56 / 99
胸胸胸!
しおりを挟むブラウスのボタンを一つ一つ外していく愛真、僕は何が起きているのか把握出来なくその姿をボーッと眺めていた。
しかし、ブラウスのボタンが半分外れ、愛真のブラジャーがチラリと見えた瞬間僕は我に帰った。
「あ! え、愛真! な、ななななな、なに! なにしてるの!」
「ん? だって触るなら直の方が良いでしょ?」
「じ、直! 直って」
「服の上から触るよりも、直接の方が絶対に良いと思うよ?」
「えええええええええええええええ!」
「だって中途半端は嫌だから……」
愛真はそう言うと再びボタンを、いや、待って、本気? 本気と書いてマジ?
そんな使い古された古典的な言葉が頭を過る……いや、そうじゃないちょっと待て……この状況は一体…………ああ、そうか、そうだよ、なんだそういう事か、わかった。
これを書いている作者は古典的なギャグしか書けない才能の無い奴……これもいつものワンパターンな展開だ。成る程ね、つまりいつもの通りこの後邪魔が入るって事か。恐らく肝心な所でお母さん辺りが入ってくるんだな……きっと……
僕はそんなわけのわからない事で安心すると、愛真のその行動を余裕を持って見つめる。
愛真はボタンを全て外しブラウスをそっと脱いだ……さっきチラリと見た水玉のパンツとお揃いの綺麗な水玉のブラ……そして脱いでわかった。愛真の胸は服の上から見たよりも大きかった。こういうのを着痩せって言うのかな? 脱いではっきりとわかるその形の整った大きな胸がどーーーんと僕の前に……いや、その、す、凄い……
愛真の身長は低い方だ、全体的に小さめの身体、でもその小さめの身体と全く比例していない大きな胸胸胸! 違和感さえ感じる程に主張していたお胸様……今、完全に服を脱ぎ、上半身ブラ一枚の愛真のその姿は、なおいっそう僕の違和感を増幅させていた。
少し恥じらいがちに僕を見つめる愛真、しかし愛真の行動はここで終わらなかった。今度は背中に手を回しその綺麗なブラをも外しにかかった。
はははは、でも僕は慌てない、大丈夫大丈夫、だって恐らくそろそろ来るから、そろそろ邪魔が入るからね。ほら、駄目作家、いつもの通りだろ、早くしないと外れちゃうぞ? では、はい~~どうぞ~~~~
僕は恐らく愛真のお母さんが入ってくるであろう扉を見つめる…………………………あれ? 服を脱ぐ前に来ると思っていたが今回はなかなか来ない、でもさすがにここでは…………え? 来ないの?
僕はお母さんがいつまで経っても部屋に入って来ないので遂に焦り始め愛真に聞いてみた。
「あ、あの……え、愛真さん……その…………お母さんは?」
背中に手を回し今にも外そうとしている愛真にそう問いかけると、愛真は僕を見て笑顔で言った。
「え? ああ、お母さん今お買い物に行ってるよ~~」
「えええええええええええええええええ!」
ちょっと待ってちょっと待って、聞いてない、え? 何? つまり……今、僕と愛真はこの家に二人きりってこと? え? 何? つまり…………誰も邪魔が入らないって事? いや、ちょっと待って、え? 使い古されたシーンなんじゃないの?
駄目だ、さすがにそれは駄目だ! こうなったらヘタレ呼ばわりされてもいい、逃げよう、とりあえず逃げれば……そう思い僕はベットから立ち上がろうとした。
…………ああああああああああああああああ、そうだったあああああ、今僕は怪我をしているんだったああああああああ!
そう……今の状態から逃げるには、まずベットから立ち上がり、扉の外へ一目散に走り、外に出るかトイレに駆け込んで鍵を閉めるしか……でも今の僕は立ち上がるのも愛真の部屋から出るのも物凄く時間かかる。ましてやその後走って逃げるなんてもっての他だ……ああ、駄目だ……詰んでる。
逃げるのは無理、だとすると……僕は何か他の手が、この現状を打破する手が無いか、考え……ようとしたその瞬間、愛真の背中からパチンっと音がした。
そして、ブラのカップが、愛真の豊満な胸に被さっていたカップが、ゆっくりと下に……そして……愛真の胸が露になるその瞬間……僕の脳裏に一人の人物が浮かびあがった。
『お兄様……』
そう言って、悲しそうな顔で僕を見つめる泉の顔が浮かんだ。
泉…………
その瞬間僕は徐に愛真を抱き締めた。僕の胸に愛真の胸が、多分何も着けていな愛真の胸が当たっている。何か抱き合っているその間に凄く柔らかいクッションが挟まっている様な……そんな感覚が僕の胸に走る。柔らかいとにかく柔らかい感触が、その……えもいわれぬ様な感触に、脳が蕩けてしまう様な感触に耐えながら僕は愛真に言った。
「だ、駄目だよ……駄目だよ愛真、そんな簡単に……駄目だよ……」
どう伝えて良いかわからない、でも駄目だ、いくら何でも……
「真ちゃん……いいよ、私は……いいの真ちゃんになら」
僕の耳元でそう囁く愛真、その囁きに理性が崩壊しそうになった。そして僕の抱き締めている腕が緩みかけたその時に今度はみかん……凛ちゃんの顔が浮かんだ。
『佐々井君……』
何か言いたそうな、残念そうな顔で僕を見つめる凛ちゃん、その顔が頭に浮かぶと僕は再び愛真を抱き締めしている腕に力を入れた。
「駄目だよ……こんなの、嫌だ……よ」
「どうして? 見たくないの? 触りたくないの?」
「そりゃ見たいし触りたい……でも……駄目だよ」
「……どうして?」
「だって……だって……愛真……無理しているから」
「……真ちゃん……」
抱き締めるとわかる、愛真の身体が小刻みに震えている事が……
「無理してまで、愛真が無理してまで僕はそんな事したくない……だからごめん……恥かかせて……ごめん」
僕がそう言うと愛真は一瞬ビクッと身体を震わせそして……
「ご、ごめん……ごめん、ごめんね……ご、めんな、さああああああああいい、真ちゃんんんんんんん」
そう言いながら泣きはじめた。僕の腕の中で、上半身裸の愛真がワンワンと泣き始めた。
0
お気に入りに追加
144
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる