43 / 255
15-1 俺の嫁?
しおりを挟む中間テストはさらっと終り、試験休みが明け、妹のおかげで数学のテストは異常に高い点数で返ってくる。
恐るべしうちの妹……
昼休み、いつも通り妹と弁当を食べ、妹は友達とのお喋りに参加し、俺は自分の席で本を読んでいると、教室にクラス担任の見た目中学生、ツインテールの教師、白井里美通称ジャッジメントが来た。
「長谷川……裕くん、ちょっと来てもらっていいかしら」
唐突に担任に呼び出しを食らう、俺なんかしたっけ?
「うーーーい」
返事をして妹を見ると、こちらを見ているので、目でよくわからんが行ってくると言うと、妹は大好きと返して来る、まあ俺の想像だけど。
などと下らない事を考えつつ、白井先生の後を付いていく。
白井先生のピョコピョコ跳ねるツインテールを、ついつい弄りたくなる衝動を抑え後ろを歩く、前から見るとスーツなので先生なのかな?と思うが、後ろからだと生徒にしか見えない、しかも中学生……何この教師?、まあ、とあるアニメで小学生みたいな教師がいたが、あれよりはましか。
しばらく歩き、会議室と書いてある部屋の前で止まる。
「入って長谷川くん」
白井先生に促され、中に入ると、そこは長机が2つ平行に並び椅子が十脚程置いてある、それほど大きくない会議室だった。
先生は机の前の椅子を二脚引き、斜めにして半分向かい合う形にセットし、俺に座るよう言ってきた。
席に座り前を見ると、俺をじっと見つめる白井先生、俺は?な顔になり見つめ返す。
暫くお互い見つめあっていたが、さすがになんだこいつ? と思ったので声をかける。
「あのー先生?」
はっとした表情になった先生。
「あ、ごめんなさい、えっとねーどこから話そう、えっとえっとまずねこれ」
慌て気味に見せられたのは、なにか難しそうな書類
文科省だの、学校教育だの、奉仕活動だの、書いてある。
え? 何? 俺に奉仕部とかに入れって事?、あのキャラとの相違点は妹だけだぞ? ちなみにうちの妹の方が可愛いぞ
「で、これが?」
「えっとね、まあざっと説明するとね、うちの高校でもボランティア活動をしなきゃいけないって事なんだけどね」
「ボランティア活動ですか」
「そうそう、それでね、何のボランティアをするか、どういう活動をしたか、まあそういった事を資料として残して、できれば今後継続的に行うとかって事をしなきゃみたいな話が会議で決まってね」
「はあ」
正直ボランティアに興味があるって言った事は無い、そもそも興味ないし、なんでその話しを俺にしているのか理解できない。
「当然学校側が強制的にさせるってのはおかしいから、生徒会が中心となって、自主的にやりましょうって事になったわけね」
先生は若干焦りながら話している、まあ多分まだ若い為に押し付けられた様な事なんだろう
「でね、先生、生徒会の顧問をやっていてね、この仕事をおしつ、いえ頼まれたのね」
やっぱか
「ただ、今までやった事がなかった事なので、どこから手をつけていいか、どうやったらいいか手探りな状態なのよ」
なにか、肝心な事をなかなか言わない、そんな歯に物が詰まったような感じがしたので直接的な事を聞いてみた。
「で、なんで俺が呼ばれたんですか?特にボランティアなんて、やった事ないんですが?」
「えーっと一緒に……、えーーっと頼めるのがあなたしかいないって言うか、そうそう、部活も委員会もやってないでしょ長谷川君」
「まあ帰宅部ですね」
委員会はじゃんけんで勝って逃れた、妹がクラス委員になりそうになったが、困った顔をした瞬間、私が代わりにやりますとクラスの女子が次々に手を上げ免れていた。
「だからちょっとでいいから、手伝って貰えないかなー」
お願いと手をあわせこっちを向く白井先生
「いや、すみません」
「ダメ?」
「はい」
正直興味ないし、めんどくさい、今は妹の事で手が一杯という感じ、最近放課後の妹のひとときは俺の中で大切な時間になっている。
しかし先生はめげずに何度も誘って来る。
「すみません、ちょっと遠慮したいんですが」
「どうしても?」
「はい」
なぜここまでしつこく俺が誘われるのか分からない、妹ならまだしも、妹?
「ううう、ううう、うえええええええええええん」
そう考えている瞬間、突然先生が泣き始める! はあ? なにこれ
「うう、長谷川君があああああ、ゆう君がああああああ」
手を目の所にあてて、漫画の様にベタに泣いている。
はあ? なになに? なにが起こってるの?
俺は全く意味がわからない、ワケガワカラナイヨな状態
「私の事、お嫁さんにしてくれるって、言ってたのにいいいいいいいい」
「はあああああああああああああああ?」
なにを言っているのか、さっぱり分からない、なんだこのシチュエーション? しかも嫁? 俺の?
「……あの先生?」
「うえええええええええん、あんな可愛かったのにーーひどいいいいい」
見た目中学生なので、中学生を泣かしているようで、いたたまれなくなる。
「あのー先生、一体なんの事なんでしょうか?」
「ひっくひっく、やっぱり私の事わすれちゃったの、お嫁さんにしてくれるって言ってたのに」
涙で化粧が落ちて、可愛い顔がパンダみたいになっている
いや、覚えて、ん?その顔どこかで
すると、先生はファイルから一枚の封筒を取り出す。
「ひっく、ううう、これ、やっぱり私の事……忘れているのかもって、……家から持ってきたの」
封筒の中を開けて、中の手紙を取り出す。
「私の……宝物なの」
そう言って机に手紙を開いて置く、そこには
『おねえさん、たすけてくれてありがとう、きれいなおねえさんにたすけてもらってうれしかったです。
やさしくてきれいなおねえさんが大好きです、しょうらいぼくが大きくなったらけっこんしてください、ぜったいしあわせにします 長谷川裕』
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ」
無くした俺のラブレターが、今頃こんな所で発見された……
0
Twitterやってます。https://twitter.com/niinaamesyou
お気に入りに追加
257
あなたにおすすめの小説
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
髪を切った俺が『読者モデル』の表紙を飾った結果がコチラです。
昼寝部
キャラ文芸
天才子役として活躍した俺、夏目凛は、母親の死によって芸能界を引退した。
その数年後。俺は『読者モデル』の代役をお願いされ、妹のために今回だけ引き受けることにした。
すると発売された『読者モデル』の表紙が俺の写真だった。
「………え?なんで俺が『読モ』の表紙を飾ってんだ?」
これは、色々あって芸能界に復帰することになった俺が、世の女性たちを虜にする物語。
※『小説家になろう』にてリメイク版を投稿しております。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる