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五章 僕のこれから
5.妊娠とお見合い
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うふ……ん……あ~目を開けると全裸で正座しているジュスランがいる?
「どうしたの?」
「ルチアーノ……申し訳ありません!お腹見て下さい!」
ガバっと土下座した。はあ、なんなの?と起き上がろう………ん?んん?ぎゃあああ!紋があ!ジュスランの紋がああ!!叫び声にイレールがバンッと寝室に入って来てどうした!と。
「イレール……どうしよう。僕赤ちゃん出来た」
「ふえ?ええ!?」
土下座しているジュスランと僕を交互に見ていると、お前ら遅いから昼食の時間だぞ?行こうぜとステファヌが迎えに来て、ベッドの僕らとイレールの様子に何事?と。
「ステファヌ、僕赤ちゃん出来た」
「は?はあああ?おまっ!ジュスラン!何してるんだ!」
顔を上げて泣きそうなジュスランは小さな声でごめんと。こんなつもりはなかったんだけど昨日フェリクスに邪魔されて……その……色々気持ちが外れて……ごめんなさい!ステファヌはフンと鼻を鳴らし無言。
「えっと……おめでと」
「え?」
ステファヌを驚いて見た。
「出来たもんは仕方ねえだろ?まあ……フェリクスの将来の子供と揉めない方法を考えないとだがな」
「はい……」
こんな状況でも冷静なステファヌはステキだ。僕らは呆然としただけなのに。
「ネトワイユ!ほら、服着て食事に行こう。その後はアンセルムたちと考えよう」
「うん……」
ステファヌはめでたいことなんだからそんな顔するな!間違って出来た子だと思われたら子が可哀想だろ?と僕らを諌めた。
「でも俺のミスだ」
「そんな気持ちが子に伝わったら可哀想だと言っている!望まれて生まれてきたんだと思われるように気持ちを切り替えろ!」
「ああ……ごめんステファヌ」
それからお昼を取ってアンセルムのところに家族みんなで対策のために訪問。
「今頃ですか……フェリクス樣に対する嫌がらせ?」
「そんなんじゃないよ。ちょっとした間違いというか……そのな」
エルネストもフェリクスもなんとも言えない顔をしていたけど、エルネストはすぐに正気に戻り、
「母様おめでとうございます。弟だよ、フェリクス」
「ああうん……俺が原因ですか。父様」
バツが悪そうに頭を掻いて、
「そうは言いたくはないがそう。我慢が爆発して……」
「そうですか。それは申し訳ございませんでした。でも俺は嬉しいかな?」
だよねとエルネストと嬉しそうにした。
「確かにね。どんな理由でも王族が増える事はいいことです」
アンセルムは王族の層が薄いのが我が国の問題点だからなと。これから調べますが、歳の離れた弟様がいると王の選定時にフェリクス様の子と争うことになるかもしれません。過去にこのような事があったかどうか探してきますと部屋を出て行った。エルネストが心配そうに、
「母様はお仕事どうされますか?」
「うん、僕は産まれる直前まで普通に働くよ?フェリクスの時は少し早めだったけど大丈夫でしょ。ん?ゲッ!フェリクスなんで泣いてんの!」
え?っと頬を撫でてあれ?って。
「あはは。母が同じ弟と思うと感極まったかな?」
「え?僕もいますが兄樣?」
僕はあなたの弟のつもりですけど?
「いやさ……お前らは母様が父親だろ?俺は母様が母親で……父はオーブにいるけど不思議な力で生まれた子だ……父様たちは番の子だからと大切にはしてくれたけど……なんだろう……グスッ」
兄様そんな事気にしてたの?初めて知ったよとエルネストは驚いている。
「俺は自分が異質な気がしてたんだよ。母様だけしかいないような……」
「バカだなあ兄様は。僕はそんな事気にもしてなかった。優秀な兄様としか思ってなかったよ」
ポンポンとフェリクスの肩をエルネストが叩いた。兄様は僕の兄様ですよ。どこも異質な所なんてありませんと微笑んでいる。
「お前そんな事考えてたのか?」
「ゔっ……」
ステファヌも呆れたようにため息をついた。俺たちは「俺たちの子」が出来る前にお前が出来たことにはイアサントを責めたけど、お前自身を責める気も嬉しく思わなかったこともない。ルチアーノの子は俺たちの子だ。子供の頃に差別したか?しなかっただろうと二人はフンと鼻を鳴らした。
「はい、弟たちと何も変わらずかわいがってもらいました」
「だろう?もう気にするなよ」
「はい」
それからこれからの事を相談。エルネストがフェリクスの宰相をしているんだけど、母様に何があるかは分かりませんから、アンセルム様とフォローさせていただきますと胸を張った。
「え?別にそんな事は。二人もいるし?」
ふふん。母様は甘いですねと僕を睨んだ。
「母様にちょっとでも何かあったら二人は働きませんよ。それに母様?もうフェリクス兄様を産んだ頃とは違うんですよ?お歳を考えて下さい」
「うぐっ……はい」
お~いと言いながらアンセルムが戻り、過去にも忘れた頃に産まれたりしてたよと資料を見せてくれた。何代かそんな時があったけど、政情によりまちまちで正解はない。
「どうする?」
「どうしようかね」
その時でいいよとフェリクスはあははと笑った。さっきまで泣いてたのにね。
「俺はこれからリンゲルの方を紹介してもらう約束を母様としました。魔力量とその時の状況でいいよ。俺の子ではなく弟でも問題はないんだからさ」
「そうだけど……」
母様が王になってから変な病は発生していませんが、お腹の子が育った頃どうなるかなど誰にも分かりません。たくさんいて困る話ではありませんよと。
「確かにな。お前がいいならそれでいいか」
「アンセルムどうだ?」
そうだなあと考えて、
「今の治世の王族は仲良しこよし。王位争いとも無縁で、なんともぽやぽやした時代です。お好きにどうぞ」
ですが、もし何か事が起きた時は覚悟をお持ち下さいと釘は刺されたけどね。そしてリンゲルとはなんだと言われたから説明して手配してもらった。その間はフェリクスも大人しくしていて、というか問題起こしても払うものが自分のお金と分かり、これ以上減ったらマズいと恐怖で静かにしているとも言う状況だった。
それからふた月後、お見合いのためにリンゲルから三人ほど来てくれた。びっくりする事に僕と同じ髪色の子がいた。見た目は似てないけど髪はおんなじ。みんなフェリクス前後五歳以内の若者たち。
「ルチアーノ様、お久しぶりでございます」
「うん、みんな元気そうで何より」
客間でざっくばらんにやろうとあちらの騎士団長のコンラッドの提案。遠い昔とはいえ身内でしょと。今回魔法省のコンスタン団長の所には丁度いいお年頃がいなくてね。でも国内にはたくさんの僕の血族がいて、その中から連れてきてくれた。
親同士は和気あいあいと、久しぶりだよねって近況報告して楽しんだ。王になってから付き合いをするようになり、定期的に会ったりもしている。そろそろ私らは席をと四人を残し、僕らは部屋を後にした。それから上手くいくといいなあと一週間。フェリクスなら三日もあれば食い尽くすかと思ったけど、ちゃんと話をして匂いを確認、匂い以外の相性がイマイチと一人脱落。抱き合ってなんか違うと一人脱落。残り一人………
「どうなるかな?」
「分からん」
「俺も」
仕事は当分しなくていいとフェリクスには親睦を深めてもらった。
「まあ、親が気にしても仕方ない。仕事に行くぞ」
「うん」
そう言って朝僕の部屋を出て、カトレア棟をを過ぎ北棟から中央棟の渡り廊下を歩いていると、朝の散歩か二人を見かけた。金髪の巻き髪の子。かわいくてで色白、オレンジの瞳のふわふわした感じの子で、見た目は好みであろうと思う。フェリクスより頭一つ背が低く、お似合いには見えるね。目で追っていたようでステファヌにやめろと。
「ルチアーノ、ガン見するな。気付かれるだろ」
「あはは、ごめん」
そんな感じで色んな所で見かけていたけど、初めての日からひと月くらい過ぎてフェリクスに客間に来てくれと呼び出された。部屋に入ると、おお!気に入ったんだね!二人並んでニコニコ嬉しそうだ。
「お呼びだていたしまして申し訳ありません。彼に決めました」
「うわあ……よかったね」
「ええ、母様の思い付きでしたが、よかったです」
もう番に?と聞けばまだだと。あちらのご両親に言ってからと思いましてと。
「シメオンは異存はないのかな?」
「はい、ルチアーノ様。私は彼が好きです。まだまだ表面的な事のみですが、これからもっと分かりあえればと考えています」
「うん、ありがとう。末永くね」
「はい」
色白の頬を染めて……うおお!かわいい!二人目のお嫁さま!アンベールの番はマッチョでイカつかったけど、こちらはふわふわの……あ~かわいい。……いや、アンベールの番が悪いわけではない。彼の中身はふわふわの子だったしね。結果、二人の好みは似ている。
「一度帰りますか?」
「ええ、報告してまた戻ります」
「寂しいな」
「すぐに戻りますよ、フェリクス様。んふふっ」
いやん、子供のラブラブは身の置き所がないね!では僕らは仕事に戻るから、彼が国に戻るまで仕事はしなくていいからね?
「はい母様、感謝いたします」
「じゃあアンセルムたちと相談して結婚式とか詰めなさい」
「ええ」
幸せそうな二人にこの後のことをとエルネストと交代して部屋を出た。僕はバタバタしてた時だから戴冠式と結婚の報告を一緒にしたからね。どんなんだろうか結婚式は……
「よかったねぇ」
「ああ、もうすぐ引退と思ってたからな。丁度いい」
「そうだね」
「お腹は大丈夫か?抱っこするか?」
「しなくていい、歩けます」
嬉しくてスキップしたいくらいだけど、控えて気持ちだけ楽しく執務室に向かった。でも心の奥深くにチクッとしたものも感じた。アンベールの時にも感じた子の巣立つ寂しさ。こればかりは仕方ないよね。僕の天使は彼のモノになるんだ。
母さんも父さんも感じたのかな?ふふっ親にならなければ分からないこともたくさんあったね。彼にはたくさんの幸せをもらったんだ。フェリクス幸せになってね!
後はエルネストのみ……あれは番が出来るのかさえ不安だよ。噂すら聞かないし誰かと歩いているのすら見かけない。苦情はもちろんなくてね。独り身を選ぶ気か?プルプル!………首を横に振り、嫌な想像を吹き飛ばしながら三人で廊下を歩いた。
「どうしたの?」
「ルチアーノ……申し訳ありません!お腹見て下さい!」
ガバっと土下座した。はあ、なんなの?と起き上がろう………ん?んん?ぎゃあああ!紋があ!ジュスランの紋がああ!!叫び声にイレールがバンッと寝室に入って来てどうした!と。
「イレール……どうしよう。僕赤ちゃん出来た」
「ふえ?ええ!?」
土下座しているジュスランと僕を交互に見ていると、お前ら遅いから昼食の時間だぞ?行こうぜとステファヌが迎えに来て、ベッドの僕らとイレールの様子に何事?と。
「ステファヌ、僕赤ちゃん出来た」
「は?はあああ?おまっ!ジュスラン!何してるんだ!」
顔を上げて泣きそうなジュスランは小さな声でごめんと。こんなつもりはなかったんだけど昨日フェリクスに邪魔されて……その……色々気持ちが外れて……ごめんなさい!ステファヌはフンと鼻を鳴らし無言。
「えっと……おめでと」
「え?」
ステファヌを驚いて見た。
「出来たもんは仕方ねえだろ?まあ……フェリクスの将来の子供と揉めない方法を考えないとだがな」
「はい……」
こんな状況でも冷静なステファヌはステキだ。僕らは呆然としただけなのに。
「ネトワイユ!ほら、服着て食事に行こう。その後はアンセルムたちと考えよう」
「うん……」
ステファヌはめでたいことなんだからそんな顔するな!間違って出来た子だと思われたら子が可哀想だろ?と僕らを諌めた。
「でも俺のミスだ」
「そんな気持ちが子に伝わったら可哀想だと言っている!望まれて生まれてきたんだと思われるように気持ちを切り替えろ!」
「ああ……ごめんステファヌ」
それからお昼を取ってアンセルムのところに家族みんなで対策のために訪問。
「今頃ですか……フェリクス樣に対する嫌がらせ?」
「そんなんじゃないよ。ちょっとした間違いというか……そのな」
エルネストもフェリクスもなんとも言えない顔をしていたけど、エルネストはすぐに正気に戻り、
「母様おめでとうございます。弟だよ、フェリクス」
「ああうん……俺が原因ですか。父様」
バツが悪そうに頭を掻いて、
「そうは言いたくはないがそう。我慢が爆発して……」
「そうですか。それは申し訳ございませんでした。でも俺は嬉しいかな?」
だよねとエルネストと嬉しそうにした。
「確かにね。どんな理由でも王族が増える事はいいことです」
アンセルムは王族の層が薄いのが我が国の問題点だからなと。これから調べますが、歳の離れた弟様がいると王の選定時にフェリクス様の子と争うことになるかもしれません。過去にこのような事があったかどうか探してきますと部屋を出て行った。エルネストが心配そうに、
「母様はお仕事どうされますか?」
「うん、僕は産まれる直前まで普通に働くよ?フェリクスの時は少し早めだったけど大丈夫でしょ。ん?ゲッ!フェリクスなんで泣いてんの!」
え?っと頬を撫でてあれ?って。
「あはは。母が同じ弟と思うと感極まったかな?」
「え?僕もいますが兄樣?」
僕はあなたの弟のつもりですけど?
「いやさ……お前らは母様が父親だろ?俺は母様が母親で……父はオーブにいるけど不思議な力で生まれた子だ……父様たちは番の子だからと大切にはしてくれたけど……なんだろう……グスッ」
兄様そんな事気にしてたの?初めて知ったよとエルネストは驚いている。
「俺は自分が異質な気がしてたんだよ。母様だけしかいないような……」
「バカだなあ兄様は。僕はそんな事気にもしてなかった。優秀な兄様としか思ってなかったよ」
ポンポンとフェリクスの肩をエルネストが叩いた。兄様は僕の兄様ですよ。どこも異質な所なんてありませんと微笑んでいる。
「お前そんな事考えてたのか?」
「ゔっ……」
ステファヌも呆れたようにため息をついた。俺たちは「俺たちの子」が出来る前にお前が出来たことにはイアサントを責めたけど、お前自身を責める気も嬉しく思わなかったこともない。ルチアーノの子は俺たちの子だ。子供の頃に差別したか?しなかっただろうと二人はフンと鼻を鳴らした。
「はい、弟たちと何も変わらずかわいがってもらいました」
「だろう?もう気にするなよ」
「はい」
それからこれからの事を相談。エルネストがフェリクスの宰相をしているんだけど、母様に何があるかは分かりませんから、アンセルム様とフォローさせていただきますと胸を張った。
「え?別にそんな事は。二人もいるし?」
ふふん。母様は甘いですねと僕を睨んだ。
「母様にちょっとでも何かあったら二人は働きませんよ。それに母様?もうフェリクス兄様を産んだ頃とは違うんですよ?お歳を考えて下さい」
「うぐっ……はい」
お~いと言いながらアンセルムが戻り、過去にも忘れた頃に産まれたりしてたよと資料を見せてくれた。何代かそんな時があったけど、政情によりまちまちで正解はない。
「どうする?」
「どうしようかね」
その時でいいよとフェリクスはあははと笑った。さっきまで泣いてたのにね。
「俺はこれからリンゲルの方を紹介してもらう約束を母様としました。魔力量とその時の状況でいいよ。俺の子ではなく弟でも問題はないんだからさ」
「そうだけど……」
母様が王になってから変な病は発生していませんが、お腹の子が育った頃どうなるかなど誰にも分かりません。たくさんいて困る話ではありませんよと。
「確かにな。お前がいいならそれでいいか」
「アンセルムどうだ?」
そうだなあと考えて、
「今の治世の王族は仲良しこよし。王位争いとも無縁で、なんともぽやぽやした時代です。お好きにどうぞ」
ですが、もし何か事が起きた時は覚悟をお持ち下さいと釘は刺されたけどね。そしてリンゲルとはなんだと言われたから説明して手配してもらった。その間はフェリクスも大人しくしていて、というか問題起こしても払うものが自分のお金と分かり、これ以上減ったらマズいと恐怖で静かにしているとも言う状況だった。
それからふた月後、お見合いのためにリンゲルから三人ほど来てくれた。びっくりする事に僕と同じ髪色の子がいた。見た目は似てないけど髪はおんなじ。みんなフェリクス前後五歳以内の若者たち。
「ルチアーノ様、お久しぶりでございます」
「うん、みんな元気そうで何より」
客間でざっくばらんにやろうとあちらの騎士団長のコンラッドの提案。遠い昔とはいえ身内でしょと。今回魔法省のコンスタン団長の所には丁度いいお年頃がいなくてね。でも国内にはたくさんの僕の血族がいて、その中から連れてきてくれた。
親同士は和気あいあいと、久しぶりだよねって近況報告して楽しんだ。王になってから付き合いをするようになり、定期的に会ったりもしている。そろそろ私らは席をと四人を残し、僕らは部屋を後にした。それから上手くいくといいなあと一週間。フェリクスなら三日もあれば食い尽くすかと思ったけど、ちゃんと話をして匂いを確認、匂い以外の相性がイマイチと一人脱落。抱き合ってなんか違うと一人脱落。残り一人………
「どうなるかな?」
「分からん」
「俺も」
仕事は当分しなくていいとフェリクスには親睦を深めてもらった。
「まあ、親が気にしても仕方ない。仕事に行くぞ」
「うん」
そう言って朝僕の部屋を出て、カトレア棟をを過ぎ北棟から中央棟の渡り廊下を歩いていると、朝の散歩か二人を見かけた。金髪の巻き髪の子。かわいくてで色白、オレンジの瞳のふわふわした感じの子で、見た目は好みであろうと思う。フェリクスより頭一つ背が低く、お似合いには見えるね。目で追っていたようでステファヌにやめろと。
「ルチアーノ、ガン見するな。気付かれるだろ」
「あはは、ごめん」
そんな感じで色んな所で見かけていたけど、初めての日からひと月くらい過ぎてフェリクスに客間に来てくれと呼び出された。部屋に入ると、おお!気に入ったんだね!二人並んでニコニコ嬉しそうだ。
「お呼びだていたしまして申し訳ありません。彼に決めました」
「うわあ……よかったね」
「ええ、母様の思い付きでしたが、よかったです」
もう番に?と聞けばまだだと。あちらのご両親に言ってからと思いましてと。
「シメオンは異存はないのかな?」
「はい、ルチアーノ様。私は彼が好きです。まだまだ表面的な事のみですが、これからもっと分かりあえればと考えています」
「うん、ありがとう。末永くね」
「はい」
色白の頬を染めて……うおお!かわいい!二人目のお嫁さま!アンベールの番はマッチョでイカつかったけど、こちらはふわふわの……あ~かわいい。……いや、アンベールの番が悪いわけではない。彼の中身はふわふわの子だったしね。結果、二人の好みは似ている。
「一度帰りますか?」
「ええ、報告してまた戻ります」
「寂しいな」
「すぐに戻りますよ、フェリクス様。んふふっ」
いやん、子供のラブラブは身の置き所がないね!では僕らは仕事に戻るから、彼が国に戻るまで仕事はしなくていいからね?
「はい母様、感謝いたします」
「じゃあアンセルムたちと相談して結婚式とか詰めなさい」
「ええ」
幸せそうな二人にこの後のことをとエルネストと交代して部屋を出た。僕はバタバタしてた時だから戴冠式と結婚の報告を一緒にしたからね。どんなんだろうか結婚式は……
「よかったねぇ」
「ああ、もうすぐ引退と思ってたからな。丁度いい」
「そうだね」
「お腹は大丈夫か?抱っこするか?」
「しなくていい、歩けます」
嬉しくてスキップしたいくらいだけど、控えて気持ちだけ楽しく執務室に向かった。でも心の奥深くにチクッとしたものも感じた。アンベールの時にも感じた子の巣立つ寂しさ。こればかりは仕方ないよね。僕の天使は彼のモノになるんだ。
母さんも父さんも感じたのかな?ふふっ親にならなければ分からないこともたくさんあったね。彼にはたくさんの幸せをもらったんだ。フェリクス幸せになってね!
後はエルネストのみ……あれは番が出来るのかさえ不安だよ。噂すら聞かないし誰かと歩いているのすら見かけない。苦情はもちろんなくてね。独り身を選ぶ気か?プルプル!………首を横に振り、嫌な想像を吹き飛ばしながら三人で廊下を歩いた。
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