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君の全てが知りたい
しおりを挟む「泉の事が知りたい!」
「はい?」
いきなりな展開でごめんなさい。凛ちゃんから勇気を貰った僕はそのままの勢いで家に帰るや、出迎えた泉に大きな声でそう言い放った。
「泉の……泉の……全てが……全てが知りたいんだ!」
「……お、お兄様?」
僕は真剣な眼差しで泉を見つめた。もう遠慮はしない……僕は泉の兄なんだ!
「泉! 僕に全部見せてくれ!」
「見せるって、何を……ですか?」
「泉の……隠しているお腹の事だ!」
僕は強気に攻めた、強き攻めだ! な、なんか言い方が違う気も……えっとお腹じゃなくて腹の内だよね? いや、でもここは勢いで行くしかない! 僕は男だ!泉の兄だ!
「隠している、お腹……えっと……お兄様……ここで……ですか?」
「ここで……うん、そうだ! 今すぐだ!」
今すぐ泉の事を、今までの事、死んだお兄さんの事、僕に対する思い、泉の本心、本音、今まで怖くて聞けなかったその腹の内、泉の心の中全てを知りたいんだ!
「わ……わかり……ました……お兄様がそう言うのなら……」
泉は僕から目を逸らし、一度下を向く……泉の顔がみるみるうちに赤く染まって行く。怒ったのか? でも怖くなんかない……いや、ちょっとは……いや、かなり……やっぱり謝ろうかな…………いや、駄目だ! 僕は変わるんだ! 凛ちゃんから勇気を貰ったんだ!! 僕はもう今までの僕とは違うんだ! へたれな僕はもういないんだ! そう思い直し毅然とした態度で泉の前に立ちはだか…………
「ええええええええええええええええええ」
僕は驚きの声を上げた。そして泉の取った行動に対して慌てて目を瞑りさらに手で目を覆う。
だ、だって……泉が……何を勘違いしたのか突如として僕の前でスカートを捲り上げるから……一瞬、ほんの一瞬だけだが純白の物が……一瞬でその純白の物が僕の目に焼き付き、脳に永久保存される。
「あの、お兄様……もっと……ですか? でも、ここで服を脱ぐのは……」
脱ぐって……玄関先でとか僕どんな変態趣味野郎って思われてるんだ?
「ち、違う、違ううううううううううう」
◈◈◈
「ひ、酷い……酷いです、お兄様……それならそうと……」
僕と泉はとりあえずリビングに移動した。そしてさっきの誤解を解く……泉は僕の話を聞くなり泣き出し、それを見て僕は土下座しながら平に謝った……
「すみません、僕が勘違いさせる様な事を言ったばかりに……誠に申し訳ありませんでした!」
「ううう……お兄様が急に……あんな事を言うから……私……」
「本当にすみませんでした! で、で、でも、仮にそうだとして、断ってくれても」
「何を言っているんですか! 私がお兄様のご命令を断るわけありません!」
「えええええええええええええええ!」
「お兄様のご命令は絶対です!」
「そ、そうなの?」
「はい! 勿論です!」
さっきまで泣いていた泉がどや顔で僕にそう言う……マジか……じゃあ、じゃあもし僕があの時、全部脱げって言ったら…………いや、言わないけど……でもお腹を見せろを、全部脱げと解釈したら……あそこで泉は服を……そう想像しながら目の前に座る泉の身体をじっと眺め……
「お兄様?」
「ううん、な、なんでもない、なんでもない!」
僕は頭をブルブルと振って煩悩を追い払う。僕は泉の兄、兄は妹にエッチな要求なんかしない……
「えっと、それでお兄様、私の腹の内というのは?」
「あ、えっと、僕って泉の事を知らないなって……兄妹なんだから、もっと色々知りたいなって……」
「…………お兄様……それはいいんですが、どうして帰るなり急にそんな事を?」
「あ、えっとね、さっき凛ちゃんの家で……」
「…………一萬田さんの……家?」
「あ」
「お兄様? どういう事なんですか? 確か一萬田さんは一人暮らしのはず……」
「あ、いや、えっと……」
「お兄様は、学校のお昼休みといい、最近妙に一萬田さんと仲良くしてらっしゃる様ですが……まさかお付き合いなされているのですか?」
泉の顔がみるみる変わって行く。天使の笑顔から悪魔に、堕天使の様に……いや、それを通り越して……鬼の形相に…………ああ、お見せできなくて残念、絵師もいなけりゃ書籍化にも、当然アニメ化なんて全然無理なので本当にお見せ出来なくて残念、泉の滅多に見れない顔、学校じゃ決して見れない、誰も見る事の出来ないご尊顔を拝めるなんて、本当に僕はラッキー……
「お兄様!!」
「ふ、ふぁい!」
「どうなんですか! 付き合ってるんですか! 付き合ってないんですか!」
「付き合ってません!」
ほっぺにチューされたけど、あれってどういう意味なのか今一わかってないけど、ひょっとしたら凛ちゃんって僕の事って……少し勘違いしたけど、断じて付き合ってはいない!
「付き合っていないんでしたら、気軽に一人暮らしの女性のお部屋に入るなんていけない事です!……お兄様! わかりましたか?!」
「ご、ごめんなさい! わ、わかりました!」
「わかって貰えて嬉しいです、お兄様」
僕がそう応えると泉の顔がいつもの天使の様な笑顔に変わる。えっと泉って、僕の命令は絶対服従って……凛ちゃんが清楚で潔癖で従順を演じているって……あれおかしいなぁ、寧ろ絶対服従は僕の方じゃ、凛ちゃんの言ってた事って本当?
「お兄様! また一萬田さんの事を考えていますね!」
「ああああ、す、すみません、いや、えっと」
な、なんでわかったんだ?
「お兄様! 罰としてこれからお兄様のお尻ペンペンします! さあ、私の膝の上に!」
「す、すみませんそれだけは許してくださいいいい」
本当に誰得なので、それだけは~~~~~~~~
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