227 / 255
60-8 スキー旅行
しおりを挟むその後俺達は3人で何本か滑り昼食を取った。
午後もバッチリ滑るつもりだったが、ホテルで食べている間に天気が急速に悪化、吹雪となった為にやむ無く滑るのを止め部屋で寛ぐ事にした。
俺は持ってきた本を読み、二人はトランプやら将棋やらで勝負をしていた。よくやるよ……本当に。
最後にまた豪華な夕食、今日は日本食を食べ恒例のスキー旅行は終了した。
終了?……いや、ちょっと待て、俺は一つやり残した事がある!……そう温泉……折角温泉露天風呂付きの部屋なのに肝心の温泉に入っていない……
早朝俺はそっと起きる。二人は昨日と違いそれぞれベットでぐっすりと寝ている。
「やっと入れるチャンスが……」
俺が入ると絶対に乱入してくる為に、2日間仕方なく大浴場入っていたが、やはり部屋の温泉に入ってみたい。
早朝景色を見ながら一人でゆっくりと浸かれるとか最高だろ?
俺は二人を起こさない様、ゆっくりとベットから離れ、音を立てずに慎重に脱衣場に向かった。
脱衣場で素早く服を脱ぎ、念願の部屋付き露天風呂に!
「おーーーーーすげえ……」
露天風呂に入ると景色が一望出来た。早朝まだ薄暗いが遠くに雪化粧した日本アルプスが見え、近くの山々は朝日に照らされキラキラと煌めいている。
「うお、さみい~~」
露天の為に雪で冷やされた冷たい風が吹き込む、俺はゆっくりと肩まで温泉に浸かった。
「お~~~~最高」
温泉に浸かりながら見る雪景色に感動しながら、ゆっくりと外を眺めていると、暫くしてお約束の通りバタン扉の開く音がした。
「マジか……」
起こさない様に細心の注意をはらったが、やはりワンパターン作家、勿論このままなわけが無い。俺は恐る恐る扉の方を見た。そこには……タオルを巻いた小さな女の子が立っていた。ああ、BANされる方だ……
「お兄ちゃま、一人で朝風呂なんてずるいな~~~」
「み、美月!」
「しーーーお姉ちゃまが起きちゃうよ」
「いや、まずいって」
「大丈夫ほら個室露天だからタオル巻いたままで入れるから」
「いや、でも……」
俺が止める間もなく美月はお湯に足を入れる。
「ふわ~~~温かい」
そう言いながら俺の隣に座る美月、俺は美月の方を見ないように天井を向いた。
俺が見なければ美月の姿は書けない、どうだこれならBANされないだろうなど考えながら暫く並んで浸かっていると、美月が俺に話し始めた。
「あのねお兄ちゃま……前からずっと聞こうと思ってたの、お兄ちゃま、お姉ちゃまの事どう思ってるの?」
「ど、どうって?」
「好きなの?」
「そりゃ勿論」
「女の子として?」
「え?」
「一人の女性として愛してるの?」
「いや……それは……」
「お姉ちゃまは今でもちゃんとお兄ちゃまの事愛してるよ、男の人として、恋愛対象として」
「ああ、うん」
「わかってるよね、まあ当たり前か」
「うん……まあ……」
「お姉ちゃまはお兄ちゃまにはっきりと言ったんだ」
「ああ、うん……入学式前日に……告白……された」
「そか……それで、お兄ちゃまはなんて答えたの?」
「え? えっと……付き合おうって、兄妹らしい付き合いをしようって」
「ふーーん……じゃあ今でも付き合ってるの?」
「……一応は……」
「そか……それで……お兄ちゃまはどうするの?」
「どうするって?」
「このままで良いの?」
「どうしたんだ? 急にそんな事を聞いてきて」
「うん? 急じゃないよ、前からずっと聞こうって思ってたの、お兄ちゃまが逃げられない状態を狙ってたの」
「逃げられない?」
「うん、今がそう」
「そうなの?」
「うん、ちゃんと答えなかったらこのタオル外してお兄ちゃまに抱きつく」
「……それは……逃げられないな」
「ねえ、お兄ちゃまは、お姉ちゃまの事を利用してるの?」
「利用?」
「うん、お姉ちゃまと付き合っているって言うのを口実に皆の告白を保留しているんじゃないかって思ってたの」
「そんな……事」
「お兄ちゃまは優しすぎる、だから人を傷つけられない、人の、女の子の好意を断れない、無下に出来ない。その口実に、自分への言い訳に、お姉ちゃまを使ってるんじゃないのかなって」
「そ! そんな事……」
「ねえ、お兄ちゃま……お兄ちゃまは気が付いていないの?」
「何を」
「お兄ちゃまはね……お姉ちゃまをね……愛しているって事に気が付いていないの?」
「俺が? そりゃ愛しているよ……」
「ううん、そうじゃない……お姉ちゃまの事が、好きって、一人の女性として愛しているって事に気が付いていないの?」
「俺が? どうして? そもそも俺は誰かを好きになるって感覚が」
「お兄ちゃま! どうして誤魔化すの! 分からないの?」
「な、何がだよ、美月は何が言いたいんだ?」
「お兄ちゃま……お兄ちゃま学園祭の時に、最後に泣いたよね? お姉ちゃまのウエディングドレス姿を見て泣いたよね?」
「え? あ、あれは……」
「あれは何?」
「あれは…………」
「わからないなら教えて上げるよ、あれはね、お兄ちゃまはお姉ちゃまを失いたく無かったんだよ、誰かにお姉ちゃまを取られたくない、自分の物にしたいって思ったんだよ。そして皆の前でお姉ちゃまにきちんとした形でウエディングドレスを着せてやれない、その悔しさで泣いたんだよ!」
「そ!…………」
「お兄ちゃまは分かってるんだよ、自分がお姉ちゃまを愛しているって事、そしてそれは言ってはいけない、思ってはいけないって事を!」
「美月……」
「ねえお兄ちゃま……美月……今から……ずるい事を言うね……お兄ちゃま……美月なら……美月ならお兄ちゃまと正式に結婚出来るよ? もう少し待ってくれれば正式に……今でも婚約者として、お兄ちゃまが望むなら……美月は今からでも」
「美月! ご、ごめん……」
「どうして! お兄ちゃま……何で謝るの?」
「ごめん……美月……ごめんな」
俺は美月に謝った、目から涙が溢れ出る……それでも構わずに謝った……
「何で謝るの? お兄ちゃま……何で泣くの?」
「ごめんよ……美月……ごめん」
「謝らないでよおおおお、お兄ちゃま、謝らないでよおおおお」
美月は俺の首に抱きつく、美月の火照った身体が冷えた俺の顔を、頭を暖める。
俺はそっと美月の頭を撫でる。泣きながら謝りながら、ゆっくりと美月の頭を撫で続けた。
0
Twitterやってます。https://twitter.com/niinaamesyou
お気に入りに追加
257
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる