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4-0-2 お兄ちゃんの誕生日プレゼント

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  散々上がり下がりし一ヶ月以上考えた挙げ句

「セーターは重いから、カーディガンなら少し軽いし平気かな?」と、わけのわからない理由で決め作り始めるが

「うーーーんこの色はお兄ちゃんに合うなー、こっちも合うなーああ、この色のカーディガンを着たお兄ちゃん、いやああああ素敵ーーーーー」

 手芸店での糸選びからこれである。

「お兄ちゃんの様な純粋で素敵な人にはヤッパリ白よね」

 いつもの恋する乙女補正を発動させ、ようやく糸を決めるも
今度は本屋にて

「どのデザインがいいかなーー、ああこのデザインのお兄ちゃん素敵、ああこれ
 もいい、きゃあああこれ着たお兄ちゃん格好良すぎる」
迷惑な立ち読み客である。

 早く編めや!

 そしてこれも毎年恒例となっているんだが

「ああ、お兄ちゃんと一緒のクリスマス、お兄ちゃんと一緒のケーキ、素敵幸せすぎる」
ちなみに家族と一緒です。

「ああ、お兄ちゃんと一緒の初詣、私の晴れ着、可愛いって言ってくれた幸せすぎる」
勿論これも家族揃ってです。

「お兄ちゃんにバレンタインのチョコ渡しちゃった、ありがとうって言ってくれた幸せすぎる」
ホールのチョコレートケーキだったので家族皆で食べました。

「ああ、私の誕生日にお兄ちゃんからハンカチを貰った、またお兄ちゃんんから
宝物を貰ったわ、幸せすぎる」
ハンカチは別れを意味のするとも言われてるけどね。

「ああ、ホワイトデーにお兄ちゃんからクッキー、クッキーってあなたの思いに 答えますって意味だっけかしら、きゃあああああ幸せすぎる」
いや友達でいようねらしいぞ。

 兄との数々のイベントに時間を使い

 毎回のイベントが終わる毎に、ぼーーっとその幸せを噛み締める。

 受験とかは兄に関係ないので見事にスルー

そして、兄に送るものは完璧でなければならないとの思いから

「あ、失敗したやり直し、あ、また失敗したやり直し」
恐ろしい事に途中ミスすると、そんなものを兄に着せられないと全て最初から編み始める。

 そして、兄への思いを込めすぎた為か、作っている最中に栞に限界が来てしまい、告白まで壊れていたので、制作はすっかりストップしてしまっていた。



「ああ、お兄ちゃんが私とつきあってくれる、私の彼はお兄ちゃん、ああお兄ちゃん」

 告白を受け入れて貰い、入学式の翌日からもこの状態で居た栞。
ふと机の横に置いてある紙袋を見て思い出す。

「きゃあああああああああ、誕生日プレゼント出来てないいいいい」

「どうしよう、どうしよう、どうしようううううう」

「もう、カーディガンは間に合わない、でもお兄ちゃんは初めての、いいえ最後の彼なのだから、その辺で買った物のプレゼントなんてあり得ない」

「でも時間が、仮に買うとしたら何、車?、家?、船?ハワイ島?」
 買えるか!

「彼氏にプレゼント、彼に上げるもの………………わたし?」


はい妄想爆発タイムです。


「きゃあああああああ、どうしよう、でもでも、もう付き合ってるしそれも、っていやああああああ、あ、嫌ってそう言う意味の嫌ではなくて」

「え、頭にリボン付けてお兄ちゃんわたしを貰ってって、きゃあああああああ、でもそんな事しなくても私は既にお兄ちゃん一人のものだし」

「でもでも、付き合ってるしいいよね、お兄ちゃんも嬉しいよね」

そんな妄想爆発させている時、兄の一言を思い出す。

「兄妹として節度を持って付き合おう」

栞にとって兄の言葉は絶対である。

「そうだよね、そんな事したらお兄ちゃんに嫌われちゃう」

「でもどうしよう、お兄ちゃんの好きな物、お兄ちゃんが喜んでくれる物、お兄ちゃんがいつも身近に置いてくれる物」

栞は兄の事を思い出す。

中学の兄の姿、良く教室で覗き見た姿を思い出す。

「そうだ!」

栞はネットで検索する。

「これなら行けるかも」

兄へのプレゼントが決まった。







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