妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ?

新名天生

文字の大きさ
上 下
228 / 255

60-9 スキー旅行

しおりを挟む

「美月……ごめん……」

「お兄ちゃま……」

 俺は美月の肩にそっと手を置き美月をクルリと半回転させゆっくりとお湯の中に入れた。
 そして美月を背中から抱き締める。美月の髪から温泉の湯気と一緒に甘い香りが登ってくる。
 華奢な身体を壊さない様に適度に力を込めて美月をぎゅっと抱き締める。

「美月……ごめんな……俺はさ、栞の事以上に美月は俺にとって妹なんだ、大事な大事な妹って思っているんだ……」

「お姉ちゃま以上?」

「ああ、栞とは年子で、学年は一緒、妹だけど、姉でもあり、双子でもあり、同級生でもある。でも美月はいとこだけど、赤ん坊の頃からずっと知ってて、ヨチヨチ歩きの頃から俺は見てきた。小さい頃から一緒に遊んだ。だから美月は栞以上に俺にとって妹なんだ、大事な大事な妹なんだよ」

「お兄ちゃま……」

「だから美月と結婚とか、婚約とか……正直全く考えられないんだ。それは勿論栞ともだけど」

「お姉ちゃまも?」

「ああ、俺は栞のウエディングドレス姿を見た瞬間悲しくて悲しくて仕方がなかった……自分でもなんであんなに号泣したかわからなかった……」

「お兄ちゃま……」

「美月の言った通り俺は栞が誰かの物になるって考えたのかも知れない。今そう思っただけで胸が張り裂けそうになる、今でも泣きそうになる。でもそれが恋愛感情だなんて俺は思ってない」

「お兄ちゃま! でも」

「まあ、良いから聞いてくれ、さっき美月はずるい事を言うって前置きしてから言ったよね? だから俺も今からずるくて最低な事を言うよ……俺はね……美月のウエディングドレス姿でも泣くと思うよ……美智瑠でも麻紗美でも先生でも会長でも雫でもセシリー…………は泣かないかな? 俺はさ、今が凄く楽しいんだ。この状況って中学迄考えられなかった。ずっと一人でいた、栞とだってこんなに一緒にいることは無かった。本当に楽しい、今、毎日が凄く楽しい、うるさいって思う事も煩わしいって思う事もあるけど、でも俺はこの状況が1秒でも長く続いて欲しいって思ってるんだ。最低だろ? 長谷川ハーレムって揶揄されても俺はこの状態をずっと続けたいって思ってるんだ」

「…………」

「美月との関係だってそう、毎晩の様に電話で話して、こうしてたまに会って一緒に遊んで、お風呂に入って……凄く楽しい、凄く嬉しい」

「嬉しいんだ? お兄ちゃまのロリコン」

「そうだな俺はロリコンでシスコンで……最低だな」

「ううん……最高だよお兄ちゃま……お兄ちゃまは最高」
 美月はそう言うと俺の方を向く、そして赤く火照った顔で俺を見つめる。

「ずっとなんて言わない、でも……もう少しこのままで居たい、まだ高校1年なんだから、それくらい良いだろ?」

「うーーん、美月はまだ小学生だから良いけど、他の人はどうなのかなぁ? 皆待ってくれないかもよ、お兄ちゃまよりも好きな人見つけて居なくなっちゃうかもよ?」

「それは仕方ないよ、正直今でも一緒にいてくれて、俺の事を好きって言ってくれている事が不思議な位なんだから」

「あははは、大丈夫、皆居なくなっても美月は居るからね、お兄ちゃまの側にずっと居るからね、誰も居なくなっても美月はずっとお兄ちゃまと一緒に居るからね、妹だから……美月はお兄ちゃまの一番の妹なんだから」
 美月はそう言うと俺の背中に手を回し俺に抱きつく、そして俺の胸に耳を当てる。

「お兄ちゃまの心臓の音を聞くと、安心するの……」

「そか」

「うん…………ねえお兄ちゃま……バスタオル取っても良い?」

「え!」

「良いでしょ? 妹なんだから、お兄ちゃまは妹に欲情はしないんでしょ?」

「いや、えっと、そ、それは」

「お兄ちゃまともっとくっつきたい、だから……良いでしょ?」

 美月はそう言うと身体に巻いているバスタオルの結び目に手をかける。

「美月……そ、それは!」
 駄目だ、美月! それは……それは……フラグだ! 栞が!

「おおおおおおおおおおにいいいいいいいいちゃあああああああああああああああああああああああんんんんん!!」
 ほら言った通りだろ……脱衣場の扉が開き栞が飛び込んで来た。

「ずるいいいいいいいいいいい、私も入るうううううううううううう!!」
 そう言うと栞は浴衣を脱ぎそのまま湯船に飛び込んでくるっておい!

「お姉ちゃま! 下着着けたまま!」

「美月ちゃんだってタオル巻いているでしょ!」

「今取る所だったの!」

「私も今脱ぐの!」

「やーーーーーーめーーーーーーーーてーーーーーーーー」

 俺は二人が揉めている隙をついて、そそくさと湯槽から上がり脱衣場に向かった。
 
 「お兄ちゃんんんんん、ずるいいいいいいいいいいい、美月ちゃんとは一緒に入ったのにいいい!」

「お兄ちゃまあああああ、もうちょっとだったのにいいい」

「美月ちゃん! なにがもうちょっとなの!」

 俺はそんな言い争いをしている二人を見ずにそっと扉を閉めた。


 このままで良いのか?……本当にこのままが良いのか? 
 
 俺はさっき格好つけて言った自分の言葉に早くも疑問を感じていた。

 
しおりを挟む
Twitterやってます。https://twitter.com/niinaamesyou
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。  後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。  しかし、そこに香奈が現れる。  成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……  オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕! ※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。 「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。 【今後の大まかな流れ】 第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。 第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません! 本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに! また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます! ※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。 少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。

昼寝部
キャラ文芸
 天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。  その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。  すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。 「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」  これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。 ※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

処理中です...