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60-4 スキー旅行

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  スキー旅行2日目、俺たちは早朝一番乗りでスキー場の山頂に来ていた。

「凄い~~~~綺麗! お兄ちゃま!見て見て」

「おお!いい景色だ!」
 ゴンドラに乗っている間は霧で何も見えなかったが、山頂に到着し斜面から見たその景色に俺たちは感動した。

「凄い……雲海」
 スキー場を包む雲の上に俺たちはいた。はるかに見える南アルプス、そしてその先に小さく見えるのは富士山? その絶景に息をのむ。

「お兄ちゃん、夏の雲海を思い出すね」

「ああ、っておい」

「あ~~~~美月に嘘をついた奴だ!」

「へへへへへ、いいでしょ!私とお兄ちゃんの秘密」

「バレた癖に!」

 また始まった美月と妹の喧嘩……なんだろう、この二人仲良くなったんじゃないのか? 今回はずっとこんな感じだ…

「ほら、行くぞ~~~」

「はーーい」
 俺と栞は担いでいたスキー板を雪面に置き、ビンディングにブーツを嵌め滑る準備をする。

「待ってお兄ちゃま!」
 美月はスノボなので、俺たちよりひと手間かかる。リーシュコードをブーツに付け、ビンディングにブーツを乗せ締める。

「先行っちゃうよ~~~~」

「おい、栞ちょっと待て」

「お兄ちゃん早く~~~」

「あ、お兄ちゃま、お姉ちゃま、待って」

 栞が先に滑って行くのを俺が追いかける。美月が慌てて付いてくるのを確認して急斜面に……ってそういえば霧が……

 さっきゴンドラに乗っていた時スキー場は結構深い霧だった。頂上は晴れていても当然斜面を下れば霧の中に。

「おーーーい栞待てって」
 目の前にピンクのウエアの栞がうっすらと見える。結構なスピードで下っている栞、やばい追いつかない……
「お兄ちゃんま!危ない!」

「え?」

「その先崖だよ!」

「きゃ!」
 美月がそう言った瞬間前から小さな悲鳴が、や、やばい!

「し、栞!」

「お兄ちゃまダメ! あ!」

 美月が俺の背中を掴むが、何故かそのまま俺を押すってええええええええ!

 目の前の崖、落ちる寸前に栞が居たが、美月が俺を押し、俺が栞を押し、3人まとめて谷底へ~~~~~~!


「いってえ、って栞!栞! 大丈夫か!」

「もうお兄ちゃん痛いよおおお」

「よ、良かった……美月は!?」

「お兄ちゃまごめん、ブーツ締め忘れた……バランス崩れて押しちゃった」

「いや、しょうがないよ……でも……はあ~~~~良かった皆無事で」

「うん、怪我は無いよお兄ちゃんは大丈夫?」

「ああ、美月も大丈夫か?」

「うん大丈夫」

「そうか、じゃあ登って……は無理か、下るしかないか」
 見上げると結構な斜面だ、しかもかなり深い雪……この深い新雪をかき分け登るには不可能……いや、下手すると雪崩が起きるかもしれない。

「お兄ちゃま……こんな霧の中動いたら本当に遭難しちゃう」

「だよな……」
 目の前の木でさえうっすらとしか見えない、これが朝霧だったら少し待てば晴れるかもしれないけど。

「あ、雪」

「まじか……」
 栞が空を見上げる、頂上はさっきまで晴れていたのに……

「お兄ちゃま、このままじゃ凍えちゃう、雪洞を掘ろう、ビバークして霧が晴れるのを待つのが懸命だよ」

「そ、そうだな」
 遭難したら動かないのが鉄則……そ、遭難? おいおいヤバいぞ。

「えっと、お兄ちゃん……手で掘るの?」

「いや、さすがに、美月のボードで掘るよ」

「はい、お兄ちゃま」

「よし、二人は掘った雪をどかしてくれ!」

  俺は新雪の斜面を掘っていく、出来れば雪崩が起きない平らな所を所を掘りたいんだが、3人分の大きさを掘るには難しい、なので少しリスクはあるが斜面の所を掘り進む。
 俺達が来るちょっと前に大雪が降ったので斜面の雪はフカフカでどんどん掘り進めた。

 2時間かからず雪洞が完成、俺達は中に入りビバークをする。

「やっぱり少し寒いな……」
 通常ろうそくやガス等を使って暖を取るんだが、当然登山に来た分けじゃ無いので何も無い。

 俺達3人は寄り添って暖め合っていた……しかし。

「お兄ちゃま……寒い……」
 ウエアが濡れているので寄り添っても寒さは変わらない。困ったどうすれば……

「お兄ちゃん……仕方ない、裸で暖め会おう!」

「いやいやいやいや、そんなお約束な」

「うん、そうだね、濡れている物は下に引いて、裸で抱き合って上から服を被ればなんとかなるかも」

「私結構ブカブカなセーター着てるし、お兄ちゃんも大きなフリースだよね、3人で抱き合って被れば」

「いや、おい、ちょっとマジか」

「お兄ちゃん、仕方ない仕方ないんだよ、凍えちゃうから、死んじゃうから」

「そうだよお兄ちゃま、美月寒いよ、風邪引いちゃうよ」

「いや、でも」

「お兄ちゃん、これは緊急避難、エッチな事でも何でも無いの、だからBANの対象にならないんだよ」

「そうだよお兄ちゃま、むしろ誉められ行為だよ、小学生を助けたヒーローとして、皆から良くやったって言われるんだよ!」

「い、いや、でも」

「お兄ちゃん……私も寒い」
「お兄ちゃま美月限界……」

 二人がブルブルと震える、いや、そんなベタな震えかた、でも確かに寒い、俺も掘っている時にウェアはかなり濡れてしまっている。

「わ、わかった……仕方ない、うん、仕方ないんだ」

 俺達は服を脱ぎ直接暖め合うそして上から皆の服を巻き付ける。

「いや、ちょっと美月な、なにをしてる、いや、栞、押し付けるな、ヤバい、ヤバいって、く、苦しい、ダメだ、もう、もう……らめええええええええ」




「………………あれ?」
 天井が見える……薄暗い天井……雪の天井じゃなくて……部屋の天井、いや、ホテルの天井か? 夢? でも身体が動かない……なんだ? え? 腕は動く……俺は自分の布団をゆっくりと捲ると

「し、栞!」
  下着姿の栞が俺に抱きつき、スヤスヤと寝ている。

「まさか……」

 逆側の布団もそっと捲る……今度は美月が俺に抱きつきグーグーと寝ている。

 二人は隣のツインベット、俺は一人でキングサイズのベットに寝ていた……はず……

「ゆ、夢落ちかよ!!」

「栞、美月! どうせ寝た振りだろ起きろ! 離れろ!」

「Zzzzzzzzzz」
「ぐーーーぐーーー」

「そんなベタな寝言いうか! 起きろ離れろBanされるぞおおおお!」

 緊急事態じゃないんだからヤバい、特に美月の格好はヤバい、だから言わない、絶対に言わない、秘密なんだからね!

 それにしても夢落ちとか、マジで才能ねえな、この作者!




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