幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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綾波明日菜の正体

ケバブって匂いきつくない?

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 き、緊張する……まさか……こんな事になるなんて……。
 お、俺の隣にあやぽんががが……神が天使が俺の隣にいる!

 し、しかも! 密着しているんだぜ、どうだざまあみろ!
 一体俺は誰に言ってるんだ、いや世の中の男全員、なんなら全人類にざまあみろって言いたい!
 
「俺は今全人類の頂点に! 神に!」

「何言ってるんだか」
 いや、ついつい声にでてしまった、でも本当なんだから仕方ない!
 そうだついでに雪乃にもざまあって、幼馴染にざまあみろって言っておこう!

「ななな、なにを言ってるんですか、貴女は天使なんですよ? 奇跡なんですよ?」

「ふん、天使なんて今どきお隣にいるでしょ?」

「それはラノベの……って、……なんであやぽ……いえ、綾さんがラノベなんて?」
 まさかあやぽんが隠れオタクで俺と同じラノベ趣味を持っているなんて漫画みたいな展開に?!

「ああ、いも……」

「いも?」

「いも~~恋ってお菓子どこかで見た気が、あれ買いたかったな~~」

「……なんで今それ?」
 どう考えてもなにか誤魔化している様な?

「いいから、あ、ちょっと写真撮って来るから待ってて」
 あやぽんはそう言って俺から離れると、ステージや持ち上がっている観客をパシャパシャと撮り始めた。
 誤魔化された……でも、なんか明るい人だな~~、綾波とは大違い……綾波……。
 そうだとばかりに俺はあやぽんを眺めながら、スマホを手に取る。
 俺は今あやぽん様と一緒にいるというこの乗りに乗っている運気と、さっきのあやぽんの歌で貰った勇気を込め、ここぞとばかりに綾波にメッセージを送った。

『突然でごめん! 明後日……また一緒に本屋にいかない?』
 無理にとは言わない、ダメなら断っても……そう続きを打っていると、既読のマークが付いた。
 そして……。
『いいよ~~楽しみ( *´艸`)』

 ふ、ふおおおおお! か、可愛い……やべえ、あやぽんの次に可愛すぎる。

「何ニコニコスマホ眺めてんの?」
 俺が綾波のメッセージを見てにやけていると、あやぽんが写真を撮るのを終え、俺の目の前に……。

「い、いえ……なんでも!」
 声が裏返ってしまう……。

「ふ~~ん……なんか浮気している男の顔してる」
 あやぽんが俺の顔を覗き込む……。

「まさか!俺は綾さん一筋ですから!」

「ふん! どうだか……まあいいわ、はい、じゃあ次はフードエリアね、奢ってあげる」

「え? そ、そんな、悪いです!」
 こんな近くにいてくれるだけで、もう有り金全部払ってでも足りないくらいなのに。
 てか、マジで後から請求されるかもと、ドキドキしているんだけど

「いいから、いいから、バイト代とおもって」
 そう言ってニッコリ笑うあやぽん……あれ? 俺なんで今あやぽんが笑ってるのがわかったんだ?
 勿論口角が横に広がっているからなんだけど、なんだろうか? あやぽんの見えない目が俺に見えている様な……まるで綾波と話をしている様な……そんな錯覚に陥った。

 でも、そんなわけない……さっきあやぽんが撮影している時に綾波から返信が来たのだから。
 でも、なにかと似ている……一度は疑った事も……。

「まあ、そもそもあいつがモデルなんて、出来るわけないか……ははは」

「なんか言った?」

「いいえ、ケバブとか食べたいな~~って」

「あるかなあ? でもあれ結構匂いきつくない?」」

「それがいいんですよ!」
 あやぽんは相変わらず俺の腕に自分の腕を絡めている。
 恋人の振り、変装の一環、人混みからはぐれない様になんだろうけど……。
 でも、それでも俺は今物凄く楽しいって思った……少しずつ緊張が解れて来て、今、まるで本当にあやぽんとデートしている様な、そんな気になってきた。
 
 そして、俺は……心の奥でなぜか綾波に「ごめん」って謝っていた。
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