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五章 未来を考えた領地運営とは
5.ユーリ到着
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まだ薄暗い部屋に戻りセリオの横に入った。
「ごめんな」
俺は小さな声で言うとセリオのパジャマを脱がせて下着も脱がせた。良く眠っていて起きない。まあいい。
萎えてるかわいい彼のを口に含む。舌で捏ねているとムクムクと……
「あん……やだ……なに?」
「ごめん。抱かせて」
「へ?」
そのままグボグボと……セリオは俺の頭を掴んで震える。
「エリオス……出ちゃうよ……くっ…っ……」
「美味いな……」
口を離すと穴からは漏れていて俺はそこにズンッと押し込んだ。
「ひいっ!」
「はあ……堪んねえ」
「どうしたの?ハァハァ……ロドリグ様と……?」
「うん。噛まれた」
あんっああっもっとしてぇと腰を反るセリオを見つめた。やはりセリオが一番だ。愛しくて堪らない。ロドリグ様に感じていた欲が薄れていくような気がした。
それからセリオを抱きたいだけ抱いて落ち着いてから説明した。
「ふふっノルンの気持ちよさと違ったか。僕は分からないけどね。これしか知らないから」
「なら入れてみるか?」
「ほんと?いいの?」
「おう」
ふたりして強い香りを出すとすぐにギンギン。
「初めてだ。したいとも思ってなかったから……どんななんだろ」
「入れてみれば分かるさ」
うんと言いながら俺にゆっくりと入れて来た。
「うっ…んんっ……ああ……あったかい……こんな……いいね」
「ハァハァ……だろ?」
やり易いように後ろから。ズンズンと腰を振る。
「ハァハァ……気持ちいい……」
「噛んでみたら?」
「うん」
背中に倒れ抱きつくとガブッて。ふたりとも無言でハァハァ……何も変わらなかった。セリオが普通の紋だからか。
「あっ……うっ……気持ちいいのに……イキそうなのにハァハァ…イケないぃ!お尻がぁ……辛いぃ~なんでぇ~ん」
「なら代わろうか」
「うん……ハァハァ……」
交代してズクン!
「あああ!……あ…ふっ……ん……いい…うぅんぅ」
「俺も出る……ぐっ」
ほぼ同時に。
「ハァハァ……僕はお尻だけでいい……」
「そうだな……ハァ…」
快感に酔いしれてうつ伏せで息を弾ませている。セリオは俺としかほとんどしたことがないと言っていた。教育の時のみで後は自己処理。
俺に綺麗なままの身体を差し出したかったそうだ。俺も似たようなもんだな。理由は違うけど。
「もうに朝日が。明るいね」
「うん……今日は休みだろ。もう少し」
「エリオスホント体力あるね」
「お前だからだ」
するとばあって顔が綻んだ。幸せそうに微笑む。
「僕ね。心の幸せもある方が気持ち良く思う。ロドリグ様とのは欲だけでね……あれは……獣の本能のようで……」
考えてるのか途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「してる時は愛してるみたいな感情が湧くんだけど終わるとそうでもなくて……好きだけど愛してるとは違う」
「うん」
抱き寄せてキスしながらセリオを感じた。俺はアンじゃないからかな。同じ様な感じだ。でもセリオより愛しいとは感じてると思う。……嫌だなあ。自分のだらしなさみたいでとてもイヤ。でも好き。はあ……
「あの人はとても魅力的だ。性的にも人としても…あん」
「うん……」
「そういうものとして割り切ればいいんじゃないかな」
「そう?」
「うん。二人の愛妾くらいに思えばいいよ」
「愛妾ねぇ……俺たちがだな」
そうだけどさ。僕らも同じに考えればいい。貴族の嗜みってさってセリオ。
「そうね」
俺はセリオの上に乗りズブズブと。
「もう少しさせて」
「あっはんっ…う…ん……入れるより入れて……ああ……もらう方がいい」
と、休日をいいことに昼間で。愛しい者とのこの時間は幸せだ。
翌日から仕事三昧。ユーリの手配にみんな走り回った。それから数日後ロドリグ様に呼び出られて四人でお屋敷に。
「おお!エリオス様お久しぶりです」
「ユーリ様。こちらこそ御無沙汰しております」
「いやいや。この国には来てたんだが忙しくて寄れなかったんだ。すまなかった」
相変わらず美しいマッチョ。ディエゴとフィトは初めてで恐縮しなからもあいさつをすませた。
「ユーリ様いい匂い……うっとりしちゃった」
小声でフィト。
「え?」
全員驚いた。
「俺たち全員だめだよ?フィト。これから彼は来る事が増えるはず。気を付けろよ」
「はい……」
ロドリグ様とユーリ様が話している隙にボソボソと俺たち。俺はフィトとうん見合って頷いた。話が終わったのかこちらをふたりとも向いて、
「エリオス、ありがとうな。こちらの商人も喜んでいたよ。ドナシアンふうの町並みで安心するし客はわんさか。これからが楽しみだとね」
「それはようございました。これからはお付き合いは密になります。よろしくお願いいたします」
「うんうん。よろしく」
それからはこちらに来た商人の説明を彼の側近がしてくれた。
「ですので、何か不都合などは直接私どもに。ギルドとの調整だけでは無理な部分は対応いたします」
「はい。かしこまりました」
「はあ……終わった。腹減ったロドリグ」
「うん?」
壁の時計に目をやった。おおぅ……夕食の時間はすでに過ぎている。
「食堂に移ろう」
「はい」
それからロドリグ様の晩餐会。俺初めてだよここの夕食。とういかここで食事は滅多にしない。自分のところで食べてからが来てたから。
「おお……」
「完全にドナシアンふう……」
前菜から俺たちの国とは違う。フィトたちは初めてのドナシアン貴族のメニューだ。レストランでは食べてるけどあれはこちらに少し合わせている物だ。本格的なのを見て嬉しそう。
「美味しい……味付けも見た目も……う~ん」
「美味いだろ。ドナシアンの調理は本当に美味いんだ」
「ええ。お皿からカラトリーまで美しい」
ロドリグ様がふたりにどうだ?口に合うかと聞いている。
「はい。とても美味しいです。お酒も我が国とは違う味わいがありますね」
「ああ。ぶどうの品種の違いだろう」
ユーリ様が中継地の街の話をしてくれる。あそこさすがドナシアンの貴族という他ないくらい早くに発展。まーわんさか人が来ているらしい。中継地とは名ばかりの歓楽街。街の中心部はそれは普通の街だけど外れが全てね……
「自分の土地を離れると寂しさや開放感でな。そんな人を囲い込む。エルフはもちろん獣人のきれいどころもな。俺が直営でやっている店もある」
「ほほう」
貴族だけの娼館もあると自慢げだ。
「他国の食い詰め二男三男なんかが出稼ぎに来てるよ」
「おおぅ…ぅ……」
この大陸は広い。うちと物理的に遠くて付き合いのない国は多い。そんな国から来ているそうだ。
「ドナシアンには多いのですか?」
「う~ん。ひとつの領にひとつかな。夜伽を雇えない者とかが利用する」
「え?お店の方が高くないですか?」
「ふふん。城の夜伽いくらで雇ってるか知らないのか?そこらの文官の二倍三倍だぞ?」
「ゲッ」
城に入れて王族とかの相手をするんだ。身元はきちんとしてないと心配だからな。
大体いいところの貴族の夫婦の子でない……いわゆる外腹の者がやってるんだ。当たり前だとがははと笑った。
「知らなかった……」
普通の貴族の夜伽は庶民から。きれいでまあね、そういった事が好きな者がやっている。
「僕の家は庶民……」
「うちも」
「僕は知ってたよ。エリオス様たちが興味なかったんでしょ?」
「うん……」
俺たち夜伽使わない貴族だったからとセリオとディエゴ。俺はもちろん。
「ユーリ。ここにいる領主のエリオス含め重鎮は身持ちが固くてなあ。夜伽すら嫌がるんだ。お互いの番一筋。それ以外が目に入らないと過ごしてるんだよ」
「マジか!いい匂いの者は食いたくならない?」
「「なりません」」
ワインを手に絶句。ドナシアンの貴族下半身ゆるゆる。
「そうか。この領地風俗店少ないと思ってたらそういう……」
「ああ、エリオスが嫌いなんだよ」
俺が以前話したことをロドリグ様は楽しそうに聞かせている。
「ええ~貴族で下半身が固いとかなんの冗談だよ。エリオス王族だろ?」
「はい」
「うわ~珍獣」
「失礼な」
俺はイモをプスッととフォークで刺してもぐもぐ。
「いやだってさ。俺の知ってる貴族はしまくりよ?夜伽も飽きたってコロコロ替えてしまくり。なんで?」
ロドリグこの国みんなそうなの?と聞いている。んなわけない。俺たちだけだよ。
「こいつらだけ。エリオスの選んだ者だけだよ」
「ほほう。国中の珍獣集めてるのか」
どこまでも珍獣あつかいか?
「珍獣ではありません。番の本能強い者だけがたまたま……」
「ふ~ん。楽しいぞ?アンもノルンもどちらも楽しめる」
全員いらぬと答えた。
「まあ、気持ちが変わったら使ってくれ。俺の名前出してくれればタダでいい」
「いえ……」
「あっ夫婦で使っても……いいぞ複数でやるのも」
複数?複数とは?……みんな固まった。
「いいな。俺今度いくわ」
「おう。お前は金払え」
「あ?」
「金持ってるやつからは毟るよ。当たり前だろ」
「エリオスたちも持ってるぞ。今はな」
金額が違うお前は四家だろって。ふたりで笑っている。
「あのエリオス様」
「なんだフィト」
「貴族って……」
「言うな。これが普通だ。俺たちが珍しいのは確かだよ」
「そう」
俺はあの国の特に人族はそういう人が多いことを話した。貴族の当主は二重紋がほとんど。その次の子たちもな。番も寝て決めるほどだ。
「え?匂いではなく?」
「人となりより身体の相性を重んじる。子を成すことを仕事にもしてるからな」
「へえ……あっそっか。家の存続か」
「そうだ。匂いだけだとな。人により子が先なんて人もいる」
「そっか。いい家の人も大変なんだね」
なんとなくオリヴィエ様を考えた。今日はいないんだ。国に帰っているんだってさ。兄弟のお祝いの会かなんかがあってね。内輪のだからロドリグ様は欠席。兄弟のだけのものだそうだ。他人を入れない会が結構あるらしい。うちはないけどな。
「なあフィト」
「はい。ユーリ様」
「お前今日俺の部屋に来い」
「ふえ?」
真っ青になってもげそうなくらい首を振る。
「ムムム無理ぃ!許して下さいませ」
「そっか。いい匂いなのに」
「無理です!ごめんなさい!」
食べかけていたお肉が口からポロッと出るくらい震えている。
「ならロドリグ用意しろ」
「フン。仕方ないな。俺の行きつけから呼んでやる。ジョスラン」
「はい。かしこまりました」
彼はスッと出て行った。
「よよよかった……」
「気が変わったらいつでもいいぞ」
「変わりません!」
行きつけってどこだよ。うち貴族専用なんてないぞ?
「俺は最近行ってないからさ。どんな子が来るかはお楽しみだ」
「ほほう。お前の分は?オリヴィエいないだろ」
「ああ。フン」
俺とセリオを見てニヤニヤ。
「ふ~ん。よく落としたな。身持ちが固いのに」
「それは俺が先に好きになったから頑張った」
「ほほう」
仕事の話は一切なく下半身の話ばかり。内輪だと遠慮がねぇ。
「俺も欲しいなあ。本能でなく好きになってもらったか。お前きれいだからなあ」
「そこはあまり。なあエリオス」
「ゲボッ」
ワインを吹いた。何を言っている!恥ずかしくて顔真っ赤になった。横を見るとセリオも。
「かーわいい。これはいいな。だが俺は無理か。残念だ」
「合ったとしてもやらん」
「ケチ」
「ケチじゃない。俺の番にしたからな」
「ほほう。なら仕方ない」
酔いが覚める気がした。ロドリグ、ユーリとこんなに仲良かったんだ。へえ……
「なんだ?エリオス」
「いえ。仲いいなあと思って」
「ああ。学友で幼なじみ。こいつんちは候爵家でな。オリヴィエ含め昔からだ」
「そうなんですか」
楽しそうに見合って笑っている。
「おう。昔からエルフみたいな綺麗さとかわいさがあったなロドリグは。中身はまあ……」
うるさいよとロドリグ様はワインを飲んだ。
「腹黒いけどいいやつだ。仲良くしてくれ」
「腹黒いは余計だ」
「はい」
そんなこんなで夜は更けて行った。
「ごめんな」
俺は小さな声で言うとセリオのパジャマを脱がせて下着も脱がせた。良く眠っていて起きない。まあいい。
萎えてるかわいい彼のを口に含む。舌で捏ねているとムクムクと……
「あん……やだ……なに?」
「ごめん。抱かせて」
「へ?」
そのままグボグボと……セリオは俺の頭を掴んで震える。
「エリオス……出ちゃうよ……くっ…っ……」
「美味いな……」
口を離すと穴からは漏れていて俺はそこにズンッと押し込んだ。
「ひいっ!」
「はあ……堪んねえ」
「どうしたの?ハァハァ……ロドリグ様と……?」
「うん。噛まれた」
あんっああっもっとしてぇと腰を反るセリオを見つめた。やはりセリオが一番だ。愛しくて堪らない。ロドリグ様に感じていた欲が薄れていくような気がした。
それからセリオを抱きたいだけ抱いて落ち着いてから説明した。
「ふふっノルンの気持ちよさと違ったか。僕は分からないけどね。これしか知らないから」
「なら入れてみるか?」
「ほんと?いいの?」
「おう」
ふたりして強い香りを出すとすぐにギンギン。
「初めてだ。したいとも思ってなかったから……どんななんだろ」
「入れてみれば分かるさ」
うんと言いながら俺にゆっくりと入れて来た。
「うっ…んんっ……ああ……あったかい……こんな……いいね」
「ハァハァ……だろ?」
やり易いように後ろから。ズンズンと腰を振る。
「ハァハァ……気持ちいい……」
「噛んでみたら?」
「うん」
背中に倒れ抱きつくとガブッて。ふたりとも無言でハァハァ……何も変わらなかった。セリオが普通の紋だからか。
「あっ……うっ……気持ちいいのに……イキそうなのにハァハァ…イケないぃ!お尻がぁ……辛いぃ~なんでぇ~ん」
「なら代わろうか」
「うん……ハァハァ……」
交代してズクン!
「あああ!……あ…ふっ……ん……いい…うぅんぅ」
「俺も出る……ぐっ」
ほぼ同時に。
「ハァハァ……僕はお尻だけでいい……」
「そうだな……ハァ…」
快感に酔いしれてうつ伏せで息を弾ませている。セリオは俺としかほとんどしたことがないと言っていた。教育の時のみで後は自己処理。
俺に綺麗なままの身体を差し出したかったそうだ。俺も似たようなもんだな。理由は違うけど。
「もうに朝日が。明るいね」
「うん……今日は休みだろ。もう少し」
「エリオスホント体力あるね」
「お前だからだ」
するとばあって顔が綻んだ。幸せそうに微笑む。
「僕ね。心の幸せもある方が気持ち良く思う。ロドリグ様とのは欲だけでね……あれは……獣の本能のようで……」
考えてるのか途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
「してる時は愛してるみたいな感情が湧くんだけど終わるとそうでもなくて……好きだけど愛してるとは違う」
「うん」
抱き寄せてキスしながらセリオを感じた。俺はアンじゃないからかな。同じ様な感じだ。でもセリオより愛しいとは感じてると思う。……嫌だなあ。自分のだらしなさみたいでとてもイヤ。でも好き。はあ……
「あの人はとても魅力的だ。性的にも人としても…あん」
「うん……」
「そういうものとして割り切ればいいんじゃないかな」
「そう?」
「うん。二人の愛妾くらいに思えばいいよ」
「愛妾ねぇ……俺たちがだな」
そうだけどさ。僕らも同じに考えればいい。貴族の嗜みってさってセリオ。
「そうね」
俺はセリオの上に乗りズブズブと。
「もう少しさせて」
「あっはんっ…う…ん……入れるより入れて……ああ……もらう方がいい」
と、休日をいいことに昼間で。愛しい者とのこの時間は幸せだ。
翌日から仕事三昧。ユーリの手配にみんな走り回った。それから数日後ロドリグ様に呼び出られて四人でお屋敷に。
「おお!エリオス様お久しぶりです」
「ユーリ様。こちらこそ御無沙汰しております」
「いやいや。この国には来てたんだが忙しくて寄れなかったんだ。すまなかった」
相変わらず美しいマッチョ。ディエゴとフィトは初めてで恐縮しなからもあいさつをすませた。
「ユーリ様いい匂い……うっとりしちゃった」
小声でフィト。
「え?」
全員驚いた。
「俺たち全員だめだよ?フィト。これから彼は来る事が増えるはず。気を付けろよ」
「はい……」
ロドリグ様とユーリ様が話している隙にボソボソと俺たち。俺はフィトとうん見合って頷いた。話が終わったのかこちらをふたりとも向いて、
「エリオス、ありがとうな。こちらの商人も喜んでいたよ。ドナシアンふうの町並みで安心するし客はわんさか。これからが楽しみだとね」
「それはようございました。これからはお付き合いは密になります。よろしくお願いいたします」
「うんうん。よろしく」
それからはこちらに来た商人の説明を彼の側近がしてくれた。
「ですので、何か不都合などは直接私どもに。ギルドとの調整だけでは無理な部分は対応いたします」
「はい。かしこまりました」
「はあ……終わった。腹減ったロドリグ」
「うん?」
壁の時計に目をやった。おおぅ……夕食の時間はすでに過ぎている。
「食堂に移ろう」
「はい」
それからロドリグ様の晩餐会。俺初めてだよここの夕食。とういかここで食事は滅多にしない。自分のところで食べてからが来てたから。
「おお……」
「完全にドナシアンふう……」
前菜から俺たちの国とは違う。フィトたちは初めてのドナシアン貴族のメニューだ。レストランでは食べてるけどあれはこちらに少し合わせている物だ。本格的なのを見て嬉しそう。
「美味しい……味付けも見た目も……う~ん」
「美味いだろ。ドナシアンの調理は本当に美味いんだ」
「ええ。お皿からカラトリーまで美しい」
ロドリグ様がふたりにどうだ?口に合うかと聞いている。
「はい。とても美味しいです。お酒も我が国とは違う味わいがありますね」
「ああ。ぶどうの品種の違いだろう」
ユーリ様が中継地の街の話をしてくれる。あそこさすがドナシアンの貴族という他ないくらい早くに発展。まーわんさか人が来ているらしい。中継地とは名ばかりの歓楽街。街の中心部はそれは普通の街だけど外れが全てね……
「自分の土地を離れると寂しさや開放感でな。そんな人を囲い込む。エルフはもちろん獣人のきれいどころもな。俺が直営でやっている店もある」
「ほほう」
貴族だけの娼館もあると自慢げだ。
「他国の食い詰め二男三男なんかが出稼ぎに来てるよ」
「おおぅ…ぅ……」
この大陸は広い。うちと物理的に遠くて付き合いのない国は多い。そんな国から来ているそうだ。
「ドナシアンには多いのですか?」
「う~ん。ひとつの領にひとつかな。夜伽を雇えない者とかが利用する」
「え?お店の方が高くないですか?」
「ふふん。城の夜伽いくらで雇ってるか知らないのか?そこらの文官の二倍三倍だぞ?」
「ゲッ」
城に入れて王族とかの相手をするんだ。身元はきちんとしてないと心配だからな。
大体いいところの貴族の夫婦の子でない……いわゆる外腹の者がやってるんだ。当たり前だとがははと笑った。
「知らなかった……」
普通の貴族の夜伽は庶民から。きれいでまあね、そういった事が好きな者がやっている。
「僕の家は庶民……」
「うちも」
「僕は知ってたよ。エリオス様たちが興味なかったんでしょ?」
「うん……」
俺たち夜伽使わない貴族だったからとセリオとディエゴ。俺はもちろん。
「ユーリ。ここにいる領主のエリオス含め重鎮は身持ちが固くてなあ。夜伽すら嫌がるんだ。お互いの番一筋。それ以外が目に入らないと過ごしてるんだよ」
「マジか!いい匂いの者は食いたくならない?」
「「なりません」」
ワインを手に絶句。ドナシアンの貴族下半身ゆるゆる。
「そうか。この領地風俗店少ないと思ってたらそういう……」
「ああ、エリオスが嫌いなんだよ」
俺が以前話したことをロドリグ様は楽しそうに聞かせている。
「ええ~貴族で下半身が固いとかなんの冗談だよ。エリオス王族だろ?」
「はい」
「うわ~珍獣」
「失礼な」
俺はイモをプスッととフォークで刺してもぐもぐ。
「いやだってさ。俺の知ってる貴族はしまくりよ?夜伽も飽きたってコロコロ替えてしまくり。なんで?」
ロドリグこの国みんなそうなの?と聞いている。んなわけない。俺たちだけだよ。
「こいつらだけ。エリオスの選んだ者だけだよ」
「ほほう。国中の珍獣集めてるのか」
どこまでも珍獣あつかいか?
「珍獣ではありません。番の本能強い者だけがたまたま……」
「ふ~ん。楽しいぞ?アンもノルンもどちらも楽しめる」
全員いらぬと答えた。
「まあ、気持ちが変わったら使ってくれ。俺の名前出してくれればタダでいい」
「いえ……」
「あっ夫婦で使っても……いいぞ複数でやるのも」
複数?複数とは?……みんな固まった。
「いいな。俺今度いくわ」
「おう。お前は金払え」
「あ?」
「金持ってるやつからは毟るよ。当たり前だろ」
「エリオスたちも持ってるぞ。今はな」
金額が違うお前は四家だろって。ふたりで笑っている。
「あのエリオス様」
「なんだフィト」
「貴族って……」
「言うな。これが普通だ。俺たちが珍しいのは確かだよ」
「そう」
俺はあの国の特に人族はそういう人が多いことを話した。貴族の当主は二重紋がほとんど。その次の子たちもな。番も寝て決めるほどだ。
「え?匂いではなく?」
「人となりより身体の相性を重んじる。子を成すことを仕事にもしてるからな」
「へえ……あっそっか。家の存続か」
「そうだ。匂いだけだとな。人により子が先なんて人もいる」
「そっか。いい家の人も大変なんだね」
なんとなくオリヴィエ様を考えた。今日はいないんだ。国に帰っているんだってさ。兄弟のお祝いの会かなんかがあってね。内輪のだからロドリグ様は欠席。兄弟のだけのものだそうだ。他人を入れない会が結構あるらしい。うちはないけどな。
「なあフィト」
「はい。ユーリ様」
「お前今日俺の部屋に来い」
「ふえ?」
真っ青になってもげそうなくらい首を振る。
「ムムム無理ぃ!許して下さいませ」
「そっか。いい匂いなのに」
「無理です!ごめんなさい!」
食べかけていたお肉が口からポロッと出るくらい震えている。
「ならロドリグ用意しろ」
「フン。仕方ないな。俺の行きつけから呼んでやる。ジョスラン」
「はい。かしこまりました」
彼はスッと出て行った。
「よよよかった……」
「気が変わったらいつでもいいぞ」
「変わりません!」
行きつけってどこだよ。うち貴族専用なんてないぞ?
「俺は最近行ってないからさ。どんな子が来るかはお楽しみだ」
「ほほう。お前の分は?オリヴィエいないだろ」
「ああ。フン」
俺とセリオを見てニヤニヤ。
「ふ~ん。よく落としたな。身持ちが固いのに」
「それは俺が先に好きになったから頑張った」
「ほほう」
仕事の話は一切なく下半身の話ばかり。内輪だと遠慮がねぇ。
「俺も欲しいなあ。本能でなく好きになってもらったか。お前きれいだからなあ」
「そこはあまり。なあエリオス」
「ゲボッ」
ワインを吹いた。何を言っている!恥ずかしくて顔真っ赤になった。横を見るとセリオも。
「かーわいい。これはいいな。だが俺は無理か。残念だ」
「合ったとしてもやらん」
「ケチ」
「ケチじゃない。俺の番にしたからな」
「ほほう。なら仕方ない」
酔いが覚める気がした。ロドリグ、ユーリとこんなに仲良かったんだ。へえ……
「なんだ?エリオス」
「いえ。仲いいなあと思って」
「ああ。学友で幼なじみ。こいつんちは候爵家でな。オリヴィエ含め昔からだ」
「そうなんですか」
楽しそうに見合って笑っている。
「おう。昔からエルフみたいな綺麗さとかわいさがあったなロドリグは。中身はまあ……」
うるさいよとロドリグ様はワインを飲んだ。
「腹黒いけどいいやつだ。仲良くしてくれ」
「腹黒いは余計だ」
「はい」
そんなこんなで夜は更けて行った。
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注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)

僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。

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