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18-3 学園物って大体生徒会でるよね
しおりを挟む外はジトジト雨が降っている6月中頃
生徒会室の雰囲気もじっとりしていた。
この会を重ねる事、数回、いまだに全く何も決まっていない。
このままだと夏休み迄の期限を越えてしまう為に、前回各自何か考えて来ましょうとなったが、結局誰も考えて来ない、何故ならすでに案は出尽くしている。
案を出すと、その案の欠点を指摘、その欠点をなんとかしようとする事もなく出た段階でその案は否定してしまう、そこから進めようとしない。
例えばそれだと人数が、それだと予算が、それだと実施に時間がかかる、許可を誰が取る、責任は……
なに?わざと?ってくらい生徒会連中が機能しなく、俺の意見も全否定。
妹は、黙って見てるだけだし、書記は相変わらず良いね駄目だねしか言わない。
一体なにがしたいのか、さっぱりわからない。
「会長、そろそろ時間もございませんし、来週からは毎日会議をした方がいいと思いますが」
副会長の提案に
「そうですね、このままだと夏休みになってしまいますね」
会長が賛成する。
「そうだね」
書記はあと駄目だねしか言わない
「お二人もよろしいでしょうか?」
もう、好きにしてという感じで、一応承諾し、今日はお開きとなった。
校舎から出ようとしたら、大雨になっていた、傘を差して行こうとするも妹が俺の袖を掴み引き留める。
「お兄ちゃん、傘無いから入れてー」
「栞、朝から雨降ってて、一緒に登校してるんだから無いわけないだろ」
「えーーーだってないんだもーーん、いいでしょ?」
絶対嘘だとわかっていても、妹にそんな顔で言われたら断れない
「しょうがないなーほら」
「わーーい」
「腕を絡めるな、くっつきすぎ」
あたってる、あたってる
「えーーだって濡れちゃうよーー」
「へいへい」
俺は諦めて組まれたままで妹に聞く。
「でさー、どう思う生徒会」
「うーーん、会長さんだいぶ困ってたね」
「さすがに全く決まらないんじゃ困るよなーあの会長でも」
「ううん、副会長さんが、わざと困らせてるから困ってるんだよ」
妹は首を振り否定する。
「え?」
副会長が生徒会長をわざと困らせている?
「うん、わざと会長さんを困らせてる」
「そうなの?」
「うん」
「何で?」
「さあ?、私ねー副会長さんてよくわからないんだよねー、なんか感情が複雑っていうか」
「栞でもわからないんだー」
「うん、私がわかるのはお兄ちゃんの事だけ、何でもは知らない、お兄ちゃんの事だけ」
「なぜ言い直す」
「だから放っておこうって思ったんだけど、来週から毎日かー、毎日はやだなー、お兄ちゃんと家でイチャイチャする時間が少なくなるよー」
「いや、イチャイチャしてないから、でもそうだよなーどうしようか……」
俺が悩んでいると、妹はおもむろに鞄からスマホを取り出す。
「ちょっとお兄ちゃん鞄持ってて」
そう言うと、妹は雨の中、両手を使いスマホをとんでもないスピードで打ちまくる。
「あんまりやりたくないんだよねーこういう事は」
そう言いながらも、スマホを打つスピードは落ちない
5分程たち、妹はスマホから顔を上げ俺を見る。
「はい終わり、さあ帰ろう」
そう言って何事もなく歩き始めた
「何したんだ?」
俺は傘を妹の方に寄せて聞く。
「うーーーんとりあえずお願いごとかな? あとは今週末でなんとかするよ」
再び俺の腕に身体ごと抱きつく妹。
妹が何かを始めたんだが全くわからない……
####
週明けの生徒会室、俺を含めた全員の顔が凄い事になっていた。
「これが、書類でーす、あとは生徒会の皆さんでまとめるだけです」
妹は、企画、実施方法、人員、その配置、レポート提出者すべての事を決めてきた。
例えば幼稚園にボランティアに行く
そこへ行く人、将来幼稚園や学校の先生になりたがっている友達を配置、その子達の家の近くの幼稚園の許可、責任者、実施日、レポート提出者、全てが記載されている。
例えば駅で募金活動、これも駅の許可、募金先、活動者、実施日、駅の責任者、お金の責任者等、全てが記載されている。
物凄いのは、全てが協力者の家の近くなので交通費等の予算はほとんどない
募金箱さえも、それを作るボランティアまで用意している。
恐らく、妹の友達、さらにその友達に協力を要請して、そこから都合のつく者を選択したんだろうが、一体どれだけの人数が絡んでいるのか想像もつかない。
内容も完璧、許可も全部取れていて、突っ込む所が見当たらない、レポート提出者も何かあった時の為に、複数人頼んでいるという念の入れよう。
「あとは、提出されたレポートを、まとめるだけなんですけどー、それでも良いからやりたいって人が殺到しているんですけど、どうします?」
要するに、生徒会でやることは何も無くなるけど良いかって言ってる。こわ!
「それはこちらで行いますから」
会長が副会長をチラチラ見ながら答える。
「あ、人数が足りないなら、今やってくれる人の倍以上いるんですけど、ちょっとボランティア先の方の準備が間に合わなくて、すみません」
全く悪いと思ってない言い方で謝り、更に、
「あと2日くれれば、今の倍はできますけど、どうします?」
「ひいっ」
そのとんでもない提案に、書記の町屋さんが小さな悲鳴をあげる。
「大丈夫よ十分です、本当にありがとう」
副会長が慌て気味にニッコリ笑って答える。
「問題無ければ私からみんなにお願いしますって送れば、みんなその日に行ってくれるように頼んでありますから」
妹は会長ではなく、副会長を見てどうします?という視線を投げ掛ける。
俺は副会長が、一瞬怪訝な顔をしたのを見逃さなかった。
副会長は瞬時に笑顔に戻し
「そうですね特には問題なさそうですわね、会長いかがですか?」
「ええ、そうですね、では、栞さんお願いします、助かりました、どうもありがとう」
会長が答えるのを確認すると、妹は手元でスマホを操作
「こないだの件お願いしますっと、送りましたー」
妹のスマホをから、一斉に了解の文字が殺到しているのが見えた。
中にはいいなーとか、やりたかったとか、今度は私にも頼んでーとかも入っている。
妹は白井先生の方を見て、
「レポートは先生に渡すように言ってありますので、受け取りお願いします」
「はい!」
先生はうわずった声で返答する。
「じゃあこれで会議は終わりですねー、何かあったら言ってください」
妹はそういうと立ち上がり
「お兄ちゃん帰ろっか」
そう言われ妹と一緒に生徒会室を出る
扉を締める寸前、生徒会の面々がこちらを見る中、一人物凄い顔でうつむく副会長の姿を目に留めるも、俺はそのままそっと扉を締めた。
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