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お兄様になろう
しおりを挟む「えっとそれはどういう事?」
僕がそう言うと泉は少し悲しい顔をして再び笑いながら話し出す。
「私ね小さい頃お兄ちゃんがいたの、凄く優しいお兄ちゃん、優しかったお兄ちゃん……でも事故で死んじゃって……」
「え?」
「私ね、お兄ちゃんにわがままばかり言ってたの、でもお兄ちゃんはそんな私にいつも優しくしてくれた。お兄ちゃんが居なくなってしまって、私お兄ちゃんと一緒にしたいこと、お兄ちゃんにしてあげたい事が一杯あったって気がついたの、でも……弟、妹は出来ても、お兄ちゃんは二度と出来ない、そう思ってた。そうしたらお母さんに再婚の話しを聞かされた、そして偶然その相手の子供が同級生だった」
「ああ、うん、やっぱり知ってたのか……」
ううう、僕は知らなかった、父さんわざと黙ってたな……
「同級生、同じ年、私少しがっかりしたの、年上だったらお兄ちゃんとしたいこと、してあげたい事が出来たのにって、でも誕生日を聞いて思った、そうか双子でも兄妹があるんだ、私より先に生まれていればお兄ちゃんだって」
「ああ、僕の誕生日聞いて目の色が変わったのはそれでか」
「うん、お兄ちゃんが出来た、私に……憧れのお兄ちゃん……ううん、お兄様がって」
「それで……」
「私達家族になるの、そして真君は私のお兄様になるの、義理でもお兄様に、私のお兄様に……」
うっとりした顔で僕を見る泉、えっとつまり泉が激変した理由って……極度のブラコン?
「迷惑ですか? 私が妹になったら……」
「そ、そんなわけ無いよ、凄く嬉しいよ」
「本当?」
「うん、本当だよ泉みたいな可愛い娘が僕の妹になるなんて、そんな嬉しい事は無いよ!」
「良かった……お兄様」
また満面の笑顔になる泉、僕はその笑顔に連れられて笑った、笑ったけど……心は……泣いていた。
だって……僕は……泉が好きなんだ、大好きなんだ。目の前に大好きな娘が居るのに……こんなに近くに居るのに、僕は彼女から最も遠い存在になってしまった……
泉の彼氏から、泉と付き合う事から最も遠い存在に、それはクラスで最上位と最下位以上に遠い存在、泉の本当のお兄さんと同じくらい遠い存在に……
泉が僕をウルウルとした瞳で見つめる、僕も泉をウルウルとした目で見ている。
まあ僕は泣いているんだけどね、本当に……
「ねえ……お兄様、ご飯の前にお風呂の用意しますね、勿論お背中も流させて頂きますね、お兄様が大好きなメイドの衣装も用意しましたので、後で着ますから、ああ、もっともっとしてあげたい、私のお兄様に色々してあげたい、いいですよね、お兄様!」
泉はそう言うとバックからメイド服を取り出した……
メイド!!!
この間のホームルームの事覚えていてくれたんだ、ああ、もういいや、彼氏にならなくても、遠い存在でも、それでも僕は世界一幸せかも知れない~~~~! のかな?
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