスのことを教えながら、一人で生きていけるように手伝ってほしいと言われたわ」
「それだけか?確かにありがたいが、魔王を倒してくれとか、お姫様が攫われたから助けてやってくれとか言われなかったか?」
「魔王って誰よ?それにお姫様なんかいっぱいいるわよ。いちいちどこかのお姫様一人助けるために、あなたを呼ばないと思うわよ」
ウェンディは呆れた声で言った。
「世界が滅亡しかけたりしてないのか?」
「いたって平和ね。戦争もここ100年くらい起きてないわ」
ああ、その戦争は親父が勇者をやっていたやつだろう。
「それじゃ本当に異世界で自由に暮らせってことか。しかし、いきなりそんなこと言われてもな・・・」
あまりにも色々起きたせいで、この世界で何をやるか頭がまわらなかったな。
さて、そうなると暮らしていくために仕事をしなきゃいけないだろう。
「なぁウェンディ。サポート内容に俺を養っていくということは入って・・・」
バキッ
「ヘブッ!」
「入ってないわよ!馬鹿じゃないの?どこの世界に妖精に養ってもらう契約者がいるのよ。恥ずかしくないの?ハァーなんでこんなのと契約しちゃったのかしら」
ウェンディは、ドロップキックで見事なツッコミを入れた。やっぱりこいつとならお笑い界の天下をとれるかもしれない。
「じょ冗談だって。地球式のボケだって」
「そんなの知らないわよ」
まぁ俺も本気で養って欲しいとは考えていない。とりあえずは仕事を見つけないと。
「あっ!そうだ!ワタルの異世界生活に役立つ物があるってエアロ様がいってたわ!」
「ウェンディ・・・そういう大切なことは早めに言おうな」
「確かあなたの直ぐ側に置いておくようなことを言っていた気がするわ」
そんな事を言われたので俺は周りを見渡す。
ブンブン飛び回るウェンディ。
キラキラしながら漂う幼霊
相変わらずの鬱蒼した木々。
「あっ」
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そこには一台の荷車とそれに繋がれた木馬があった。
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