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三章 東の城
裏話 視察 2 (ロベールの場合)
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午後からは農地だが、馬車では回りきれないからワイバーン。航空隊よりも乗りやすい鞍が付いてるんだ。鐙も大きめで、馬の鞍に近い。たが、こいつら鱗が鋭いから全部金属製。鞍のお尻が当たるところに皮で覆って綿が入ってるくらいだな。俺は騎獣服に着替えて乗り、騎士たちと野菜の集荷場兼卸売市場に到着した。
「今はトマトとかにんにく、葉物か」
集荷場には木箱にたくさん積んであり、作業の者が忙しく働いている。そこに朝採れたであろう野菜を持ち込む農夫も。そこの運営などを聞いた後畑へ。
「こちらはそろそろ大豆の花が咲く頃ですかね」
集荷場の責任者と畑を見回り……食われてるなあ。畑の隅の方に齧られた青いかぼちゃやトマトなど、野菜が野積みになっている。中々の量やられている……か。一見畑はよく実ってるようには見えるが。
「これが通常の被害なのか?」
「いえ、今年は春がそれほど遅くはなかったのですが、ヌーマリムはなぜか多く繁殖して結構やられてますね。森にエサが少ないのかも」
普段の年ならほぼ半分もやられないそうだ。このやられた野菜はここに積んで堆肥にするらしい。堆肥?
「土と混ぜて発酵させてまた土に混ぜます。そうするとよく野菜が育つんですよ」
ふーん。農家の知恵で無駄にしないんだな。無駄などないのですよと笑う。
「このあたりは日照時間が他の農地より少なくて、ヌーマリムが集まるんですよ。居心地いいのか畑近くの森に巣を作り、夜中に出て来て作物を食べてしまう。魔石などで対策してるのですが、ちょっとビリッととしても、もう引かなくなってるんです」
「図太いな」
それに増えるとヌーマリムを食べる魔獣も出没し、追いかけ回すから畑が踏み荒らされるなんてのもある。たとえ駆除しても数が多く、減らないんだという。面倒臭え生き物だな。ええと、ため息。
「ネズミの仲間は子を年に何度もたくさん産むし、毛皮は安いしでなんの利益になりませんね。本来ネズミ系は美味しいはずなのに、こいつは不味い。迷惑なだけです」
「うーん……」
対策出来ることはしているそうだが、全滅させても翌年にはまたいるし、キリがない。
「どうすればいいのでしょうね」
「今は分からない。俺なりに考えてみるよ」
「お願いいたします」
視察が終わり城に戻ったが、仕事は終わらない。机に山積みの許可の申請とか、嘆願書とかを確認してサインしていた。それが終わる頃には夕食の時間……は大分過ぎたか。リシャールもう待ってないかと時計に目をやった。
「すみません。今日は遅くなりましたね」
「いや、構わん」
ペンを置いてクオールと食堂に入ると、おかえりってニコニコしてるリシャールがいてびっくりした。
「お前食べてないのか?」
「うん。待ってました。一緒に食べよう?」
ふふっと俺は口から笑みが溢れた。こんなことなのにとても嬉しいんだ。二人だけのこの城では特にそう思う。叔父上の下の王子に、広いんだからここに残ればいいと言ったんだが、代替わりしたので我らは臣下。外に出るのが当然だからと引き止めの言葉を一蹴し、さっさと出て行ってしまった。近くにはいるけどさ。
俺たちは仲は悪くないどころか未だによく遊んでたのに、こんなところは叔父上に似ていてきっちりする。
「今日は牛魔獣のステーキだよ。ここでは西より安価に手に入るからって料理長がね」
「そうか」
催しでもなければ王族すら口に出来ない高級品が、ここでは夕食に上がる。肉に関しては東の方が充実していて、俺たちが食べる分くらいはと、先程の解体所が時々回してくれるんだ。俺たちは美味しくいただいた。
「脂が甘いね」
「ああ、うまい」
うーん……こうした美味しい食事のせいか腹がなあ。剣術の訓練もほとんど出来なくて運動不足が気になる。体は正直で弛んで来た気がするんだ。俺が腹を擦ってると、
「お腹痛いの?侍医を呼ぼうか?休む?」
「いいや、運動不足かなって思っただけだ」
「そう?」
リシャールは分からないけどと小首を傾げたが、これは自分だからだろう。服がキツイとかもないからな。
「暇になったら鍛えるさ」
「うん。それより今は休んでね。疲れがお顔に出てるから」
「ああ、ありがとう」
心配そうに見つめる目にまた癒され、夕食が済んだらサロンに移動した。ここに来てからは自室ではなく、寝るまでサロンで寛ぐようになったんだ。その方がメイドの片付けが楽だからと言われてな。
「リシャール、精霊探しはまだしてるのか?」
「うん。ほぼ毎日色んな森に出かけてるんだ。そうそう、昔あなたが言ってた白い鹿はこちらでも見かけたよ。目が合うとフンッて無視されたけど」
「あはは。そうか」
白い鹿は高貴な鹿で、動物精霊の中では上位の者。人が話しかけても返事などしないかと笑ったら。
「いや、竜になってて無視されたんですけど」
「なら嫌われたかな?」
「人の変身と見破ってたかも?」
ふたりで肩を寄せ合い飲んでいるこの時間は、疲れが癒える気がする。リシャールがただ楽しそうにしてくれてるのが幸せだ。
「リシャール……なあ、抱きたい」
俺はリシャールを抱き寄せて耳元でわざと吐息混じりに囁く。くすぐったいよと笑い、俺の胸に手を置いた。
「うん。お部屋に戻ろう」
西の城ではほぼ毎晩抱いていたが、そんな気力が残らない日も多くて、寂しい思いをさせている。発情期はさすが仕事を減らすが、それ以外はな。俺が寂しくなったのかも。
「あっ…うっ……ソコ……」
「気持ちいい?」
「うっ……うん……」
腰を掴んで後ろから責める。滑らかな背中が興奮で汗ばみ、かわいい声で喘ぐ。
「ロベールもっと……奥…んんぅ…ッ」
「ああ」
アンは前の刺激とそれに関連する中の場所以外に、子宮の入口あたりを突かれるのを喜ぶ。この辺に性感帯があるのだろう。強い快感があるらしく、ここを責めるとよく締まる。
「ロッロベールッああっ…うっ……っ」
「ビクビクだ。ほら、いいだろ?」
「それダメッでちゃ……アーッ」
穴が強く俺を締め上げる。握っていたリシャールの股間からは漏れるように流れ出す。吹き出さないのは満足の証、中だけでイッてるんだ。
「ううっ……気持ちい……ああ……」
「うん」
中も体もビクビクとさせて蕩けてる。白い肌が紅潮し、淫らな視線を俺によこす。この満足の表情はゾクリとして、俺の腰は止まらない。
「まっ待って!アアッ……ッんんぅッ…アッ…ッ」
「お前が悪いよ。俺を煽るから」
「煽ってなんかッいやあっ」
果てたばかりは刺激が強いから待てといつも言われるが、なんか今日は待てなかった。蕩けるリシャールに股間が反応して止められない。うつ伏せのまま腰を反らせて感じてくれる。
「ロッロベー……ぐうっ」
「気持ちいい……強く締めて」
「うっ……ダメッアアッすぐイッちゃうから!」
「イケばいい」
リシャールは途中から意識が曖昧なのか、喘ぎ声が変わった。朦朧と突くたびに声が出るくらい。ふふっ俺でこんなになってるくれるとは、やはり夜伽とは違っていい。心を許した者に見せる姿はいい。愛されてる実感がある。
「リシャール愛してるよ」
聞こえてないのか喘ぐばかりで返事はない。ならばと仰向けにして突いた。
「かわいいなあ。俺のリシャールは」
気持ちいいのだろう、ふわふわしてるのは見れば分かる。俺が突くと先から漏れてお腹を濡らしていて、ゆるい絶頂が何度も来てるんだ。
「リシャール気持ちいいだろうが、俺もう…グウッ」
奥に押し込み果てた。中に俺のが拡がり漏れてお互いの股間を濡らす。ウッ……この果てる瞬間……あぁ…あ……堪らない。気持ちいい。貪るように唇を合わせ舌を求めた。意識はあったのかリシャールも俺を呼びながら求めてくれる。
「ロベール…ああ、ロベール愛してる。大好きなの。ハァハァ……ロベール」
「うん」
俺の妻はかわいい。欲しくてたまらなかった相手だ。何年経っても愛しく、夜の交わりは減らしたくはない。だが、やはり疲れた。
「ごめん。もう……」
「満足だからいい」
「うん」
毎晩求めないし回数も減った。浮気は疑われないだろうが、そのうち心配するかもな。
「ロベール。明日はお休みのはずだけど、もういいの?」
「……ごめん」
「はい」
休み返上が多くなっている。一年過ぎればさすがに残務はなくなると文官は言うが、どうだか。一通りこの地のやり方を見れば自分なりの方法ご見つかるから頑張れとしか。
叔父上も最初はこんな感じでやってたそうだが、俺みたいに二十代でってことはなく、年の功で早く安定したらしい。
「リシャールごめんな」
「いいよ」
寂しそうな目も声色も辛い。夜くらいしか相手出来ないんだ。話もなにもかもな。実際俺も辛い。仕事に関係ないリシャールの徒然の話を聞くのが好きなんだ。楽しそうに笑うのが好きなんだ。
「俺つらい……」
「え?」
「リシャールと遊びたい」
あはは困った旦那様だね、でも嬉しいよって。こんなに忙しいのに僕を気にする余裕があるのは、あなたの能力の高さだ。尊敬してますと頭をグイッとされて、頬にチュッとしてくれる。
「僕は幸せだよ。ちょっとひとりぼっちが寂しいだけだ。でもね、護衛の騎士たちとも仲良くなったし、精霊たちとも顔見知りになってきたから大丈夫だよ」
「そう?言い寄ってくる奴はいない?」
「いません。街にも遊びに行くけどね」
リシャールが言うには、こちらは西よりもマッチョ思想が強く、体の細い人を好まない人が多い。僕なんか目に入らないよって。
「それにね、僕はそんなに若くないよ?二十五は過ぎた。もうアンとしては魅力はないよ」
「そんなことはない」
身分で近づく人はこれからもいるだろうけど、それだけだ。性的な魅力なら若い方が好まれるし、僕細いしねえって。
「たまに街にお買い物行っても「あの伯爵家の姫か。母親の家の顔だな」とかは言われるけど、それだけだよ?」
「また随分言葉を選ばないな」
俺は萎えたのを抜いて横に降りた。抜く時あっとか声を出すのもリシャールのかわいいところ。
「こちらの商人は高級店ですら失言は多いよ。そんなもんらしいけどね」
「ふーん。分かる気はする」
俺が日々感じてることだからな。でも、それだけ王族との距離が近いことでもあると感じる。西の王とはやはり違う立場なんだよって笑う。
民は一年に一度、建国記念のお祭り以外で、父上を見かけることなどほとんどないはずなんだ。でもこちらでは、あなたはあちこち行くでしょ?だから身近なんだよ。あなたの功績ですとリシャールは微笑んだ。
「土地柄なんだがな」
「それでもだよ。あなたがきちんとしてるから僕も居心地がいいんだ」
「ああ」
西の城下は「城郭都市」となっていて、他国よりはかなり小さめだけど、それなりの広さがある。父上はほとんど視察には出掛けず、臣下や俺たちが回ってたからな。だから王子の頃に触れ合った者しか父上を知らない。
「危険なことはせずに過ごしてくれ」
「うん」
俺はこんな毎日を送っていた。領地や東全体のことを覚えるのに必死。早くリシャールとゆっくり過ごしたいと頑張っていて、リシャールがなにをしてるか把握してなかったんだ。そのことを、俺はこの先大いに後悔することになる。
「今はトマトとかにんにく、葉物か」
集荷場には木箱にたくさん積んであり、作業の者が忙しく働いている。そこに朝採れたであろう野菜を持ち込む農夫も。そこの運営などを聞いた後畑へ。
「こちらはそろそろ大豆の花が咲く頃ですかね」
集荷場の責任者と畑を見回り……食われてるなあ。畑の隅の方に齧られた青いかぼちゃやトマトなど、野菜が野積みになっている。中々の量やられている……か。一見畑はよく実ってるようには見えるが。
「これが通常の被害なのか?」
「いえ、今年は春がそれほど遅くはなかったのですが、ヌーマリムはなぜか多く繁殖して結構やられてますね。森にエサが少ないのかも」
普段の年ならほぼ半分もやられないそうだ。このやられた野菜はここに積んで堆肥にするらしい。堆肥?
「土と混ぜて発酵させてまた土に混ぜます。そうするとよく野菜が育つんですよ」
ふーん。農家の知恵で無駄にしないんだな。無駄などないのですよと笑う。
「このあたりは日照時間が他の農地より少なくて、ヌーマリムが集まるんですよ。居心地いいのか畑近くの森に巣を作り、夜中に出て来て作物を食べてしまう。魔石などで対策してるのですが、ちょっとビリッととしても、もう引かなくなってるんです」
「図太いな」
それに増えるとヌーマリムを食べる魔獣も出没し、追いかけ回すから畑が踏み荒らされるなんてのもある。たとえ駆除しても数が多く、減らないんだという。面倒臭え生き物だな。ええと、ため息。
「ネズミの仲間は子を年に何度もたくさん産むし、毛皮は安いしでなんの利益になりませんね。本来ネズミ系は美味しいはずなのに、こいつは不味い。迷惑なだけです」
「うーん……」
対策出来ることはしているそうだが、全滅させても翌年にはまたいるし、キリがない。
「どうすればいいのでしょうね」
「今は分からない。俺なりに考えてみるよ」
「お願いいたします」
視察が終わり城に戻ったが、仕事は終わらない。机に山積みの許可の申請とか、嘆願書とかを確認してサインしていた。それが終わる頃には夕食の時間……は大分過ぎたか。リシャールもう待ってないかと時計に目をやった。
「すみません。今日は遅くなりましたね」
「いや、構わん」
ペンを置いてクオールと食堂に入ると、おかえりってニコニコしてるリシャールがいてびっくりした。
「お前食べてないのか?」
「うん。待ってました。一緒に食べよう?」
ふふっと俺は口から笑みが溢れた。こんなことなのにとても嬉しいんだ。二人だけのこの城では特にそう思う。叔父上の下の王子に、広いんだからここに残ればいいと言ったんだが、代替わりしたので我らは臣下。外に出るのが当然だからと引き止めの言葉を一蹴し、さっさと出て行ってしまった。近くにはいるけどさ。
俺たちは仲は悪くないどころか未だによく遊んでたのに、こんなところは叔父上に似ていてきっちりする。
「今日は牛魔獣のステーキだよ。ここでは西より安価に手に入るからって料理長がね」
「そうか」
催しでもなければ王族すら口に出来ない高級品が、ここでは夕食に上がる。肉に関しては東の方が充実していて、俺たちが食べる分くらいはと、先程の解体所が時々回してくれるんだ。俺たちは美味しくいただいた。
「脂が甘いね」
「ああ、うまい」
うーん……こうした美味しい食事のせいか腹がなあ。剣術の訓練もほとんど出来なくて運動不足が気になる。体は正直で弛んで来た気がするんだ。俺が腹を擦ってると、
「お腹痛いの?侍医を呼ぼうか?休む?」
「いいや、運動不足かなって思っただけだ」
「そう?」
リシャールは分からないけどと小首を傾げたが、これは自分だからだろう。服がキツイとかもないからな。
「暇になったら鍛えるさ」
「うん。それより今は休んでね。疲れがお顔に出てるから」
「ああ、ありがとう」
心配そうに見つめる目にまた癒され、夕食が済んだらサロンに移動した。ここに来てからは自室ではなく、寝るまでサロンで寛ぐようになったんだ。その方がメイドの片付けが楽だからと言われてな。
「リシャール、精霊探しはまだしてるのか?」
「うん。ほぼ毎日色んな森に出かけてるんだ。そうそう、昔あなたが言ってた白い鹿はこちらでも見かけたよ。目が合うとフンッて無視されたけど」
「あはは。そうか」
白い鹿は高貴な鹿で、動物精霊の中では上位の者。人が話しかけても返事などしないかと笑ったら。
「いや、竜になってて無視されたんですけど」
「なら嫌われたかな?」
「人の変身と見破ってたかも?」
ふたりで肩を寄せ合い飲んでいるこの時間は、疲れが癒える気がする。リシャールがただ楽しそうにしてくれてるのが幸せだ。
「リシャール……なあ、抱きたい」
俺はリシャールを抱き寄せて耳元でわざと吐息混じりに囁く。くすぐったいよと笑い、俺の胸に手を置いた。
「うん。お部屋に戻ろう」
西の城ではほぼ毎晩抱いていたが、そんな気力が残らない日も多くて、寂しい思いをさせている。発情期はさすが仕事を減らすが、それ以外はな。俺が寂しくなったのかも。
「あっ…うっ……ソコ……」
「気持ちいい?」
「うっ……うん……」
腰を掴んで後ろから責める。滑らかな背中が興奮で汗ばみ、かわいい声で喘ぐ。
「ロベールもっと……奥…んんぅ…ッ」
「ああ」
アンは前の刺激とそれに関連する中の場所以外に、子宮の入口あたりを突かれるのを喜ぶ。この辺に性感帯があるのだろう。強い快感があるらしく、ここを責めるとよく締まる。
「ロッロベールッああっ…うっ……っ」
「ビクビクだ。ほら、いいだろ?」
「それダメッでちゃ……アーッ」
穴が強く俺を締め上げる。握っていたリシャールの股間からは漏れるように流れ出す。吹き出さないのは満足の証、中だけでイッてるんだ。
「ううっ……気持ちい……ああ……」
「うん」
中も体もビクビクとさせて蕩けてる。白い肌が紅潮し、淫らな視線を俺によこす。この満足の表情はゾクリとして、俺の腰は止まらない。
「まっ待って!アアッ……ッんんぅッ…アッ…ッ」
「お前が悪いよ。俺を煽るから」
「煽ってなんかッいやあっ」
果てたばかりは刺激が強いから待てといつも言われるが、なんか今日は待てなかった。蕩けるリシャールに股間が反応して止められない。うつ伏せのまま腰を反らせて感じてくれる。
「ロッロベー……ぐうっ」
「気持ちいい……強く締めて」
「うっ……ダメッアアッすぐイッちゃうから!」
「イケばいい」
リシャールは途中から意識が曖昧なのか、喘ぎ声が変わった。朦朧と突くたびに声が出るくらい。ふふっ俺でこんなになってるくれるとは、やはり夜伽とは違っていい。心を許した者に見せる姿はいい。愛されてる実感がある。
「リシャール愛してるよ」
聞こえてないのか喘ぐばかりで返事はない。ならばと仰向けにして突いた。
「かわいいなあ。俺のリシャールは」
気持ちいいのだろう、ふわふわしてるのは見れば分かる。俺が突くと先から漏れてお腹を濡らしていて、ゆるい絶頂が何度も来てるんだ。
「リシャール気持ちいいだろうが、俺もう…グウッ」
奥に押し込み果てた。中に俺のが拡がり漏れてお互いの股間を濡らす。ウッ……この果てる瞬間……あぁ…あ……堪らない。気持ちいい。貪るように唇を合わせ舌を求めた。意識はあったのかリシャールも俺を呼びながら求めてくれる。
「ロベール…ああ、ロベール愛してる。大好きなの。ハァハァ……ロベール」
「うん」
俺の妻はかわいい。欲しくてたまらなかった相手だ。何年経っても愛しく、夜の交わりは減らしたくはない。だが、やはり疲れた。
「ごめん。もう……」
「満足だからいい」
「うん」
毎晩求めないし回数も減った。浮気は疑われないだろうが、そのうち心配するかもな。
「ロベール。明日はお休みのはずだけど、もういいの?」
「……ごめん」
「はい」
休み返上が多くなっている。一年過ぎればさすがに残務はなくなると文官は言うが、どうだか。一通りこの地のやり方を見れば自分なりの方法ご見つかるから頑張れとしか。
叔父上も最初はこんな感じでやってたそうだが、俺みたいに二十代でってことはなく、年の功で早く安定したらしい。
「リシャールごめんな」
「いいよ」
寂しそうな目も声色も辛い。夜くらいしか相手出来ないんだ。話もなにもかもな。実際俺も辛い。仕事に関係ないリシャールの徒然の話を聞くのが好きなんだ。楽しそうに笑うのが好きなんだ。
「俺つらい……」
「え?」
「リシャールと遊びたい」
あはは困った旦那様だね、でも嬉しいよって。こんなに忙しいのに僕を気にする余裕があるのは、あなたの能力の高さだ。尊敬してますと頭をグイッとされて、頬にチュッとしてくれる。
「僕は幸せだよ。ちょっとひとりぼっちが寂しいだけだ。でもね、護衛の騎士たちとも仲良くなったし、精霊たちとも顔見知りになってきたから大丈夫だよ」
「そう?言い寄ってくる奴はいない?」
「いません。街にも遊びに行くけどね」
リシャールが言うには、こちらは西よりもマッチョ思想が強く、体の細い人を好まない人が多い。僕なんか目に入らないよって。
「それにね、僕はそんなに若くないよ?二十五は過ぎた。もうアンとしては魅力はないよ」
「そんなことはない」
身分で近づく人はこれからもいるだろうけど、それだけだ。性的な魅力なら若い方が好まれるし、僕細いしねえって。
「たまに街にお買い物行っても「あの伯爵家の姫か。母親の家の顔だな」とかは言われるけど、それだけだよ?」
「また随分言葉を選ばないな」
俺は萎えたのを抜いて横に降りた。抜く時あっとか声を出すのもリシャールのかわいいところ。
「こちらの商人は高級店ですら失言は多いよ。そんなもんらしいけどね」
「ふーん。分かる気はする」
俺が日々感じてることだからな。でも、それだけ王族との距離が近いことでもあると感じる。西の王とはやはり違う立場なんだよって笑う。
民は一年に一度、建国記念のお祭り以外で、父上を見かけることなどほとんどないはずなんだ。でもこちらでは、あなたはあちこち行くでしょ?だから身近なんだよ。あなたの功績ですとリシャールは微笑んだ。
「土地柄なんだがな」
「それでもだよ。あなたがきちんとしてるから僕も居心地がいいんだ」
「ああ」
西の城下は「城郭都市」となっていて、他国よりはかなり小さめだけど、それなりの広さがある。父上はほとんど視察には出掛けず、臣下や俺たちが回ってたからな。だから王子の頃に触れ合った者しか父上を知らない。
「危険なことはせずに過ごしてくれ」
「うん」
俺はこんな毎日を送っていた。領地や東全体のことを覚えるのに必死。早くリシャールとゆっくり過ごしたいと頑張っていて、リシャールがなにをしてるか把握してなかったんだ。そのことを、俺はこの先大いに後悔することになる。
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