幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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綾波明日菜の正体

神の目線?

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「お兄ちゃんと同じ学校なんだ、頭いいんだねえ」

「いえ……」

「来年私も入るから、宜しくね先輩」

「……あ、はい」
 それはさりげに自分の事を自慢しているのでは?
 余裕な表情の楓さんに私は相変わらずオドオドしていた。
 私と楓さんはあれから二人で近くの喫茶店に入っていた。
 夏休みではあったが、平日とあって店内はそれほど混んではいない……とはいえ、私達の格好に周囲は注目していた。

 なれているのか? 店員さんはそれほど驚いた顔をせずに注文を聞きに来たので、楓さんはアイスコーヒ、私はアイスカフェラテを注文する。

 私の目の前に座る楓さん、サングラスを外し髪をおろした姿は、やはり兄妹なのか? どことなく日下部君の面影があった。

 そうか、日下部君て実は可愛いんだ……って思ってしまう程に妹ちゃんは可愛い。

「それで、なんであんな所でお兄ちゃんの事を見ていたの?」
 自分の事を差し置いてまずそれを聞くか? とは思ったけど、相手は身内、私は、お姉ちゃんとの関係を言えない……。

「えっと……あの……日下部君が……綾って人と会うっていうのを聞いて……それで心配で」

「────えええ! あ、あれが綾?」

「え、あ、うん……多分?」

「──マジか……お兄ちゃん……神ってそういう事か……」

 何やら考え事を始める妹ちゃん……なんかこの娘……日下部君とは正反対の性格な気がする。
 まあ……双子の私とお姉ちゃんが正反対な性格なのでお前が言うなって事なんだろうけど……。

「なんで綾と知り合ったんだろう? お兄ちゃんがまさか芸能人と付き合ってるってなんて」

「え? いや、多分付き合ってはいないと……そして綾は芸能人ではない様な……」

「そうなの?」

「あ、多分……まだ」

「詳しいね」

「あ、えっと、多分……」
 ニコニコと笑う妹ちゃん……でも……その目は笑っていない……。
 私の中の警報装置が鳴り響く……この娘は危ないって……まあ、あんな物を懐に隠し持っている時点で危なすぎるけど……まさか本物じゃないよね?

「それで、綾波さんは、お兄ちゃんが好きなの? まあ、後をつける位なんだから聞くまでもないか」
 妹ちゃんが真顔になって射る様な目で私を見た。その時私の中を、考えを、心の中を読まれた様な、そんな気持ちになる。
 
「…………」

「──まあ、まだ知り合ったばかりって感じかな?」

「……あ、はい……」

「──そか……お兄ちゃんには雪乃さんってずっと好きな幼なじみがいるのは知ってる?」

「え? あ、うん……でも最近裏切られたって……」

「……そうか、そこまで知ってるのか、それでお兄ちゃんの事が好きって事なんだ~~」

「……」
 なんだろう……この私はなんでも知ってるっていう様な言い回しは?
 なにか……日下部君を中心に俯瞰で見ている様な、神目線な様な……例えていうのならば、妹が大好きな作家が書いている本のキャラクターの様なそんなイメージ……。

「うーーん、とりあえず連絡先だけでも教えて貰えるかな? それでこの後なんだけど、多分二人は買い物をしている筈、でも二人でお兄ちゃんの後をつけるとバレるから私が調べて、何があったか後で送るから」

 だから私は帰れと? でも確かにそれも一理ある。
 この妹ちゃんの言う事は信用出来ないけど、でも……帰ってきたお姉ちゃんの話と妹ちゃんの話を合わせれば、ある程度の事が想像出来るかも知れない。

 そもそも嘘をついているのは、隠し事をしているのは私なのだから。

 私は妹ちゃんにアドレスを教えた。

「じゃあ、私行くから」
 もう用は済んだとばかりに妹ちゃんは立ち上がると、伝票を持ってレジに向かう。

「あ、お金」

「いいのいいの、じゃあ……またね」
 そう言って伝票をヒラヒラさせてその場を後にする妹ちゃん。

 その後ろ姿を見て……私は不安が過った。
 いいのだろうか? この娘と絡んで……でも日下部君とこれ以上仲良くなるなら、この妹ちゃんとも仲良くならなければいけない……。

 そう思いながら、妹ちゃんの背中をじっと見つめていた。
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