クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

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お背中流します!

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「し、真様、お風呂の準備が……」

「あ、ありがとう」

「いえ……」
 メイド様Bさんが僕の部屋に再びやってきた。
 時間的に食事の後のお風呂になったけど……まあ、あまりこだわっていないのでと僕は着替えを鞄から取り出し部屋をでる。
 メイド様Bさんがやはり案内してくれるらしく、前を歩く……。

 エレベータには乗らずに通り過ぎ、部屋とは反対側の廊下の端の扉を開ける。
ちなみに、部屋にはトイレと洗面は付いていたが、やはりホテルではないので、お風呂までは付いていない。

「こちらでございます」
 扉を開けると広々した脱衣場……はっきり言って僕の家の部屋よりも大きい。
 
「あ、ありがとう」
 そう言って中に入り、服を脱ごうと……服を脱ごうと……服を……。

「えっと……あの?」

「ふぁ! ふぁい!! お手伝いでしょうか!!」

「なんの手伝いだよ……、あの……」

「ふぁ!ふぁい!! お背中を……流せばいいのでしょうか?」

「いや、だから頼んでないんだけど」

「私はメイド長から真様のお手伝いをしなさいと頼まれています! な、な、なんなりとお申し付けくださいいいいいい」

「いや……そういうのは……」
 メイド様が背中流してくれるとか、凄く凄く興味があるけど、多分泉に怒られるから……。

「大丈夫だから、何かあったら呼ぶから」

「私ではお役にたたないと……」
 メイド様Bさんはそう言うとメソメソと泣き出す。

「いや、あの……」

「私……まだ入りたてで、なんのお役にも立てなくて……奥様にもメイド長にもなにも恩返しできなくて……」

「あ、えっと……それは」
 それは可哀そうだけど、そんな事を僕に言われても……。

「初めてのお客様のお世話係なんです! 私役に立ちたいんです! なんでもお申し付けください!」
 必死の懇願……ていうか初めてが僕って、安桜さん…僕で練習させるつもりか?
 今一納得がいかない……でもまあ、僕なら身内みたいな者だし……。
 かといって男嫌いのメイド様にして貰う事なんて……。

「うーーーーん」

「真様! 私なんでも頑張ります! 男の人が苦手なのも克服したいんです!」

「いや、でも」
 メイド様に懇願されると僕も何かしてもらわなければって思うんだけど、まさか一緒にお風呂に入るわけにもいかない……かといって脱がして貰うとか、どこの世界の王様だよってなるし、何よりそんな事が泉に知れたら……。

「真様……」
 涙ながらに懇願される……ああ、メイド様を泣かしてしまった。

「じゃあ……背中だけ流して貰おうかなあ……」
 ああ、言ってしまった……でも夢のメイド様のお背中流し……。

「!!……はい……かしこまりました」
 メイド様Bさんはそう言うとメイド服を!

「いいから! 服は脱がなくて良いから!」

「でも……それでは」

「そんな簡単に脱がないでよおおお」
 どこのエロゲーだよ全く……メイド様はメイド服を着てるからメイド様で、脱いだらただの人に……。

「ちょっと後ろを向いてて……恥ずかしいから」

「はい……」
 メイド様Bさんが後ろを向いているのを確認して僕は素早く服を脱ぎバスタオルをきつく腰に巻いた。

「いいよ……」

「はい……きゃああああああああああああ!」

「ええええええええええ!」

「は、裸……男性の……裸かあああああああ……」

「ああああああああ!」
 顔を真っ赤にしてその場でに倒れこむメイド様Bさん。
 くれぐれも言っておくけど、下半身はバスタオルを巻いているからね! 上半身裸なだけだからね!

 僕はメイド様Bさんに近づき彼女を抱き起した。

「えっと、大丈夫?」
 目は開き、意識はあるようだけど、メイド様Bさんの瞳がグルグルと回っている。

「ふえええええええ……、らい、らいじょうぶうですうう」
 グルグルの回る目が、焦点がゆっくりと僕の顔に集まる。

「ち、ちか、近いいいいいいいい!!」
 今度は気を失ってしまうメイド様Bさん

「ええええええ! ちょ、ちょっと!!」
 僕はメイド様Bさんをゆさゆさと揺らしなんとか起こそうとしたが、完全に気を失ってしまっている。
 ゆさゆさと揺する度に、ゆさゆさとメイド様Bさんの胸が……

 ゆさゆさ、フルフル、ゆさゆさ、フルフル……

「結構大きいな……」

「何がですか? お兄様?」

「うわああああああああああああああああ!」

「お兄様? これはどういう状況下かご説明してくださいますか?」

「い、泉なぜここに」

「お部屋にお伺いした所いらっしゃらなかったので、廊下に出ましたら叫び声が聞こえました」

「ああ、なるほど……」

「それで、これは?」

「えっと、あの……彼女がどうしてもお世話がしたいって言うから、その……背中を流して貰おうかなあって」

「それで?」

「えっと、とりあえず上半身だけ、タオルも巻いてならって、そうしたら倒れちゃって……」

「それで?」

「えっと、抱き起したら、今度は気を失っちゃって……」

「それをいい事に、彼女の胸で遊んでいたと」

「あ、遊んでなんて…………ごめんなさい……」
 遊んではいないけど、いないけど……

「全くお兄様は……とりあえず彼女は私が連れていきます、お兄様はそのままお風呂にお入りください」

「え! あ、うん……」

「それとも私がお兄様のお背中を流せばいいですか?」
 にっこりと笑う泉の目は全く笑っていなかった。とっとと入れ!と目が語る。こわ!!

「いいえ、滅相もございません!」

「はい、ではごゆっくり」
 そう言うと泉はひょいと彼女を起こし、彼女の肩を抱え、脱衣室を出ていく……

 ……泉って……結構、力あるんだなあ。
 あの細い身体で、自分よりも大きい身体の(胸じゃないから、言ってないから)女子を軽がると……
 
 ここに来て、泉の色々な面が見れて嬉しいやら怖いやらで……そしてこの後どうなってしまうのか……

「泉の説教は長いんだよなあ……」
 今夜は色々と長い夜になりそうな予感が、そんな心配をしながら僕はお風呂場に入って行った。



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