ゆるゆる王様生活〜双子の溺愛でおかしくなりそう〜

琴音

文字の大きさ
上 下
59 / 104
三章 イアサント王国の王として

16.緊張と動揺

しおりを挟む
 僕ら王族は特に仕事はなくて社交が仕事だ。だからお茶会、昼食会、晩餐会と。僕は国でもこんなに参加してなくてシクシク。

 翌日の朝のレオンスの説明に悲しくなってしまった。そして目の前のお召の招待状の山。うそでしょ?

「レオンス?これ僕たちだけでこんなに?」
「はい。ご自分の前の物が全てです」

 その言葉にジュスランはキレた。

「なんなんだ!この数は!これ受けてたらルチアーノとする時間もないだろ!」

 フンと鼻を鳴らしレアンドルとアンセルム。

「我らも……というか今回こちらに来た騎士、大臣、下働き全てに来ています」
「うそでしょ?下働きまで?」
「ええ、下働きの彼らは怯えて泣きついて来ています」

 あはは……今回は隣の国とかではないから下働きとは名がついているけどみんな下級貴族だ。庶民は一人もいないんだよ。階級にあった家からのお召は全員変わらずで……どうすんの?

「これ全部受けてたら半年コースになるよ……」

 ステファヌは魂のぬけたような声でぽつり。

「戦の心配がある中これは……」

 誰もこのお召のお手紙を睨みなんも言えねえと眺めた。アンセルムは断れないし国は心配だしと渋い顔。

「ひと月くらいで考えていましたのでルチアーノ様今晩お召でしょ?断って下さい」
「はあ?僕が!?」
「ええ、ムリですもの」
「む~ん……」

 あのと側近ズ。レアンドルが嫌そうに話し出した。

「私達にはこの案内も一緒に来ました」
「なんだ?それは」

 アンセルムが受け取り読むとグフッと変な声。

「時間がないのはお互い様だから……昨日言っていた乱交……いえ集団子作り会に参加しろってことだそうです……」
「ゲッ……」

 王族以外は自国に帰るまで指定の日に来いと書いてあるとこちらに紙を渡してくれた。

「マジだ、週二参加しろって……」
「俺たちは?」

 手紙の下を掘ったら案内の手紙があった。僕らは王族のお召が終わったら参加しろと………上級貴族の次男以下の会だそう。む~ん。

「僕らはこれのために呼ばれたの?もしかして……」
「あ~……そうとしか考えられんな。気持ちよくドナシアンとか受け入れているとは思っていたが……」

 みんながそうとしか考えられんとうんうん。王族は三人でまあ……二週間ちょいもあればなんとかかな?その後僕らは上級貴族の会だよ。ちんこ擦り切れるんじゃ……

「ならんでしょ?あなたたちほぼ毎晩ですしね」

 アンセルムは相手が変わるだけで変わらんと。

「酷くね?番だからしたいのに!」
「私は番以外は鳥肌立つくらい嫌ですよ!ピエリックが誰かに抱かれるとか考えるだけでおかしくなりそうです!」
「お前はいいのかよ」
「私も嫌ですよ!」

 みんなも番の本能バリバリだからねぇ。アンセルムはお召を一切受け付けない貴族として有名だし……

「断れはしないし腹は括りますが……イヤだ……」

 アンセルムは床に座り込んだ。こんなにも項垂れている彼を見たことがなかったからなんと声を掛けていいやら。ステファヌが横に膝を付き肩をぽんと、

「アンセルム大丈夫か?」
「ええ……」

 指一つ動かさず固まってたかと思うとゆら~りと立ち上がり、ふふっと微笑み目が据わっている。怖い……

「私はこれから会合です。皆さん仕事しましょう、悩んでも変わりませんしね」
「お、おおう……」

 黒いオーラの見えるアンセルムにみんな怯えた。覚悟の決まった男は怖い。そして僕らは王族や貴族のお茶会なんかに参加し、みんなは会議に参加。晩餐会も終わり僕らは部屋に戻って変な緊張感で無言に。

 朝の大臣の顔合わせでアンセルムからここに来た者は諦めろと全ての長に命を出した。騎士たちは特に番の本能が強いから動揺したらしいけど僕ら王族も同じと諦めてくれた。怯えた下働きの貴族もルチアーノ様たちも同じならと諦めて項垂れたそうだ。

 コンコンとドアから!みんなビクッとした。イレールが対応して僕らは各々案内の者について行く。途中でステファヌ様はこちらと言われ、

「愛しているよルチアーノ」
「うん、どんな事があっても僕はステファヌを愛している」

 抱き合って軽くキスして別れた。次にジュスラン、同じく抱き合って、

「ルチアーノ……俺のちんこはお前のものだ。誰に突っ込んでもな」
「うふふ、こんな時にもう!」
「こんな時だからだよ愛してる」
「うん、愛してる」

 そして一際豪華な扉の前に来た。案内の者がノックすると中から側仕えと思われる者がどうぞと。

「私はここで失礼します」
「うん」

 彼は立ち去り僕はバクバク胸の鼓動がうるさいくらいの緊張の中、部屋に入った。







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

【本編完結】異世界で政略結婚したオレ?!

カヨワイさつき
BL
美少女の中身は32歳の元オトコ。 魔法と剣、そして魔物がいる世界で 年の差12歳の政略結婚?! ある日突然目を覚ましたら前世の記憶が……。 冷酷非道と噂される王子との婚約、そして結婚。 人形のような美少女?になったオレの物語。 オレは何のために生まれたのだろうか? もう一人のとある人物は……。 2022年3月9日の夕方、本編完結 番外編追加完結。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月
BL
 男性オメガの「本田ルカ」は中学三年のときにアルファにうなじを噛まれた。性的暴行はされていなかったが、通り魔的犯行により知らない相手と番になってしまった。  それからルカは、孤独な発情期を耐えて過ごすことになる。  ルカは十九歳でオメガモデルにスカウトされる。順調にモデルとして活動する中、仕事で出会った俳優の男性アルファ「神宮寺蓮」がルカの番相手と判明する。  ルカは蓮が許せないがオメガの本能は蓮を欲する。そんな相反する思いに悩むルカ。そのルカの苦しみを理解してくれていた周囲の裏切りが発覚し、ルカは誰を信じていいのか混乱してーー。 ★バース性に苦しみながら前を向くルカと、ルカに惹かれることで変わっていく蓮のオメガバースBL★ 性描写のある話には※印をつけます。第12回BL大賞に参加作品です。読んでいただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします(^^♪ 11月27日完結しました✨✨ ありがとうございました☆

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

処理中です...