緑の竜と赤い竜 〜僕が動くと問題ばっかり なんでだよ!〜

琴音

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一章 森の中の国

13 体の変化

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 僕らは翌日新婚旅行に向かった。

 昼少し前に支度して、海の王家所有の別荘に。飛んで行くことも出来るけど、警護の問題や疲れがね。いくら魔素が多くても、魔力量が多くても疲れるものは疲れる。それに、急ぐ旅てもないからね。

「リシャールしたい」
「なにを……」

 揺れる馬車の中で?頭おかしくなったのか?

「揺れるから、楽しそうじゃね?」
「しません」

 それに、昨日どんだけしてると思ってるんだ。意識と飛ばすまでしてたんだぞ?こんな揺れの中でしたら、お尻ガバガバになるでしょ!

「ならないよ」
「なったら困る!」

 それに……彼のがおっきくてお尻がまだ辛いんだ。すごく気持ちいいんだけど……ふう。

「ならさ。キスして」
「したくなるからヤダ」
「ケチ」

 ケチじゃないよ。僕も……いやいや、今は森の中だけど、いきなり森がなくなって街になるから危険。こんな王族の馬車の中でいたしてたら声我慢出来ないもん……コワッ

「仕方ねえ。なら抱っこで我慢する」
「はい」

 向かいから隣に座ったら違うって。膝に乗ってと。仕方なく膝に乗る。

「リシャール大好き」

 ねろんと首筋に舌が!違うだろ!

「しないんですよ!」
「お前がいい匂いさせてんのが悪い」
「はい?なにもつけてませんけど。仕事ではないですから」
「なら体臭かな。いい匂いがする」

 あれ?……確かに彼も匂う、甘い匂いがする。落ち着く匂い。今朝ロベール様香水つけてたかな?でもこうしてると、

「抱かれるの好き」
「うん」

 恥ずかしいのはあるから、街までですよと念押しして抱かれていた。大好きお兄様……こうしてると幼い頃を思い出す。そうだ、あの頃からいい匂いと思ってた。こんな甘い香りではなかったけどね。

「お兄様……大好き……んふふっ……あっ」
「いいよ」

 ふとした時に頭に浮かんで記憶と同化する。朝も目が覚めたら大好きお兄様とか口走ったり。気持ちまであの頃に戻ったりするんだ。よくないな。

「なんか思い出した記憶に引っ張られると言うか……すみません」
「いいよ。俺が大好きって言ってるだけだから」

 うーん……解放された力が馴染めば落ち着くかな。今を見なきゃダメなんだもの。そう信じよう。

「お昼は草原でな」
「はい」

 数時間ほど走っていると、高台の広い草原に出た。見晴らしもいい。まあ、森しかないけどね。ここは商人などの休憩地で、馬の水飲み場があったりする。小さな小屋には街の衛兵が交代で常駐しててね。

「多少の魔物や熊とか、危険な生き物もいるから油断は出来ないけどね」
「はい」

 この場所は魔法防壁が設置してあるから、相当な大物魔獣でなければこの草原には入れない。でも、物理防壁はしていないから、動物は来るから、警護の衛兵は必要だ。
 僕らの新婚旅行には近衛騎士が数人、ロベール様専属の騎士たちが来てくれて、でも兄様は含まれていない。王族の警護長だから、城を離れられないんだ。

「外で食べると美味しい気がします」
「ええ。本当に」

 側仕えの二人は来てくれて(まあ当然だけど)僕らの世話をしてくれる。
 旅人や商人はここに絶対止まる訳でもなく、通り過ぎる馬車も多い。まあ、王族の馬車を見て逃げてるとも言う。黒塗りの豪華な馬車だからね、仕方なし。

「この分だと夕方には最初の宿屋に着きますよ」
「そうか」

 クオールが、胸の内ポケットから時計出して確認してくれた。この時期なら雨も少なく、この空と空気の乾燥具合なら、雨もないでしょうって。

「いい旅になるな」
「はい。結婚式のマイナスはここで取り返しましょう!我らは取り返すため頑張ります!」
「あはは。気負わなくていい」

 ロベールは気にするなと言うけど、そうだ!別荘にはピアノもバイオリンなど楽器もございます。楽しめますよってふたり。

「そっか。サロンにあったな」
「手入れもお願いしてありますから、すぐにでも弾けますよ」

 そうかとロベール様は微笑んで、なに弾く?と聞かれた。俺はバイオリンとか、弦楽器ならどれでもいいぞって。

「そうですね……うーん。僕が好きな砂漠の一夜はどうですか?」
「ああ、いいな。恋人を訪ねる旅人の曲だな」
「ええ。今にピッタリな気がします」

 家の都合で遠くにお嫁に行った元恋人が、そこで幸せに暮らしているか、ひと目見たいと村から街に出る。彼にも縁談が来てて、でもその人を忘れられなくて、彼は心の区切りのために会いに行く曲。歌詞もあるんだけど、僕には歌えない。歌はあまり上手くないんだ。ロベール様は?と聞くと、いやあ~と頭を掻いた。

「俺歌は苦手」
「ならば楽器だけでね」
「ああ」

 この曲は恋人に会いに行ったら、実は妻ではなく愛人として、それもお金のために親に売られてたんだ。なのに行った先の家はすぐに没落した。恋人は小間使いのような扱いを受けて、ボロボロだったんだ。その様子に彼は恋人をさらい逃げる。そして遠くの別の国に逃げて幸せになるんだ。たくさんの物語にはこんなエピソードがあるんだけど、昔は多かった出来事なんだろう。この手を取り合って逃げる、苦しくても幸せになる部分が好きなんだ。観劇でもよく上演されてるお題目でね。

「お前はロマンチストだな」
「うん。二人が手を取り合って砂漠を越えるんですよ。先なんかわかんないのに、愛しい人のために彼は一緒に逃げてくれるんですよ。ステキじゃないですか」

 ミレーユも私も好きです。アンは好きな人多いお話しですよねって。

「そういえば……マルツ劇場で今度やるそうですよ。今は……えっと、勇者の逆鱗を演ってて、次ですね」
「よく知ってますね」

 あんまり興味なさそうなロベール様だけど、勇者の逆鱗も面白いんだ。喜劇でね。弱々勇者が覚醒して、本物の勇者になるお話しなんだ。僕とミレーユは観劇の話に夢中になり、あそこがいいんだよねとか話が弾んだ。

「あの夜中に屋敷に忍び込んで、恋人と抱き合うシーンは感動ですもの」
「ですよねえ。離れ離れになった恋人との再会!いいです!」

 ワイワイ話してたら、それ俺たちだろって。あん?ミレーユはパーッと明るい顔をして、

「そうですね!ロベール様とリシャール様も同じです!うわあ、うふふっ」
「言われればそうですかね。んふふっ」

 お二人のことが貴族の口から民に伝わり、いつか観劇の演目になるかも!いいですねえって。いや、それは恥ずかしい。大暴れ結婚式も伝わるんでしょ?それはイヤ。

「そう?王族の話も演目に多いですよ?」
「知ってますけど、自分のはちょっとね」

 なら私が売り込みに!少しぼかして……いいなと。やめてミレーユ。

「はい。でもおふたりは幼い頃の気持ちを成就させたんですもの。素敵です」
「そうですね。私はずっと近くで見てましたが、とても嬉しく思います。愛し合っている声すら尊い」
「クオールもミレーユもやめて……」

 ロベール様はクスクス。俺は今幸せの絶頂だ。好きに言ってくれと笑った。

「ロベール様……」
「いいじゃないか。お前も幸せだと思ってくれてるんだろ?」
「はい」
「なら問題ない」

 そろそろ出発しますよと、騎士の声に二人はフォンと収納魔法を展開し、テーブルごと中に入れた。この魔法の中は時が止まってて、食べ物も何もかも腐らないし傷まない。でも、高等魔法で誰でも使える術じゃない。さすがに王宮勤めの人たちだ。

「では参りましょう」
「ああ」

 そこからも順調に進み宿屋に到着。宿屋の主が出迎えてくれた。

「ようこそロベール様リシャール様。ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう」

 さあさあお疲れでしょう。中へどうぞと案内された。お食事はお部屋に用意させますし、お風呂も露天風呂です。この地は温泉地ですからごゆるり。主はニコニコと部屋を案内して下がった。

「いい部屋ですね」
「ああ、父上たちも使うからな」
「へえ……」

 他国に行く時使うそうだ。ワイバーンとかの方が速いけど、使う時は西の国より遠い方面だそう。時間が無駄だから、手前のリーリュシュの大使館から近くの国まではワイバーン。国内向けにお出かけの演出だそう。ほほう

「相当年取れば全部馬車だけどな。体力的に厳しいから」
「そうですね」

 武闘派の王族だからやる方法で、普通の国の王族は、全部馬車か馬になるそうだ。空はやはり危険だからね。

「俺たちもお前のフェニックスに乗って一足飛びもありだけど、味気ないだろ?」
「そうですね。半日で着くかも」

 ミレーユがお食事はまだ先ですので、お風呂に入られたら?と。ロベール様が確かになあって。腰痛いと。一日馬車だったから確かに腰がバキバキ。魔法で治せるけど、ここはせっかくだからね。

「こちらですよ」
「うん」

 別荘に着くまではメイドさんがいないから、ミレーユがお世話をしてくれる。軽く体を流してもらい浴槽へ。

「お外のお風呂いいですね」
「ああ、風が入ってくるのがいい」

 お風呂の熱がこもらないから快適だ。ロベール様と並んで座り……ああいい気持ち。

「触っちゃダメ」
「いいだろ」
「よくない」

 いきなり僕の股間を掴んじゃだめ!まだ夕食も食べてないんだから。あなた始めると長いでしょ!

「ケチ」
「はい?」
「夜まで待てないんだよ」
「待って下さい」

 後ろでミレーユがクスクス笑っている。自分たちの失言でどうなるかと思いましたが、仲良くなって嬉しいって。

「だろう?なのにリシャールが思いのほかケチなんだよ。馬車でもさせてくれないし」
「いや、それは当たり前です」
「でしょう?ミレーユ、僕間違ってないですよね?」
「はい」

 そうかよと彼は不貞腐れた。まあ、ロベール様が絶倫ってのは噂になってたから知ってる。ミレーユは、王子が相手がぐったりするまで抱くから、夜伽は次の日フラフラしてましたねえって。すげえな。僕はたぶん付き合えない。ていうか、王族は精力の強い方多しと言われていたなあ。

「若い頃の話だよ。今はそこまでは……な?」
「そう?」
「たぶん……?」

 昨日抱き潰されたけど……と見上げると、お前が魅力的なのが悪いとチュッと。

「そう?」
「そうなの。だからしたいんだ」
「ふーん」

 でもここではしません。僕は夕食食べたいからね!と言うと、はい分かりましたと、またチュッ

「なし崩しにしようとしてもダメですよ」
「クソッダメか」

 ミレーユとふたりで笑った。それから体を洗ってもらいお部屋に戻り、さすがにバスローブではまずいのでちゃんと着替えて、髪も整えた。それが終わる頃、食事が運ばれてみんなで楽しく食べて、二人はまあ明日と。

「隣の部屋に私どもはおります。反対側には騎士がおりますので、不穏なことや不安なことがあればお呼び下さいませ」
「ああ。分かった」

 ロベール様の話ではこの部屋、まあ両隣もだけど防御は完璧だそうだ。王族が使う部屋だから、そこら辺は抜かりなくされている。

「他国の王族や貴族も使うんだ。何かあったら店の評判に関わるからな。なにもないよ」
「そうですね」

 つかさ、俺を襲うバカはいないよ。外の馬車の家紋見て分からん奴らは、荒くれや無法者すらいないそうだ。だよね。

「死ぬ気で来るならあれだけど、それもう頭の病気だろ」
「あはは」

 魔力量が異常な王族に立ち向かう人間は、もうおかしくなってるとしか言いようがないもんね。

「貴族の当主は知ってるんだ。俺たち王族はみんな竜に変身出来るし、普段の実力もどの魔法使いより強いし、武芸も嗜んでるからまあな」
「はい」

 さあ寝るぞと寝室に連れ込まれた。入って扉を閉めると、早業のようにロベール様は服を脱いだ。

「もう、痛いくらいなんだ」
「でしょうね」

 もう色がおかしく……漏れてるし。その姿にプッと笑ってしまった。かわいい!なんてかわいいんだロベール様。

「なんだよ」
「かわいくて……くぷぷっ」

 そうかよって、頬を染めて照れながら、あっという間に僕を押し倒し脱がされた。

「入れたらすぐにイキそうなくらいなんだ」
「ならあなたが横になって」
「うん?」

 僕は彼を横にして股間を掴んで咥えた。

「うっ……いい」

 僕の口いっぱいになるけど、前回悦んだところに舌を這わせた。気持ちいいのか僕の頭を掴み、ハァハァと吐息が漏れる。新婚といえど、この国でエッチが初めての妻や夫を見つけるのは困難。まあ、そんなこと気にしてカマトトぶっても得にならないから。

「すぐ出そう……ううっ」

 すごく硬いんだ。先は張ってツルツルで穴からは舐めても溢れる。

「先だけでいいから……イキたい」

 口で擦ってたまの下、股の間を撫でる。僕ここ好きなんだ。だから……

「ううっ…ソコ……あっなに……ッ」

 口に勢いよくピュッピュッと……僕はそのまま飲んだ。好きな人のであれば嫌でもないが、生臭いのが……嫌なだけ。

「ハァハァ……口もいいよな」
「うん」

 お前も興奮して垂らしてるぞって。ん?ホントだ……ロベール様の吐息がエロくて……へえ、僕こんなったの初めてだ。自分のを掴んで先を触ると……すごく漏れてるね。

「なにしてるの?」
「うん。恋人のしゃぶっても自分のがこんなになったことなくて……ちょっとびっくり」

 なんて可哀想なリシャール、みんなセックス下手だったんだねと笑った。いやいや、僕の心の持ちようもあったかもよ?

「ちんこの小せえやつばっかだったようだし、当然だ」
「直球ですね」
「俺の統計だ。小せえやつは下手なんだよ」
「へえ……」

 お前はアンなのに大きいし形もいい。俺はお前のをしゃぶるの好きだよって。

「あ、ありがとう」

 カーッと赤くなった。なんか想像したら照れた。ら、穴から…え?お尻の穴からなんか!触ったらう◯こではなく、ぬるぬるするなにが漏れてる?これなに?

「お前が子を作れる証だ」
「へ?」
「子宮を持つ者の反応だな。俺に心を開いた証拠なんだ」

 ええ?それはなに?今までこんなことなかったよ?いつも香油がないと……

「それはな。誰の子を産むか選択をするのがアンだからだ。自分が認めた人にしかそこは濡れないんだよ」
「マジか」

 なら僕はロベール様を認めたんだね。子を作る相手と体が認めた……

「ならこれを飲め」

 なんか小さな小瓶を渡された。なにこれ。

「俺はまだ子は欲しくない。もう少し俺だけのリシャールでいて欲しいから避妊薬だ。発情期でなくてもこうなると妊娠もありうるから」
「ああ、はい」

 でも早かったなあって。クオールに持たされたんだが、まだだろと彼は思ってたそうだ。でも普通の貴族の夫婦は、結婚式の頃にはこうなってるのが当たり前。王族は突然決まるし、デートするとかもない。心を通わせるのに時間が掛かるからなあって。

「お前が今までの奴にならなかったのは、お前も相手を信頼してなかったからだ」
「はあ……ステフィンは好きでしたよ?」
「表面的にだったんだろ?」
「そっか」

 取りあえず飲むかと飲んだ。なんか花のエキスみたいな味がした。小瓶をコンソールに置くと、

「おいで」
「うん」

 そのままうつ伏せにされぬるっと押し込まれた。香油とは違う……うあっすべりがよく奥にゴンと届いた。

「俺もこうなったアンとのセックスは初めてなんだ。良すぎ」
「ああ……すごく感じちゃ……ンッ出るッ…」
「中ビクビクで前も完全にイッてるな」

 中が敏感ですごく気持ちいい。これ……あんダメ。

「一晩中楽しもうな」
「へ?」

 これから体が変わるから楽しめよって。なにが起こるの?俺に任せろとニヤッとした。ロベール様がすごく興奮してるのだけは分かったんだけど……ちょっと怖い。




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