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五章 流れに身をまかす

2 僕すごい

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「なら……ぼくキャルの赤ちゃん欲しい」
「え?」

 抱きついて来ていいでしょって。

「ぼくずっと欲しかったんだ。三人くらい欲しい」
「あ、ごめん……」

 僕はカミーユをギュッと胸に抱いて気付かなかったと謝った。

「本当にごめんなさい。今から作ればきっと結婚式には間に合うけど……いいのか?騎士の訓練もなにもかも出来なくなるよ?」
「いい。元々する必要はなかったんだけど、ぼくがあなたを守りたくて始めたんだ」
「そっか……」

 モゾモゾ股間を擦り付けてくるから手を入れると勃ってるし、穴はぬるぬる。

「カミーユ。こんなになって……妊娠中は出来なくなるよ?」
「ふふっ平気なはずだから」

 カミーユの説明では、番が妊娠すると香りが変わってお互いしたくなくなるそうだ。
「ふーん」
「でも変わらないノルンもいるから、無理ならぼくが用意する。夜伽ではなく、キャルの第二夫人でもいいと思える人をね」

 ふふん。こういうところは王族だな。家が途絶えることが問題と認識してて、そのための我慢は出来るように躾けられているのか。

「カミーユ……僕はあなただけでいい。万が一あなたが産めなかった時だけで」
「うんありがとう。でもこれはお父様の家のこともあるからね。アルカイネの家も絶やしちゃだめでしょう?ライリーの子供より、キャルの子供をきっとお父様は望んでいるとぼくは思っているんだ」
「そうかな…ライリーの子どもでも他の家でも……」

 もう!キャルはと叱られた。一番愛していたフィデル様と自分の子なんだよ?あなたはとても愛されている。ナムリス様にとって特別な子。ぼくはその気持ちは分かると力説。ぼくが妊娠出来なければ絶対必要だよって。

「まあ…父上の気持ちを思えばそうか……」
「じゃなきゃここまで手を貸してくれないよ」

 そうか……ライリーは大切にされてるけど、ここまで手は貸してくれないとは言ってたな。まあ、貸す必要がある家に嫁いでもいないけど。

「抱いて……ぼくにあなたの赤ちゃんを下さい」
「うん」

 カミーユがそう言うと強い甘い香りが……僕はそれにあがなえる訳もなく愛撫して押し込む。

「ハァハァ……気持ちいい…」
「ふふっあなたとの交わりは僕を幸せにする。今日からはポーションは使わないからね」
「うん」
「きっと今までより気持ちいいはずだよ」

 僕はゆっくりと腰を引き押し込む。入れただけでも彼の魔力を感じてたけど、動かすとより溶け合うような……

「キャル……怖いくらい気持ちいいっあなたを強く……んふぅ…感じる」
「僕もだ」

 ふわふわした快感と強く求める気持ちが湧き上がる。腰は止まらない。

「キャ…激し…!ぼく……ああ!」
「ごめんね。もう理性が保てない」

 脚を広げ強く打ち付けた。もうムリ!腰を止められないんだ。僕の子種を受け取れ!って気持ちで打ち付けた。お互いの香りに酔って獣のように求めた。

「うっあっ…もっと……クッ」
「ああ」

 僕は脚を引き寄せ腰も強く押し込んだ。すごく興奮して股間の快感に朦朧として……

「ああっ!キャルのが!アーッ噛んでぇ!」
「ああ!」

 カミーユは興奮して吹き出しながら叫ぶ。今や意味があるのかはわからない、番の種付けの儀式。僕はその声に、股間の絶頂以外の快感を感じてカミーユのうなじを強く噛んだ。

「グーッぐあ!キャル!」
「クッ…ううっ!ああっ」

 彼の中に……子を育てる子宮と呼ばれるところに吹き出していると感じた。絞り取るような動きをする中の締め付け。いつもより奥に先が吸い込まれる。蕩けるほどの快感が僕を襲って、それと同時にポーションはこれを防いでるのかなんて頭に浮かんだ。

「うっ……あっ…」
「ハァハァ…」

 堪らない快感にカミーユの上で喘いだ。なんだこれ。この快感は特別だよ。

「ハァハァキャル……おかしいの。ぼく光ってる」
「え?」

 窓明かりだけの部屋。上から下りて目を開けるとカミーユはほんのり光っていた。

「あははっキャルすごい!百発百中だよこれ。種付け出来たんだ。ここ見て」

 カミーユがへその下を見ろと言う。

「これキャルの紋だね。ぼくはアンだから指導の時に習ってたんだ。相手の紋がここに現われたら子種が貰えたってね」
「へえ……きれいだね」
「うん。この花はなんだろう……ああそうだ!キキョウだ」

 カミーユのお腹にうっすらと光る紋は確かにキキョウ。そうか…謎が解けた気がした。母上がキキョウの花が好きな意味がね。これはアルカイネ家の血筋に出るんだろう。
 だから母上はキキョウを見る時哀しそうに、でも嬉しそうにしていたんだ。父上を慕っていたのか……そうか。

「僕はまごうことなく父上の子なんだな。ふふっ」

 母上は一刻たりとも父上を忘れなかったんだ。いつも部屋に飾っていたし、よく僕の胸ポケットに挿してもくれていた。よく似合うわよって……

「そうか……僕は……」
「キャル……どうしたの?」

 僕はカミーユを抱き寄せた。僕はこの事実を習う前に家を出たからカミーユに説明を頼んだ。
 それによると、これはアン、ノルンどちらも見えないけど持っている紋だそう。そしてこれはノルンから子に引き継がれ、アンの紋は引き継がれない。だからこの紋は誰が父親か証明にもなるんだそうだ。

「うなじにみんなこの紋を持っているんだ。でもアンは生涯自分の紋を見ない人もいるかな」

 種付けが成功してもアンの紋は特に反応はしないからって。

「ねえ。あなたのを見たい」
「うーん……あ、キャル光属性だよね?」
「うん、なんも役に立たないけど」

 いやいや、こういう時に役に立つんだよって楽しそうだ。

「ぼくのうなじに少しだけ魔力流してみてよ。これね、光属性の魔法にしか反応しないんだ」
「へえ……」

 ほらほらってうつ伏せになってくれて、僕が指を当てて流すと、うなじから背中付近まで紋が現れた。

「なんて美しいんだ……ハスの花か……それも複数色がある……」
「それが王族の証なの。紋が単色ではないんだよ。王族以外は大体虹色のどれかかな。属性によるから。キャルのは黄色に当たるんだろうね。光ってるから金色に見えるけど」
「そうか」

 カミーユによると紋を見ること自体が難しいらしい。なぜなら光属性の人は少ないから。医者や薬屋、怪我の治療院とか少ないでしょ?あれやれる人がいないだけなんだよって。それは僕も知ってた、自分が珍しいのはね。

「だから調べるなら貴族はお抱えの医者か、庶民は治療院とかでかな」
「ふーん」

 でもあんまりしない。それこそ浮気の調査のためだろうねと。

「少しだけど、お金取られるからそれ以外は興味がなければだね」
「嘘つけないってことか」
「うん。成人する頃に確認出来るんだ。アンかノルンが判明する頃にね」

 そっか……父アセベドはきっとその頃に僕を調べたんだろう。記憶にはないけど、風邪とかで医者に診て貰った記憶はあるからその時かな。あーあ、そりゃあ冷たくなるよ。自分の子じゃないって確定したらなあ。それでも事件までは家に置いてくれたのは、多少は愛情をかけてくれてた……いや世間体か。

「僕知らないこと結構あるな」
「それは……こういったものは成人の祝いのあとに教えるからね」
「そうか。なら僕はきっと色んな知識の欠落があるね」
「キャル……」
「そんな顔しないで。足りないところは教えてよ。ウオッシル!」

 水が僕らを洗い流しカミーユにガウンを着せた。

「ありがとう。キャルの気持ちも考えずごめんなさい」
「いいや、そんなのはどうでもいいよ。これから体に気を付けてくれ。訓練も禁止な」
「うん」

 僕らの妊娠期間は半年前後で、結婚式には余裕で間に合う。僕はやることがたくさんで味方よりも敵が多い。さて、カミーユと産まれてくる赤ちゃんのために頑張ろう!おー!












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