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19-2 本気のデート

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 明日デートが決まったその夜、栞は興奮していた。

「きゃあああああ、お兄ちゃんが、お兄ちゃんが、つ、ついに、ついに私を恋人に」

 栞はリビングから部屋に入るなり、天に向かってガッツポーズをしていた。

「明日、恋人としてデートしてくれるって、これってもう告白よね」
 手を顔にあて、いやんいやんと、身体を左右に振る。

「最近すっかり妹としてしか見てくれなかった、私がこれだけ好きって言っても、なんか最近は、はいはいみたいになってたけど、少しは聞いてくれてたのかもしれない」

 栞は腕を組んで、今までを振り返る。

「ついに、ついにお兄ちゃんが本気になってくれた、私がんばった!!」
 生徒会での仕事なんて、なんとも思ってないのに、こっちはデートの誘いだけで自分をほめる栞。

「でも、ここで満足してたら駄目、明日もっともっとお兄ちゃんにアピールしなきゃ!」

「しかも、お兄ちゃんも超乗り気、これって大チャンスなんじゃ、そうね、もういっそ既成事実を……」

「いえ、駄目よ、既成事実で満足してちゃ、もうここで一気にお兄ちゃんを私の虜にして、もう私がいないと駄目って思わせるくらいにしないと……」
 すでに自分が駄目になっているのに気が付いていない……

「ああ、でも私にそんな魅力が、お兄ちゃんを虜にする方法、魔法陣ってどう書くのかな?」
 スマホでググりだす、おい!

 しばらく魔法やら、呪いやら、催眠術なんかを調べていたが……、その前にやらなければいけない事があるのを思い出した。

「そうだ、その前に明日着ていく物を選ばなきゃ」
 栞はその場で服を脱ぎ、下着だけでクローゼットの前に立つ
 鏡に自分の身体が映り、その細く美しい身体を見つめる。

「うう、相変わらずだ……」
 そう言って自分の胸を触り、ため息をつく
 決して小さくはない胸だが、兄への好みには足りていないと自分勝手に思っていた。

「お兄ちゃんどんなのが好きなんだろう、うーーん悩殺系?可愛い系?何も着ない?」
 クローゼットの服の下、引き出しの2段目と3段目から下着を取り出し、鏡を見ながらあてていく。

「ああ、だからこの前好きなのどれって聞きたかったのにー、今からお兄ちゃんのお部屋に行ってどれがいいか見てもらおうかな」

「ああ、でも駄目だよね、やっぱり初めて見てもらうんだから、先に見せたらお兄ちゃんに喜んでもらえない」

 良い判断だ、すでに見せる事を前提で、そんな事したら、明日のデートは中止になるぞ

「よし、とりあえず、新しいので、可愛い系にして、ちゃんと上下揃えて」
 ようやく下着が決まり、次は着ていく服と思いきや……

「えへへへへ、お兄ちゃんが恋人、もしかしたら、えへへへへへ」
 下着が決まった段階で、いつもの妄想癖が発生。

 しばらくまた妄想という名の異世界に行く。
 戻って来ると次は服選び、Siori Collection が開催される。

「何がいいかなー、明日は結構暑いみたいだし、露出高めでも大丈夫だよね」

「お兄ちゃんの好みってわからないんだよねー、何を着ても可愛いってしか言わない、可愛いって、お兄ちゃんが可愛いってえへへへへへへ」



 ーーーしばらくお待ち下さいーーーー



「はっ、いけないいけない、まだやることは一杯あるんだから、服でしょ、やっぱり知り合いがいないとも限らないし、お兄ちゃんが安心して迫ってこれないし、やっぱり帽子と眼鏡……え、お兄ちゃんが迫ってくる、え、え?」

「そうだよね、そうだよ、恋人宣言ってそう言う事だよね、え、え、どうしよう、私どうすれば、え、目を瞑っていればいいのかな、でもお兄ちゃんも初めてだよね、え、どうしよう」

 栞がどこまでの想像をしているのかは、ご想像におまかせします。


「と、とりあえず、お風呂に行かなきゃ、下着も選び直した方がいいかな、ああー、魔法陣まだ調べきってない」

 その後、お風呂に数時間かけ、更に服選びに数時間かけ、終わった頃には深夜になっていた

「ああ、どうしよう、お兄ちゃん、うふ、うふふふ、うふふふふふふ、うふふふふふふふふふふふふふ」

 どこかの吸血鬼の笑い声の様なテンポで、怪しげな笑い声が、深夜の部屋で響き渡っていた。










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