緑の竜と赤い竜 〜僕が動くと問題ばっかり なんでだよ!〜

琴音

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二章 緑の精霊竜として

5 ヘルナーの子分は結構いた

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 土地の復旧から半年、土地の名前だったフェルグナー領改め新しい領主の名字の「セルベリア」領と変更になった。民は土地の名前の変更はどうでもいいとばかりの反応で、新築のお家にも大喜びとはならず、ブツブツ。やはり使い込まれたよさがあったらしく、使いにくいらしい。自分で中は設計したはずだけど、それでもと文句タラタラ、職人はこだわり強いから仕方ないね。

 かたや商人、農民は喜んだ。古い家屋だったお家ほどね。「タダ」で新築!それも家具付きだあって。衣類や家具などの補助金もちょびっと出たからそれはもうね。騎士団は前もって戦闘が始まると内々に触れ回っていて、商品などは夜中のうちに城から空間魔法の術師を手配してて、品物の損害は少なかったんだ。今思えばよくヘルナーの耳に入らずやれたもんだ。

「ああそれね。ヘルナーが嫌われてたからだ」
「そうなの?」

 あの立地の良さであそこにいたけど、他があれば出ていきたいって考える職人は多かった。ボッタクリも薄々感じてたし、横暴なやり方をしていたらしい。納期もへったくれもない注文もまかり通っていたし、注文通りに作ってもいちゃもんで手直し当たり前。場所がよくなかったら、こんなところにいねえって人ばかりだったそう。
 まあ、商人はそこらは上手くやっていたようだけど、思うところはあったようで。農民もね。

「街全体で箝口令を民同士敷いてて頑張ったらしい。子どもの口から漏れるのを恐れて、家でも話さなかった徹底ぶり」
「ほうほう」

 ミレーユもあそこはねえって。東と西の中間点の領地だから人の出入りも多く、買い付けや冒険者で賑わってはいましたが、治安は当然よくない。なぜなら、まともに領地の衛兵が働かないので有名だった。ちょっとした小競り合いなんか見て見ぬふり、通報されても大怪我でもなければ放置。間違うと、どちらが犯罪者だよって輩も衛兵に混じってて、制服着てないと違いが分からんなんて人もいたそう。

「王の視察の時だけ取り繕う最低な領地でした。セルベリア様方がどう立て直すのか、大変だなあってため息が出ますよ」
「私もそう感じます。その環境に慣れた者もいるでしょうし……自分ならと考えると、多少思うところはあります」

 お昼のお茶の時間。四人でまったりと過ごしていた。窓から流れて来る風は心地よく、いい季節だなあ。以前買ってきた紅茶は定期的に運んでもらっていて、僕は美味しくいただいている。

「美味しいけどもう少し安くならんかな」
「無理です。運賃が高いのと輸入品ですからね。文句あるならご自分であちらの国に商会を作り、ご自分の部下に運ばせるしかありません」

 クオール冷たい。そんなのは分かってるんだよ。多少こちらでも売ってる店を見つけたけど、まあ高い。僕が買ってる値段に儲けも乗せてるから余計でさ。銀貨一枚で二百グラムくらいしか買えない。恐ろしく高い。

「そうか?そこまで高くないだろ?」

 僕はロベールをキッと睨んだ。

「ケッ王子のあなたには分からんのですよ!貴族の子の小遣いなど雀の涙ですからね」
「いやいや、今は関係ないだろ?」

 僕らはロベールをジーッと見た。そして三人でやれやれと。

「ロベール様、我が国の王族はお金ないとか言いますが、他国に比べれはかなり裕福です。王子のお小遣い、支度金は同じような小さな国の倍です。そりゃあお茶のお金など、はした金でしょう。ね?リシャール様」
「うん。貧乏とは言わないけど、あなたに比べれば全員貧乏です」
「そうかよ」

 貴族の子は、体裁もあるから衣服や持ち物にお金が回ってしまう。好きに使える予算は多くなく、自分だけ使うお茶やお菓子、他もだけど、欲しいと言い出したらあっという間になくなる。

「アンはスキンケア品も貴金属も欲しくなる。父上は予算以上の物は買ってはくれませんから」
「ええ、うちもそうでした。デートでおしゃれしたい、カフェに行きたい、当然宿屋……とか。結婚相手を見つけるまでは、お金はいくらあっても足りなかった」
「ねー!貴族は貴族で大変だったよね」

 ふーん。ロベールは自由恋愛も大変なんだなって。俺はそういった物は支度金で買ってるし……ごめんと。

「ロベール、責めるつもりはなかったんだ。僕の貧乏性が抜けなくて、こちらこそごめんなさい」
「いいや、俺は貴族は自由を謳歌していいなあと漠然と思ってたんだ。自分の気に入る者を探せるし、街も好きに遊びに行けるだろ?」

 民と仲良く交流しているのもよく見かけたし、羨ましかったんだってさ。彼が仲良くしてるのは別荘地や直轄地の人たちくらいで、それもお店の人ばかり。普通の従業員のような、本当の名もなき民とはほとんど話したこともない。

「俺が抜け出してたのも、そんな普通の人と話したかったから。本当の市井を見たかったからなんだ」
「へえ……宮中が息苦しくて逃げてたのかと思った」

 ビクッとしてグッと喉を鳴らしたぞ?その面もあったなこりゃ。

「ロベール様はご学友に優秀な民が何人もおられました。そこに遊びに出かけてたんです」
「へえ」

 彼らは今やあちこちの部署の文官や術師になっている。一応騎士同等の貴族の称号を持ち、貴族扱いになっているけど、これは個人の称号。家族はあくまでも庶民。城の行政官になると貴族になるが偉くなる訳でもなく、遠い領地用の方の貴族街に屋敷を持つことも許されない。名ばかり貴族になる。僕らとは違う貴族枠になる。出世すればまた話は変わるけどね。
(※文官は国家公務員で騎士の地位が与えられて、城で働く許可が出る。裏方の掃除などのメイドや下働きの人たちは庶民で、別の枠組み。入場許可証を常に持っている)

「あいつらとは今でも仲良くしてるよ。城でもたまに遊んでるし」
「そうですね。彼らの帰宅について行かれませんように」
「ああ、今はもうしてないよ」

 ロベールは夕方文官の身なりになり髪型も変えて、素知らぬ顔して通用門を出ていくことが多く、衛兵も大勢に紛れられると気がつかない。

「でな?アルフォンスが魔物のように追ってくるんだ」
「でしょうね」

 兄上は優しいけど規律にはうるさい。まあ、仕方ないね見逃してやる、などという言葉は持ち合わせていなくて、キッチリするのが好きで近衛騎士に志願したんだ。うちは文官の家系なのにね!

「まあなんだ。俺も紅茶気に入ったから俺の金で買えばいい」
「ありがとう」

 でも予算的に考えれば本当に小遣い程度ですからと、クオールにお気になさらずと言われた。

「妃殿下の資産を考えればね」
「うん。でもみんなが頑張ってくれたお金だから大切に使いたいとは思ってるんだ。ここに来てから特に思うの」

 ミレーユは良い心がけです。王族は民あっての王族です。民に心を寄せるのは大切ですよって。

「ゆっくり考えられるといいですよ」
「うん」

 なんて平穏に過ごしている雰囲気だけど、そうでもない。ヘルナーは国内にも味方が多かったんだ。当然その人らは僕への当たりは強く、今まではヘルナーが代表で騒いでいただけなのが表面化している。

「リシャール様はなにもされてないの?」
「ええ、ロベール様と共にいればいいと言われております」
「ほほう。お飾りでよいと?子を産むことだけとはなんと優雅なご身分だこと。王太子妃は駆け回っておられるのに。なんとまあ」

 借りにも王族に直球かよ!まったくヘルナー子分の奥様方は口が悪い。王妃主催のお茶会でもこんなで、周りの奥様は目が点になっている。そんな僕は王族だから!僕王族だから!と言い聞かせ、笑顔を顔に貼り付けて耐えてるけどね。
 上着の背中はビチョビチョになるほどに緊張して、余計な争いにならないよう細心の注意を払い、逃げることも出来ない席で耐えるんだ。

「あのさアーダルベルト。リシャール様への当たりが最近きつくなってるんだ。僕は見つけたらなんとかしてるけど、可哀想でね」
「またか」

 王妃クラウス様はよく庇って下さるけど、まあ限界はあるよね。王太子妃のラウリル様も第三王子の妃殿下オリバー様も目を掛けてくれる。慣れない間は大変だからと側にいてくれる。それでも隙を狙い暴言は次から次へと……

「リシャールすまんな」
「すまんなじゃありません。お嫁さんになったばかりで、僕が受けたような意地悪は辛いですよ」

 王妃は僕は覚悟してここに来ました。ですが彼はそうじゃない。ロベールの求愛をごねた末に来てくれた。我らにはない力も貸してくれる。もう少しなんとかなりませんか?と王妃は王に食い下がる。僕は慌てて、

「クラウス様大丈夫です。頑張れます!」
「リシャール様……」

 他の御兄弟も、ロベールの優しさと文句の言わなさ具合で、代わりにリシャール様になに言ってもいいと思われるんだ。ロベールがしっかりしないとリシャール様が辛い。王族をよく思わない者は、口にしないだけで他もいるやもしれない。お前が変われと口々に。

「分かっております。リシャールを守りたい気持ちはもちろん」
「いいよロベール。僕は今のあなたが好きですから」

 まあ!とクラウス様は声を大にした。

「リシャール様、ロベールを甘やかしてはなりません。これから東の王になるのですから、ロベールは優しいだけでは上手くは行きません!」

 クラウス様は強い口調で否定する。

「すみません……」

 王とロベールは本当にそんなところがそっくり。性善説では国は動きません!締める所は締めないと駄目ですとクラウス様はクドクド。

「クラウス分かった。ロベール、少なくとも私くらいには……な?」
「はい」

 足りない!とみんな。あなたのフォローを全部大臣がしてるんです!モーリッツはそれこそ裏で手を回していて、しっかりなさいませ!と。僕の話から王が責められちゃった。ごめんなさい。でもみんな僕に優しすぎだよ。こんなに大切にしてもらえるとは夢にも思わなかった。なんかお嫁に来てよかったと思えた。

「うちは昔からだな。俺の本当の母も王妃に似たような人だったんだ。あの頃の一番の美姫でな」
「ふーん」

 ロベールはギスギスした王族も他国は多いらしいけど、うちは昔から同族は仲がいい。東の叔父ウィリアム様も父上と本当に仲がよくて、どちらも暇なら行ったり来たりしている。

「他の王族の側室の従兄弟とも父上たちは仲良くて、だから城に多くいるんだ。我が国の自慢でもあるかな」
「そうだね。民の見本を地で行ってるのが王家だよね」
「ああ。だから俺はこんなでも王子をやれてるんだ」

 ベッドの中でおしゃべり。陰口はアンにつき物だよねぇ。お茶会は特にさ。まあ、独身の頃からこれは変わらずで、どこそこのナントカ様は下半身がふしだらとか、得体が知れない庶民の店に入っていくのを見かけたとか、ヒソヒソするのは常だ。僕は出来るだけ避けたくて、大きな会には参加を辞退していたんだ。

「でもこの立場じゃそれも叶わないから諦めてるんだ。僕は王妃様たちの心遣いだけで頑張れるよ。それにその通りだし」
「いやいや、お前はセルベリアの復活も王族の一員としてしっかりやった。何か言われるようなことはない」

 そうだけど、こんなのは一生に一度くらいでしょ?と聞けば、そんなことはない。山火事や災害もあるからこれから出番は多くなるはずで、緑の竜がいる時はあちこちから要請が来るんだ。多分お茶会どころじゃない年もあるはずなんだって。

「そっか……なら頑張らないとね」
「ごめんな。俺も一緒に行くからさ」
「うん」

 後お茶会の時は王妃や他の妃殿下のグループにいつもいろって。無理して他の家と仲良くしなくていいとロベールは言う。

「全員と仲良くしてるように見えるが、みんな嫌なことを言ってくる人とは仲よくしてないんだよ。俺たちだって人だからね」
「うん。ありがとう」

 せっかく感謝していい気分なのに、リシャール抱かせてとパジャマの裾から手を入れてくる。もう!

「発情期もみんなが言うほど多くなかったしさ」
「あはは。標準だったね」

 僕は新婚から二度目は三ヶ月後だったんだ。母様に聞いたら自分もそのくらいだよって。父上のお母様、僕のお祖母様も特に多くもなかったそうだ。

「俺は残念……いやごめん」
「そうだねぇ」

 俺はあの淫らな誘いが堪らなく好き。頬を染め俺を欲しがるリシャールは本当に美しくてと体を……あっ

「んふふっありがとう……でいいのかな」
「普段は俺から誘うばっかりだから嬉しいんだよ」
「アッ……ッそっかな?」
「そうだよ!したいって言って来ないだろ?」

 そりゃあ、ほとんど毎日したいとか言う人が隣にいたら言わないでしょうよ。キスにふわふわしてると、お尻に香油を塗り中にも。指の感触が気持ちいい。

「だってさあ……入れるぞ」
「うん」

 僕の脚を広げ上に乗りぬるっと押し込まれる。熱い…ロベールの熱くてアアッ…んふぅ……

「気持ちいい。お前と繋がるの好きだ」
「あんっ……ふふっ僕もだよ」

 気持ちよさげなロベールを見るのも僕は好きだ。

「ロベールキスして」
「うん」

 優しく唇が重なると腰を動かし、僕は彼を抱き締める。そのうち貪るように唇を重ねお互いを求め合う。

「ハァハァ……俺強くなれるよう頑張るから。待っててくれリシャール」
「ンッ…んフッ……いいよならなくて。僕を……あんっ愛してくれれば」

 無理しなくてもいつか強くならなくてはいけない時が来る。僕はここに来てそう思うようになった。王のヘルナーの殲滅の話を聞いてそう思ったんだ。優しく誰とでも話し合いでなんとかと考える王が、意を決して出陣して敵を倒すんだもの。きっとそんな場面に直面することも、この先あると考えるのが妥当だもん。

「その時が来るまで……ハァッあんっ今のあなたでいて。僕の愛したお兄様でいて」
「うん……愛してるよリシャール」

 お尻はもう持たなくてロベールを締め上げた。ウーッ快感に頭ふわふわするぅ後ろからの責めは……んあっ

「この締付けは堪らんな」

 ロベールもすぐにイッて、ロベールが上に乗せる。ハァハァ……いい。

「子どもはアルフレッドに三人出来るまでひとりかふたりでな」
「うん」

 多分そう掛からんと思うと言われた。なんで?

「ああ、兄上側室を二人ばかし用意したんだよ」
「えっ!あんなにラウリル様を愛してるのに?」
「うん。俺たち弟に負担にならないようにってな」
「ああ」

 万が一うちからその力が発現した子が生まれれば、すぐにアルフレッド様に養子に出すことになるんだ。ラウリル様が産んだことにしてね。生涯僕たちの子だとは言うことは出来なくなる。まあ、いつか今の王様みたいにバレるけどさ。

「でもなんで分かるの?」
「ああ、三人生まれた時点で子に父親が魔力を流すと印が浮き上がるんだ」
「え!どこに?あなたの体なんもないよ?」

 ここだよって胸を指差した。みせてやると言うと胸の左の胸にぽわっと印が浮かんだ。まるで竜の手が心臓鷲掴みって位置だ。

「竜の手形?」
「ああ、子どもは魔力少ないから親がやるだけでな。大人になれば自分で現すことが出来るんだ」
「へえ……僕にもあるのかな?」
「やってみれば?」
「うん」

 僕も体に魔力を巡らせてみた。が、なんも出ないね?体をくまなく見るとお尻に……

「かわいいな」
「うん。野の花だね」

 お尻に一重の花びらの、よく森に咲いている白い小花が浮かんだ。竜になった時、僕の背中に咲いている小花だ。

「こんなの出るんだね」
「俺もこの間知ったんだ。子どもにはバレないように健康診断の時にやってるらしい」
「ふーん」

 三人生まれるまでは王家はこの印は出ないが、そっちは違うようだな。二人兄弟だもんなあって言われたけど……ん?

「実はどこかに兄弟が?父上隠し子がいるかも?」
「あはは。それはないだろう。モーリッツ隠し事苦手そうだし、お前の母上強いし」
「うん。そんな危険は犯さないなきっと」

 精霊は違うんだよって。それに王家のように毎世代いる訳でもないしなあって。確かにね。

「たぶんだが、俺たちの子にはお前の印は出ないから気にしなくていい」
「うん」

 もうお前のところは先祖返りのように、たまーに生まれるくらいになっている。うちもそうなりつつあるから、そう遠くない内にただの人族になる。

「そうなると、お前の家の召喚術士としての力はとても大切な力になる。テイマーはどの国でも少ないから、獲得競争にうちも参加することになるな」
「そうだね。平和がいつまでも続くか分かんないもんね」

 そっか、この国は召喚術士が少なくてもやれているのは、今の王族自体が魔獣の火竜になれるからだ。それがなくなるということは……僕らの力が必要になると言うこと。戦闘能力の高い者を増やす必要が出てくる。

「アルフォンスにはたくさん子をもうけてもらわないとな」
「あはは。うちも力がある身内は確かに少ないから、兄上やいとこたちに頑張ってもらわないとこの先困るね」
「だろ?今から一族を増やしてもらわんとな」
「うん」

 兄上たち大変だな。僕の子はたぶん火竜になるか、なにも力が発現しないかだとアンリ様も言ってたしなあ。国一番の魔法の知識のある方の断言だから、そうなんだろう。

「たぶんだが精霊の力が負けるんだと思う。不定期に現れるくらい弱くなった精霊の力と、毎世代現れる火竜とでは仕方あるまい。変な子は出来ないからそれは安心しろ」
「はい。ありがとうございます」

 この力が分かった時、僕は内々にアンリ様の元へ面会に行ったんだ。僕らの結婚の可否にアンリ様も関わっていたからね。

「俺は心配ないと感じていたんだ。とっくに弱った血筋のお前んちと王族ではもうな」
「はい。僕が異例なだけなんですよね」

 ああ。五百年ぶりだしなあって。

「この先もたまに現れるかもだが、何百年にひとりとか、奇跡に近いくらいの確率になるはずだ。もうお前の一族は感覚共有くらいしか力がなくなる」

 精霊の特殊能力で、遠く離れてても感じたり話したりできる能力だ。それがわずかながら僕らには残っている。アンリ様はそれくらいしかこの先残らんだろうし、それもいつか、そう持たないだろうって。

「お前んちは竜の精霊の力が終末期になっているのは確かだ。もう普通の人族となんら変わらないと考えた方がいい」
「はい」

 そんなことを思い出しながらロベールの胸に抱かれていた。



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