71 / 255
23-8 天国に一番近い海
しおりを挟む「ぐうえっ!!」
蛙が潰された様な鳴き声と共に目が覚める……
どうやら美智瑠が俺にしがみついていたらしいが、それを見た妹が美智瑠にエルボーを噛ましたようだった。
美智瑠と妹の女子プロレス騒ぎで麻紗美も起床、二人をなだめ帰る準備をして食堂に向かう。
朝食を頂き、朝の船で戻ろうかと思ったが、旅館の女将が港に問い合わせたそうで、今日は波が穏やかなので多分大丈夫だから自転車で、島一回りしてきたらと言われ、せっかくなので、レンタサイクルでみんなで出かける事にした。
荷物を預け、とりあえず、この島一番の見所、最南端に向かう。
家の石垣壁の間をいくつか抜けると、急に畑や野原の田舎道になる、ただ意外に舗装されており、自転車で普通に走れる。
結構道は狭いが、何せ車がほとんど走っていないので、何も問題ない。
「え、この石が積んであるの何?」
美智瑠が、目の前に見えた大きな石いくつも積み重なって円筒状になっている巨大なオブジェのような物を指差した。
「それはねぇ、コート盛りだってぇ」
麻紗美が持ってきたガイドブックに書いてある文を読み出す。
「なんか海を監視したりぃ、ノロシをあげたりぃしたって書いてあるけどぉ、よくわからないねぇ」
なんか説明がざっくりだな、後でwikiで見てみるか……
「海が見えるの?、登って見よう」
ちゃんと登りやすいように階段になっており、石を積み上げて作っているだけなんだが、結構よく出来ている。
「あーーー、うん、まあ見えるね」
遠くに綺麗な海が見えるけど、監視するには遠い気が……どんだけ目がいいんだ昔の人
それほど高さはないけど、周りに建物はないので確かに遠くまで見える。
と言っても遠くの海と畑しかないが……
コート盛りを後にし、最南端に向かう
ひたすら細い道を走るが、はっきり言って何も無い、おそらくサトウキビ畑ばっかり、おそらくというのは、成長していないとなんだかわからないのでおそらくと言っただけ、まあ紅いもとかも栽培しているらしいので、紅いもかも知れないが、パッと見わからん。
そして、何故かきのうもいたヤギ、今日は至るところで見る、さすがに妹もヤギだーーって騒がない
「なんで繋がれているのと、繋がれていいないのが居るの?」
騒がない代わりに、素朴な疑問、フラフラ歩いてる奴、畑の隅に繋がれている奴、日陰で寝てる奴、色々いる。
「さあ?」
「食べるぅらしいよぉ」
「えーーーーたべちゃうの」
「癖があるからぁ、私たちはぁ、あんまりおいしくないかもってぇ、島の人はぁ、お祝いごととかにぃ、食べるってぇ」
「へーー、ヤギ汁って聞いたことあるなー、ハイジも食ってたのかな?」
「あのお爺さんなら捌きそう……」
そんなこんなで最南端到着
「おーー、僕らは今日本で一番南にいる4人なんだー、なんか凄いね」
美智瑠が言って気がつく、沖ノ鳥島に調査とかで誰かいなければ、陸地だとこの4人が現在一番南にいる事になるな確かに
「よし、記念撮影しよう」
若干興奮気味に、近くの石を三脚がわりにして、最南端の碑を前に4人で記念撮影
3人が俺にしがみつく、凄い当たってる、当たってる、当たってる?
撮影した後に妹が指を指す。
「ところで、これ何?」
来るときに、最南端の碑より気になったのが石で出来た道の様な物
「えっとねぇ、全国の石を集めたぁ、蛇の道だってぇ」
「なんでそんなものがここに?」
「さあ?」
うーん色々謎だ
「あれって何?」
さらに妹が遠くを指差す
「あれはねぇ、星空観測所だってぇ」
麻紗美がすっかりガイド役になっている
「望遠鏡がぁあるってぇ」
「へーー行く?」
「いや、昼に行っても意味無いだろう」
(写真とか飾ってあるので意味は無くはないです)
「そろそろ戻らないと、最終便になっちゃうから行こうか」
1日3便、昨日の事を考えると、昼に出るのにしようと決めていた。
帰りはぐるっと島内を一周している結構広い道路をまわって帰る。
この小さい島にしては、広すぎる道路で、歩道まであったりする場所も……、交通量的に絶対にいらない気がするし、その歩道、さらに道の端まで雑草で覆われている箇所もある。
まあ、色々大人の事情が垣間見えるのを無視して、旅館に戻った。
途中飛行場もあったが、それも大人の事情でほとんど使われていないらしい……(もうじき就航との話しもあるらしいけど……)
近所の旅館の方に他のお客さんと一緒に港まで送ってもらえたので余裕で到着、旅館の方にお礼と別れを告げ、ターミナルの中に、無事チケットも買えて石垣島に向かう。
「ううううう、気持ちわるいいいいい」
「お兄ちゃん、帰りもジェットコースターみたいだねえ、楽しいねーー」
「………………」
今日は穏やかって言っていたが、それでも、やはり波が結構ある。
美智瑠の逆襲も心配なんだが、一番心配なのは麻紗美……
『私はねぇ、嫌な事があるとぉ、意識を無くせる特技があるのぉ、ただねぇこの特技、使いすぎるとぉ帰って来れなくなるって言うかぁ、本当に死にたくなっちゃうっていうかぁ』
来た時のセリフを思い出す……
頼むから無事に帰ってこいよ~麻紗美~~~!
0
Twitterやってます。https://twitter.com/niinaamesyou
お気に入りに追加
257
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる