幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

文字の大きさ
上 下
61 / 62
役不足と役者不足

雪乃の逆襲

しおりを挟む

「うーーわーー久しぶり~~」
 雪乃さんの家に入るのは何年振りだろうか?
 
「2年前だっけ?」

「そうそう私が留学する時だったよね」
 留学する前、この部屋で雪乃さんの想いを聞いた。
 
 雪乃さんは私達兄妹にコンプレックスを抱いていた事をその時知った。
 私にはともかく、お兄ちゃんにまでコンプレックスとか、ちょっと笑うけど。

 雪乃さんは、小学生の時から薄々お兄ちゃんの才能には気付いていたみたいだけど、私が……まあ、自分で言うのもなんなのだけど、私が天才過ぎるのと、お兄ちゃんが全く努力しない人なので、小5になる迄はそれほど気にしていなかったようだった。

 でも、思春期に入り、改めて周りと比べて、お兄ちゃんの良さを再認識する事になったそうだ。容姿はそれなり、優しくて何でも言うことを聞いてくれて、頭も良く、運動も出来る。
 オタクなのが玉に傷だけど。
 そう考え、そしてお兄ちゃんは自分に釣り合っているか? との思いに至った様だった。
 様だったって言うのは、雪乃さん自身、自分の事がお兄ちゃんを好きかも含めてわかっていないので、私の予測も混じっている為だ。

 私は、そんなの構わないとは思うのだけど、元来負けず嫌いの性格、そして生粋の鈍感娘なので、お兄ちゃんの気持ちどころか、自分の気持ちもわかっていない様子に、私は苦笑し、苦慮した。

 そして私が留学した後、雪乃さんが中学で明後日の方向に行ってしまう。

 陸上で日本一になったらお兄ちゃんに釣り合うのでは……と?

 は? 何を言ってるのかこいつは? そんな事してないでさっさと付き合えば良いのに? と、私はハワイから見ていた雪乃さんからのメールに目を疑った。

 まあ、でも雪乃さんなら可能性が無い事もないし、身近にいない人はお兄ちゃんの魅力等知るよしもないし、当面はほっておいて平気かなと、私は遠い国から二人を見守る事にした。

 そして中学最後の陸上の大会で雪乃さんは全国3位になるも目標には届かず。
 それを聞いた私は、仕方なく雪乃さん義理の姉化計画phase2に移行する事にした。

 とにかく幼なじみで鈍感な二人、他人の事ばかり気にして何も出来ない二人、互いに相手が自分に相応しくないと思っている二人……思い出していたら段々イライラしてきた、なんだこいつら? 小坊か? 今時の小学生の方がよっぽど進んでるよ!

 後ついでに言っておくけど、私の相手を気にしてた奴! ほっといて、ボーイフレンドくらい、いるから! 「お兄ちゃんと一緒にしないで!」 

「か、楓ちゃん?」

「え? あ、ううん、つい怒りの矛先がって、何でもないよ、あ、紅茶美味しいねえ~~」
 私は雪乃さんの部屋で、雪乃さんが入れてくれた紅茶を一飲みする。はあ、良い香り、落ち着くなあ……。

「……楓ちゃん……それコーヒー……」

「……えっと……そ、それで、お兄ちゃんの仲のいい人がいるって話だっけ?」

「そうなの……なんか凄く雰囲気がよくって……」

「へーー、そうなんだ、お兄ちゃん綾波さんとそこまで……」

「──あれ? 私……楓ちゃんに綾波さんの名前って言ったっけ?」

「え! ああ、えっと……こ、この間言ってたよ! 確か!」

「そうだっけ? まあ、その綾波さんと涼ちゃんが凄く怪しいの、ひょっとして……あの二人付き合ってるのかも……」
 雪乃さんの表情がどんよりと曇る……ああ、もうこれで自分が好きかどうかわからないとか、本当に鈍感にも程がある。
 かといって、私が貴女はお兄ちゃんが好きなの! とか言うと、私に言われたからそんな気がするかも……みたいに思われても困るし。
 
 やっぱりそこは自分で気付いて貰わないと……。

「いや、まだ付き合ってはいないみたい」

「そ、そうなの?!」
 雪乃さんの表情がパッと明るくなった……はぁ……めんどくさいなあ。

「えっとまあ、綾波さんは置いといて、とりあえず雪乃さんとお兄ちゃんのリセットは完了してる。今お兄ちゃんと雪乃さんは0の状態だから、これから男女の関係を築いて行けばいいんだからね?」

「……き、嫌われてないよね?」
 泣きそうな顔で私を見つめる雪乃さん。
 ああ、もう可愛いなあ……。

「嫌われてはいないと、思う……けど……」

「け、けど?」

「雪乃さんの子供の頃から今までの態度とか対応とか、その関係、幼なじみって事、その全てをリセットした事で、お兄ちゃんは今雪乃さんに対して疑心暗鬼になってるかも知れない」

「……そんな……」

「でも大丈夫、だから保険をかけておいたんだから、一応お兄ちゃんの仮の恋人って事で」

「な、なるほど……」

「お兄ちゃん堅物だから、もし誰かと付き合うって決めたら、まず雪乃さんに仮の恋人関係を解消する筈、それを言って来ない内は大丈夫だよ」

「な、なるほど! さすが楓ちゃん! さすが天才!」

「それほどでも~~」

「それで、それで、これからどうしよう? どうやって関係を築くの?」

「うーーん、そうだねえ……それは自分で考えて欲しい所だけど、幼なじみの関係をリセットしたのは、ちょっとやり過ぎた感があるし……じゃあちょっとだけ手助けしてあげる」
 私はそう言うとスマホを取り出し、とあるサイトを見せた。

「ここに、私とお兄ちゃんと3人で一緒に行こう、段取り組んであげる」

「えええ!?」

 ふふふ、さあ始めよう、雪乃さんの逆襲を!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...