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58-6 生徒会活動再び
しおりを挟むようやく泣き止むと美智瑠は照れ臭そうに笑う。
「ごめん、みっともない所を見られちゃったな」
「そんな事ないけど、まあ……可愛かったぞ」
「な、な!」
「美智瑠……女の子だったんだな」
「あ、当たり前だ!」
「だって俺はいまだに「みつる」ってイメージなんだからさー」
美智瑠は小学生の頃に少年の様な格好で俺の前に現れた。そしていつの間にかいなくなった。銀色の髪、白い肌、美しい顔立ちの少年、俺は彼が宇宙や異世界から来たんじゃないかとさえ思った、思っていた。
「あれは……皆と男の子達とサッカーをやりたい一心で」
「そしてまた俺の前に、今度は女の子の姿で現れた。いまだに同一人物とは思えないんだよな」
「同じだよ、僕は前から僕だ、わかるだろ? いや……君にはわかって欲しい……君にだけは、そうじゃなかったらわざわざあの姉に頭を下げて、一緒に暮らして貰った僕が可哀想だろ!」
「そうなのか? いいお姉さんじゃないか……まあ、そのちょっと変わってるけど」
「ちょっとじゃない! 姉さんは昔から変わってたんだ! なにかといえばすぐにエッチな事を」
「されたのか?!」
きまし?
「違う! 言ってくるんだ! 僕が君の事を言えばすぐに……その……したのか、してないのかって、そんな事ばかり」
「した? 何を?」
「う、うるさいい! 君まで聞いてくるな!」
「あ、ああ、そういうのね」
「昔からなんだ、初めて会った時から」
「初めて会ったとき?」
「あ、ああ、姉さんは今の父の連れ子だ。君と会った後色々あって再婚したんだ」
「あ、ああ、そうなんだ」
「あっけらかんとした性格で、しかも明るくて綺麗で物凄くモテて、実家にもしょっちゅう彼氏を連れてきて……その……」
「あ、ああ、成る程……それは……キツいな」
妹が彼氏とか連れてきたら……俺……どう思うんだろう……うう、なんか考えたくない。
「最近は仕事が忙しくて……そういう事はしなくなったんだけど……」
「美智瑠と一緒に二人暮らしだろ、気を使ってくれてるんだろ? いいお姉さんじゃないか」
「ベタベタしてこなかったらな、酔った時なんて酷いんだぞ、もうベタベタと触ってくるわ、キスしてくるわ、僕は彼氏の代わりじゃない!」
「ほうほう、その辺の話し詳しく聞こうか」
「ばか!」
「あははははは」
「それで今日の生徒会はどうしてるんだ?」
「ああ、そうだな、まあ今日は休みって事にしたよ、美智瑠がいないんじゃ何も決められないからな」
「そんな事は……」
「どうする? 俺は美智瑠の考えが悪いなんて思ってない、それは皆そうなんだよ、栞だってちゃんと話せばわかってくれると思うぞ」
「僕は……自分がどうみられているか気にしていた、本当……図星だよ……栞君には敵わないな、悔しいけど僕の負けだ」
「そうか……」
「うん、今回は親睦会って方向で良いと思う……まあ、あまり派手にやると何か言われるからそこは気を付けないといけないけど」
「まあ……そうだな」
「うん……」
「美智瑠?」
「あ、なんか君が来てホッとしたらちょっと具合が」
「え! 大丈夫か?」
「ああ、大丈夫ちょっとお腹が……」
「あ、ああ、薬飲んだ方が、そういえばさっきあそこに薬箱があるって言ってたよな、痛み止めくらい入ってるだろ?」
俺は立ち上がり、さっきお姉さんが言っていたキッチンの棚の引き出しを開け薬箱を取る。
「あ、あああああああ! そ、それは!」
「え?」
薬箱を開けると、5cm位の正方形で中に丸いわっかの様な物が入っている物が……とてもカラフルで一見お菓子の様だが、外には『うすうす』とか『極薄』とか書かれていて……
俺はそれを興味深く持ち上げる。セットなのか? じゃらじゃらと繋がりながら、出てくる。
まるで手品でシルクハットから国旗が出てくる様な手品をしている様な感覚でそれを取り出した。
「あ、あ、ああああああああああああああああ」
その瞬間美智瑠の顔が真っ赤に、今まで見た事無いくらい真っ赤に変わった。
うわあーー人間ってトマトみたいになれるんだ。
「ら、らめええええええええええええ」
おおお、美智瑠が女の子に、女子の様に叫んだ、そうかやっぱり美智瑠は女の子だったんだな~~と思いながら俺は襲いかかる美智瑠を感慨深く眺めていた…………って……襲いかかる?
「うわ!」
「だ、駄目! それは、ぼ、僕のじゃない!」
「わ、わかってる、わかって、ちょ、待て美智瑠」
「駄目! 駄目! だめえええええええええ!」
美智瑠に押し倒され馬乗りに、いや、ちょっと、駄目ってこっちのセリフ、ヤバい、この体制ヤバいって。
美智瑠は俺が持っているコンドーさんを奪いに、馬乗りになりながら奪いに来る。もうパニックになっているのだろう。俺は手を離しているのに美智瑠はそれを自ら引きちぎり、辺りにばら蒔く。そしてそれを見てさらにパニックに……
「落ち着け!」
俺は無理やり起き上がる、運動神経が良く力が強いとはいえ、そこは男女の差、体重の差、簡単に起き上がれた。
ただ俺が起き上がると馬乗りになっている美智瑠は必然的に後ろに倒れる。危ないと俺は咄嗟に足を引き、美智瑠に覆い被さる様に頭の後ろに手を入れた。
「あぶねえ……」
美智瑠が後ろに倒れ、頭を強打する事は無かった……無かったけど……事態はもっと最悪な事に……
完全に俺が美智瑠を押し倒している構図、しかも頭の後ろに手を回しているので顔は近い、あ、右手は頭の後ろだけど左手はえっとゴツゴツしているけど、これは胸か? えっと……美智瑠……今……ノーブラ? 指に何か当たってる。
ここで扉が開き誰かが入って来て「何してるの!」で落ちがつくんだけど、さすがにそれはない。つまり何も出来ないし終わらない……俺と美智瑠の時間が止まっている。
そしてどれ程の時間がたったのだろうか? 唐突に時計が動き始める。
「ひ、ひ、ひいいいいい!」
美智瑠の悲鳴とも言えない悲鳴にて……時間が動き出した。
「み、美智瑠?! みちるうううううううう!」
動いた途端今度は美智瑠だけ再び時間が止まる。
ショックで美智瑠がひきつけを起こし、気を失ってしまった。
「はあ、どうすんだよこれ……」
辺りに散らばるコンドーさん、何個かは中身まで……そしてその横で失神する美智瑠さん……
とりあえずこのまま放置は駄目だろう……俺は美智瑠を抱き上げ美智瑠の部屋と思われる部屋に運びベットに寝かせた。
「お姉さん帰ってくるか、美智瑠が起きるまでは居ないと駄目だよなぁ」
破けたコンドーさんがゴミ箱に入っていて、美智瑠はベットで失神……明らかにヤバいよな……これ……
俺は仕方なくある程度片付け、美智瑠が復活するか、美智瑠の姉さんが帰ってくるのを待つ事にした。
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