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18 その時は突然やってきた 2

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 彼は優しく押し込んで来る。

「初めてはどれだけ愛撫しても、媚薬を使っても痛いのは仕方ないと聞く。少しだけ耐えてくれ。もう少しだから」
「ーーッ」

 ごめんね愛しい俺の姫。俺だけのティナ……愛してるよと体が重なり口が塞がれた。入れてるのに慣れるまで動かさないからねって。キスや体の気持ちよさに集中してしてと耳を舐める。クチュクチュとされると気持ちいい。ほんのり痛いけどそれはそれで気持ちいい。大切だと言う気持ちが伝わる優しい手付きとキスで、痛みなんか気にならず、ふわふわしてハァハァとしだした。

「辛い?」
「ハァハァ……そんなには」
「よかった」

 長い時間丁寧に体に刺激をくれる。特に胸を揉まれ乳首を吸われると気持ちいい。これなに?と見上げると殿下はティナと優しい声。汗ばんだ私の髪を手のひらで撫で上げた。

「そろそろ動くけどまだ痛い?」
「それほどでも」
「よかった。辛かったら言って。無理はしなくていい」
「うん」

 ゆっくりと腰を振り出した。痛みは弱いけど異物感は大きい。なのにさっき刺激されたところは気持ちいい気がする?

「アッンんっで、殿下ぁ」
「名前を呼んでよ」
「ウッサイラスぅ怖いのに気持ちいいのッ変なのッ」
「俺もだ」

 彼と繋がったのを嬉しく思った。胸になにか来るものがある。擦られてるうちに痛みはほとんど気にならず、ここもねって動きを止めて指先で私の敏感な先をコロコロと撫でる。

「始めては俺を受け入れるだけでも辛いだろから、ゆっくりと慣れよう。痛いとか苦しいならすぐに言ってくれ」
「うん」

 全く痛くないと言えば嘘だけど、あちこち触れられているうちにさっきみたいな快感が湧き起こる。連動するように中の擦られてた場所も。初めはなんにも感じなかったのに長い時間と共に……うっふっううっアッ……体に力が入る。痛みは気にならない。

「ティナ。かわいいよ」
「あっうっ……ッダメ……あっ」

 気持ちよさにふわふわ。動く彼のものが刺激になって勝手にあそこも体もギュッと力が入る。自分の脚の間に彼がいるのも不思議だし、でもなんだろう。肌が触れ合うのがとても気持ちいい。人の肌って好きかも。

「ティナ。気持ちよさに集中して」
「く……っ」

 勝手に腰が反る。これなに?と思ってると早く擦られた。そしてあの強い快感が増える。沸き上がる快感はどんどん強くなりもっと欲しい。あの強い快感が来そうでもっとと。

「もっと…アッ……アアッンーッ」
「うん。愛してるよティナ」

 中の快感が頂点になると腰が上がり全身に力が勝手に。全身がキューとして激しい快感ッ。頭は気持ちいいしか分かんなくなり、痛みはあんまりだけど異物感は変わんない。ンーッ後はふわふわする。すると、

「気持ちよかった?苦しくない?」
「ハァハァ……うん」

 ベッドを共にするとは……気持ちよさもだけど裸で抱き合えることの方が嬉しいかな。彼の男の部分というのかな?普段とは違う男の部分が見えた気がした。殿方にはこんな一面もあるのかと。そしてとても大切に思われてるのも感じた。痛くない?辛くない?と何度も聞いてくれたもん。

「俺に抱かれるの嫌と感じる?」
「それはないです。優しくしてくれたのは感じましたから」
「そっか。俺は君に嫌われたくない。とても愛してるから」
「はい」

 もう少し付き合ってと私の脚を掴み激しくなった。アッんフッアッ……ンンッそんな声しか出ない。背中に手を入れ俺にも腕を回してと。抱き合うと、食べられてるみたいになる。

「ハァハァ……ティナ。ティナ……愛してる」
「う、ウーッ」

 息苦しいほど舌を絡め求めてきて、揺れるだけになっていた。とても硬くて奥をゴンゴンと押される。

「いい……ずっとこうしたかった。俺のティナ」

 するとドンッと奥に押し込まれ目を開けた。サイラスはグッと喉を鳴らし腕に力が入る。少しすると力が抜け、私の上に落ちてきた。ハァハァとしながら。重い。でものこの重さも嬉しく感じた。

「抜くね」
「うん」

 ぬるりと萎えた股間が離れると、少しあった痛みはなくなる。胸に乗る彼を見上げると、

「平気?」
「うん」

 彼は優しい手つきで私の顔の髪をよけ、ティナと軽くキスして微笑む。こうして交わっていればいつか子が出来る。今回で出来るかもしれないねって。

「ああそれはないです。月のものが終わったばかりですから」
「君ねえ」

 明らかに呆れられた。でもそう習ったもん。月のものと月のものとの間くらいが一番出来るらしいって。するとそういうのはぶっちゃけないのって人差し指で口を塞がれた。ごめんなさい。まあいいと横に降りて私を抱く。

「こんな時は色っぽいままでいてくれよ。君はもう」
「ごめんなさい。努力します」

 あれ?空気を読んでなかったかと彼の胸に顔を隠した。どうも私は彼の前だと情緒が足りなくなる。……元が女の子らしくないのかも。どこかその成分が足りない気はする。

「でも今後俺に溺れればこうはならないさ」
「はえ?」

 性欲は女性にもあるものだからねって。抱かれることに慣れれば変わるさって。そっかな?自分が疑わしいけど。それと結婚式は先なのに体を重ねたことは詫びる。君の夢を壊したから。ああそうね。

「でもな。俺はもう他とはしたくなくて、限界でもあったのは本当なんだ。処理のためだけなのは味気ないんだよ」
「はあ」

 あなたもですよ。大人になれば民と違い遊ぶところなどない。貴族、まして王族はねえ。そのような人がいるのは知ってます。でもね?そういったことは暗黙の了解と言うんですぅ。みんなこの日のことは男女共に習うから。

「ごめん。君の素直さに引きずられた」

 苦笑いの彼を見つめていて、あれ?と考えた。そういったことを生業にする方って普通の女にはない「なにか」がある気がする。それに慣れている彼は……

「それなら私では足りなくないですか?そういった方は…その…ね?」
「いいや。満足してる」
「そう……ですか」

 君は変なことを気にしてるな?と、また呆れている。なら話してやるって。女性には分かりづらいかもしれないが、愛のない人とのセックスは欲の発散だけ。出してスッキリで、自分で処理するよりいいくらいだそう。あんまりいないけど、セックスが好きで男を用意する人もいるよって。その追加は知りたくなかったです。でも確かにいてもおかしくはない。

「愛してる人との逢瀬はこれほど嬉しいものかと俺は初めて知った。興奮するし君の悦ぶ顔が見たくて堪らなかった。大切にしたくて自分の欲を我慢も出来た。挿入すれば幸せの絶頂で、すぐに果てそうにもなったが耐えることも嬉しかった。君はとても美しかったんだ」

 はあ、幸せそうに話しますが……

「そこまでぶっちゃけますか」
「君を真似た。言わないと君はなかったことにするし、そういった機微を理解してくれないだろ」

 グッ……たぶんそうだろうと思う。いや絶対そうだ。よく私をご存じで。

「あのね。全部開示するついでなんだけど、お友だちが初めてでは気持ちよくなくて、痛いだけだったって言ってました。触れられてる時はいいのに、入れられたら拷問かと思ったと」
「ふーん。男が思いやりがないね」

 俺はとても時間を掛けていたのに気がついてたか?と。薄暗い中時計を見れば三時間……三時間?驚いてサイラスを見上げた。

「君の体を少しでも楽にしたくて。女性は感じるまで時間がかかるんだよ」
「ふーん」

 まれに感度が良くてそんなのいらないなんて人もいる。だが、普通男が気を使わなければ女性は逢瀬をあまり気持ちいいと思わない。ベッドの上では受け身な方が多いのも事実だそう。でも人によるのも当然で、激しく快楽を求める人たちもいる。

「サイラスはなぜそんなに詳しいの?実は年齢をたばかってる?」
「違う。今回君は男と体を重ねるのが初めてだから、精一杯の愛情を捧げたかった。そのためにたくさんの下調べ……だよ」
「ふ~ん。ふふっ」

 つい笑いが漏れたらなにがおかしいと、少しムスッとして怒ったかな?そうじゃないの。この人本当はとてもかわいい人なのかも。自分のものは大切に大切にするのかもね。妻はともに歩くことより家にいて欲しい人かも。そんなことを思いながら私は彼の頬に触れた。

「サイラスは私が結婚後仕事をするの、本当は嫌ではありませんか?」
「あん?……まあ正直に言えばそうだ。君を人に見せたくない。俺だけのものにしておきたいのが本音かな」
「プッ……ッ」
「笑うなよ。それは……その理由があって……ゴニョゴニョ……で……」

 ゴニョゴニョは声が小さくて分からなかったけど、肌を重ねないと相手に話さない内容というものがあるのかな?あられもなく淫らになる瞬間。無防備な姿を相手に晒すことで生まれる信頼もあるのかもね。

「サイラス……愛してます。ずっとお傍に置いて下さいませ」
「ああ。初めて聞いたよ。君の愛してるって言葉を」
「そうですか?」
「うん」

 君の鈍さを苦しく思う時もあったが、言葉にしなくても君は俺を愛してると感じられた。だからいいって。え……一目でわかるくらい?

「当然だろ」
「それ他の人も?」
「ああ。笑顔も引き抜いた時とは別人。主を慕っている以上のものを俺は自惚れてるから感じてた」
「おお…ぅ……」

 どれだけ気を抜いてるんだ私は!公私は別けなくちゃでしょうよ。なにしてるの私。無意識に好きを垂れ流してた?

「別けなくていい。愛してると日頃から口にしてくれて一向に構わん」
「私が構います!」

 あ、お風呂入って明日の支度しなきゃ。朝のお風呂は気が抜けちゃうから。よいしょと起き上がるとどこに行く?と腕を掴まれた。

「明日もお仕事だからお風呂をもう一度」
「休みだけど」
「え?」

 掴まれた腕を見つめる。んん?ハッそうだ祝日。お祭りの日か。

セントパトリシア様の日だろ。明日から二日」
「そうでした。でもお風呂は入りたい」

 汗かいたし自分のとあなたのでお股が不快ですから察しろ。そう思って見つめ続けた。すると汗流したいの?と。ウンウンと頷く。

「俺は君のにまみれてるの悪くないが、一緒に入る」
「その変態発言はやめて」

 ならば腰も痛かろうから俺の姫は抱っこなと軽々と抱かれ、スタスタとバスルームに向かう。ロッティは下がってるから居間は暗いけど「ライト」と唱えるとパッと明るくなる。魔道具は今の時代生活に欠かせない。普段は当たり前で気にもしてないけど。

「ふむ。明るいところで見ると君は美しいな」
「え?ひゃうっ見ないでっ」

 体をジーッと見つめるから丸くなって出来るだけ見えないようにした。まだ裸を見せるのに慣れないのよぉ

「隠すなよ俺の姫」
「うーっ」

 もうどこを隠していいか分からなくて顔を隠した。するとアハハッと聞こえた。君はもうと手の甲にキスしてくれた。

「ほらついたぞ」
「はい」

 降ろしてもらい彼がお風呂場の扉を開けると、温かな蒸気がふわっと顔を撫でた。

「やはりかけ流しはいいな」

 彼が先に入る。私もここのお風呂は気に入ってて、いつでも入れるのはありがたいから。この温泉設備は王族の関係者だけの施設。他は普通のどこにでもあるお風呂で、支度をしないと入れない。温泉を客間にまで引くことはしなかったらしい。

「風呂だけは昔の王が金掛けたんだよなあ。風呂好きの人がいてな」
「ふーん」

 ふたりで体を流していると視線を感じる。横を向くと……見んな!彼を背にして体を流した。さて浴槽にと立ち上がると、

「おいで」
「……はい」

 先に入っていたサイラスに呼ばれて離れて入る。チャプンと体を沈める。あ~……気持ちいい。広い浴槽で四人くらいなら入れるかな?ふう。

「なんで離れてる?」
「なんとなく」

 すると立ち上がる。ん?ジャボジャボと水をかき分け隣に座り、彼を背中にして抱かれた。胸に手を置いて、

「ベッドの君はとても素敵。少し抜けてるのもかわいい」
「お褒めにあずかりました?」
「うん褒めてる。でも毎日一緒にいてアピールもしてたのに、振り向かせるには時間がかかった」
「それは……ごめんなさい」

 まあいいと肩に頭を乗せてくる。優しく彼の腕が回りお腹のところで手を組んだ。こうして背中から抱かれるのもいいかな。

「愛されるっていいもんだな」
「ええ。それは私にも新しい発見で、家族の愛とは違うものをあなたに教わりました」
「ああ。いいものだろ?」
「はい」

 なんとなく肩に乗る彼の頭を撫でた。この無防備な姿は普段ではわからないもの。とてもかわいくて愛しく感じる。肌を合わせることの意味を感じる。

「大好きです。どうしようもなく大好き」
「ああ」

 ザワザワするような高揚感がある。大好きって気持ちが溢れるの。これはなに?と。きっとこれは心が通じ合った高揚感なのだろう。肌を重ねたくらいでチョロいよティナ。そう友だちにはバカにされるかもだけど、私には男性に抱かれることは大冒険だった。こんな日が私にも来るとは……なんだか不思議ね。



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