61 / 63
四章 どうしてこなるんだ
10 宣伝とお披露目の準備
しおりを挟む
「なにあの石」
「ステキね。でもピジョンブラッドにしては色が……」
などなど奥様やお嬢様から聞こえる。よし!出足は好調だ。人の目を集めなきゃ意味はない。もらった石は手のひらくらいの大きさで、胸にデカデカと分かるようにカットしてブローチにした。残りは髪のリボンの真ん中にもこれでもかと付けた。ボタンにもズボンの紐の先にも、付けられそうなところ全部真っ赤っか。ついでに初夏だけど腰の飾りにヌーマリムの毛皮を猫のしっぽ風にして何本もあしらう。どこまでも東の宣伝。踊ると毛皮も揺れて、魔石は照明の光でキラキラと輝く。
「かわいいよリシャール」
「ロベールこれさ。見本市のようだよね?」
「いいだろ?武器や穀物以外も東にはあるんだって宣伝なんだから」
「そうだけどさ」
僕は踊り終わると出来るだけ会場をウロウロした。みなの目に入るようにね。そして聞いてくる人には明日の昼、客間で説明会をするから来てねって宣伝。キツネに劣らない品質で格安。たくさんの防寒着を手にすることが出来ますよって。冬のデートの服装に合わせた色に変更出来て、オシャレですと笑顔で売り込む。
「さわっても?」
「どうぞ!」
腰から外して皆さんに触らせる。ふかふかでキツネやタヌキと比べられても見劣りはしない。この毛足の長いのもヌーマリム?と聞かれたから、そうですよって。
「ステキ。騎士の防寒くらいにか思ってませんでしたが、色も色々なんですね」
「ええ。染色で変えられますが、あの茶色のねずみ色ばかりではないんですよ。全部クリーム色のとか、グレーのも牧場にはいます」
「へえ」
「染めなくてもいいように今研究中です。どうしても薬使うと劣化が早くなりますから」
僕は王族とは思えない商人になっていた。その宝石は?と聞く方もいらっしゃって、簡単に説明。
「まあ……ルビーのようなのに付与がそこまで。汎用性の高い魔石ですね」
「ええ。愛する方にお守りとして、私兵の増強にもうってつけです。普通の高品質魔石よりちょっと高いだけなのに付与は多く出来る。使い勝手はいいですよ」
「よさそうですね。父上にお願いしようかな」
品質も様々、使用目的で選べますからぜひと、もう顔が攣るのでは?ってくらいの笑顔で頑張った。オリバー様ともお話ししたかったけど、彼も人だかりが怖いのか近づかない。そりゃそうか。向こうが見えないほど姫様や奥様に囲まれてるからなあ。
「うー……疲れた」
「ご苦労さま」
僕は舞踏会の後部屋に戻りソファにもたれた。もう座るじゃなくてもたれた。
「体力じゃなくて、精神が擦り切れた」
「うんうん。どこの商人かと思ったもん。素晴らしかったよ」
「ありがとう」
ミレーユが明日もあるからお風呂入って早く寝たほうがいいって。
「明日はデザインを変えますから、シャツもキュロットズボンも、昼間に赤が映えるようになってます。お顔がやつれててはなりません」
「はーい」
夜会ではないから連れて来た商人が説明するんだけど、僕は見本品として隣に立つ。キラキラした表情は大切なんだ。けど、
「若い方にお願いした方が昼間はいいんじゃないかな?デートするお嬢様や買い物の奥様に売りつけるんだから」
「あん?お前で十分だ。見た目だけなら二十五くらいに見える」
「あ?僕余裕で三十超えてますが?そんなふうに周りに見えてるの?」
「うん」
ハイネがボソッと精霊の力せいだね。百まで余裕でってのは、そこまで自分の足で歩いて六十くらいの老人にしか見えないって意味だって。はい?ロベール死んでるよね?と問えば、うんって。
「ハイネそれ寂しい。ロベールも長生きを」
「ムリ。そういったいじりは出来ない。魔力を上げるなら出来るけど」
「そう……」
早々とひとりぼっち確定、寂しい……余計疲れが増した。
「リーンハルトとかいるじゃない。孫も増えるし、寂しくないよ」
「そっかな」
「そうそう。アンはひとりになっても生き生きしてる人族は多いじゃない」
「まあ」
眠いのかと聞かれた。いや、ハイネと話してたと言うとそうかと。なに話してたの?と。
「あなたが僕の見た目が若いって言うから、ハイネが精霊の力のせいだよって。百で普通の老人と言われた」
「あーそれ、俺死んでるな」
「うん。寂しい」
よっこいしょと僕を抱き上げて、膝に乗せる。
「俺は百まではムリ。でも長生き出来るようにする。健康に気をつけて深酒しないように、運動もしてね」
「そうして。今から粗食で一緒に死のう?」
「アハハッそれはムリ。でも出来るだけな」
「うん」
どんなに長生きしても八十くらいだろ?そこを目指すよって。
「なあ、これなんの話だ?」
「あなたが見本市に僕をそのまま使おうとしたから」
「ああ、そうだったな」
明日もあるし、風呂入って寝ようってなって慌ただしく支度してベッドへもぐり込む。
「俺はお前に看取られて死ねるのか。幸せだな」
「僕は?」
「リーンハルトたちがいるだろ?」
「そっか」
孫もいるしたくさんの人に見送られるよ。嫌われなきゃねと。
「嫌なこと言うね」
「たまにいるのよ王族でもな。性格悪くてなんてのがさ」
「ふーん。見たことも聞いたこともないけど?」
「隠すからな」
「そっか」
まあずっと先の話だしなあって、ガウンの紐を解く。なにしてんだよ。
「しよ?」
「明日も忙しいのに?あなたも魔石の売り込みと鉱山の投資の引き出しのはずでしょう?」
「うん」
いいからと唇が重なる。ん…はあ…キスは気持ちよくて、触られればその気になる。ハァハァとロベールに僕は腕を回した。
「したくなるだろ?」
「うん…ロベールとは嫌と思ったことない……」
「だろ?俺も」
優しく触る手も重なる唇も好き。うっ
「忙しかったからしてなくて少し硬いな」
「ハァハァ……仕方ないもん。ヌーマリムとか…ああっ」
「だな」
中を捏ねる指も…いい。慣れた手つきで僕のいいところを擦るのも。
「イクのはこれでな」
柔らかくなって気持ちよさも増す。ふわふわとされるがままになっていると、ズブズブと奥に……っううっんっ
「キス好き?」
「好き」
僕はロベールに…っうぅんっあっ……っ欲しくて唇を押し付けた。それに応えるように舌が絡む。腰は止まらず、気持ちよさに意識がいく。
「ロ、ロベール……も…ダメ……」
「ならゆっくりな」
ゆっくり動かされたら快感が少し引いてくる。物足りないような感じがしてしまう。気持ちよくない訳じゃないけど、
「ロベール足りない」
「ならば」
腰を止めて体を責めてくる。最近は股間の快感ばかりになってたよなあって乳首を……あっクッ
「俺を締め上げる」
「うっいい……っ」
手を絡め握ってくれて……んっ…耳はっ長い愛撫をすることが減ってたな。ごめんなと耳をさすり乳首に吸い付き……くうっ
「動かなくてもヒクヒクしてるぞ?」
「入ってるから……ハァハァ…」
ならそろそろ中をなあって腰をアアッあっ待っやっ…くうっ
「やめ……ああっ…んんっうっ…あっ」
「いいだろ?」
ボーっとする。気持ちいいに意識がいって、しびれるような快感に身を任せた。こうなるとそれしか考えられなくなる。
「リシャール?」
「あっう…ん……はあっ」
「かわいいなあ。俺の手をこんなに握って」
ほらイキなと、奥に押し込みグリグリ。そこダメッアーッ
「俺もな。クッッ」
あー……いい。気持ちいい。ロベールも少しでもこうして繋がりたい。してなかったから余計触れていたくなると、朦朧とする僕の頬を撫でる。かわいい俺のリシャール。俺を見てと。
「ロベールもかわいいよ」
「当たり前だ」
「んふふっ」
萎えたのかぬるっと抜いて横に降りた。あースッキリしたって。忙しくても最低週一で繋がりたい。リシャール成分が足りなくなるとイライラすると笑った。
「なにそれ」
「抱くと幸せなんだ。それが完全になくなるのが一週間くらい。お前の愛が欲しくなる」
「いえ、繋がらなくても愛してますが?」
「違うんだよ。俺が欲しいと蕩けてねだるお前が必要」
「はあ」
分からなくてもいい。淫らな求めを味わいたくなるんだ。ノルンだからかもなと。支配欲かもなって。ふーん。
「ノルンは持ってる感情だろう。妻を守りたいんだが、支配もしたい。俺のものなのだから逆らうなって気持ちかな。悪い感情だが持っているものだろう」
「僕も守りたいし、僕のだけでいてほしいよ?」
「アンのは心をだろ?ノルンは全てをと考える」
「そう?」
「性差だな。どんなに強いアンでも分かり合えない部分かもな」
まあなんでもいい。俺がお前を愛してて、その愛を受け入れ返してくれればそれでと。それはもちろん。
「アンと見た目も能力も同じでも、子を産むという事実は変わらない。そこで考え方が違ってくる。ノルンはどうしても攻撃性が高くなりがちでな」
ノルンは子を産めない。だからどうしてもノルンの方がキレやすく暴力的な人が目立ち。精神面などのフォローはアンの方が得意な人が多く、どんなに見た目が似ていようとも性差が生まれる。まあ、違う人も当然いるけど傾向としてかな。
「俺にお前を守らせてくれ」
「うん」
僕は元々個人としては強くはない。アンらしいといえばそうだけどね。でもオリバー様には負ける。あの方ほどアンらしい方を僕は知らないし、かわいくて優しくて理想だもの。穏やかで声を荒げてるのすら見たことはなかった。とてもかわいらしい方なんだと話すと、
「お前……まあいい」
「なによ。オリバー様は本当にかわいいんだよ?」
「うん……かわいいね……」
「なんで棒読みのセリフみたいになってるの?」
だってあの人見た目は全くのノルンだろ。俺はそのな……好みから外れてるんだ。中身は確かにアンらしいけどさあって。俺はアンには繊細さを見た目に求めたい。世の支流からは外れているけど、王族は自分より大きい人を選ばない人が多いよって。
「中身はかわいくても俺は外見もだな。総合的に見て……リシャールがマッチョに育ってれば……中身重視で求婚したはずだ」
「そうですか。ふーん」
「もう俺はお前ならなんでもよかったんだよ」
おやすみとキスしてくれて、寝るぞと胸に。恥ずかしそうに照れている姿もかわいい。それに頬をつけると気持ちいい。いくつになっても肌にくっつくの好き。ロベールの少ない胸毛……とか触ってたらブツっと爪に引っ掛けてぬけた。
「イッやめろ」
「ごめんなさい」
もそもそと触っているうちに眠り、翌日朝は準備してたらあっという間に午後になった。慌ててる時間ほど過ぎるのが早いのはなんでなの?と毎回思うが、後は僕の気持ちを作るんだ。ヌーマリムの餌代くらいは稼がねばただのペットになる。
もう少しかわいければ……そんな気にもなるけどあれはふてぶてし過ぎる。さて行くぞ!
「ステキね。でもピジョンブラッドにしては色が……」
などなど奥様やお嬢様から聞こえる。よし!出足は好調だ。人の目を集めなきゃ意味はない。もらった石は手のひらくらいの大きさで、胸にデカデカと分かるようにカットしてブローチにした。残りは髪のリボンの真ん中にもこれでもかと付けた。ボタンにもズボンの紐の先にも、付けられそうなところ全部真っ赤っか。ついでに初夏だけど腰の飾りにヌーマリムの毛皮を猫のしっぽ風にして何本もあしらう。どこまでも東の宣伝。踊ると毛皮も揺れて、魔石は照明の光でキラキラと輝く。
「かわいいよリシャール」
「ロベールこれさ。見本市のようだよね?」
「いいだろ?武器や穀物以外も東にはあるんだって宣伝なんだから」
「そうだけどさ」
僕は踊り終わると出来るだけ会場をウロウロした。みなの目に入るようにね。そして聞いてくる人には明日の昼、客間で説明会をするから来てねって宣伝。キツネに劣らない品質で格安。たくさんの防寒着を手にすることが出来ますよって。冬のデートの服装に合わせた色に変更出来て、オシャレですと笑顔で売り込む。
「さわっても?」
「どうぞ!」
腰から外して皆さんに触らせる。ふかふかでキツネやタヌキと比べられても見劣りはしない。この毛足の長いのもヌーマリム?と聞かれたから、そうですよって。
「ステキ。騎士の防寒くらいにか思ってませんでしたが、色も色々なんですね」
「ええ。染色で変えられますが、あの茶色のねずみ色ばかりではないんですよ。全部クリーム色のとか、グレーのも牧場にはいます」
「へえ」
「染めなくてもいいように今研究中です。どうしても薬使うと劣化が早くなりますから」
僕は王族とは思えない商人になっていた。その宝石は?と聞く方もいらっしゃって、簡単に説明。
「まあ……ルビーのようなのに付与がそこまで。汎用性の高い魔石ですね」
「ええ。愛する方にお守りとして、私兵の増強にもうってつけです。普通の高品質魔石よりちょっと高いだけなのに付与は多く出来る。使い勝手はいいですよ」
「よさそうですね。父上にお願いしようかな」
品質も様々、使用目的で選べますからぜひと、もう顔が攣るのでは?ってくらいの笑顔で頑張った。オリバー様ともお話ししたかったけど、彼も人だかりが怖いのか近づかない。そりゃそうか。向こうが見えないほど姫様や奥様に囲まれてるからなあ。
「うー……疲れた」
「ご苦労さま」
僕は舞踏会の後部屋に戻りソファにもたれた。もう座るじゃなくてもたれた。
「体力じゃなくて、精神が擦り切れた」
「うんうん。どこの商人かと思ったもん。素晴らしかったよ」
「ありがとう」
ミレーユが明日もあるからお風呂入って早く寝たほうがいいって。
「明日はデザインを変えますから、シャツもキュロットズボンも、昼間に赤が映えるようになってます。お顔がやつれててはなりません」
「はーい」
夜会ではないから連れて来た商人が説明するんだけど、僕は見本品として隣に立つ。キラキラした表情は大切なんだ。けど、
「若い方にお願いした方が昼間はいいんじゃないかな?デートするお嬢様や買い物の奥様に売りつけるんだから」
「あん?お前で十分だ。見た目だけなら二十五くらいに見える」
「あ?僕余裕で三十超えてますが?そんなふうに周りに見えてるの?」
「うん」
ハイネがボソッと精霊の力せいだね。百まで余裕でってのは、そこまで自分の足で歩いて六十くらいの老人にしか見えないって意味だって。はい?ロベール死んでるよね?と問えば、うんって。
「ハイネそれ寂しい。ロベールも長生きを」
「ムリ。そういったいじりは出来ない。魔力を上げるなら出来るけど」
「そう……」
早々とひとりぼっち確定、寂しい……余計疲れが増した。
「リーンハルトとかいるじゃない。孫も増えるし、寂しくないよ」
「そっかな」
「そうそう。アンはひとりになっても生き生きしてる人族は多いじゃない」
「まあ」
眠いのかと聞かれた。いや、ハイネと話してたと言うとそうかと。なに話してたの?と。
「あなたが僕の見た目が若いって言うから、ハイネが精霊の力のせいだよって。百で普通の老人と言われた」
「あーそれ、俺死んでるな」
「うん。寂しい」
よっこいしょと僕を抱き上げて、膝に乗せる。
「俺は百まではムリ。でも長生き出来るようにする。健康に気をつけて深酒しないように、運動もしてね」
「そうして。今から粗食で一緒に死のう?」
「アハハッそれはムリ。でも出来るだけな」
「うん」
どんなに長生きしても八十くらいだろ?そこを目指すよって。
「なあ、これなんの話だ?」
「あなたが見本市に僕をそのまま使おうとしたから」
「ああ、そうだったな」
明日もあるし、風呂入って寝ようってなって慌ただしく支度してベッドへもぐり込む。
「俺はお前に看取られて死ねるのか。幸せだな」
「僕は?」
「リーンハルトたちがいるだろ?」
「そっか」
孫もいるしたくさんの人に見送られるよ。嫌われなきゃねと。
「嫌なこと言うね」
「たまにいるのよ王族でもな。性格悪くてなんてのがさ」
「ふーん。見たことも聞いたこともないけど?」
「隠すからな」
「そっか」
まあずっと先の話だしなあって、ガウンの紐を解く。なにしてんだよ。
「しよ?」
「明日も忙しいのに?あなたも魔石の売り込みと鉱山の投資の引き出しのはずでしょう?」
「うん」
いいからと唇が重なる。ん…はあ…キスは気持ちよくて、触られればその気になる。ハァハァとロベールに僕は腕を回した。
「したくなるだろ?」
「うん…ロベールとは嫌と思ったことない……」
「だろ?俺も」
優しく触る手も重なる唇も好き。うっ
「忙しかったからしてなくて少し硬いな」
「ハァハァ……仕方ないもん。ヌーマリムとか…ああっ」
「だな」
中を捏ねる指も…いい。慣れた手つきで僕のいいところを擦るのも。
「イクのはこれでな」
柔らかくなって気持ちよさも増す。ふわふわとされるがままになっていると、ズブズブと奥に……っううっんっ
「キス好き?」
「好き」
僕はロベールに…っうぅんっあっ……っ欲しくて唇を押し付けた。それに応えるように舌が絡む。腰は止まらず、気持ちよさに意識がいく。
「ロ、ロベール……も…ダメ……」
「ならゆっくりな」
ゆっくり動かされたら快感が少し引いてくる。物足りないような感じがしてしまう。気持ちよくない訳じゃないけど、
「ロベール足りない」
「ならば」
腰を止めて体を責めてくる。最近は股間の快感ばかりになってたよなあって乳首を……あっクッ
「俺を締め上げる」
「うっいい……っ」
手を絡め握ってくれて……んっ…耳はっ長い愛撫をすることが減ってたな。ごめんなと耳をさすり乳首に吸い付き……くうっ
「動かなくてもヒクヒクしてるぞ?」
「入ってるから……ハァハァ…」
ならそろそろ中をなあって腰をアアッあっ待っやっ…くうっ
「やめ……ああっ…んんっうっ…あっ」
「いいだろ?」
ボーっとする。気持ちいいに意識がいって、しびれるような快感に身を任せた。こうなるとそれしか考えられなくなる。
「リシャール?」
「あっう…ん……はあっ」
「かわいいなあ。俺の手をこんなに握って」
ほらイキなと、奥に押し込みグリグリ。そこダメッアーッ
「俺もな。クッッ」
あー……いい。気持ちいい。ロベールも少しでもこうして繋がりたい。してなかったから余計触れていたくなると、朦朧とする僕の頬を撫でる。かわいい俺のリシャール。俺を見てと。
「ロベールもかわいいよ」
「当たり前だ」
「んふふっ」
萎えたのかぬるっと抜いて横に降りた。あースッキリしたって。忙しくても最低週一で繋がりたい。リシャール成分が足りなくなるとイライラすると笑った。
「なにそれ」
「抱くと幸せなんだ。それが完全になくなるのが一週間くらい。お前の愛が欲しくなる」
「いえ、繋がらなくても愛してますが?」
「違うんだよ。俺が欲しいと蕩けてねだるお前が必要」
「はあ」
分からなくてもいい。淫らな求めを味わいたくなるんだ。ノルンだからかもなと。支配欲かもなって。ふーん。
「ノルンは持ってる感情だろう。妻を守りたいんだが、支配もしたい。俺のものなのだから逆らうなって気持ちかな。悪い感情だが持っているものだろう」
「僕も守りたいし、僕のだけでいてほしいよ?」
「アンのは心をだろ?ノルンは全てをと考える」
「そう?」
「性差だな。どんなに強いアンでも分かり合えない部分かもな」
まあなんでもいい。俺がお前を愛してて、その愛を受け入れ返してくれればそれでと。それはもちろん。
「アンと見た目も能力も同じでも、子を産むという事実は変わらない。そこで考え方が違ってくる。ノルンはどうしても攻撃性が高くなりがちでな」
ノルンは子を産めない。だからどうしてもノルンの方がキレやすく暴力的な人が目立ち。精神面などのフォローはアンの方が得意な人が多く、どんなに見た目が似ていようとも性差が生まれる。まあ、違う人も当然いるけど傾向としてかな。
「俺にお前を守らせてくれ」
「うん」
僕は元々個人としては強くはない。アンらしいといえばそうだけどね。でもオリバー様には負ける。あの方ほどアンらしい方を僕は知らないし、かわいくて優しくて理想だもの。穏やかで声を荒げてるのすら見たことはなかった。とてもかわいらしい方なんだと話すと、
「お前……まあいい」
「なによ。オリバー様は本当にかわいいんだよ?」
「うん……かわいいね……」
「なんで棒読みのセリフみたいになってるの?」
だってあの人見た目は全くのノルンだろ。俺はそのな……好みから外れてるんだ。中身は確かにアンらしいけどさあって。俺はアンには繊細さを見た目に求めたい。世の支流からは外れているけど、王族は自分より大きい人を選ばない人が多いよって。
「中身はかわいくても俺は外見もだな。総合的に見て……リシャールがマッチョに育ってれば……中身重視で求婚したはずだ」
「そうですか。ふーん」
「もう俺はお前ならなんでもよかったんだよ」
おやすみとキスしてくれて、寝るぞと胸に。恥ずかしそうに照れている姿もかわいい。それに頬をつけると気持ちいい。いくつになっても肌にくっつくの好き。ロベールの少ない胸毛……とか触ってたらブツっと爪に引っ掛けてぬけた。
「イッやめろ」
「ごめんなさい」
もそもそと触っているうちに眠り、翌日朝は準備してたらあっという間に午後になった。慌ててる時間ほど過ぎるのが早いのはなんでなの?と毎回思うが、後は僕の気持ちを作るんだ。ヌーマリムの餌代くらいは稼がねばただのペットになる。
もう少しかわいければ……そんな気にもなるけどあれはふてぶてし過ぎる。さて行くぞ!
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(10/21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
※4月18日、完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる