妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ?

新名天生

文字の大きさ
上 下
133 / 255

45-2 葵の過去

しおりを挟む

 「と、言うことでわけが分からないんだ」

 美月にこれまでの経緯と今日の副会長の事を包み隠さず全て話す。
美月はうーーんと悩んでいる様子……やはり美月でも……

「洗脳やマインドコントロールの類いな気がするんだけど」
 俺がそう言うと美月は、それはわかっているかの如く俺に聞き返す。

「うーーん、そうなんだろうけど……お兄ちゃまちなみに洗脳とマインドコントロールって違うのは知ってる?」

「え? 違うのか?」

「うん……マインドコントロールってのは言葉巧みに相手の考えを誘導するって事なんだけど、まあ思い込ませるって感じかな? そして洗脳ってのはそれとは全然違うの」

「全然違う?」

「うん……洗脳ってのは肉体的や精神的に苦痛を与えて一度心を崩壊させ、それを再構築するの……」

「苦痛……まさか……」

「うん、多分その洗脳っぽい……またはその両方……」

「まさか副会長が!!」

「うーーん、でも……多分その副会長って自分の手を汚さないというか、証拠を残すような人とは思えないんだよね」

「どういう事?」

「情報少なすぎてなんとも言えないの、でも直感でそんな気がする……」

「そうだね、洗脳とか分からないけど……副会長については私もそう思う」
 横で聞いていた妹が美月の意見に同意する。

「お兄ちゃま、ちょっといい?」

「え?」
 そう言うと美月は俺の横にいる会長の前に座り真面目な顔から一転思い切り笑顔になり話し始めた、

「こんにちは! 初めまして、私は美月って言うの、お名前教えてくれる?」

 会長は俺の腕にしがみつき、顔を半分隠す

「俺の……俺たちのいとこだよ葵」

「いとこ?」
 腕にしがみつきながら俺を見上げる会長、見た目は高校2年に見えない、もっと上の大人びた顔立ち、スタイルは抜群で胸の大きさも麻紗美と同じかそれ以上、なのに今彼女の目は迷い子のように不安に満ちている。

「葵ちゃんって言うの? 私は美月だよ」

「みつき?」

「そう、お空のお月様、小学校4年生の9歳だよ、葵ちゃんはいくつ?」
 

「あおい…………にいに……あおい今何歳?」

「え?」

「あおい……わかんない……」

「じゃあ、隣のにいにの名前を教えてくれる」

「にいにだよ」

「にいにの名前は知らない?」

「えっとね、『けい』にいにだよ」

「けい?」

「お尻が光、綺麗なやつと一緒だって」

「蛍か」

「確か那珂川だったな、会長の名前、にいにの名前は、那珂川 蛍か」

「葵ちゃん、にいにって何歳だっけ?」

「にいに? 葵のね2つ上」
 美月は次々に情報を引き出す……そうか本人に聞いてみるってそんな単純な事も思い付かなかった……

「さすが美月、すごいぞ、結構な情報だ」

「うーーーん」

そう言うと美月は悩み始める……どうした?

「名前が気になるの……まさかね……」

「名前?」

「葵、蛍……」

「何かあるのか? その組み合わせに」

「偶然……でも何か気になるの……もう一人いる? それともにいにはいない? それとも……」

「おい美月」
 美月が俺の前で思考の海に潜って行く……あの前に部屋で見た物凄い集中力で……

「会長……葵、他に何か……」
 美月が考えている間にもう少し何か聞き出せないか会長を見ると、何かトロンとした表情になっていた……

「葵、眠いの……」
 目を擦りながらコクンと頷く、多分今日は、下手をすると何日も寝てないのかも……俺が、にいにがいて、ご飯を食べて安心しているのか……

「じゃあ寝ような」

「うん……」

 えっと寝る所は先生が準備……ちょっと待て……独り暮らしにしては広い先生のマンション、寝る部屋はあるだろう、ただ問題は寝床の数と組み合わせじゃない?


「裕くん、大変!」
 その時先生が部屋に慌てて入って来る……

「どうしました?」

「布団が1枚足りない!」

「へ?」

「家族がよく泊まりに来るから3枚はあるんだけど……」

「ああ、大丈夫ですよ俺はどこでも、何ならこのソファーでも」
 
「駄目よ! お客様をそんな所に寝かせられないわ、でね……あのね……」
 先生はもじもじし始める……なんか嫌な予感

「私のベットセミダブルなの……隣で寝れるスペースは結構あって……、裕くんあの……」
 そこまで言うと先生は言葉を止めた……目線が俺から俺の隣の妹に切り替わる。
 ぶるぶると震えだす先生…………見てないけど隣から物凄い殺気が……

「にいに、眠い……」
 遂に葵が寝たいと宣言、コクンコクンと舟をこぎ始める。

「えっと……一人で寝れる?」

「嫌! あおいが寝てる間に……にいに、またいなくなっちゃう」
 会長は俺の袖をしっかり握り、俺を涙ながらに見つめる……もうかつてのあの威光は全くない、幼い少女になってしまった会長……俺は会長の頭を撫でる。

「大丈夫だよ、いなくなったりしないから」

「ほんと?」

「ああ、ほんとだよ」

「でも……今日は一緒に寝て……にいに……」
 金色の髪、ハーフの美人顔、あのキツかった目つきは今や完全になりをひそめ、外国の少女になってしまった会長に俺は駄目だとは言えない……

「えっと……」
 気が付くと美月がいつの間にか思考の海から帰ってきて俺を見つめている……一緒に寝てくれるって言ったのにという視線……妹が俺の腕を力強く握る……痛い痛い痛い……先生がじとっとした目で俺を見ている……怖い……鉄の棒を体内にテレポートするぞって言ってる気がする……


「えっと……」


 詰んでる……完全に詰んでる……一人って言うのが一番いい選択、でも一人では寝られない状況……
 
 会長は今俺から離れられない、美月はここまで来てくれて、さっきも約束した、でも妹がそれを許す筈もなく、目の前には教師……

「えっと……」
 俺は考える、起死回生の一手を読む読む読む読む読む読む読む読む………………熱い!!


 見えた!!! 起死回生、逆転の一手が!!!


「えっと……じゃあ……皆で寝ようか……」

「は?」
「は?」
「は?」
「は?」
 4人の声が揃うって……会長まで……



 毎回毎回こういう話しになるな!!! このワンパターン作家、ほんと才能ない証拠だ!、だから1次で落ちるんだよ!!



『ほっとけや!』

しおりを挟む
Twitterやってます。https://twitter.com/niinaamesyou
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件

桜 偉村
恋愛
 別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。  後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。  全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。  練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。  武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。  だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。  そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。  武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。  しかし、そこに香奈が現れる。  成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。 「これは警告だよ」 「勘違いしないんでしょ?」 「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」 「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」  甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……  オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕! ※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。 「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。 【今後の大まかな流れ】 第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。 第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません! 本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに! また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます! ※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。 少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです! ※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。 ※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~

八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」  ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。  蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。  これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。  一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

処理中です...