妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ?

新名天生

文字の大きさ
上 下
238 / 255

61-9 明けまして……おめでとう

しおりを挟む
 
 大晦日、父さんと母さんは1日から仕事があるって事で名古屋に帰っていった。
 そして今日は開けてお正月、明けましておめでとうさん。

 昨夜は父さんと母さんを交えて家族皆で宴会、父さんとも母さんも婆ちゃんの友人達の宴会からずっと付き合わされフラフラになって帰っていったけど……本当大丈夫か?

 まあ今はそんな事を気にしている場合じゃないんだけど……

 そう、とりあえず俺の症状は収まった。栞の顔を見れる様になった。これが何か、俺のこの気持ちが何かわかってしまえば、理解してしまえばなんて事は無い……無いんだけど……

「まずい……まずいよなぁ……」
 生まれて初めて好きって気持ちに気がついた……俺の初恋って先生だと思っていたが……今こうなるとあれは恋じゃないって事がわかる。

「まさかの初恋が妹って……マジか」
 確か栞も俺の事が初恋だって…………ヤバい顔が熱くなる、身体がホテルいや、火照る。相思相愛で相思相初恋……似た者同士、似た者兄妹……兄妹……

「いやいやいやいや、まてまて、何喜んでるんだ俺は、駄目だろ駄目だよ駄目だって」
 妹に恋しちゃうとか駄目だって、駄目だよ駄目駄目……いや冗談言ってる場合じゃばい。
 とりあえず栞にバレない様にしないと、まずい、まずいだろ? だって今俺と栞は二人きりで暮らしているんだぞ? それなのに、そんな状態で相思相愛だなんて栞にバレたら……バレたら………………ん?

「特に問題無い……かな?」
 いやだって、俺がどう思っていても、栞が俺に対して取る態度が変わるとは思えない。
 今だって隙あれば俺のベットに潜り込む、部屋を漁る、風呂を覗く、あ、ちなみに黙っていたけど妹俺の風呂を覗いている事は知っている。

「変態妹……そしてその妹に恋する変態兄……か」
 俺は文字通り頭を抱えた……まさかこんな事になろうとは……

 その時リビングの扉が開いた、振り向くと美月が

「お、にいいいいいちゃまあああああああああああ」
 美月が俺に駆け寄って来る、綺麗な赤の晴れ着を着て……

「どう? お兄ちゃま! 似合う? 可愛い?」

「ああ、滅茶苦茶可愛いぞ、さすがは俺の美月だ」
 美月はピンク基調の華やかな晴れ着を着ていた。満開のサクラの中に絵巻の様な図柄、おそらく源氏物語の絵だろうか……源氏物語……えっと……紫の上は姪だから違うよ違う、美月はいとこ、たまたま偶然だよね、何も意図してないよね……多分用意したのは婆ちゃんだけど、なんの意味もないよね、えっと紫の上の年齢は確か8才……ほら美月は9才だからこれも関係ないない……だから……いいよね。

 俺は晴れ着が崩れないようにそっと美月を抱き締めた。可愛い可愛い俺の美月……と、その時もう一人リビングに入ってくる、今度は赤い晴れ着を着た美少女が……

「お兄ちゃん……どうかな?」

「…………」

「……駄目かな?」

「…………」

「…………お兄ちゃん?」

「あ、いや、…………うん、似合う似合う」

「ほんと?」

「うん……」
 言葉が出なかった……美しい過ぎる、可愛すぎる、この世の物とは思えない物がそこにあった。
 浮世絵、絵画、宝石、世の中に美とされるあらゆる物の中でも恐らくここまで美しくそして可愛い物は無いだろう……栞の晴れ着姿……
 赤を基調とした花柄の晴れ着、色とりどりの花の中に松竹梅が散りばめられていて大変縁起がいい、改めてまして明けましておめでとう!

 それにしても……今思うと、栞のウエディングドレスも美しかった。あまりの美しさに俺は栞が誰かの元に嫁ぐ事を考えてしまった。俺に「お兄ちゃん今までありがとう」って三ツ指を付いて頭を下げる姿を想像してしまった。でもそれは、栞と離ればなれになる事に対する悲しみではない、父親が思う様な悲しみではない……栞が他の奴に取られる、誰かの腕の中に収まる事を想像した苦しみ……そんな想像をしてしまった……それが悲しくて苦しくて切なくて涙してしまった。

「えへへへへ、髪もおばさまにやって貰ったの、可愛いでしょ」
 くるりと一回りし俺に見せつける栞、美しい黒髪をアップにしかんざしで飾り付けをしている……いや……本当に綺麗だ。

「うん……綺麗……だよ……」

「えへへへへへ」

「あーーーーもうお兄ちゃま、美月ももっと誉めて!」

「ああ、可愛い、可愛いぞ! よし! じゃあ皆で初詣に行こうか!」

「はーーーい」


 ####


 美月と俺と栞の3人、両手に花で近所のお寺へ初詣に出かける。いや、それにしても、通る人通る人皆が揃って振り返る。そりゃウルトラ級の美少女が二人綺麗な晴れ着を着てこんな田舎歩いていれば皆驚くよなぁ、っていうかむしろ田舎で良かった。いつぞやの美智瑠との着物デートでも人だかりが出来たんだ、この二人と都内なんて歩いた日には……考えただけでも恐ろしい……


「お兄ちゃま、リンゴ飴食べていい?」

「エエよエエよなんでも買うたる」
 お寺に付くと何件かの屋台が出ていた。田舎の寺とはいえ、やはり地元で一番大きなお寺だけに多くの人で賑わっていた。

「お兄ちゃん、私はタコ焼き食べたい」

「エエよエエよなんでも買うたる」
 ああ、もう可愛い過ぎだよ俺のいとこと妹……二人だよ二人とも、変な勘繰りするなよ、今はただただ可愛い二人を……

「はいお兄ちゃま、あーーーーん」

「お! おお、あーーーん」
 甘い、甘いなあ、甘いよ……美月が食べさせてくれるからいつもの3倍甘いよ。

「あああああ、お、お兄ちゃん私もあーーーーーん」

「お、おお、あーーーーーーーん」
 ああ、栞……いつもと違ってやっぱり好きな人からあーーんして貰うと一味ちが………………

「ふがああああああああああああああ」
 熱いいいいいいいいいいいいいいいい!

「あああああ、お兄ちゃんだ、大丈夫?」
「お兄ちゃま! 今飲み物を!!」

 熱い、熱いよ……俺の初恋の味は…………熱かった……







しおりを挟む
Twitterやってます。https://twitter.com/niinaamesyou
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。  後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。  しかし、そこに香奈が現れる。  成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……  オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕! ※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。 「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。 【今後の大まかな流れ】 第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。 第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません! 本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに! また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます! ※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。 少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

処理中です...