20 / 92
二章 討伐とその後
8 王への報告会
しおりを挟む
僕らの活動報告に、ふむと、王のハルトムート様は考え込む。
事前に調書は取られてて、手元の書類を手に取り彼はうーんと唸る。
大きな会議室にたくさんの、大臣や秘書官が勢揃いで、重苦しい空気の報告会。どの国もたくさんの死者を出してしまったから。
「火竜バルナバスか……あれマジだったんだ。前もって報告は受けていたが、お前らに聞くと実感するな」
「ええ。王家に伝わる伝説。バルナバスから聞いて、俺もあれは本当だったんだと思いました」
アンジェの報告に他の大臣も言葉がなかった。国に広まっている創世記物語は、この部分は改定の途中でカットされたようなんだ。だから今の民は知らないし、大臣職の人は話半分で覚えている。王宮の図書館にしかカット前の本はないらしい。僕も当然知らない。
「初代王エンゲルベルト王が契約してたようで、それ以外にもなにかあるようでした」
「ふーん。助けに行く約束ね」
約定の内容の記録はない。あったんだろうけど、今はないが正しいのだろう。
それと細かい魔物は白の賢者が遠ざけているけど、竜が相当数住み着いてるわりにあんまり問題起こさねえなあとは、みんな思ってたそうだ。火竜は発情期が何年かに一回あって、アンの竜の取り合いがある。
彼らは成長が遅く、何千年も生きる個体もいるそうな。その頂点がバルナバスとディルクの番だ。その子どもや他の個体でそこそこの群れになってて、あの洞窟みたいな巣はあの森に何か所かあった。僕らは復元してる最中に気がついたけど、会話が出来なさそうで怖くて中は確認しなかったし、巣の周りにはいなかったんだよね。
「たぶんですが、白の賢者だけの力で森から魔獣が出ないのではなく、火竜のなんらかの力が、森の動物たちの抑制に一役かっているのではないでしょうか」
「ああ……だろうな」
忘れ去られた火竜との約定。僕のうちのアルテミス様も忘れられて久しい。不都合なことではないけれど、戦乱や今回の大規模討伐でもなければどちらも気にしなくても生きていける。
思い出す時は「なにか悪い事が起きた時」なんだなあと、僕はつくづく思った。忘れられている方が幸せなんだって。
「分かった。火竜のことは記録する。なにか起きた時助けてくれる約束があって、一つだけ願いを叶えるとな」
「よろしくお願いします」
アンジェの報告が終わると僕の番だ。賢者の力を行使して火竜を正気に戻し、森の再生を促した。しかし、獣も魔獣も再生された森には現れず、森は確かに天啓通り溢れてしまった。そして獣たちは帰って来ないし、せっかくだからと土地の地図の更新もしたことを、丁寧に報告した。
「やはりか。国に流れ込んだペット、食料用の魔獣は各領地で捕獲済みで、明日以降森に放ちに行く予定です。ただ……害にならない魔獣は捕まえましたが、中型以上は見当たらず、翼のあるものは帰っても来ない。国の上空を飛んでいたのは見ていたのに、海から帰って来る個体を見かけた者はいないのです」
農林省の大臣の報告だ。他、国土省、外務省大臣、魔法省の副大臣の報告も同じ。森に帰る魔獣はいないって。あの戦闘でかなりの数は死んだけど、逃げた個体も多いのにな。魔法省の副大臣は、
「明日以降、森の調査をして動物の増え方を見ていきます。これから数年にも渡りの継続調査になりますかね」
「分かった。頼む」
王はこの先どうするかの議題に移ろうと言う。宰相様に次の議題の前に僕は退席してくれと言われた。後は大臣たちとの話し合いだそうで、大臣でもない僕は、白の賢者としてここで終わりだそう。
「はい。では失礼いたします」
席を立ち大臣たちの後ろを通り扉に向かった。扉を衛兵が開けてくれて、僕は一礼して出ようと顔を上げると、全員が僕に頭を下げた。
「あの……」
「クルト様、感謝いたします。あなたの力がこの危機的局面を打開いたしました。ありがとう存じます」
代表で王の宰相オイゲン・ハグマイヤー様が声を掛けてくれた。大臣の中には涙ぐむ人もいた。
「はい。お役に立ててよかったです」
僕は精一杯笑顔で応えた。
「では、本日はゆっくり城でお休みして、明日帰宅して下さいませ。この後夕食会をいたしますので」
「はい」
僕はもう一度頭を下げ外に出た。扉が閉まり振り返ると、そこにはティモがぷるぷる震えて待っていた。
「ティモ!ただいま!」
「うっ……おかえりなさいませ。クルト様」
目に涙をいっぱい溜めて、よかったと抱きついて来る。僕は心配掛けたねと、彼と抱き合った。
「グズっまずはお部屋に行きましょう」
「うん」
ティモと城の二階の客間に移動して、お疲れでしょうからお風呂をどうぞって。休憩はその後にってお風呂に入り、僕の髪を梳かしながらティモはブツブツ。
「ったくバサバサになって……僕があんなに手入れしておいたのに!」
「仕方ないよ。洗浄の魔法だけだとどうしてもね」
頭を念入りにシャンプーで洗い流し、髪に香りのいいオイルを丁寧に塗り込む。
「バリバリする……それに体にキスマークがこんなにも……あの、もっと早く帰れたんじゃないんですか?」
まあ、少しは早く出来たかもね。でもねえ、うふふっ
「そうなんだけど、いたすと次の日は動けなかったんだよ。魔力の使いすぎっていうか、腰が抜けるような感じで、朝はほとんど動けもしなかったんだ」
バカですか?それ根本の魔力を溜めるところの魔力切れ起こしてるんですよって。旦那様は分かってて……チッと舌打ち。いやいや、僕も分かってたよって。
「なけなしの体力と魔力を使ってまで交わらなくてもいいのではないでしょうか」
そうなんだけどね。うーんとね?
「そこは愛し合ってるし?こんなにべったりふたりでいるのはこの二年で初めてで、僕もアンジェも嬉しくて。そのね?」
髪を丁寧に梳かしながら分かりますがと怒っている。屋敷ではお二人が帰って来ないのに他は帰って来てるし、不安だったのですよと叱られた。
「それはごめん。どちらかというと森の再生に時間が掛かったんだよ。ものすごく燃えちゃってね」
公爵家の土地の三倍くらい焼けて、森とはよく言ったもので、起伏も激しく大変だったんだよと説明した。
「討伐が終わった日以降も動物は逃げてたんですよ」
「そうなの?」
ティモはペット用はもちろん、イノシシとかシカ、アウルベアじゃないヒグマやたぬき、キツネ、鳥も大群で逃げていたと教えてくれる。その間ティモは髪に丁寧にオイルを揉み込む。
「みんなどこいったんだろう?僕らが森にいる間見かけなかったんだよ」
ティモは髪を流しますよと、お湯をザバァと掛けてくれる。そういや森の方に戻る獣は見ませんねって。
「夜中に戻ってるとか?」
「ならいいけどね」
魔獣たちはだいぶ焼け死んじゃって、魔石がゴロゴロ動物は丸焦げ。森の再生前に魔石を全部拾って再生してると全然終わらなくて、気が遠くなったのは本当だ。中々前に進まない気がしたんだよね。
「そっか。獣とかいなくて安全だけど、手間は掛かったと」
「うん。魔石の放置はもったいないでしょ?」
「確かに」
これは魔石商に卸して売りさばいて貰う予定。騎士の派遣、殉職の騎士の見舞金、ヘルテルからの航空隊の貸し出しのお金とか、国は支払先が多いからね。
「そうですね。うちもバルシュミーデ、ヘルテルも損しただけだもの」
「うん……シュタルクが余計なことしなければ、獣も一度に死なずにすんだんだ。こんな人的災害で死ぬ必要なんかなかったんだよね」
「ええ、森を元に戻そうとも動物は生き返りませんし」
終わりました。湯船にどうぞと促されてタポン。あー……お湯いい……あったまるし疲れが取れるような気がする。
「ティモも一緒にはいってくれない?寝そうなんだ」
「はい」
ふたりでゆらゆら……ねむ……
「クルト様こちらへ」
「うん」
手を繋いでいたけど、抱いた方が安心とティモに背中を預けて……うっ…やっぱ眠い……
「支えてますからもう少し温まりましょう」
「うん…ごめん」
僕の体が冷たく感じるからって抱かれていると、すぐに意識が途切れ、出ますよと声をかけられて目を開けた。
「ごめん。本気で寝てた」
「いいえお疲れですから。それよりもずいぶんと大人びましたね。毎日だと気が付きませんけど離れると感じます」
「そう?自分じゃ分かんないだ」
子どもっぽさが抜けて色っぽくなり、大人のアンらしくなりましたと。
「腰のあたりとか、お尻とか。ノルンなら情欲をもつお体になりました。もうお子様を望めると思います」
「ほんと?」
「ええ。十五でも産めますが、やはり体が成熟してからの方が安産でいいんですよ」
そんなもんか。あとね、子どもがかわいく感じられます。あんまり若いと愛情が生まれない場合ありだそう。
「ノルン、アンどちらもね。相手しかいらないってなるんです。自分たちが年取っても、その時の子はあんまり可愛くないと感じたりもあります。後の子ばかりかわいがってなんて、学園の友だちがいましたから」
「へえ……それ怖い」
あれ?そう言えば昔何かの動物番組で、動物園のトラとか白くまとか育児放棄のを見たことあるな。親が子育てを放棄して飼育員さんが育てるとか。あはは……急いで作らなくてよかった。なんというか、この世界の人は動物の本能がたくさん残ってる感じが僕はしてるんだ。
温まったからお風呂を出て、久しぶりにいつものティモのお水をゴクゴク。彼の作るお水が一番美味しいなあ。
「ありがとう存じます。あなたの好みで作ってますからね」
「ふふっありがとう」
火照りが取れてからベッドに入ってそく寝落ち。お布団が気持ちいい。ワラじゃないからガサガサいわないし……幸せ。アンジェの匂いがすれば完璧なんだけど、そこまで文句は言えないか。僕は夕食会まで少し眠ることにした。
事前に調書は取られてて、手元の書類を手に取り彼はうーんと唸る。
大きな会議室にたくさんの、大臣や秘書官が勢揃いで、重苦しい空気の報告会。どの国もたくさんの死者を出してしまったから。
「火竜バルナバスか……あれマジだったんだ。前もって報告は受けていたが、お前らに聞くと実感するな」
「ええ。王家に伝わる伝説。バルナバスから聞いて、俺もあれは本当だったんだと思いました」
アンジェの報告に他の大臣も言葉がなかった。国に広まっている創世記物語は、この部分は改定の途中でカットされたようなんだ。だから今の民は知らないし、大臣職の人は話半分で覚えている。王宮の図書館にしかカット前の本はないらしい。僕も当然知らない。
「初代王エンゲルベルト王が契約してたようで、それ以外にもなにかあるようでした」
「ふーん。助けに行く約束ね」
約定の内容の記録はない。あったんだろうけど、今はないが正しいのだろう。
それと細かい魔物は白の賢者が遠ざけているけど、竜が相当数住み着いてるわりにあんまり問題起こさねえなあとは、みんな思ってたそうだ。火竜は発情期が何年かに一回あって、アンの竜の取り合いがある。
彼らは成長が遅く、何千年も生きる個体もいるそうな。その頂点がバルナバスとディルクの番だ。その子どもや他の個体でそこそこの群れになってて、あの洞窟みたいな巣はあの森に何か所かあった。僕らは復元してる最中に気がついたけど、会話が出来なさそうで怖くて中は確認しなかったし、巣の周りにはいなかったんだよね。
「たぶんですが、白の賢者だけの力で森から魔獣が出ないのではなく、火竜のなんらかの力が、森の動物たちの抑制に一役かっているのではないでしょうか」
「ああ……だろうな」
忘れ去られた火竜との約定。僕のうちのアルテミス様も忘れられて久しい。不都合なことではないけれど、戦乱や今回の大規模討伐でもなければどちらも気にしなくても生きていける。
思い出す時は「なにか悪い事が起きた時」なんだなあと、僕はつくづく思った。忘れられている方が幸せなんだって。
「分かった。火竜のことは記録する。なにか起きた時助けてくれる約束があって、一つだけ願いを叶えるとな」
「よろしくお願いします」
アンジェの報告が終わると僕の番だ。賢者の力を行使して火竜を正気に戻し、森の再生を促した。しかし、獣も魔獣も再生された森には現れず、森は確かに天啓通り溢れてしまった。そして獣たちは帰って来ないし、せっかくだからと土地の地図の更新もしたことを、丁寧に報告した。
「やはりか。国に流れ込んだペット、食料用の魔獣は各領地で捕獲済みで、明日以降森に放ちに行く予定です。ただ……害にならない魔獣は捕まえましたが、中型以上は見当たらず、翼のあるものは帰っても来ない。国の上空を飛んでいたのは見ていたのに、海から帰って来る個体を見かけた者はいないのです」
農林省の大臣の報告だ。他、国土省、外務省大臣、魔法省の副大臣の報告も同じ。森に帰る魔獣はいないって。あの戦闘でかなりの数は死んだけど、逃げた個体も多いのにな。魔法省の副大臣は、
「明日以降、森の調査をして動物の増え方を見ていきます。これから数年にも渡りの継続調査になりますかね」
「分かった。頼む」
王はこの先どうするかの議題に移ろうと言う。宰相様に次の議題の前に僕は退席してくれと言われた。後は大臣たちとの話し合いだそうで、大臣でもない僕は、白の賢者としてここで終わりだそう。
「はい。では失礼いたします」
席を立ち大臣たちの後ろを通り扉に向かった。扉を衛兵が開けてくれて、僕は一礼して出ようと顔を上げると、全員が僕に頭を下げた。
「あの……」
「クルト様、感謝いたします。あなたの力がこの危機的局面を打開いたしました。ありがとう存じます」
代表で王の宰相オイゲン・ハグマイヤー様が声を掛けてくれた。大臣の中には涙ぐむ人もいた。
「はい。お役に立ててよかったです」
僕は精一杯笑顔で応えた。
「では、本日はゆっくり城でお休みして、明日帰宅して下さいませ。この後夕食会をいたしますので」
「はい」
僕はもう一度頭を下げ外に出た。扉が閉まり振り返ると、そこにはティモがぷるぷる震えて待っていた。
「ティモ!ただいま!」
「うっ……おかえりなさいませ。クルト様」
目に涙をいっぱい溜めて、よかったと抱きついて来る。僕は心配掛けたねと、彼と抱き合った。
「グズっまずはお部屋に行きましょう」
「うん」
ティモと城の二階の客間に移動して、お疲れでしょうからお風呂をどうぞって。休憩はその後にってお風呂に入り、僕の髪を梳かしながらティモはブツブツ。
「ったくバサバサになって……僕があんなに手入れしておいたのに!」
「仕方ないよ。洗浄の魔法だけだとどうしてもね」
頭を念入りにシャンプーで洗い流し、髪に香りのいいオイルを丁寧に塗り込む。
「バリバリする……それに体にキスマークがこんなにも……あの、もっと早く帰れたんじゃないんですか?」
まあ、少しは早く出来たかもね。でもねえ、うふふっ
「そうなんだけど、いたすと次の日は動けなかったんだよ。魔力の使いすぎっていうか、腰が抜けるような感じで、朝はほとんど動けもしなかったんだ」
バカですか?それ根本の魔力を溜めるところの魔力切れ起こしてるんですよって。旦那様は分かってて……チッと舌打ち。いやいや、僕も分かってたよって。
「なけなしの体力と魔力を使ってまで交わらなくてもいいのではないでしょうか」
そうなんだけどね。うーんとね?
「そこは愛し合ってるし?こんなにべったりふたりでいるのはこの二年で初めてで、僕もアンジェも嬉しくて。そのね?」
髪を丁寧に梳かしながら分かりますがと怒っている。屋敷ではお二人が帰って来ないのに他は帰って来てるし、不安だったのですよと叱られた。
「それはごめん。どちらかというと森の再生に時間が掛かったんだよ。ものすごく燃えちゃってね」
公爵家の土地の三倍くらい焼けて、森とはよく言ったもので、起伏も激しく大変だったんだよと説明した。
「討伐が終わった日以降も動物は逃げてたんですよ」
「そうなの?」
ティモはペット用はもちろん、イノシシとかシカ、アウルベアじゃないヒグマやたぬき、キツネ、鳥も大群で逃げていたと教えてくれる。その間ティモは髪に丁寧にオイルを揉み込む。
「みんなどこいったんだろう?僕らが森にいる間見かけなかったんだよ」
ティモは髪を流しますよと、お湯をザバァと掛けてくれる。そういや森の方に戻る獣は見ませんねって。
「夜中に戻ってるとか?」
「ならいいけどね」
魔獣たちはだいぶ焼け死んじゃって、魔石がゴロゴロ動物は丸焦げ。森の再生前に魔石を全部拾って再生してると全然終わらなくて、気が遠くなったのは本当だ。中々前に進まない気がしたんだよね。
「そっか。獣とかいなくて安全だけど、手間は掛かったと」
「うん。魔石の放置はもったいないでしょ?」
「確かに」
これは魔石商に卸して売りさばいて貰う予定。騎士の派遣、殉職の騎士の見舞金、ヘルテルからの航空隊の貸し出しのお金とか、国は支払先が多いからね。
「そうですね。うちもバルシュミーデ、ヘルテルも損しただけだもの」
「うん……シュタルクが余計なことしなければ、獣も一度に死なずにすんだんだ。こんな人的災害で死ぬ必要なんかなかったんだよね」
「ええ、森を元に戻そうとも動物は生き返りませんし」
終わりました。湯船にどうぞと促されてタポン。あー……お湯いい……あったまるし疲れが取れるような気がする。
「ティモも一緒にはいってくれない?寝そうなんだ」
「はい」
ふたりでゆらゆら……ねむ……
「クルト様こちらへ」
「うん」
手を繋いでいたけど、抱いた方が安心とティモに背中を預けて……うっ…やっぱ眠い……
「支えてますからもう少し温まりましょう」
「うん…ごめん」
僕の体が冷たく感じるからって抱かれていると、すぐに意識が途切れ、出ますよと声をかけられて目を開けた。
「ごめん。本気で寝てた」
「いいえお疲れですから。それよりもずいぶんと大人びましたね。毎日だと気が付きませんけど離れると感じます」
「そう?自分じゃ分かんないだ」
子どもっぽさが抜けて色っぽくなり、大人のアンらしくなりましたと。
「腰のあたりとか、お尻とか。ノルンなら情欲をもつお体になりました。もうお子様を望めると思います」
「ほんと?」
「ええ。十五でも産めますが、やはり体が成熟してからの方が安産でいいんですよ」
そんなもんか。あとね、子どもがかわいく感じられます。あんまり若いと愛情が生まれない場合ありだそう。
「ノルン、アンどちらもね。相手しかいらないってなるんです。自分たちが年取っても、その時の子はあんまり可愛くないと感じたりもあります。後の子ばかりかわいがってなんて、学園の友だちがいましたから」
「へえ……それ怖い」
あれ?そう言えば昔何かの動物番組で、動物園のトラとか白くまとか育児放棄のを見たことあるな。親が子育てを放棄して飼育員さんが育てるとか。あはは……急いで作らなくてよかった。なんというか、この世界の人は動物の本能がたくさん残ってる感じが僕はしてるんだ。
温まったからお風呂を出て、久しぶりにいつものティモのお水をゴクゴク。彼の作るお水が一番美味しいなあ。
「ありがとう存じます。あなたの好みで作ってますからね」
「ふふっありがとう」
火照りが取れてからベッドに入ってそく寝落ち。お布団が気持ちいい。ワラじゃないからガサガサいわないし……幸せ。アンジェの匂いがすれば完璧なんだけど、そこまで文句は言えないか。僕は夕食会まで少し眠ることにした。
1
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~
さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。
そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。
姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。
だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。
その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。
女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。
もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。
周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか?
侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
思い上がりも程々に。地味令嬢アメリアの幸せな婚約
ごろごろみかん。
恋愛
「もう少し、背は高い方がいいね」
「もう少し、顔は華やかな方が好みだ」
「もう少し、肉感的な方が好きだな」
あなたがそう言うから、あなたの期待に応えれるように頑張りました。
でも、だめだったのです。
だって、あなたはお姉様が好きだから。
私は、お姉様にはなれません。
想い合うふたりの会話を聞いてしまった私は、父である公爵に婚約の解消をお願いしにいきました。
それが、どんな結末を呼ぶかも知らずに──。
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
ふしだらオメガ王子の嫁入り
金剛@キット
BL
初恋の騎士の気を引くために、ふしだらなフリをして、嫁ぎ先が無くなったペルデルセ王子Ωは、10番目の側妃として、隣国へ嫁ぐコトが決まった。孤独が染みる冷たい後宮で、王子は何を思い生きるのか?
お話に都合の良い、ユルユル設定のオメガバースです。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる