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幼なじみと隣の席の女の子

神対応

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「うーーわ……うーーわ……やべ、うーーわ」
 あれから俺は海からの帰路、電車の中でずっと……うわ言の様にそう繰り返し呟いていた。
 だって神と遭遇したんだぜ? 女神との遭遇……何か人生の全ての運を使い切った……いや来世の運まで使い切ってもあり得ない程のラッキーを体験してしまった。

「はあああぁぁ…………あやぽん……美し過ぎる……」
 俺は今までこの世で一番美しい人は雪乃だって小学生の頃からそう思っていた。でもあやぽんを初めて見た時の衝撃は今でも忘れられない。
 雪乃よりも数段綺麗な人がこの世に存在したなんて……と、そう思った。
 でも、今日俺はあやぽんを見て、間近にこの目で見て思った。あの美しさは内面からにじみ出ているのではないかと? 俺はそう思った。そう思わされてしまった。

「ああ、可愛い、綺麗、美しい、可憐、この世の誉め言葉を全部言っても足りないよ……ましてや俺なんかと話をしてくれるなんて……天使かよ、女神かよ、ああ……なんて心の綺麗な人なんだ……」

 同じ年とは思えない見事なプロポーション……スラッと伸びた足、細くて長い腕、括れた腰、胸の形なんてもう素晴らしくて……。

「ああ、駄目だ、あやぽんをそんな目で見ちゃ駄目だ!」
 俺はポカポカと自分の頭を叩いた。
 神様を女神様を天使様をそんなエロい目で見るなんて許されない。
 でも、俺の頭からあやぽんの水着姿がいつまでも離れない……。

 あんな至近距離で……。
 綺麗だった、目も鼻も口も手も足そして身体も……全部が輝いていた。

「そうだ……触っちゃったんだ」
 俺は自分の手をじっと見つめる……あやぽんのおみ足に俺は触ってしまったのだ。
 実物だった、実際に存在していた。かみました……いや、神はいた。

「しかも……名前聞かれちゃった……覚えておくって言われた……」
 聞き間違いかと思った……でも間違いない、復唱までしてくれた。
 なんて神対応なのだろうか、やはりあやぽんは女神なんだろうか?

「誰にでも? いや、俺だけ、まさかね……でも、うへへへ、うへえ」
 ひょっとしてあやぽんは……俺に興味を持ってくれたのかも? 同じ年だったし……同じ高校生だったし。

「やべえやべえよ、今度会いに行ったら……手を振ってくれたり? 楽屋に呼ばれたり? 恋人宣言なんて、あひゃあ……」
 俺の中でありもしない妄想が膨らむ……わかってる……雪乃と一緒で俺には手の届かない人……高嶺の花だって事くらいは、わかっている。
 でも、妄想くらいは良いだろ? それくらいは良いよね?

 一緒に海を眺めたあの光景を俺は一生忘れない……。水着姿のあやぽんを俺は一生忘れないだろう。

「あれ?」
 気が付くと俺の周りには誰もいなかった……他の乗客は遠目から俺をチラチラと見ながらヒソヒソと話をしている。

 やってしまった……俺は……慌てて目をつむり寝た振りをした。
 目の奥にはあやぽんの水着姿が浮かぶ。
 そして……俺は、再びあやぽんの事を思い浮かべる。

 今度は……あやぽんとデートをしている妄想をしながら……俺は家路に着いた。

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