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19-3 本気のデート

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 土曜日の早朝、両親が寝ている中、そそくさと妹と出かける。

 7月に入り、まだ梅雨明け宣言はされていないが、ここのところ雨は降っていない。
 本日も雲ひとつ無い天気に、気温も高く気持ちが上がる。

 妹は、袖がフリル状になっている白の肩だしブラウスに、薄いピンクの花柄ミニスカート、やや厚底のサンダル、リボンの付いたストローハットの麦わら帽子、赤色の伊達眼鏡と、夏を思わせる格好。

 俺?聞きたい?
 シャツにデニム……

 行き先は色々考え、適度に遠く知り合いに逢いにくい、しかもデートに最適

 それは横浜!
 やっぱり、デートと言ったら海でしょ?そしておしゃれでしょ? 都内だとまだ知り合いがいそうだが、さすがに横浜まで行けば。

 そして、今回俺は妹を妹とは思わない! 俺だってなー男なんだ、たまには女の子とイチャイチャしたいんだ、妹だけどメチャクチャ可愛いんだぞ、正月くらい羽目を外してもいいだろ!(いや、今7月です)

 自宅から駅に向かい電車に乗る、とりあえず地元を抜けるまでは、普通に過ごす、いつもの通りたわいもない会話をして1時間弱、何度かの乗り換えをして横浜駅に到着

 横浜、神奈川県横浜市なんだが、何故か神奈川出身の人は、横浜出身という人が多い、県名よりも都市名の方が有名な場所、みなとみらいやランドマーク、公園や博物館、関西の人だと神戸を想像していただけると近い感覚だと思う。

「着いたぜ、さあ栞気合いをいれてデートするぞ!」
 俺は拳を、妹に向かってつきだす。

「うん!」
 妹も拳を前に突き出す
 端から見たら何してんだかかも知れないが、やっぱり切り替えには気合いでしょう!

「よし、まずは手を繋ぐぞ!」
「いいね、お兄ちゃんその調子だ!」
 二人、手を繋ぐ、妹の温かい手にテンションが上がる。

「栞、今日は俺についてこい!」

「ううん、今日だけじゃなく、一生ついていきます!!」

 いや、ごめん一生はちょっと荷が重い

「まずはあれだ、あれに乗る!」
 俺は海の方向を指差す

「あれ?」

「船に乗るぞ、水上バスに乗って行くぞ!そろそろ疲れて来たから、話し方を普通に戻すじゃん」

「そうじゃん、そうするじゃん」

 二人でエセ横浜弁を使いつつ、水上バス乗り場に向かった。

 水上バス乗り場にはすでに船がいた、チケットを買い乗り込む。
 船の揺れに、恐る恐る乗りこみ、近くの席に座る、船はそこそこ空いている。
 船の窓からは横浜のデパート等が見えている。

「出航したら、後ろのデッキに行こう」
 そう言い、しばらくすると、エンジンの音が鳴り響き、軽いショックと共に船が動き出す。

 妹と、後ろのデッキに向かい、デッキに出ると、海の香りがさっきよりも強く感じる。

 エンジン音が結構おおきい、少し声を張り上げ妹と話す。

「わーお兄ちゃんカモメがいるー可愛いー」
 数羽のカモメが、水上バスの後ろを飛んでいた。

 船からの景観は、海の景色というよりは、横浜の景色を海側から眺めるという感じ、建物ばかりなんだが、海から見るとやはりちょっと違う気がする。

 ランドマークや船の帆の形をしたホテルを見ながら
 暫くすると、みなと未来の観覧車が近づく

「また観覧車乗る?」
 お台場の観覧車を思い出し、妹に言うと。

「えーー今度は私たちが見せ付けちゃう、えへへへへへ」
 いや、しませんから……


 みなとみらいでは降りずに、そのまま次に向かう
「海だとちょっと寒いね」

「じゃあ中に入るか」
 海風に結構あたっていたので、席に戻った。

 席の窓から外を見ていると、ベイブリッジが見え始める。

「夜景は綺麗だねー夜になったら、えへ、えへへへへ」
 もう妹がえへへしか言わない……

「そんな遅くまでは、いられないからな」
 試験も近いしね

「えーーーー、今日は帰りたくないの」
 妹は、上目づかいで、目をうるうるさせる。

「はいはい」
 ちょっとドキッとする言葉と視線に、ごまかしてみた。

「今日は恋人なんでしょー、もっとなんか言ってよー」

「はいはい、愛してる愛してる」

「えへへへへへへへへへへ」

 そうこうしている間に、赤レンガ倉庫に到着。

 昔は保税倉庫だったらしいが、今はショッピングセンターの様になっていて、買い物、食事ができるようになっている。詳しくはウィキでどうぞ。

 赤いレンガ造りで横長の洋風な建物が見える。

「うわー綺麗、すごーい」
 妹が、船から降り、目の前の赤レンガ倉庫に興奮している。

「それじゃ、ちょっと遅いけど、朝ごはん食べてないから何か食べよう」

「なに食べるの?」

「ちょっと並ぶかもしれないけど、有名なパンケーキ屋さんがあるからそこに行こう」

 某有名パンケーキ屋、朝から営業しており、常にかなりの人が並ぶ、まだ昼前だが土曜の為か、そこそこ並んでいたが、丁度団体が出ていったので、それほど待たずに入れた。

 2000円近い値段が並ぶパンケーキ、分かっていたとはいえ、高校生にはちょっとお高い値段。

「うわーーーー、ふわふわ、甘い、おいしいいいい」
 でも、まあ、妹のこんな嬉しそうな顔がみれたんなら、安いかな?
 そう思いつつ、自分のパンケーキを食べる。 甘!

 パンケーキにコーヒーでとりあえず遅めの朝ごはんを終わらせ、店をでる。
 ちなみに妹が頑なに半分払うと譲らなかったので割り勘でした。

 倉庫には、他にさまざまなショップが並んでいる。

 妹としばしショッピング、雑貨屋で妹が立ち止まり品物をじっと見つめている。

 俺も妹の横に並び、一緒に見ると
「お兄ちゃん、これ買って」

 唐突に、妹からおねだりされる。

 今まで、こういう所で、買ってなんて言った事ない、さっきも食事代を払うと譲らなかった妹が、何を買ってと言っているのか見ると、銀色の指輪だった。

 銀の指輪だが、値段からいって銀メッキだろう、それを指差している。
 指輪ですか、まあ安いからいいけど

「いいよ、これくらいなら」
 そう言って、指輪を買い、妹に渡すと

「お兄ちゃんが着けて」
 そう言って、左手を俺に出す。

 中指に入れようとすると
「ちがううううう、これ!」
 そう言って薬指を浮かしてくる。

「まじかよ」
 そう言って、薬指に銀色の指輪をはめる。

「ほええええええええ」
 なにやら変な言葉を放つ妹、指輪を着けた左指を見てうっとりしている。

 俺は照れくさくなり、「ほれ、行くよ」と促す。

「うん!」

 そう言って、妹は後ろを付いてくるが、歩きながらもずっと指輪を見つめていた。




















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