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前編 ユルバスカル王国編
6 半日で全てが変わった?
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ここだよぉーってフレッド様が扉を開けてくれると、貴族の屋敷と同じくらいの食堂があった。当然広さだけね。とても豪華な部屋なのは言うまでもない。食器もカラトリーも全部ニャイセンだと分かる。こちらへと給仕のメイドさんに言われだけど、
「待って下さい。私にこの席は不釣り合いです」
「いいから座れ。君は特別なんだから」
「え?」
ほらほらと殿下が隣に座る。ここは目上の方の席でしょ?堅苦しく考えるなと。特別とはなに?と思ったけど、誰もそのあとを話さない。仕方なく殿下の隣のままでいた。
「では新たな仲間に乾杯」
殿下の合図で食事が始まった。みんな仕事のことは話さず奥様や家族の話し、ペットの猫のこととか、殿下の寝起きの悪さで遅刻するとかおしゃべり。
「ティナ、緊張しなくていいからね」
「はい。ありがとうございます」
そこらへんは図太いから。ていうか、戦時中で鍛えられたから。物怖じしてたら仕事にならなかっただけとも言うけど、さすがにここは緊張する。王族との関わりが少な過ぎて、どう振る舞えばいいのか分からない。でもこんな時こそ図太さは必要とフォークを取り食べ進める。美味しい、料理長が違うとこんなにも美味しいのか。見た目の盛り付けも美しく、さらに美味しい。特にお肉。臭みがなくなんて美味しんだろう。脂も甘くソースが絶品……うまっ
「口に合う?」
「はい。美味しいです」
「ならよかった」
お酒も女性が好むものを用意したからぜひと勧められた。確かに甘めで美味しい。
「殿下はよく彼女見つけたよね。あれだけアポ取ろうとして失敗してたのに」
「うん。昼間廊下で殴られてね」
ビクッとした。それ違うんですっ伸びをしたら手が当たっただけで、殴ったなんて人聞きの悪い。
「てなことがあって、ついでにリアムの報告と謝罪も兼ねてね」
「ふーん。ならこれで謝罪は全部終わったんだね」
「ああ。俺の気持ちでしかなかったんだが、やはりな」
フレッド様はここではあまり仕事の話はしないんだけど、今日だけねって。
「殿下は戦死した家族に会ったりお手紙を出したりしてたんだ。自分の指揮下で亡くなったことを悔やんでね」
セフィロト様は戦場で苦しそうな殿下を見ていた。この戦はこの国にとって久しぶりで、訓練しか知らない者ばかり。実戦を知らず戦場に出て戦った。国は召集令状の手配も手探りで、当然金持ちは隣国に逃げる者もいた。それを引き留めるすべすら稚拙で逃げられた。何もかも訓練では分からないことばかりで、文献と現実の違いに右往左往で消耗戦に勝っただけ。これは敗戦と同じ。淡々と話すけど彼も苦しかったと。するとカール様が、
「だからもっとこうすれば、ああすればと後悔ばかりで、せめてもと私財をもって償っててね。殿下はすっからかん」
「え?」
「三年先までお金ない」
「バ、バカですか?」
「自覚してる」
少しのお金だけど人数が多くてねえって笑う。俺は王族の良心なんて言われるけど、みんなバカと思ってるのが本当だ。王族として素質がないんだよってワインを口にした。
「そうなんですか?」
「ああ、つい目先の悲しみとかに囚われてしまう。森や林ではなく、一本一本の木を見てしまうんだ。大将としてはダメなんだがついな」
「だから殿下は今回のことで民には好かれたけど、上位の貴族には嫌われたんだ。戦後の施策もな」
そうか……優しさだけでは国は動かないものね。俺は王族では異質なんだよと、笑顔の中に寂しさというか哀しみのような色が見えた気がした。確かに殿下は上納金の減額や、諸々民のためになりそうな法案を通してたっけ。うちの大臣もゔーんと唸ってた。でも……
「私は悪いことではない気がします。他の方が厳しくするならば、ひとりくらいおおらかで、優しさしかない王子様がいてもいいんじゃないんですかね」
「ふふっだろ?」
さすが殿下の人を見る目はいい。そこは尊敬するとカール様。あんな少しの会話で自分の味方を見つけるとは毎回びっくりするとセフィロト様。
「俺たちもある意味はみ出しものなんだ。家の方針に異を唱えるばかりで目障りな存在でな。それを拾ってくれたのが殿下」
「私は居場所はありましたけど?」
「言うねえ。でも兄妹の中で浮いてなかった?」
うっカール様になにも言えない。確かに華やかなふたりとは違うのは自覚してた。どこかふたりのようには出来なくて、卑屈には思ってはいないけど、違うとは考えていた。だから華やかさが足りない分は仕事で結果をとは思ってたのは事実。
領地も妹の方が上手くやってたようだし、そう、私秀でた取り柄がないのよね。リアムがあんまり私を好きじゃなかった理由かもなあ。妹の明るさや人好きにする華やかな笑顔の方が……確かにエミリーと話してる時の方がリアム楽しそうだったかも。
「その通りです。兄も妹も私にはないものをたくさん持っていますね」
「お前初日に言わなくても……」
カール様の発言にフレッド様がアッと声を上げ、悪そうな顔をした。
「ごめんなさい。俺と同じ匂いを感じてしまって言い過ぎました。許して?」
気にしてませんよと私は微笑んだ。自覚してたくせに言われるまで心にしまい込んでいただけなの。傷つきたくなくてが正しい。思ったより弱いところがあって、そんな自分に驚いてがっかりする。自分を過大評価してたのかな。でもそうしないとこの三年は生きていることすら辛かった。覚悟もなく領主を任され、戦に取られ減っていくみんなを慰めるしか出来なかった。私は役立たずで、みんなの心の支えにもなれなかった。それが真実。殿下は、
「ごめん。気分を害したね」
「いえ、自分の内面を突きつけられただけです。分かってたことなのでお気になさらず」
自分にがっかりしただけで誰も悪くない。でもこうして殿下が抜擢してくれたのなら、彼のために早く一人前になろうとは思う。どーせ嫁のもらい手も見つかんないしね。ブツブツ声を出していたのか殿下が、
「お嫁に行きたくないの?」
「え?いえ、もらい手がないだけです。今や適齢期の男性が少なく争奪戦ですもの。他国に知り合いもいませんし、今目の前の方は全員既婚者。職場では終わりましたね。残念です」
ああ……とみんな。でもこんなに綺麗なんだからきっと見てる人は居るよってフレッド様。こんな理不尽な抜擢にも嫌な顔せずここにいる。あなたは素敵だよってカール様。ウソでも今は嬉しいかな。フレッド様は小柄だけど鍛えているのか文官には見えないかわいらしく感じる方。カール様は精悍な中にも優しさを感じる方で、セフィロト様はただただ怖い。目つきをなんとかしろ。美形を全部打ち消すだろ。などと改めてみんなを観察しながら食事は終わった。
さて帰るかな。棚の時計を見れば八時前。この時間なら最後らへんの乗合馬車があるはず。この馬車は城で働く人の送迎で、逃すと徒歩になっちゃう。貴族のお家は城の近くの城下に構えていることが多いんだけど、うちは男爵だったから街の中ほどにあり、歩くにはとても遠い。急がねば!私は立ち上がり、
「殿下。明日からよろしくお願いいたします。本日はここで下がらせていただきます」
優雅にあいさつした。このくらいは出来るもん。するとなんで?って顔で見上げてくる。こちらがなんで?です。
「君のおうちは今日からここだよ?とりあえずの身の回りの物は運ばせたから、屋敷に帰っても困るよ?」
え?殿下の顔を見つめた。なにを言われたか今度こそ理解出来なくて首がこてんと横に倒れた。
「もう一度お願いします。私の帰る場所は?」
「この城の東の王族側近の棟だよ。男性が使ってた部屋だから少し地味だけど問題はない。メイドも昼間の子をつける」
「ん?彼女は私のメイド?」
「ああそうだよ。だから帰らなくてもいい」
ああ、お城がわたしのおうちなんだ。ふーん……ふ~ん?少し魂がお出かけしそうな気分になりながら、
「このことは家族は?」
「とっくに伝えてある。我が国には少しだけど飛行艇があるからな」
「ええ……急ぎのですね」
誰が開発したのか空飛ぶ馬車がある。小さいから急ぎの手紙を運ぶのがメインで、各領地に一艇はある飛行艇。飾りの馬が付いててそれが飛行のための魔道具。運転手はひとりしか乗れない。ふーん……私はある意味帰るところがなくなったのか。ほーん。
「座りなさい」
「はい」
目の前のワインクーラーからガラガラと氷を避けて、自分でビンを掴みグラスに注ぐ。そして一気飲み。ぷはーっもう理解が追いつかない。半日で私の世界は変わってしまった。午前中までの世界は消えてしまった。我が家の役職としても側近になったのかな?と聞けば、
「いや?それは兄上が元気になったらそのまま農林大臣の側近だ」
「ふーん……」
「君は新たな仕事を見つけたんだ。例えば君の役職でいつか俺の子が生まれる。君もいつか結婚して子をもうける。その子が育って君の跡を継ぎ、俺の子の側近となる。だから新たな家が生まれたと同等だ。まあそうはならんがな」
最後の言葉が変だけどその前が大事な気がした。
「へえ……え?私独立したのですか?独身で?」
「まあ書類上はそうなるかな。俺の側近は男爵や子爵だった場合伯爵まで上げている。君も同じだ」
おおぅ……ぅ……半日で爵位までアガッテタヨ。家族より身分が高くなってしまった。それも結婚もせずに。もう一杯飲もう。美味しいとまたもや自分で注ぎゴクゴク。くわーっ美味しいなあ。私はどこに向かってるんだろう。目の前が暗いのか明るいのかも分からない。深い霧の中にいる気分になっちゃった。これから本当にどうなるんだろ。くは~っこのワイン美味しいッ
「待って下さい。私にこの席は不釣り合いです」
「いいから座れ。君は特別なんだから」
「え?」
ほらほらと殿下が隣に座る。ここは目上の方の席でしょ?堅苦しく考えるなと。特別とはなに?と思ったけど、誰もそのあとを話さない。仕方なく殿下の隣のままでいた。
「では新たな仲間に乾杯」
殿下の合図で食事が始まった。みんな仕事のことは話さず奥様や家族の話し、ペットの猫のこととか、殿下の寝起きの悪さで遅刻するとかおしゃべり。
「ティナ、緊張しなくていいからね」
「はい。ありがとうございます」
そこらへんは図太いから。ていうか、戦時中で鍛えられたから。物怖じしてたら仕事にならなかっただけとも言うけど、さすがにここは緊張する。王族との関わりが少な過ぎて、どう振る舞えばいいのか分からない。でもこんな時こそ図太さは必要とフォークを取り食べ進める。美味しい、料理長が違うとこんなにも美味しいのか。見た目の盛り付けも美しく、さらに美味しい。特にお肉。臭みがなくなんて美味しんだろう。脂も甘くソースが絶品……うまっ
「口に合う?」
「はい。美味しいです」
「ならよかった」
お酒も女性が好むものを用意したからぜひと勧められた。確かに甘めで美味しい。
「殿下はよく彼女見つけたよね。あれだけアポ取ろうとして失敗してたのに」
「うん。昼間廊下で殴られてね」
ビクッとした。それ違うんですっ伸びをしたら手が当たっただけで、殴ったなんて人聞きの悪い。
「てなことがあって、ついでにリアムの報告と謝罪も兼ねてね」
「ふーん。ならこれで謝罪は全部終わったんだね」
「ああ。俺の気持ちでしかなかったんだが、やはりな」
フレッド様はここではあまり仕事の話はしないんだけど、今日だけねって。
「殿下は戦死した家族に会ったりお手紙を出したりしてたんだ。自分の指揮下で亡くなったことを悔やんでね」
セフィロト様は戦場で苦しそうな殿下を見ていた。この戦はこの国にとって久しぶりで、訓練しか知らない者ばかり。実戦を知らず戦場に出て戦った。国は召集令状の手配も手探りで、当然金持ちは隣国に逃げる者もいた。それを引き留めるすべすら稚拙で逃げられた。何もかも訓練では分からないことばかりで、文献と現実の違いに右往左往で消耗戦に勝っただけ。これは敗戦と同じ。淡々と話すけど彼も苦しかったと。するとカール様が、
「だからもっとこうすれば、ああすればと後悔ばかりで、せめてもと私財をもって償っててね。殿下はすっからかん」
「え?」
「三年先までお金ない」
「バ、バカですか?」
「自覚してる」
少しのお金だけど人数が多くてねえって笑う。俺は王族の良心なんて言われるけど、みんなバカと思ってるのが本当だ。王族として素質がないんだよってワインを口にした。
「そうなんですか?」
「ああ、つい目先の悲しみとかに囚われてしまう。森や林ではなく、一本一本の木を見てしまうんだ。大将としてはダメなんだがついな」
「だから殿下は今回のことで民には好かれたけど、上位の貴族には嫌われたんだ。戦後の施策もな」
そうか……優しさだけでは国は動かないものね。俺は王族では異質なんだよと、笑顔の中に寂しさというか哀しみのような色が見えた気がした。確かに殿下は上納金の減額や、諸々民のためになりそうな法案を通してたっけ。うちの大臣もゔーんと唸ってた。でも……
「私は悪いことではない気がします。他の方が厳しくするならば、ひとりくらいおおらかで、優しさしかない王子様がいてもいいんじゃないんですかね」
「ふふっだろ?」
さすが殿下の人を見る目はいい。そこは尊敬するとカール様。あんな少しの会話で自分の味方を見つけるとは毎回びっくりするとセフィロト様。
「俺たちもある意味はみ出しものなんだ。家の方針に異を唱えるばかりで目障りな存在でな。それを拾ってくれたのが殿下」
「私は居場所はありましたけど?」
「言うねえ。でも兄妹の中で浮いてなかった?」
うっカール様になにも言えない。確かに華やかなふたりとは違うのは自覚してた。どこかふたりのようには出来なくて、卑屈には思ってはいないけど、違うとは考えていた。だから華やかさが足りない分は仕事で結果をとは思ってたのは事実。
領地も妹の方が上手くやってたようだし、そう、私秀でた取り柄がないのよね。リアムがあんまり私を好きじゃなかった理由かもなあ。妹の明るさや人好きにする華やかな笑顔の方が……確かにエミリーと話してる時の方がリアム楽しそうだったかも。
「その通りです。兄も妹も私にはないものをたくさん持っていますね」
「お前初日に言わなくても……」
カール様の発言にフレッド様がアッと声を上げ、悪そうな顔をした。
「ごめんなさい。俺と同じ匂いを感じてしまって言い過ぎました。許して?」
気にしてませんよと私は微笑んだ。自覚してたくせに言われるまで心にしまい込んでいただけなの。傷つきたくなくてが正しい。思ったより弱いところがあって、そんな自分に驚いてがっかりする。自分を過大評価してたのかな。でもそうしないとこの三年は生きていることすら辛かった。覚悟もなく領主を任され、戦に取られ減っていくみんなを慰めるしか出来なかった。私は役立たずで、みんなの心の支えにもなれなかった。それが真実。殿下は、
「ごめん。気分を害したね」
「いえ、自分の内面を突きつけられただけです。分かってたことなのでお気になさらず」
自分にがっかりしただけで誰も悪くない。でもこうして殿下が抜擢してくれたのなら、彼のために早く一人前になろうとは思う。どーせ嫁のもらい手も見つかんないしね。ブツブツ声を出していたのか殿下が、
「お嫁に行きたくないの?」
「え?いえ、もらい手がないだけです。今や適齢期の男性が少なく争奪戦ですもの。他国に知り合いもいませんし、今目の前の方は全員既婚者。職場では終わりましたね。残念です」
ああ……とみんな。でもこんなに綺麗なんだからきっと見てる人は居るよってフレッド様。こんな理不尽な抜擢にも嫌な顔せずここにいる。あなたは素敵だよってカール様。ウソでも今は嬉しいかな。フレッド様は小柄だけど鍛えているのか文官には見えないかわいらしく感じる方。カール様は精悍な中にも優しさを感じる方で、セフィロト様はただただ怖い。目つきをなんとかしろ。美形を全部打ち消すだろ。などと改めてみんなを観察しながら食事は終わった。
さて帰るかな。棚の時計を見れば八時前。この時間なら最後らへんの乗合馬車があるはず。この馬車は城で働く人の送迎で、逃すと徒歩になっちゃう。貴族のお家は城の近くの城下に構えていることが多いんだけど、うちは男爵だったから街の中ほどにあり、歩くにはとても遠い。急がねば!私は立ち上がり、
「殿下。明日からよろしくお願いいたします。本日はここで下がらせていただきます」
優雅にあいさつした。このくらいは出来るもん。するとなんで?って顔で見上げてくる。こちらがなんで?です。
「君のおうちは今日からここだよ?とりあえずの身の回りの物は運ばせたから、屋敷に帰っても困るよ?」
え?殿下の顔を見つめた。なにを言われたか今度こそ理解出来なくて首がこてんと横に倒れた。
「もう一度お願いします。私の帰る場所は?」
「この城の東の王族側近の棟だよ。男性が使ってた部屋だから少し地味だけど問題はない。メイドも昼間の子をつける」
「ん?彼女は私のメイド?」
「ああそうだよ。だから帰らなくてもいい」
ああ、お城がわたしのおうちなんだ。ふーん……ふ~ん?少し魂がお出かけしそうな気分になりながら、
「このことは家族は?」
「とっくに伝えてある。我が国には少しだけど飛行艇があるからな」
「ええ……急ぎのですね」
誰が開発したのか空飛ぶ馬車がある。小さいから急ぎの手紙を運ぶのがメインで、各領地に一艇はある飛行艇。飾りの馬が付いててそれが飛行のための魔道具。運転手はひとりしか乗れない。ふーん……私はある意味帰るところがなくなったのか。ほーん。
「座りなさい」
「はい」
目の前のワインクーラーからガラガラと氷を避けて、自分でビンを掴みグラスに注ぐ。そして一気飲み。ぷはーっもう理解が追いつかない。半日で私の世界は変わってしまった。午前中までの世界は消えてしまった。我が家の役職としても側近になったのかな?と聞けば、
「いや?それは兄上が元気になったらそのまま農林大臣の側近だ」
「ふーん……」
「君は新たな仕事を見つけたんだ。例えば君の役職でいつか俺の子が生まれる。君もいつか結婚して子をもうける。その子が育って君の跡を継ぎ、俺の子の側近となる。だから新たな家が生まれたと同等だ。まあそうはならんがな」
最後の言葉が変だけどその前が大事な気がした。
「へえ……え?私独立したのですか?独身で?」
「まあ書類上はそうなるかな。俺の側近は男爵や子爵だった場合伯爵まで上げている。君も同じだ」
おおぅ……ぅ……半日で爵位までアガッテタヨ。家族より身分が高くなってしまった。それも結婚もせずに。もう一杯飲もう。美味しいとまたもや自分で注ぎゴクゴク。くわーっ美味しいなあ。私はどこに向かってるんだろう。目の前が暗いのか明るいのかも分からない。深い霧の中にいる気分になっちゃった。これから本当にどうなるんだろ。くは~っこのワイン美味しいッ
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