ぱっちのおっさん

蘭爾由

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第三話 ぱっちのおっさん「ぶへぇっくしょい」

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晩御飯は牛肉とキャベツに焼肉のタレかけたやつ。やっぱ男の子は肉食わせといたら文句ないやろ。

「オカン最近手抜き飯多いな。無駄に不倫でもしてるんか。」

「は?、いやいや、それ真顔で食べながら言う?、本気か冗談かわからんやつ。」

「冗談ではないな。食べながらの方がマジで不倫してた場合の衝撃を緩和出来るかと思て。」

「最近の中学生男子は直球なんか、よう母親の性事情に恥ずかしがらんと首突っ込めるな?」

「オカンがオカンやからな。友達に聞いたら親が、しかも母親が小学生男子にゴムの使い方教えたりせーへんらしいぞ。」

「え、マジで?、てか普通に考えて息子の羞恥心固まる年齢の前に性教育した方が楽やん。さすがに今更アンタにゴムの手解きする気にはならんで?、恥ずかしすぎる。」

はあ……。息子が食べてる箸を置いて、ため息を吐きながら母親を見る。
「ゴムの話しはもうやめてくれ、さすがに肉が喉を通らん。」

「え、私のせい?」

黙々と食べ始める息子。

うーわ。完全に冤罪やん。
「そういえば、またぱっちのおっさん出てきたで。」

「オカンの不倫相手ぱっちのおっさんやったら俺許すわ。」

「どっちゃでもええわ。いやあかん。何言うてんねん、言うとくけどあれやで?、ぱっちのおっさんは思うてるよりぱっちのおっさんやからな?」

「パンチか?」

「あほか。パンチパーマやったらパンチのおっさんやろ。股引きももひきのぱっちやからぱっちのおっさんやで?」

「ふーん。」

「そのどうでもいい感じの返事でママが傷付くとは思わんの?酷い子やで。」

「誰がママやねん、肉まずくなる。」

「酷い!」

「俺もう完食しそうやけどその話しまだ長くなる?」

「アンタにはもうぱっちのおっさんの話ししたらへん。」

「どうせ明日になったら機嫌直ってまた話しだすくせに。ごちそーさまでした。」

「明日は明日やん。あと、いらん心配せんでも不倫しておりません。」

「へーい。俺、風呂二番ね。」
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