幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

文字の大きさ
上 下
2 / 62
幼なじみと隣の席の女の子

あやぽん命

しおりを挟む

 雪乃の友達から間接的に、雪乃の気持ちを、俺の事をキモイって言っていた事を聞いてしまってから数日、俺は家でずっと泣いていた、泣き続けた。
 
 学校にも行かずにずっと……。
 高校入学は既に決まっている。雪乃に会いたい一心で、サボる事もなかった。
 なので、卒業も問題ない。
 
 でも……それが逆に俺の心を空虚にした。

 空っぽだった。雪乃が俺の心からいなくなったら、俺の中が空っぽになった。

 小学2年から好きだった……大好きだった。
 俺の心の中の全てが、頭の中の全てが、雪乃一色だった。

 その雪乃の気持ちを知ってしまった。俺は雪乃に利用されていた、だけだった。
 思えば昔からそうだった。雪乃はそういう奴だって今さらながらに気付かされた。
 あいつは……自分の目的の為には手段を選ばない……。
 陸上や勉強、人付き合い、そのどれも自分がやり易い様に、やりたい様に環境を作る。そしてその一つが外面の良さだ。
 あの笑顔に皆騙される。笑顔の向こう側は誰にも見せない。
 子供の頃……俺にだけは見せていた。だから俺は雪乃の特別だってそう思ってきた。
 でも……違った……。もう俺は雪乃の特別ではなくなったんだ……。
 そう……気づかされてしまった。

「同じ高校……か……ううう……」
 雪乃しかいない俺は他の高校を受けなかった。雪乃と同じ学校に通えるなら、浪人してもいいとさえ思っていた。


 それでも忘れる事は出来ない。そもそも今でも直ぐ近く住んでいるのだから……。

 
「もう駄目だあ……生きていく希望が無いいぃ」
 見返してやる、高校に入って可愛い彼女を作ってやるって、そう決心したけれど、そもそも今が、現在が耐えられない。

 このまま入学まで、空っぽのまま、空虚のまま生活しなければならないのか?
 そして、本当に高校で彼女を作る事が出来るのか?

 俺は不安に駆られていた。

 しかし、俺の心に一陣の風が吹く。
 心の中のモヤモヤした気持ちを、雪乃という心の隅に蔓延る異物を晴らしてくれる風が……。

「え? か、可愛い……誰?」
 何気に見ていたスマホの画面に、俺好みの女の子が映っていた。
 一言で言えば可憐という言葉がしっくりくる少女だった。

 インフルエンサー? モデル? 綾? あやぽん?
 彼女が着た服は瞬く間に売れていくとか? 
 数百万のフォロワー数の【インスト】には、彼女のおしゃれな服を身に纏った写真が数多くアップされとんでもないアクセスを稼ぎだし、ご飯を食べただけなのに【チイッター】には、とんでもない数のいいねが付いていた。

 でも、それよりも俺が気になったのは、彼女の表情だった。
 ほのかに恥ずかしそうな彼女の表情に俺の心がかき乱される。

 他のモデルと映っていても、彼女だけは恥ずかしそうに、照れくさそうに映っていた。

「か、可愛い……まじで可愛すぎる……」
 俺はその笑顔に一瞬で魅了された。
 ずっと雪乃だけだったから──だからずっと興味が無かった。他の女子には興味を持てなかった。

 俺は雪乃以外で初めて興味を抱く女子を見つけた。勿論3次元の女子をだ……。

 そこから俺はずっとスマホを見ていた。自信満々な顔で、どうだと言わんばかりにポーズしているモデル達の中で、あやぽんだけは異質だった。

 彼女は常に控え目なのだ。
 モデル数人で並んでいても、彼女だけは恥ずかしそうに、一歩下がって写っている。
 ポーズもどことなく、おとなしめで、プロとしてはどうかと思うけど、でも俺の心にはそんな彼女の姿が、ズブズブと突き刺さる、

 元来のオタク気質のせいなのか? 俺が彼女の虜に、雪乃を忘れ彼女に夢中になるには、そう時間が掛からなかった。

 ぽっかりと空いた雪乃と言う穴に、すっぽりとあやぽんがはまってしまった。

 俺の心の空洞をあやぽんが、しっかりと埋めてくれた。

 そう……俺はあやぽんに助けられた。

 そして俺は高校入学まで、いや、入学してからもずっとあやぽんを見続けた。
 ネットで追いかけ、雑誌を買い、イベントへ赴いた。

 俺の全てが雪乃からあやぽん変わった。

 え? 雪乃を見返す? 何それ? 美味しいの? いや、そんな事よりも今は、時代はあやぽんでしょう?
 
 あやぽん以上の女の子なんていないのだから……。

 俺はもう、あやぽんさえいればいい。雪乃も、幼馴染みも、恋人も、友達さえもいらない……。

 俺には……あやぽんだけで、彼女が見れるだけでいい……。

 それだけで良かった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...