幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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綾波明日菜の正体

クマポン(´(ェ)`)

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 妹が部屋から出てこない……。

 今日の更新もまだしていない……そもそも……お腹減った。
 食事を作るのは明日菜の仕事……て言うか私に料理とか無理~~。

「明日奈ぁお腹減ったよお~~あと今日の更新まだ……」

「ひ、ひうううう!」

 明日奈の部屋の扉を開けると明日奈はベットの上で、誕生日に貰った大きな熊のぬいぐるみに顔を埋めて泣いていた……。
 本当にこの子はいつまでたっても変わらない……小さなころからいつもこうやって一人で泣いている。

「お、おねいひゃん! ノックしてってええええ」

「……はいはい、ごめんごめん……で? どうしたの? また学校で虐められた?」

「──今、夏休みだし……」
 ……夏休みじゃなかったら虐められているのか? って突っ込みはとりあえず飲み込む。

「そかそか、仕事仕事で今夏休みって事を忘れかけてた──で? どうしたの?」

「…………言いたくない」
 妹は熊さんのぬいぐるみ、通称『くまぽん』をギュって抱きしめながら上目づかいで私を見てそう言った。
 ちなみに妹が名付けた『あやぽん』の愛称はこの、『くまぽん』から取ったと思われる。
 うーーん、でも、相変わらず可愛いねえ、うちの妹は……こういう事を自然とやっちゃうのがこの妹と私の違いなんだよねえ……やっぱ私は可愛いって感覚が欠落してるのかしら?

「……じゃあ、私関係? 綾関係?」

「──だから……言いたくない」

「そかそか、両方か」

「う、うえーーーーん、何でわかるのおおお」

「マジバカ、何年双子やってると思ってるの?」

「…………」

「そう言えば昼出掛けてたわよね? あと一昨日からスマホ見てウキウキしてたし……そうか……例の王子様か」

「だーーーーかーーーーらーーーー言いたくないって!」

「──なるほど、彼から言われた? 私と会った事」

「…………うん」
 まあ、口止めしてなかったからなあ、でも、普通言っちゃうかねえ? 他の女の話を……。
 こりゃ脈無しかな? まあ、この妹じゃあ、中々恋愛に発展しないよなあ……素顔を晒せば大抵の男は墜ちると思うんだけど……特に彼なら……。

「ごめんて、別に──秘密にしていたわけじゃないんだけどね」

「──嘘……お姉ちゃん……いつも私に隠し事ばっかり……」

「だってさあ、明日菜は私に気ばっかり使うし、一人で溜め込むし、今回だってどうせそうなんでしょ?」

「ち、違う……ただ……」

「ただ?」
 
「──お、お姉ちゃん……ひょっとして……日下部君の事……好き? もしかして……付き合ってる?」

「…………は?」

「だ、だって……この間海から帰って来た時、お姉ちゃん物凄く機嫌良かったし、物凄く楽しそうにしてたし……今回だってもしかして……待ち合わせとかしてたのかも……って」

「な、何バカな事を……」

「お姉ちゃん! お姉ちゃん日下部君の事、好きなの?!」
 目を潤ませ懇願するかの様に私に向かってそう聞いてくる妹……全くこの……アホ妹は……。
 
「……そうよ…………って言ったら……明日菜はどうするの?」

「……わ、私は……ただの……友達だから……」

「どこが、ただの……よ」

「でも、日下部君は……綾が好きなの……綾はお姉ちゃんだし……私なんかじゃ……敵わない」

「またそれ、今は明日菜も綾でしょ! そもそも私達は双子じゃない!」

「──でも、でも……私は……お姉ちゃんみたいには……なれない」

「……だから? なれないから何? へーー、そうか……じゃあ日下部君は諦めて私に譲ってくれるのね?」

「……譲も何も……始めから日下部君は……お姉ちゃんの事が……」

「──あっそ、わかった……」
 私はポケットからスマホを取り出すと、ポチポチとぎこちなくメッセージを打ち込む。
 そしてその画面を明日菜に見せた。

『日下部君、明日暇? ちょっと付き合いなさい、池袋のイケフクロウの前で待ち合わせね! 12時よ!』

「これ……送っていい?」

「……やっぱり……連絡先知ってたんだ」

「そうよ、でもまだメッセージを送った事はないし、送られても来ない」

「……私は……別に……」

「……あっそ! じゃあ、誘惑しちゃおっと!」
 私はそう行って送信ボタンを押した。
 そして……そのまま踵を返し明日菜の部屋から出ていく。

 明日菜を見ずに、背中を向けたまま乱暴に扉を閉めた。
 そして私は少しだけ後悔する。

 それは、明日、日下部君に会う事ではない……。

「はあぁ……お腹空いたなあ……」
 これによって今日の晩御飯は恐らく……カップ麺になってしまう事に……私は少しだけ後悔した。

『ええええええ! い、行きます』
 そして……程なくして、スマホから日下部君のメッセージが届いた。


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