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一章 多分見放された
8.フェンリルとは
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「よっしゃあ!ここの道を整えるぞ!」
とバンザイして叫んだら涙目のセリオに引っ叩かれた。なんで?
「痛いだろ!」
頬を擦りながら睨んだ。
「バカ!あなたは自分がしたことが分かってますか!神獣と契約ですよ?何か不興を買ったら死ぬかもしれないんですよ!」
「あ、ああ。そうかもね?」
それにあなたの言葉のみで分かり難かったから詳細を説明しろと怒鳴られた。俺は引っ叩かれたから不機嫌な態度で流れを説明した。
「あああ……やっぱり……繋がりはそれたけじゃないんじゃ……」
「ん~それでもいいじゃん?神獣の山を散策して、美味しい野菜とお肉、美しい景色!これこそ観光地だろ?いい領地になるさ!」
俺は将来を想像してうっとりと楽観的に考えていた。確かに魔獣使いは今は聞いたことはない。まあ、他国にはいるかもだけど、俺の知る範囲ではいないから俺もすごくない?と笑ったら、キッと睨まれた。
「私は心配です。あんな大型の……腕を一振りで私たちは簡単に死ぬような魔獣なんですよ」
お?いつも冷たいくせに心配か?と茶化したらまた殴られてガバッと抱きついた。
「あなたの代わりはいないのです……もっとご自分の事も考えて下さい」
あ……本気で心配してるかも?
「うん、ごめん」
セリオは王族を抜けたあなたを本気で心配しているのは、もう私たち側近だけかも知れません。私たちのためにも……うわ~んと泣き出した。
「セリオ……あの、ごめんね?泣かすつもりはなかったんだよ?ごめんって」
顔を上げたセリオは涙でぐちょぐちょ……チュッごめんね?頬にキスした。落ち着かせようと思ってさ。するとブワッと真っ赤になって突き飛ばされて走って逃げた?
「どこに行くんだ!」
「うるさい!」
藪にボスッと顔突っ込んで隠れた。何してんだよ、ったくもう。俺は追いかけてセリオの隣にしゃがみ、肩を抱いた。
「悪かったよ。でもな、俺は領主でお前らの主だ。お前らが飢えるような事はしたくなくてさ。だってフェンリルだぞ?もう追い詰められている俺は飛びつくしかないだろうよ」
「ゔゔぅ……」
膝抱えてこちらを見もしねぇ。
「セーリオ?」
「うっ……これからはなにかする時は相談して下さい」
「ふふっああ、お前に相談するよ」
グズグズと鼻をすすりながら、
「約束ですよ?」
「うん、約束するさ」
「ならいい……グスッ」
ほら頭だせと引っこ抜き……あ~あ、髪の毛が葉っぱだらけだ。耳の中まで……もう。プスプスと抜いた。
「ありがとうございます」
「うん、きれいな髪が台無しだな」
手ぐしで髪を梳いてやって、耳の細かい枝とかも取った。なんか照れてるみたいな顔してかわいいな。
「ほらきれいになった。じゃあさ、一度帰って登山道の整備計画立てて、休憩所とかお店とか作ろ?」
「はい……」
ん?なんで見つめる?
「どっか痛いのか?怪我したのか?」
ムスッと睨んで、
「クッ、もういい!」
ズンズンと騎士の方に歩いて行った。なんだよ、こっちがもうだよ、訳わからん。それから屋敷に戻り顛末を話し……
「ばかやろう!お前ホントにバカだろ!」
「なんだよ、みんなしてバカバカって……」
魔獣使いなんて俺も見たことはない!ペットの小さいやつは契約なんかしないんだぞ!なんでそんなに考えなしなんだ!とディエゴは責めてきた。みんな酷い。俺は良かれと思ったのに。
「解除は出来るんですか?」
フィトは不安そうに、
「あ~聞いてない。だってはじめは念話が気持ち悪くて、慣れてきたら山にいて欲しくてさ。それしか考えてなかった」
「バカだ……エリオス様」
そんな未知の契約をその場のノリでとか……今すぐ調べて来い!城に行けと追い出されて、山の整備計画どころではなくなった。仕方なく城に出向き、魔法省の大臣に聞きに来た。
「ほほう、フェンリルですか。また珍しい魔獣と遭遇してなおかつ契約。バカですか?」
「お前まで……」
当たり前です。我らですらそんな状況で契約するなんて、思いつきもしませんよと呆れられた。
「だってさ。俺は領主になったのに、街は未だに閑散としててな。家臣を飢えさせたくなくて……父上もいつまでお金出してくれるか分からないし……」
全くあなたはとため息。
「こんな考えなしな方ではなかったはずですがね」
「うん……」
領地も家臣もなんとかしたくて焦ってたのかもな。
「ですかね。あなたは王族の中では魔力が多い方ですから、フェンリルと話せたのでしょう。他の騎士やセリオには声が聞こえなかったんでしょう?」
「うん、俺の声だけだったそうだ」
契約してしまったのは仕方ありません。では、私が知る限りの事をお教えいたしましょうと微笑んだ。
「ありがと」
「はい、では、まず魔獣との契約とは………」
大臣の話では、契約したから何がある訳ではなく、家族になったくらいのものです。ですが相手は獣ですから、人を完全に理解はしていません。それは人同士でも同じですが、仲良くならねばなりませんよ。
「ほほう」
「人と獣の理は違います。そこを埋めていかないとフェンリルが災いになります」
「例えば?」
「そうですね。領地が氷漬け……とか?」
「ゲッ!この国では致命傷だな」
「そうですね。農業国に寒さは大問題です。あなたの領地の野菜は今評判なのでしょう?税収に直に響きますよ」
「そうだね……」
大損害になるな。今は農家が少ないから税を取ってはいないが、後々は困るのはイヤ。
「ですから人の理を理解させ、こちらもフェンリルを理解する。難しいですが味方に付けばいい相棒になりますよ」
おう!なら頑張るよ。それと一個注意点。
「なんだ?」
「あちらが助けを呼んだ時は必ず行って下さい。問題を解決させるとかではないんです。駆けつけてくれたって優しい気持ちを、彼らは尊重します。仲間意識ですね。そこさえ押さえれば大丈夫。あちらが死んだからこちらが死ぬようなこともありませんから」
ふんふん、伝説の魔獣だが、仲間意識を大切にする生き物か。なんかかわいいかも。
「まあ、魔獣使いは現在我が国にはおりません。私も知識のみですので何が起こるかは未知数です。油断はせぬように」
「分かった。時間取らせて悪かったな」
「いいえ、なにかありましたらいつでもどうぞ。あっ契約の解除は出来ませんからね。死が解除の条件です」
うっ……俺死ぬまで怒らせないようにしよ。
とバンザイして叫んだら涙目のセリオに引っ叩かれた。なんで?
「痛いだろ!」
頬を擦りながら睨んだ。
「バカ!あなたは自分がしたことが分かってますか!神獣と契約ですよ?何か不興を買ったら死ぬかもしれないんですよ!」
「あ、ああ。そうかもね?」
それにあなたの言葉のみで分かり難かったから詳細を説明しろと怒鳴られた。俺は引っ叩かれたから不機嫌な態度で流れを説明した。
「あああ……やっぱり……繋がりはそれたけじゃないんじゃ……」
「ん~それでもいいじゃん?神獣の山を散策して、美味しい野菜とお肉、美しい景色!これこそ観光地だろ?いい領地になるさ!」
俺は将来を想像してうっとりと楽観的に考えていた。確かに魔獣使いは今は聞いたことはない。まあ、他国にはいるかもだけど、俺の知る範囲ではいないから俺もすごくない?と笑ったら、キッと睨まれた。
「私は心配です。あんな大型の……腕を一振りで私たちは簡単に死ぬような魔獣なんですよ」
お?いつも冷たいくせに心配か?と茶化したらまた殴られてガバッと抱きついた。
「あなたの代わりはいないのです……もっとご自分の事も考えて下さい」
あ……本気で心配してるかも?
「うん、ごめん」
セリオは王族を抜けたあなたを本気で心配しているのは、もう私たち側近だけかも知れません。私たちのためにも……うわ~んと泣き出した。
「セリオ……あの、ごめんね?泣かすつもりはなかったんだよ?ごめんって」
顔を上げたセリオは涙でぐちょぐちょ……チュッごめんね?頬にキスした。落ち着かせようと思ってさ。するとブワッと真っ赤になって突き飛ばされて走って逃げた?
「どこに行くんだ!」
「うるさい!」
藪にボスッと顔突っ込んで隠れた。何してんだよ、ったくもう。俺は追いかけてセリオの隣にしゃがみ、肩を抱いた。
「悪かったよ。でもな、俺は領主でお前らの主だ。お前らが飢えるような事はしたくなくてさ。だってフェンリルだぞ?もう追い詰められている俺は飛びつくしかないだろうよ」
「ゔゔぅ……」
膝抱えてこちらを見もしねぇ。
「セーリオ?」
「うっ……これからはなにかする時は相談して下さい」
「ふふっああ、お前に相談するよ」
グズグズと鼻をすすりながら、
「約束ですよ?」
「うん、約束するさ」
「ならいい……グスッ」
ほら頭だせと引っこ抜き……あ~あ、髪の毛が葉っぱだらけだ。耳の中まで……もう。プスプスと抜いた。
「ありがとうございます」
「うん、きれいな髪が台無しだな」
手ぐしで髪を梳いてやって、耳の細かい枝とかも取った。なんか照れてるみたいな顔してかわいいな。
「ほらきれいになった。じゃあさ、一度帰って登山道の整備計画立てて、休憩所とかお店とか作ろ?」
「はい……」
ん?なんで見つめる?
「どっか痛いのか?怪我したのか?」
ムスッと睨んで、
「クッ、もういい!」
ズンズンと騎士の方に歩いて行った。なんだよ、こっちがもうだよ、訳わからん。それから屋敷に戻り顛末を話し……
「ばかやろう!お前ホントにバカだろ!」
「なんだよ、みんなしてバカバカって……」
魔獣使いなんて俺も見たことはない!ペットの小さいやつは契約なんかしないんだぞ!なんでそんなに考えなしなんだ!とディエゴは責めてきた。みんな酷い。俺は良かれと思ったのに。
「解除は出来るんですか?」
フィトは不安そうに、
「あ~聞いてない。だってはじめは念話が気持ち悪くて、慣れてきたら山にいて欲しくてさ。それしか考えてなかった」
「バカだ……エリオス様」
そんな未知の契約をその場のノリでとか……今すぐ調べて来い!城に行けと追い出されて、山の整備計画どころではなくなった。仕方なく城に出向き、魔法省の大臣に聞きに来た。
「ほほう、フェンリルですか。また珍しい魔獣と遭遇してなおかつ契約。バカですか?」
「お前まで……」
当たり前です。我らですらそんな状況で契約するなんて、思いつきもしませんよと呆れられた。
「だってさ。俺は領主になったのに、街は未だに閑散としててな。家臣を飢えさせたくなくて……父上もいつまでお金出してくれるか分からないし……」
全くあなたはとため息。
「こんな考えなしな方ではなかったはずですがね」
「うん……」
領地も家臣もなんとかしたくて焦ってたのかもな。
「ですかね。あなたは王族の中では魔力が多い方ですから、フェンリルと話せたのでしょう。他の騎士やセリオには声が聞こえなかったんでしょう?」
「うん、俺の声だけだったそうだ」
契約してしまったのは仕方ありません。では、私が知る限りの事をお教えいたしましょうと微笑んだ。
「ありがと」
「はい、では、まず魔獣との契約とは………」
大臣の話では、契約したから何がある訳ではなく、家族になったくらいのものです。ですが相手は獣ですから、人を完全に理解はしていません。それは人同士でも同じですが、仲良くならねばなりませんよ。
「ほほう」
「人と獣の理は違います。そこを埋めていかないとフェンリルが災いになります」
「例えば?」
「そうですね。領地が氷漬け……とか?」
「ゲッ!この国では致命傷だな」
「そうですね。農業国に寒さは大問題です。あなたの領地の野菜は今評判なのでしょう?税収に直に響きますよ」
「そうだね……」
大損害になるな。今は農家が少ないから税を取ってはいないが、後々は困るのはイヤ。
「ですから人の理を理解させ、こちらもフェンリルを理解する。難しいですが味方に付けばいい相棒になりますよ」
おう!なら頑張るよ。それと一個注意点。
「なんだ?」
「あちらが助けを呼んだ時は必ず行って下さい。問題を解決させるとかではないんです。駆けつけてくれたって優しい気持ちを、彼らは尊重します。仲間意識ですね。そこさえ押さえれば大丈夫。あちらが死んだからこちらが死ぬようなこともありませんから」
ふんふん、伝説の魔獣だが、仲間意識を大切にする生き物か。なんかかわいいかも。
「まあ、魔獣使いは現在我が国にはおりません。私も知識のみですので何が起こるかは未知数です。油断はせぬように」
「分かった。時間取らせて悪かったな」
「いいえ、なにかありましたらいつでもどうぞ。あっ契約の解除は出来ませんからね。死が解除の条件です」
うっ……俺死ぬまで怒らせないようにしよ。
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