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恋い焦がれて……
しおりを挟むお兄ちゃんに抱きついた……だって、ずっと我慢してたから……。
悩みは何だって言われて、つい……。
子供の頃は平気で出来たのに、今はずっと抑えていた、抑えて続けていた。
もっと触れたい、もっとギュッとしたい、もっと抱きしめたい、もっと抱きしめて欲しい。
子供の頃なら出来たのに、いつでも出来たのに……。
お兄ちゃんの事を考えると、苦しくなる。
恋い焦がれるって本当の事……お兄ちゃんの事を考えると、身体が熱くなる。
身体が焦げていくように感じる。
痛い、身体が痛い、心が痛い……泣きたくなるくらい、お兄ちゃんの事を考えると、全身に痛みが走る。
でも、お兄ちゃんと手を繋ぐと痛みが和らぐ、お兄ちゃんにくっつくと、熱さが和らぐ、痛みが薄れる。
だから抱きついた、痛みを和らげる為に……。
でも、だけど……和らぐのは一時的……またそれ以上の痛みが走る。
恵ちゃんと仲良く喋っているお兄ちゃんを見ると、息が詰まる、呼吸が出来なくなる。
キャンプの時……窒息しちゃうんじゃないかって……思っていた。
私は……お兄ちゃんとじゃれ合った後、何食わぬ顔をして部屋に駆け込んだ。
そしてベッドに倒れ込み……枕を抱き締める。
まだ身体にお兄ちゃんの感触が、まだ身体にお兄ちゃんの匂いが残っている。
それを堪能する為に、痛みを和らげる為に、枕をギュっと抱き締める。
日に日に好きになって行く、年を取れば取る程に……どんどん好きになっていく。
感謝の気持ちは勿論あるけど、この気持ちは、お兄ちゃんを好きなこの気持ちは……決して同情なんかじゃない
ずっと子供の頃のままでいられたら、お兄ちゃんがずっと私の元に居てくれたら。
私だけのお兄ちゃんでいてくれたら……。
「はあぁ」
私が小6恵さんが中1の時……二人で好きな人の事を言い合った。
同じ人だった……。
お兄ちゃんがずっと苦労していた事を私たちは見てきた。
そして私がどれだけお兄ちゃんに感謝しているか……恵さんは知っている。
だから恵さんは複雑だ……私のお姉ちゃんとしては応援する。
でも一人の女の子としてはライバルだからって言われた。
私も同じ……ううん……少し強がりだけど……。
お兄ちゃんにとって恵さんは妹……そして私は娘……。
だから恵さんは容姿を変えた……大人っぽく見せる為に……まあちょっと失敗してギャルになっちゃったけど。
私もしたいけど、ううんギャルじゃなく大人っぽく……でも私は一緒に住んでる、急にそんな事をしたらお兄ちゃんが心配しちゃう。
今だってそうだ……痛くても苦しくても……お兄ちゃんを見ていたい。大好きなお兄ちゃんに見とれていたい。
でも……それだけでお兄ちゃんは心配しちゃう、それだけで不安になっちゃう。
お兄ちゃんに心配させてしまう。
それじゃ本末転倒だ。
まだ時期じゃない……まだ私は……大人じゃない……お兄ちゃんにとって子供。
お兄ちゃんが私を大人だって、子供じゃないって思った時、そう認めてくれた時、その時に私は告白する。
恵さんも……それまで待ってくれるって……。
私が大人になるまで……大人だってお兄ちゃんから認めてくれるまで……。
その時が来るまで……私は痛みに耐える……熱さに耐える、焦がれる事に耐える。
「耐えられるかなあ……ふえええええぇぇん……お兄ちゃああああん……」
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