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第十話 ぱっちのおっさん「張り切ります!」
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「せっしょうですわ~」
泣きながらぱっちのおっさんがすっぴんのおばはんのズボンの裾にすがりついた。
ふわんふわん上下に揺れて。
体格からびたんびたんしそうなもんやけどやっぱ重力が違うっぽいな。
「カンニンや姉さん~」
うわああああん
号泣やな。
ことの発端は、最近雨が続いてるなーっちゅう何気ないぱっちのおっさんのつぶやきからだった。
湿気が多いとなんやと腐りやすいから。
私は冷蔵庫に置いてある調味料の賞味期限の確認と、冷凍庫の整理整頓をしつつ、ぱっちのおっさんはそれを眺めながらキッチンの蛇口から顔だけ出している。器用やな。
キッチンの作業台に並べられた賞味期限切れの調味料たち。その中のひとつに目をつけたぱっちのおっさんが慌てる。
「ちょい待ち、姉さん。それ、黒砂糖やないか?、それどないするんや、黒砂糖なんか腐ったりせんやろー。」
「んー。」
ピコッピコピ
冷蔵庫の扉を開けていると注意音が鳴り出したので閉めた。
「黒砂糖たまに舐めると体にええんやで?」
「んー。」
でもこれ貰いもんやしな。欲しくて買ったやつちゃうし。貰いもんやから捨てられんと冷蔵庫に何年も寝かせて……ある割には量減ってるな。
海苔の長丸い筒のような入れ物に入った黒砂糖が上の方に隙間ができている。開封してないのに。
扉を開ける。
「あかーん!、黒砂糖は捨てたらあかーん。しかもこれ沖縄の地元で人気のレアもんなんやで?」
いや知らんし。貰いもんやし。開けてないのに中身減ってるとか怖いし、怖いことすんなや。
「黒砂糖は隠し味にも使えるで?」
「んー。」
すっきりー。冷蔵庫の棚スッキリして気持ちええわー。開封済みのお好み焼きの粉が三つも見つけたんはびっくりや。まあまだ使えるやろ。
「粉は残しとくのに、黒砂糖もその隣にちょっと残しといてもええやないかーっ」
いつのまにか蛇口から抜け出したぱっちのおっさんがすっぴんのおばはんのズボンにしがみついている。
「粉はすぐ使うやん。黒砂糖は食べへん。」
「食べるもん!、僕食べるから!」
「なんでぱっちのおっさんしか食べへん黒砂糖わざわざ置いとかなあかんねん。」
そんなに欲しいんやったら持っていけや。
「ここに隠しとかな他の奴に食べられてまうねん。ここにしか置いとくとこないねん。」
でもなあー十年以上あるしなー。
「せっしょうですわ~」
と、こう繋がるのである。
「せや!」
ええこと閃いた感のキラキラな瞳。
わざとらしい。このおっさんどっか胡散臭いねんな。
「冷蔵庫の棚の上の方の奥の方なら目につかんから置いといても気にならんやろ?、そうしてくれたら僕、たまに冷蔵庫の片付け手伝います。冷蔵庫の中いつも片付いてあるの、気持ちええんちゃいますか?、僕が片付けます!」
必死。必死やなぱっちのおっさん。
黒砂糖……妖精の好物とちゃうか?
他の奴にとられる言うてたしな。……そこから察するに、他の奴に自慢してるか、あるいは賭け事につこてるとかやな。
「僕、黒砂糖たまに口に入れると体調すごくよくなりますねん。焼酎と黒砂糖で何杯でもいけますねん!」
やっぱ勝手に飲んどるやないか。
「冷蔵庫、片付いてないな思たら捨てるからな?」
「はい!、張り切りますーう!」
キラキラキラキラ!
胡散臭いわー。
泣きながらぱっちのおっさんがすっぴんのおばはんのズボンの裾にすがりついた。
ふわんふわん上下に揺れて。
体格からびたんびたんしそうなもんやけどやっぱ重力が違うっぽいな。
「カンニンや姉さん~」
うわああああん
号泣やな。
ことの発端は、最近雨が続いてるなーっちゅう何気ないぱっちのおっさんのつぶやきからだった。
湿気が多いとなんやと腐りやすいから。
私は冷蔵庫に置いてある調味料の賞味期限の確認と、冷凍庫の整理整頓をしつつ、ぱっちのおっさんはそれを眺めながらキッチンの蛇口から顔だけ出している。器用やな。
キッチンの作業台に並べられた賞味期限切れの調味料たち。その中のひとつに目をつけたぱっちのおっさんが慌てる。
「ちょい待ち、姉さん。それ、黒砂糖やないか?、それどないするんや、黒砂糖なんか腐ったりせんやろー。」
「んー。」
ピコッピコピ
冷蔵庫の扉を開けていると注意音が鳴り出したので閉めた。
「黒砂糖たまに舐めると体にええんやで?」
「んー。」
でもこれ貰いもんやしな。欲しくて買ったやつちゃうし。貰いもんやから捨てられんと冷蔵庫に何年も寝かせて……ある割には量減ってるな。
海苔の長丸い筒のような入れ物に入った黒砂糖が上の方に隙間ができている。開封してないのに。
扉を開ける。
「あかーん!、黒砂糖は捨てたらあかーん。しかもこれ沖縄の地元で人気のレアもんなんやで?」
いや知らんし。貰いもんやし。開けてないのに中身減ってるとか怖いし、怖いことすんなや。
「黒砂糖は隠し味にも使えるで?」
「んー。」
すっきりー。冷蔵庫の棚スッキリして気持ちええわー。開封済みのお好み焼きの粉が三つも見つけたんはびっくりや。まあまだ使えるやろ。
「粉は残しとくのに、黒砂糖もその隣にちょっと残しといてもええやないかーっ」
いつのまにか蛇口から抜け出したぱっちのおっさんがすっぴんのおばはんのズボンにしがみついている。
「粉はすぐ使うやん。黒砂糖は食べへん。」
「食べるもん!、僕食べるから!」
「なんでぱっちのおっさんしか食べへん黒砂糖わざわざ置いとかなあかんねん。」
そんなに欲しいんやったら持っていけや。
「ここに隠しとかな他の奴に食べられてまうねん。ここにしか置いとくとこないねん。」
でもなあー十年以上あるしなー。
「せっしょうですわ~」
と、こう繋がるのである。
「せや!」
ええこと閃いた感のキラキラな瞳。
わざとらしい。このおっさんどっか胡散臭いねんな。
「冷蔵庫の棚の上の方の奥の方なら目につかんから置いといても気にならんやろ?、そうしてくれたら僕、たまに冷蔵庫の片付け手伝います。冷蔵庫の中いつも片付いてあるの、気持ちええんちゃいますか?、僕が片付けます!」
必死。必死やなぱっちのおっさん。
黒砂糖……妖精の好物とちゃうか?
他の奴にとられる言うてたしな。……そこから察するに、他の奴に自慢してるか、あるいは賭け事につこてるとかやな。
「僕、黒砂糖たまに口に入れると体調すごくよくなりますねん。焼酎と黒砂糖で何杯でもいけますねん!」
やっぱ勝手に飲んどるやないか。
「冷蔵庫、片付いてないな思たら捨てるからな?」
「はい!、張り切りますーう!」
キラキラキラキラ!
胡散臭いわー。
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