妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ?

新名天生

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53-2 生徒会長選挙

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「はい! お兄ちゃん!」

「えっと……う、うん……」
 家に入り部屋に行く前、玄関にて妹が両手を広げ満面の笑顔で俺を迎える。
 あの時以来家に帰って玄関で妹にハグする日課ができてしまった。

 ぎゅうっと抱き締めると妹も俺を抱き返す、衣替えが終わり制服の生地が厚手の物に変わっても、妹の身体の感触が俺の全面に押し付けられ、髪からは物凄くいい香りが俺の鼻腔をくすぐる。

 1分程のハグ、妹を離そうとするが俺の腰に巻かれた妹の腕の力が緩まない。

「もっと長くてもいいんだよお兄ちゃん!」

「あ、うん、もう大丈夫……うん、ありがとう」
 そう言うと残念そうに妹の腕の力がゆっくりと緩む。

「じゃあお茶の準備するね~~~」
 嬉しそうにスキップしながらキッチンに向かう妹を見て、一つため息を着くと俺は着替える為に自分の部屋に向かう。


 部屋で着替えてリビングに入るといつもの様にコーヒーとお菓子が用意されている、最近妹はお菓子を手作りしている、今日はクッキーだ、少し歪だが四角い形でチョコかココアか? 市松模様の物と丸い形でチョコが散りばめられている物が2種類置かれている。

 俺が眺めていると妹が超ミニのピンクのワンピースに着替えてリビングに入って来る。

「今日はクッキーだよお兄ちゃん」

「うん……おお旨い」
 妹に言われ一つ食べる、うん旨い、甘すぎなくほんの少し苦めでサクサクしている、コーヒーにぴったりな味。

「良かった~~お兄ちゃんあんまり甘いもの好きじゃないから甘さ控えめにしたんだ~~」
 俺好みに調整されたクッキーをもう一つつまみ、コーヒーを飲む、ああ落ち着く、最近ずっと学園祭の準備で出来なかった放課後ティータイムが復活した、ああホッとするな~~。


「それでお兄ちゃん、昼休み先生に何を言われたのかな?」


「げふおお、ごほごほ、え、ええええええええ!」
 俺がむせて吹きこぼしたコーヒーを妹は布巾で拭きながら俺を笑顔で見つめる……怖い、やっぱりうちの妹は怖い


「ななななな、何でそれを?」

「お兄ちゃん教室に入って来た時嫌な顔をしてたのと、授業の時先生がお兄ちゃんを意味ありげな笑顔で7回見てたから、あ、昼休みなんかあったなって」

 相変わらずのとんでもない能力、そうだよ、そうだった、妹に隠し事は出来ない、勿論浮気なんて出来るはずもない。

「そ、れ、で、先生何を言われたのかな? お兄ちゃん?」
 物凄く可愛い笑顔で俺を見つめる妹、ただし目は笑ってない、人でも刺しかねない目、ちなみにターゲットは俺じゃないのがまた怖い。

「えっと……、会長選挙に出ないかって?」

「は?」

 うわーー、うわーーー妹が、は? なに言ってんのこいつって顔した、ショックだああ、だから言いたくなかったんだ~~~

「あ、ごめんお兄ちゃんつい、でも先生お兄ちゃんの事わかってて言ったんだよね」

「すみませんね友達少なくて、まあ……それはすぐに諦めてくれたんだけど」

「だけど?」

「栞か会長か美智瑠か麻紗美かセシリーかついでに雫? の誰か立候補させろって」

「何でそれをお兄ちゃんに……ああそう言う事か……」

「そう言う事?」

「ううん、何でもない、私は出ないよお兄ちゃん」

「まあそうだろうな」

「あ、でも、生徒会長になって、私とお兄ちゃんの愛の学園、まさに愛の園にしちゃうっていうのも手か……」
 真剣な表情で妹が考えている……やーーーめーーーてーーー

「マジ勘弁してください栞さん」

「お兄ちゃん! 生徒会の予算で生徒会室に置くベットとか買えるかな?」

「だーーーかーーーーらーーーー」

「ふふふふふ、お兄ちゃんと家でも学校でも、えへへへへ、うふふふふふふ」

「あーーあ、久しぶりに行ったか異世界に」
 俺の日常が戻ってきた……これが日常っていう認識になっているのがちょっとヤバいけど……

 暫く待つと妹が帰ってくる……そして立ち上がり拳を握り俺に言う。

「よし! お兄ちゃんがどうしてもって言うなら私出るよ! お兄ちゃんと私の二人きりの生徒会!」

「何で俺もなんだよ、嫌だよ二人きりとか、大変だろ?」

「大丈夫、全部私がやるから、お兄ちゃんはただ私を見つめてくれてれば良いから」

「マジ勘弁してください」

「えーーーーーー」

「俺は……栞と二人、家でゆったり出来るこのお茶の時間が好きなんだよ」

「お兄ちゃん……うん……私も大好き……」
 このゆったり流れる時間が好き、栞の笑顔、栞の入れるコーヒー、俺はこういうのを幸せって思えるんだ。

「でも、じゃあどうするの?」

「それなんだよな……俺は、やっぱり会長に続けて欲しいと思ってるんだけど」

「うん……そうだね」

「でもな~~~会長はやる気無いだろうな」

「うーーん、そうなのかな?」

「え?」

「本当はやりたいんじゃないのかな~~?」

「そうなの?」

「うん、でも会長になったのは、なれたのは自分じゃないから、本当の自分を選んで貰った分けじゃないからって思ってるんじゃないかなって」

「あーーー」

「今の人気も前の会長や副会長あっての人気だと思ってるんだと」

「そんな事ないのにな」
 むしろ今の会長の方が人気があるって言うか、前の会長は何か人間臭さが無いって言うか上品を着飾ってるっていうかそんな感じがしたし。

「うん、今の会長さんは取っ付きやすいって言うか、皆に愛されるキャラと言うかそんな感じだよね」

「じゃあ会長にまた会長やって貰うにはどうすりゃいいのかって事だな」

「それは…………あああああああああ、まただああああああ」

「へ?」

「うううううう、またお兄ちゃんが」

「え、何?」

「やだあああああ、またお兄ちゃんがああああああああああああああ」

 駄々っ子の様に妹がソファーの上を転げ回る、えええええ? 何? どうした?
 水色の水玉が見えてるぞ……

「お、おい、栞?」

「ううう……お兄ちゃんが……」

「俺が?」

「お兄ちゃんが自信付けて上げればいいんじゃない……ふん」

「俺が?」

「あーーーあーーー、またお兄ちゃんの事を好きになる人が増えた」

「ええええええ?」

「会長は幼児化しているからって思ってて、自分がお兄ちゃんの事を好きだってあまり気づいて無かったのに……ちっ」

「今舌打ちした? 栞が舌打ち?」

「ハイハイ頑張ってねお兄ちゃん、会長がダメだったら私かお兄ちゃんが会長になって二人で学園愛の園計画発動するからね」

「いやそれは……」

 会長をなんとかしないと妹は本気で生徒会室を新婚ベットルームにしかねない……ヤバいなんとかしないと。

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