妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ?

新名天生

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10 金髪美女

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 ゴールデンウィーク最終日、なんやかんやと妹に連れ出されたり、家で話し相手にされたりしたが、本日晴れて解放。

「俺を束縛したら~とか言って、結局ほぼ一緒に居たなー、まあ楽しかったからいいんだけど」

 妹は友達からの誘いを流石に断りきれなかったのか、今日は泣く泣く出掛けて行った。
 俺は家でゆっくりしようかと思ったが、ちょっと買い物に行きたくなり本屋に向かっている。

 妹と一緒だと買えない本とかあるし……

 駅ビルのショッピングモールの中にある本屋にて、ベットのマットレスの下に保管される本を買い、ほくほく顔で本屋を出る。
 改札の前を通って外に出ようとした時、駅の改札から見覚えのある人物が、歩いて来る。

 金髪ロングに真っ赤なルージュの唇、超ミニの赤のタイトワンピース、高いヒールにブランドバックを持ったギャルが、俺を見るなりニヤリと笑った。

「あら、お久しぶり」

「か、か、かいちょ」と言った瞬間俺の唇を抑え、口元だけの笑みを浮かべ
「言ったらダメでしょボク」

「ふうぁい」

 抑えられたまま返事をする。

「丁度良かったわ、彼にドタキャン食らって時間空いちゃったのよ、ちょっと付き合いなさい」
「いや、えーっと何処へ」
「お茶に決まってるでしょ、それとも休める所に行きたいの?」

「あ、いやどっちも」

「つ、き、あ、い、な、さ、い」

「はい…」

 駅から少し歩いた所にある、コーヒー頼むと自動的に豆が付いてくる某有名コーヒー店に連行

 奥の席に座りお互いホットコーヒーを注文、豆と共に運ばれてくる。

 運ばれるまで無言、というかスマホをいじくっている金髪美女

 人を連れ込んで無言ですか、そうですか……

「えーーっと、それで俺になにか?」

「別にーい、時間が空いちゃったから暇潰し?」

「いや、暇潰し?と言われても」

「なによ、こんな良い女とお茶できるなんて嬉しいでしょ」

 自分で言うかーーーー

「う、れ、し、い、でしょ?」

「あ、はい」

 金髪美女はまた無言でコーヒーに砂糖を入れカラカラとスプーンを回す。

「で、俺はなんてお呼びすれば」

「何とでも呼べば良いじゃない」

「じゃあ、かいちょ」

 言う間もなく、スプーンを俺に向かってはねあげ、コーヒーが数滴、顔目掛けて飛んで来る

「あちゃあちゃあちゃ」

 慌ててお手拭きで顔を拭く

「火傷したらどうする!」

「火傷ですんで良かったじゃない?」

 悪びれもせずにいいのける。

「で、なんて呼べば?、お前で良いのか?」

「名前で良いわよ、絶対ばれないから」
 絶対ばれないなら会長でもいいんじゃね?と思いつつ
 あれ、名前なんだっけ?確かー

「忘れたの?葵よ、あおい」
 葵ね、青井さんと結婚してあおいあおいになっち前、よし覚えた

「で、葵さんはドタキャン食らったんだって、テラワロス」

 で、葵さんはどうなさったんですか?

「あんた本当にやるわよ」

「やるってどう書くのかなーーーってすんません本音と建前の声が逆でした」

 葵は一つため息を付いた後、コーヒーを一飲みすると、笑みを浮かべ

「ふ、あんた面白いわねー、私にそんな態度とる奴なんて滅多に居ないわよ」

 その微笑に魅入られそうになるのをこらえ、豆を一粒口に放り込み肩肘をつきながら質問した。

「で、葵さんは何でそんな格好を?」

「何でも何も、これが私よ」

「ズラまでかぶってですか」

「ウィッグって言いなさい!」

 飲んでいたコーヒーカップをソーサーに乱暴に戻し、ガシャンと音がする。

 俺は気にせずに疑問をぶつける。
「変装の為に?」

「この格好で生徒会長に成れると思う?」

「まあ、無理でしょうね、ただ、うちの学校でそこまでしてでも会長になる利点なんて在るんですかね?」

「何が言いたいのよ」

「いや、自分を殺してまで会長にならなきゃいけない理由でもあるのかなと」

「あるわよ」

「それは?」

「言いたくないわね」

 葵は身体をテーブルに乗り上げ俺の顔に自分の顔を近づけ、俺の顎を指でなぞりながら

「それとも力ずく言わせて見る?」

 奥まった席、周りは人気がない、ほぼ個室状態、目の前に妖しげなオーラを発する金髪美女、首もとが開き豊満な胸がチラチラ見える。

「あら、どこみてるのかしら?」

 俺の目線に気が付き、そう言いながら席に戻る。

「妹さんは元気?」

「おかげさまで息災でございます」

「そ」

 なにも言わず簡単に答えるが俺の弱みの妹を持ち出した事で、これ以上聞くなという意志が込められているのに気がつく。

「そっちも彼氏とは上手く行ってるのか」
 反撃とばかりに彼氏の話題を持ち出したが

「そうね、このドタキャンで彼とは終わりかもね」

 少し寂しそうに答えると、高級そうな腕時計を見た彼女が

「そろそろ良いかな、いい時間潰しができたわ」

「じゃあ、またね」

 そう言って席を立ち店を出ていった。

 またが、あるのかよと心の中で思いつつ俺はもう一つの叫びを呟いた。




「コーヒー代、俺持ちかい!」



















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