妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ?

新名天生

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52-7 涙の学園祭

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「行ってらっしゃいお姉ちゃん!」
 最後のお姉ちゃんが出掛け、妹喫茶は終了した。

「終わったぞ~~~!」
 終わった、なんか料理を作った感覚だった。
 作るの数時間食べるの数十分って感じで、でも……

「終わっちゃった」

「面白かったぞ」

「うん……でも怖かった」

「皆さんに神の御加護を与えました、私は神に」

「美味しかったかなぁ? でもぉ楽しかったぁ」

「つい……確認したくて……」

「皆……ありがとう」

 それぞれが思い思いの言葉を紡ぐ、皆が面白かったと、うん俺も面白かった。

 まあ……先生だけ落ち込んでいる、男の子の股間を見せろとスカート捲ったらそりゃアウトだろう。

 途中で自覚して事なきを得たけど……先生……


「それで店長、どうします?」

「え?」
 会長が俺を見て最後の仕事の話しをする。

「片付けして帰ります? 明日来ます? 打ち上げは? そして」

「そして?」

「MVPは誰に?」

 皆が一斉に俺を見る、ああ、うーーーん、そうだよね……どうするか……
 ちなみに当校の学園祭に後夜祭とかは無い、キャンプファイヤーとかもマイムマイムとかもない。

 学校は振替休日で明日から2日休み、ただし片付けがある、今日中に片付けられれば明日から休みだけど、片付けしてから打ち上げとかはさすがに夜になってしまうので、明日午前中に片付けをして、その後に打ち上げって事が普通、俺もそうしたいけど……でも美月は明日朝帰るから、片付けは明日で今から打ち上げに行くって手も……そしてMVPを決めなきゃいけない……全然決めてない、決められない、決められる分けがない、だって皆頑張っていた、それに順位を、1位を付けるなんて出来ない……

 俺はじっと皆を見る……ここで誰かを決めるなんて…………あれ?

「あれ? 栞は?」

「え?」
 皆が顔を合わせ首を振る、あれ? さっきいたよね?

 妹だけ居ない、あれ何処行った?

「え? 栞?」

「ここだよお兄ちゃん」
 更衣室のカーテンの向こうから妹の声が……なんだもう着替えたのか?
 そう思い更衣室を見たその時カーテンが開く!!

「し……栞……」

「きゃああああああああ」
 俺が絶句し皆が歓声を上げる

「似合う? お兄ちゃん」

「え? 何で? え?」

「栞ちゃん可愛い~~~凄い~~~~~」

 妹が更衣室からシズシズと出てくる……フリルの付いた純白のドレスを着ていた……そう……ウエディングドレスを……


「お姉ちゃまが作ってたのこれだったんだ……」

「自分で作ったの! 凄い」

「き、きれい……」

「うう、僕の着物以上……」

「栞殿がついに私の嫁に!」

「栞さん、素敵」

「栞ちゃん可愛い」


 それぞれが妹のウエディングドレス姿を褒めている、妹はニコニコしながら俺の前に立つそして

「お兄ちゃん、どう? 似合う」

 妹が俺を見つめる、ウエディングドレス姿の栞…………

「え?」
 妹がびっくりした顔をしたのは分かったがすぐに俺の視界がボヤけた。

「ひっ、ひっぐ、ぐふ、うううう」

「ちょ!」

「どうしたのぉ?」

「お兄ちゃま……」

「裕君!」

「ひ、ひ、ひ、うううううわあああああああああああああああああん」

「お兄ちゃん、え? お兄ちゃん、何で、え? 何で泣くのお兄ちゃん」

「うううううううううう、ひっぐ、うううううわあああああああああああああああああ」

「お兄ちゃん! え! お兄ちゃん?」

「ふぐうう、ぐは、うううううひっぐうわああああああああああああああん」
 と、止まらない、涙が止まらない、何でだ、何でだよ、何で涙が止まらないんだ

「え、お兄ちゃん、え? どうしたの? 何で?」

「裕君どうしたの!」

「ち、ちが、ぐふうう、ううううえええええええええええええええええええええん」
 駄目だ、妹を見ると、いやもうウエディングドレスを見るだけで泣いてしまう、止まらない、なんだこれ、なんでだ?

「え? 栞ちゃん見て泣いちゃうって、嬉しくて?」

「全部ぅ終わってぇ安心しちゃったのぉ?」

 情けない、こんな人前で、でも涙が止まらない、何でか止まらない……理由が分からない、でも少なくとも安心したとか嬉しいとかじゃない……これは、悲しくて泣いてるんだ、悲しすぎて涙が止まらないんだ……


「お兄ちゃん? おに、お、ううう、お兄ちゃんが、お兄ちゃんがああああ、うわあああああああああああああああああああんおにいひゃんがあああああああ」

 俺に連れられて妹も泣き出す、駄目だ止めないと……でも止まらない

「うわああああああああああああああん」
「うわあああああああああああああああああん」

 子供の様に泣きじゃくる俺と栞、周りはただ見ていたが、やがて

「な、何で二人とも泣くのよ、なんで、ぐ、ふ、うわああああああああああああああん」

 先生も泣き出す、そして……

「ううううう、うわああああああああああああああん」

「うわああああああああああああああああああああ」

 次々と泣き出す、俺らに連れられて、皆が泣く、駄目だ、店長として、男として泣き止まないと……


「ご、ごめ、ちが、ぐふうう、うえええええええええええええええええええええん」

「うわあああああああああああああああああん、ごめんなさい、おにいひゃんごめんなさい、うわあああああああああああああああああん」

「うわあああああああああああああああああん」
「うわあああああああああああああああああん」

 皆が泣く、俺と栞に吊られたのか、ホッとしたのか分からない、どのくらい泣いているのか、泣いていたのか分からない程泣き続けていた。

 そして……それを泣かずに一人黙って見ている人物がいる事に俺が気付いたのは、泣き終える寸前の事だった。









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