月の破片を受け取って 〜夢の続きはあなたと共に〜

一章 新たな人生が動き出した

一章 あらすじ

　蓮はデートの帰り道、左折の車に轢かれて即死。目を開けると真っ暗でなにも見えない世界にいた。そんな時、遠くから声がしたと思って名乗ると返事はなく、すぐに気が遠くなった。
　その声の主クルトも、自分が返事したのに返答はなく、暗闇で不安の中じっとしていると光の中からハーデス様の登場で自分の死を悟る。ハーデス様は自分の死の説明と、蓮に体をくれる引き換えに、来世は楽しいよって教えられると、クルトは楽しそうに魂の楽園に戻って行く。

　かたや蓮は人の話し声に目を開けると、残念なイケメンがいて彼は「アレス神」だと名乗った。彼はこちらの反応無視で、勝手に説明して下界に蹴り落とし、蓮は「クルト」になる。

　蓮はクルトとの記憶の同化が進むと、かなりマズい状況を理解。生前の彼とは正反対の、無口で無表情な、かなり年上の公爵に嫁に行くことが確定していた。ゴネても無駄を悟り、することをして嫁行く。
　そして、前情報の通り、行った先には第一夫人が死にかけで、でも話してるうちに好きになる。クルトはお見舞いに行くことが楽しくもあったが、お嫁入り二ヶ月で天に召されてしまう。そして、この二ヶ月も夫はほとんど会話もなく放置された。仲良くなるどころか、悪いことは続くもので王が崩御した。

　クルトはそこからまた一年近く放置。夫と同じ部屋に寝ることもなく、夕食や朝食くらいしか顔も合わせなかった。寂しく辛い時間を淡々と過ごし、ある程度落ち着いた頃、本当の夫婦になるための「番の儀式」に向かった。だが、よく知らん人とのエッチに怯えて初夜不成立。改めて仲良くなってからしようと日常を過ごした。クルトはあまり待たせるのもと腹をくくり、自分から迫り真の夫婦となる。

　番の本能に目覚め幸せを謳歌していたのもつかの間、イレギュラーな「神からの天啓」があった。シュタルク御王国が暗黒の森になにかして、獣が溢れるという予言だった……

　蓮（25）→クルト・ラングール（17）
　辺境伯フリッツ子爵家の二番目の子（アン）

　諒太（26）生前の彼（昔語りにしかでてこない）

　アンゼルム・クラネルト（28）（ノルン）
　始祖の兄弟の三番目の弟フリートヘルムの流れの公爵　魔法省大臣　フリートヘルム公爵領領主　で黒の賢者（アテナの力を行使できる魔法使い）

　ベルント（28）
　不治の病で死亡　アンゼルムの幼馴染の第一夫人（アン）　鍛冶職人で気性が荒い

　ティモ（20）クルトの幼馴染の側仕え（アン）

　フリッツ・ラングール　父　子爵（辺境伯）
　ハンネス・ラングール　母
　アルバン・ラングール（22）　クルトの兄

ラングール家は「白の賢者」のお家で、アルテミスの力を行使出来る魔法使いの家系

　ユリアン・クラネルト（30）
　始祖の二番目の弟の流れの公爵で領主
　リーヌス・クラネルト（27）
　絶世の美男　ユリアンからの溢れる愛で幸せに生きている

　クヌート・クラネルト（26）
　マルセル・クラネルト（26）
　アンゼルムの弟夫婦　ふたりとも無口　話には出ていないが、魔法省で魔法の研究をしている部署の所長　屋敷は別にあり、城勤めの土地なし公爵　国の直轄地の管理もする

　ハルトムート・クラネルト（41）現王

　クルトのいる国「クラネルト王国」は農業主体の牧歌的な国で、入江に面している。隣は傭兵を生業にするヘルテル、バルシュミーデ二国に囲まれ、食料を納品する代わりに、大型魔獣や他国の侵略を防ぐ条約を結んでいる。
　どの領主も野菜、花卉、穀物、畜産を他国に売って生計を立てている。戦力は魔物退治くらいで、実践経験はほとんどない。
　その二国の奥にシュタルク王国があり、侵略、強奪が盛ん。自国で生産よりも奪ってなんぼと考える「アレス神の加護」の国。神の性格そのままの、短絡的な物の考え方をする王が治めている。

　この世界は神と人との距離が近く、努力と才能で神の天啓があると、その力の一部が与えられる。基本魔力の多い貴族に加護が多いが、冒険者は当然誰かしらの加護があるのが普通で、ないと仕事にならない。

アレス
軍神で荒神　戦が好きで人間の戦で遊んでる疑いあり

ヘファイストス
火、鍛冶、武具、武器の神

ヘルメス
商売の神　クルトの国では伝達の神と知られる

ポセイドン
水の神　海や川の漁を司る

アテナ
軍神　知恵、戦、工芸なども　勇者の神

ハーデス
冥界の神　魂の楽園の管理者　瘴気や魔物、魔獣を操る力もある　死の世界の王

アスクレピオス
医療の神でアポロンの子　死者の復活も出来るが代償は必要　医療とは言うが、彼の力は奇跡で状態異常を元に戻す神

ディオニュソス
酒の神　クルトの家に加護がある

アルテミス
月の神　癒やしや人々の心の安寧を望む神　全ての神がアルテミスの願いを断らないため、この神の加護は神に匹敵する力を持つことも可能だが、大きな力は代償も多く、死にやすい

アポロン
太陽の神　火の神だが火力がヘファイストスよりも強く、人が行使すると土地を焦土にしてしまう　国の守護神

デメテル
農耕の神　国の守護神

ゼウス　全能の神　天気を操る　天空の覇者
ヘラ　結婚の神　結婚式の時の神殿がメイン
アフロディーテ　美の神　クルトの国では加護の人を見たことはない
ガイア　土地の神　大災害で農耕が出来ないほど荒れた時に助けてもらう

他にも神、使徒とたくさんいるが、クルトたちには必要のない神が多く、彼の国の民は加護が偏っている。