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三章 愛される存在に

5 初めての視察。やっふぅ!

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 朝のお茶の時間の後、僕は普段屋敷では着ない上着を羽織り、髪留めも華やかな物にする。指輪も普段しないけど、アンジェに頂いた僕の瞳の色の緑の石を左の薬指に入れた。

「アンジェセンスいい……素敵だ」
「本当に。台の意匠が細かく繊細でいいですし、石のカットも素敵でよく光りますね」
「うん」

 手を上げて少し動かしながら眺めた。細かい細工で若い人用のお花をイメージしたデザインの華やかな……大きな石が彼の愛の重さに感じた。マジで高そうな……と言うか、僕この世界に来てからお金をみたことないな。いくらするんだろうとティモに聞こうとした時、

「クルト様、馬車のご用意が整いました」
「うん!ローベルト、今行く」

 内扉からローベルトに声を掛けられ、質問は今度にしてティモと玄関に向かう。エントランスの大扉は開いていて、ふわっと爽やかな風が中に吹き込んで来る。天空は真っ青に晴れ渡っている。

「お天気に恵まれて良うございました」
「うん。視察日和だね!」

 僕は嬉しくてティモを見つめると、ティモはクスクスと笑う。僕が視察を楽しみにし過ぎて浮足立ってるのを笑ってるんだろう。いいんだもん!楽しみだったんだから。
 大扉を抜けると、アンジェはすでに馬車の扉の前にいて、ローベルトやエルムントと話していた。

「クルトおいで」
「ごめんなさい。遅くなった?」
「いいや。妻が支度に時間が掛かるのは当然。夫が待つ時間は楽しみなんだよ」

 どこのイギリス紳士だという言葉、さすが貴族だよね。僕が馬車の前に行くとアンジェが「お手をどうぞ」と手を差し出す。

「ありがとうアンジェ」
「エスコートは夫の役目だ」
「うん。ふふっ」

 馬車のはしごに足を掛けて乗り込むと、すぐにアンジェも僕の隣に乗り込む。その後からエトムント、ローベルトが乗り込み、ティモは今回はお留守番だ。御者が扉を閉めると僕は窓からティモに声を掛けた。

「行ってきます!」
「はい。行ってらっしゃいませ」

 執事と共に頭を下げてくれる。御者は先導の護衛が動き出すと、馬にパシンっとムチを入れる。馬車はゆっくりガタンと動き出した。

「クルト様、本日の視察は屋敷の前の城下になります。人の流れや民の台所バザールや宿屋の運営の様子を見ます。そして問屋街ですね」
「はい!」

 元気に返事すると、アンジェもクスクス笑う。

「街をきちんと見てみたいと言ってたろ。今回は街だから誘ったんだ」
「ありがとう。僕は実家の視察は小さい頃だけでさ。後は兄様だけになってよくわかんないんだよね」
「まあな。嫁に出る者にはあまり視察をさせたりはしないかな」

 貴族の奥様が街に出る時とは「お買い物」くらいだ。身につける貴金属や本、部屋に飾る雑貨など。その時の食事やお茶は「貴族御用達」のお店のみ。そんなんじゃ本当の街の様子の理解なんか出来はしない。

「クルト。今からそんなはしゃいで体力持つのか?」
「持つもん!見た目より強いよ僕はね!うははっ」
「そうか」

 みんなもクスクスと笑う。こんなに視察を楽しみにしてくれるのはあなたぐらいだと。

「そう?僕がこうやって優雅に生きられるのはみんな民のお陰でしょう?感謝は伝えたいもん!」
「そうだな。いい心がけだ」

 アンジェはそう言うと、僕の腰に手を回しグイッと引いて僕の体を抱き寄せる。

「お前は本当にかわいいな」
「んふふっありがとう」

 抱かれて喜んでるとグスッと鼻をすする音?エトムントに目をやると、なんか涙ぐんでるし?なにゆえ……?

「エトムントどうしたの?目にゴミでも?」
「グスッ違います!旦那様がお若い頃みたいによくしゃべり笑う。嬉しくて」

 はあってアンジェはため息と、呆れたと言わんばかり。

「泣くなよ。でもクルトのお陰だな。俺らしくいられるのはな」

 目尻に涙をためながらエトムントは微笑む。

「こんなこと言うべきではないのですが、前のご結婚は次第に厳しい顔つきになり、言葉数も減って陰気臭くなる旦那様を心配しておりました。「大事ない」の言葉は、私たち臣下には辛く……」

 知らないうちにローベルトまで目が真っ赤に。なんで!

「私はお側におりましたので、その変化に心を痛めておりました。言えませんでしたが……ズビッ」

 お前らそんなこと一言も言わなかったろ?ベルントを持ち上げてたろ?って。

「当たり前です!あなたの愛しい奥様でしたから!」
「……それはすまない」

 クルト様が来てから、屋敷は一つになったようにみな楽しそうに働いてます。大変なのは変わらないのに、疲れも違うように感じるくらいなのです。我らは……と二人は胸ポケットからハンカチ出して泣き出した。

「おいおい……俺はそんなにお前たちに負担を掛けていたのか?」
「はい!」
「ゔっ…」

 あははっいい家臣で、なにも言わずアンジェを見守ってたんだね。アンジェはみんなに愛されるいい当主だ。

「ありがとうクルト。そう言ってくれるお前はいい妻だ」
「んふふっ」

 僕らの様子に二人はとうとう堪えきれなくなり、ぶわーって泣いた。おいおい……

「アンジェ……僕の来る前のあなたとは……」
「聞くなクルト」
「はい」

 ガタゴト馬車は走り街の外れの門に到着。こちらは屋敷からの門ではなく他領からの外門だ。話してたからなんも景色見てなかったよ。うはは。先に三人が降りて、

「クルトどうぞ」
「ありがとう」

 アンジェの手を取り馬車を降りる。目の前には街が広がり、たくさんの人が行き交う。

「うわあ、街だ!なんて活気があるんだろう」
「ここはフリートヘルム公爵領、俺とお前の領地だ」
「うん」

 以前動物(家畜)を見に行ったときは屋敷の裏側の道で、城下町を通らなかったんだ。こっちは人がいっぱいで、馬車も冒険者とすぐ分かる出で立ちだ。……すげぇな。城では見ない大きな魔法の杖や、でっかい剣を担いでたり。馬車の窓から見る景色とは違う。魔法の杖や装飾の強い剣はゲームに出て来る装備。僕はうわーっと変に感動した。全部本物なんだね!あのゲームの世界に迷い込んだようで、なんて……嬉しくて感動していた。

「クルト行くぞ」
「はい!」

 僕はその声に正気になり、アンジェたちの後ろを歩きキョロキョロ。僕はこちらの世界に来て初めての街歩きだ。三人はあちこちの施設の確認や街の様子を、店主や宿屋の主に聞き込み?をしている。僕は後ろでニコニコしながら、目はあちこち見ていた。

「旦那様、そちらは奥様のクルト様ですか?」
「ああ、リーンハルトのお披露目の時しか見せてはいなかったな」

 街の有力者を集めて赤ちゃんを見せる、お庭での園遊会が先日あったんだ。僕はあいさつだけで引っ込まされた。アンジェは僕が街の人と話をするのを嫌がって、仕方なくお部屋の窓から見てたんだ。なぜにリーンハルトはよくて、僕がダメな理由はなんだ!と聞いたら「俺のクルトは見せたくない」んだってよ。アンジェはどうかしてる。僕はこれについてかなり責めたから、その反省も多少あったのか今回は連れて来てもらった。ひゃふぅ!

「おーい!クルト様がいらっしゃってるぞ!!」

 バザールの店主が叫ぶとザワッとして、一瞬時が止まったように静かになった。そしてぎゃああ!見るぅって買い物中の人たちが僕らの周りに集まって来た。

「うわあクルト様だ!かわいい……なんてかわいいんだ…」
「ベルント様もかわいかったけど……旦那様の様子が違うね。お幸せそうだ」
「お手を」

 僕の手を取りキスを求める人でゴチャゴチャになってしまった。

「あなたのお陰ですね。旦那様がいい顔になられたのは」
「あはは。そうみなさんが思って下さるならそうなんでしょう」

 アンジェに赤ちゃんおめでとうとか、奥様と仲が良さそうでよかったねと、話しかける人がほとんどだ。美男が更に美男になられて……と街のアンの人はうっとりアンジェを見つめ、ノルンの人の僕に向ける視線は怖かった。キラキラした視線が……少しアイドルの気持ちが分かった。

「ラングール家のアルバン様はとても美しい方なのは知ってましたが……クルト様は愛らしくて……ふふっ」
「ありがとう」

 僕は褒めてくれる人たちにありがとうと微笑んでいた。するとアンジェは、

「お前ら……俺の妻は見せもんじゃないんだぞ?」
「旦那様。そんなのは知ってますが、見かける機会が少ないからお目に掛かれる機会は大切にしたいんですよ」
「そう……」

 アルバン兄様は実はめっちゃイケメン。だからイケメンに僕は耐性があったんだ。アンジェとはタイプが違うけどね。兄様はどこかチャーミングなんだけど、アンジェはモデル?とかのシュッとしたかっこよさなんだよね。そのうち僕を触る人も出て来て、

「お前らクルトに触んな!」
「えっケチ!」
「ケチ?」
「敬愛のキスくらいいいでしょ?」
「まあ……」

 わちゃわちゃしながらこれ食べて!って奥様たちがカゴいっぱいのオレンジやきゅうり、じゃがいもやトマトをたくさんくれた。

「ありがとう」
「たくさん食べてリーンハルト様の御兄弟を作らないとね!」
「あはは。そうですね」

 視察はその後も続いたけど、まあ似たようなもので、視察にはなっていなかった。僕に人が群がって身動きも出来ない所すらあった。それからバザールを抜けて、貴族のお店が立ち並ぶエリアに到着。街の中心部の公園みたいな場所のベンチに僕は座った。

「ごめんなさいアンジェ」
「いやいい。これほどクルトを見たいと民が思ってるとは予想外だったけどな」

 エトムントは仕方ありませんよ。あの討伐の英雄、勇者とクルト様は思われてるんですからって。ここらもミンミーやラミッテの大群が駆け抜けていたそうだ。その後は中型のキャルニー、ウルフィ、猫や犬に似た魔獣の大群も駆け抜けた。人には目もくれず、隣の領地に走り抜けて行く。空は翼竜が大群で、カラスとか他の鳥もね。異様な光景だったそうだ。

「そうなんだ……」
「俺はお前に言ったぞ。白と黒の賢者の勇者爆誕とか言われてるって」
「うん。変な宣伝ポスターはあちこちで目に入ったよ」

 街には「白と黒の賢者の街 国の救世主の領地名物ミンミーの串焼き」とかね。なんだよそれ。

「ミンミー美味しいけど……副題がおかしい」
「まあな。商魂逞しいんだろ」

 ラミッテもミンミーも食用にもなるんだ。鶏肉みたいとそのまんまうさぎ味。食べ歩きの屋台には、鳥肉とかと混じって普通に売ってるんだ。ここは大きな街で、城の城下町に匹敵する大きさで、国の第二の都市と言われてるんだ。

「さて、視察の続きだ」
「うん」

 僕は立ち上がり、アンジェたちの後ろについて歩く。さすが貴族御用達だから僕を見て騒ぐ街の人も店主はいなかった。お店の視察ではあいさつの後も店員さんは僕を目で追ってたけどね。

「失礼ですが、前の奥様よりかわいらしくて…そのね?旦那様が幸せそうに感じるのは気のせいでしょうか?」
「いや、その通りだ」

 否定しないんかいアンジェ!その声にショーケースを見ていた僕は顔を上げた。

「若いからではなく相性がいいのだろう。とても愛している」
「ほほう。それはようごさいます。リーンハルト様も生まれましたしね。おめでとうございます」

 うんとアンジェ。今ものすごく幸せだと微笑んで店主と話している。

「アンジェ!恥ずかしいんだけど!」
「嘘は言ってないぞ?」
「ゔーーっ」

 ここの宝石店には視察に来るからと注文してたんだとにっこりして、店主が僕に小箱を渡してくれた。

「なに?」
「開けてみろ」

 箱を開けると真っ青な石の髪飾り……うわーきれい。アンジェの瞳の色で金細工もきれいだ。

「付けてやる」
「うん!」

 アンジェが僕の髪留めを取って新しい髪飾りを付けてくれ、僕は店主がどうぞと用意してくれた鏡を見る。

「すてきだ。まるでアンジェといつも一緒にいるみたい」
「これには付与もしてある。お前には必要ないかもだが、とっさの時に発動する護身魔法だ」
「ありがと。嬉しい」

 微笑むアンジェに嬉しくて抱きついたらチュッと頬にしてくれる。

「アンジェ……ありがとう。嬉しい」
「ああ。いつも一緒だ」

 僕らがふわふわな空気を醸し出していたら、エトムントが咳払い。

「旦那様、視察中です」
「ああ、そうだった。ついな」

 またなと店主に声を掛けて店を出ると、お昼にしようとレストランに向かう。料理はうちとはまた違う美味しさでうっとりした。食事はアンジェと結婚以来不自由しなくなったけど、ここは格別だ。

「美味しい……本気でこの店美味しい」
「だろう。ここはうちの料理長の実家の店で、俺が引き抜いたんだ」
「え!それお店困らなかったの?」

 給仕してくれていた人が、とても困りましたと苦笑い。

「だよね?僕は毎日幸せだけどさ」
「あの頃彼は若かったですが腕とセンスが良くて、うちの期待の跡継ぎだったんですけどね」

 このじゃがいものポタージュは前の世界より美味しいくらいだ。給仕の人が、

「こういったスープに合ういもを使ってるのですよ。うちの領地はいもの種類が多いんです」
「へえ……ねえアンジェ。僕農地の視察も行きたい」
「はあ、まあいいけど」

 アンジェはイヤそうに答える。でもここはお肉も美味しい……このレストランの方が屋敷より一味美味しい気がするのは気のせい?

「はい。本日は旦那様とクルト様がいらっしゃるので、筆頭料理長が全部作りましたからね」

 呼んできますと後ろに給仕の人が下がると、六〇前後くらいのいかついマッチョ登場。

「クルト様。お初にお目にかかります。レストランマグノリアの代表ゲレオンと申します」
「初めまして。クルト・クラネルトです」

 そちらの料理長グレゴールは私の子になります。いつもお世話になっておりますと彼は会釈する。うん、ゴツい感じがよく似てるね!

「グレゴールはこの店の跡取りだったんだが、美味しくてとベルントがわがままを……な」
「はあ……」

 そしてグレゴールもうちの屋敷がいいと帰らなくて、今に至るそうだ。

「クルト様がなにをお出ししても美味しい、嬉しいと言ってくれるのが楽しくて戻らぬ。親父も兄弟もいるからいいだろってね」
「あー……ごめんなさい」

 ガハハとゲレオンは豪快に笑い、いいんですよと。

「うちは後ふたりノルンの子がいますから安泰です。それと、デザートはあなたのお好きなチョコレートの物をご用意しておりますからね」
「ありがとう」

 アンジェが、ベルントがあまり食べられなくなった時、グレゴールに店に帰るか?と聞いたがうちにいると。屋敷の雰囲気も好きだから置いてくれって言ったそうだ。そして僕が来て帰る気が全くなくなったそう。

「彼の料理は美味しいんだよね。実家とは雲泥の差でさ。でもね。実家でお茶会をしてると料理は美味しいんだよ。そういうことなんだよね。シクシク……父様節約大好き過ぎてさ」

 僕はお肉を切りながらブツブツ。アンジェは笑いながら、

「お父上は堅実なんだよ。民の暮らし第一で、教育大臣だからもあるだろう。ラングールの領地は高原だから夏はいいが、冬の雪や春や秋の嵐、自然環境が多少厳しい。俺は尊敬してるよ」
「分かってるんだけどね。父様を尊敬してくれてありがとう」

 父様は僕の婚姻や活躍で城での立場はよくなってるそうだ。
 大臣としては地味な教育省担当。学校だけでなく、孤児院や職人の養成なんかにも関わる、多岐に渡る仕事なんだ。それに国民の識字率の向上は当然の目標で、城の書類の書式の改変「勉強・習い事」に関することの「なんでも屋」になってて大変なのに難なくこなす。元々評判のいい父様だそうだ。

「お前が嫁に来た頃の嵐の復興も早くて、秋の仕込みに間に合わせたんだ。すごいよな」
「へえ……僕父様の仕事よく分かってなかったから」

 仕方ないかな。外で働かないアンには分かりにくい部分だとアンジェは言う。だから僕は暇な時間に調べたりしているんだ。

「僕はなんにも知らなくて、ぬくぬく生きてるんだね」

 アンジェは優雅にお肉を口に運びながら、奥様の仕事とはそうでなくてはならないって。

「世間ずれしてなくて美しく優雅にいる。それが貴族の奥様の仕事だ。社交が主な仕事になる」

 対外的にもそうでなくてはならない。王妃のエルマー様が見本だ。彼は外面は完璧だよって。

「なにその外面はって」
「うん?言葉のままだ。彼の中身は……ユリアンの妻のリーヌスに似ている」
「へえ……全く分からんかった。お茶会では羨望の的だし、キリッとした美しさはびっくりするほどだもの」
「ああ……そうかもな」

 そうすると……王も変態か?つい口に出してしまった。

「あはは!それは違う。ハルトムートは普通より弱々かな。仕事は素晴らしいが、家族が大切で、妻には頭が上がらない優しいノルンだよ」
「ふーん」

 ちゃんと話したことないからなあ。アンジェに少し似ている四十少しの王様。威厳と人を引き付ける魅力のある、微笑みを常に浮かべる美しい王。

「今度会いに行くか?俺の兄様のような人なんだ。暇になったしな」
「えっいいの?」
「ああ、時間作ってもらうよ」

 そっか……辺境伯の二番目の子では絶対直接会うことがない王様。討伐とかではなくお会いできるとはすげえな。あうっこのチョコレートケーキうまっ!

「美味しい……オレンジの皮?かな。すごく合って美味しい」
「でしょう。前回イチゴを召し上がったとグレゴールに聞きましたのでね。オレンジにしてみました」
「むっちゃ美味しい。ね、アンジェ」
「ああ、お前が美味しいと感じるなら俺も美味しいよ」

 僕はアンジェの弾けるようなすてきな微笑みに見惚れて……あっケーキが口から溢れて鼻水出た。ダメだアンジェかわいい。

「クルト?」
「ハッ!アンジェ…お外でその顔やめて」
「ふふっごめん」

 なんだろうねえこの夫婦はと、ローベルトとエトムントは生温かい目をしている。視察の時はこの二人もテーブルを共にするんだそう。

「ほら口を拭け」
「う、うん」

 アンジェにフキフキしてもらってケーキを完食。食後のお茶の後、次の視察場所に移動した。ダメだ僕、気を抜いてると外でもアンジェにボーっとして粗相する!気をつけよう。






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