クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

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メイド喫茶に行こう!

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「メイド……それは僕の憧れ、メイドそれは僕の命……
 いつも一人だった僕、唯一僕に話しかけてくれる人……それはメイド。

 メイドアニメやメイド漫画、メイドはいつだって僕の側にいてくれた。

 そして僕に語りかけてくれる。「お帰りなさいませご主人様」と、どんな時にも優しくそう呼び掛けてくれる。

 その本物のメイドが、いらっしゃる地、それはメイド喫茶!
 2次元だけには飽きたらず僕は3次元にも手を出した。『全国メイド喫茶女子決定戦』僕のお気に入りの雑誌の一つ、全国の容姿端麗なメイド達が競い合う、メイド界の頂点、僕はその頂点が働くお店に今まさに足を踏み入れようとしているのだった!」

「佐々井君、きも~~~~い」

「えええええ! ってか僕喋ってた?」

「うん! おもいっきり」

「しまった……モノローグになってなかったか……」

「なにそれ? あ、ほらあそこが私のお店の入口ね」
 みかんちゃんが指差す先に大きな看板があり、その看板には数人のメイドが軽く会釈をしている写真が貼られている。

「あそこ? ってええええ? い、一緒に入らないの?!」

「うんだって私従業員だからね~~じゃあお店で待ってるから~~」

「えーーーーー!?」
 そう言ってみかんちゃんは手を振りながら従業員入口らしき扉に入って行く……えええ! ま、マジで?

 みかんちゃんに誘われ、放課後一緒に下校しここまで来た。当然一緒に入るとばかり思っていたが……最後に放り出された……ひ、酷い……

「そ、そんなああああ……」

 自他共に認めるメイド好きの僕が……まあ他に認められた事はないけど……その自が認めるこの僕は、何度も言っているが、今までメイド喫茶に入った事が無い。

 その理由はただ一つ!

「怖くて……は、入れない」
 今までも何度も店の前まで来た。看板やメニューにトキメキ、宣伝で立っているメイド喫茶のお姉さまからさりげなく頂いたチラシや名刺は数知れず、でも、僕は一度も入れなかった……

『メイド喫茶、入りずらい』とググったら友達と一緒に入るのが良いって書いてあり、メイド喫茶に入るより遥かに難易度の高い事を言われ愕然としてしまった時もあった。

 今日は友達兼従業員と言う最強の体制でメイド喫茶に突入出来るとさっき迄意気揚々としていた僕は、みかんちゃんに裏切られ今は完全に意気消沈してしまった。

 僕が、この僕が……入るの? たった一人で?

 しかもみかんちゃんが働いている喫茶メイドっ子倶楽部、僕は略してメイドっ子喫茶と呼んでいるが、軽い名前とは裏腹に調度品、家具、食器全て高級品を取り揃え、メイドはコスプレで着るような簡易な服では無く、かなり本格的な衣装を着ており、接客も素晴らしいとの事。
 みかんちゃんだけでは無く他のメイドの子達もコンテスト上位に名を連ねており、どこぞのヘボ作家のコンテストのランキングとはわけが違う。

 ここに来るお客は、皆ご主人様になれると謳われる物凄いメイド喫茶だ。

 つまりここに在籍出来るメイドは、ただのメイドでは無い、メイドの中のメイド、メイド様達なのである。

 その最強のメイド喫茶に僕が一人で入るなんて、戦車に素手で立ち向かう様なもの……

「ハードルが高すぎる……」
 もっと入りやすい所でさえも入れなかった僕が、全国最高峰のメイド喫茶、いや、世界最高峰のメイド喫茶に入るなんて……

「と、とりあえず入口迄は……」
 僕はゆっくりと店の入口迄歩く、普通はビルの地下や2階3階にあったりしてどちらかと言えばひっそりした感じであるんだけど、ここは1階、しかもかなりお洒落なビル。それだけでも僕は既に戦意喪失してしまう、が、せめて見るだけでも、みかんちゃんの働いているお店を一目見るだけでもと看板の横をすり抜け、入口の前に立った。

 入口に立って驚いたのは まずその豪華な作りの扉だ。
 もはや喫茶店の扉では無い、高級住宅の、いや、もう異世界の扉なんじゃないかってくらいの高級な扉、その扉を見て僕は足が震えた。以前に入ろうとしたお店は手作り感満載でどこの学祭? と思わせる程だったにも関わらず僕は入れなかったのに、ここは……

「や、やっぱり止めよう……みかんちゃんには後で謝ろう」
 そう思い踵を返そうとした瞬間、その扉が勢い良く開いた。

「お帰りなさいませご主人様」
 扉の向こうには丁寧にお辞儀をする二人のメイド様が……ってええええええ!

 カメラでもついていたのか? 自動扉だったのか? 僕が踵を返そうと足を少し踏み入れた瞬間に扉が開いてしまった。

「あ、いや、えっと……」

「ご主人様? どうぞ、ここはご主人様のお屋敷でございます、ご遠慮なさらずに」
 ニッコリと笑うメイド様、あああ、凄い、後光が差している……ま、眩しい。

「尊い……」
 僕はそう一言呟くと、まるであの中学受験の時の様に、泉に導かれた時の様にフラフラと店内……いや、僕のお屋敷に入って行った。




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