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三章 どこになにが潜んでるかは分からない
10.この事件で分かったこと
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「うひゃひゃ!何してんだよ太陽!」
「だーっていいって言うから、つい」
下品な話題に。
「でも悦んでたよ?初めてなのにあんあんしてたもん」
「ひーっあはは。俺は無理だ!」
佐久間さんは別の店で知り合った人とホテルで楽しんで、相手はタチの人だったんだけど、興味あるって言うからプスッと。
「あはは、タチ出来なくなったらお前のせいだぞ?」
「うーん……大丈夫でしょ?」
「分かんないよ?お尻の快感って強いんだろ?」
人により戻れなくなる人がいるのは聞いたことはある、完全に受けに変わる人。こういうワンナイトではあまり聞かないけど、恋人とチャレンジしてとか。愛撫されて愛を囁かれているうちに、前だけでは足りなくなってとか、受け身の愛情の幸福感にやられるとか。
「うん。だから世の中ネコが多いんだよね。片方だけだと相手なんて見つかんないよ。バリタチなんてお前以外見たことないもん」
何の話してんだか。
「若い子をダメにするとはお前らしい」
「え~ダメになんかしてないよ。かっこいい子で、俺うっとりしたもん。若いちんこはいいよ?硬いし体力あるし」
「あはは!」
ママとゆうはあ~やだって。
「佐久間はひろちゃんのこと下品て言ってるけど、同じよ」
「そうそう。ワンナイトの子のさ、ベッドの中の話とかこういうとこで話すのはなあ」
「ほんとにね」
この二人と寝たいなんてのは頭おかしいよって。なら僕は頭おかしいね。
「ちーちゃんはホントにこんな奴でいいの?マジで下品よ?」
「いいんだよ。僕にはいい人だから」
「そう……ちーちゃんも頭おかしい部類か」
「ゔっ」
ふたりは楽しそうに歴代の相手の話しをしている。おじさんはおじさんでかわいいんだよ?こなれてるから俺堪んないのって佐久間さん。
「あ~……俺はそんなに上の人とはないかな。若い頃に四十前後くらいが最高か」
「それはおじさんと呼べるか微妙」
「うん」
ふたりは会えば楽しそうで、僕は目に入らなくなる。でもね、こんな広翔を見るのも悪くないと思う僕もいる。きっと学生時代はこんなだったんだろうなあって。
「ねえねえ、ちーちゃんはどうだったの?」
「え?なにが?」
「んふふっ」
ゆうは何が聞きたいのかによによ。
「なに?」
「ひろ以外の時はどうだったの?表向きの関係とかでなくて、その、えっちは?」
「うっ……そういうのはぶっちゃけない方針です!」
「ええ~聞きたい!」
聞きたいと言われてもないから。ワンナイトは一度のみ、恋人は少ないし……話す内容がないんだよ。目が期待に満ちてるからまあ……
「うーん……僕ね、エッチに関してはあんまりないんだよ。相手主導でさ、ここいいんだろ?って勝手に決められるような……エッチは楽しくなかったのが本当だね」
「えっ……」
「だからワンナイトも挑戦してみたけど、さほど変わらず突っ込まれただけでさ」
ゆうは言葉を失う……そうだよね、うん。
「かわいそうなちーちゃん。今は?」
「え?え~っと……」
広翔に会話が聞こえたのかゆうって。
「俺が満足させらんない訳ねぇだろ?ちーはかわいいんだよ」
「へえ……ちーはどう思ってるんだろうね?」
「ぼ、僕?」
ブワッと顔が赤くなるのが分かった。言いたくはない。
「ふふん、ちーちゃんの顔見れば分かるか。よかったね、腐れちんこでも役に立つんだね」
「うるせえぞ!俺はセックス上手いの!」
「ほう?数こなせば上手いのは当たり前だよ。やだねぇコイツ」
この店はあちらこちらからこんな話をしている人がいる。当然驚いてる人もいないわけじゃないけど、そんなもんかとすぐに慣れてるようだった。
「はい、おかわり」
「ありがとう」
ママは大変なことがあったのに、広翔は変わんないよね。あれが強さなんだろうけど、あたしがそうならこんなに早く立ち直れないわって、腕組みして視線を広翔にやる。
「うん、僕も無理かな。未だにウジウジしてると思う」
「そうよねぇ」
でもね、広翔も未だに苦しんでるのは知ってる。自分に前向きにって言い聞かせてるだけだってね。時々ガバッて夜中に起きてるのも知ってる。寝言でうなされてるのも知ってる。
自分と戦ってるんだ。何に対しての後悔かは分からないけど、なくならないんだろう。
「ひろちゃんなりに耐えてるんですよ」
「そう?……そうかな。確かにいつもより更に下品だけどさ」
「あはは」
休みだからどこかにとは思ったけど、どこかはここでね。普通の休みなんかこんなもん。食事してここで飲んで、佐久間さん呼びつけて楽しむ。まあいいのかなあと思う。
「ちーそろそろ帰ろうよ。俺ヤリたくなった」
「ああ?」
「太陽の話聞いてたらさ。な?」
佐久間さんは俺のせいにすんなよ。なら俺もと携帯を取り出し誰かに連絡をしている。
「あら……んふふっ」
「ちー楽しめよ」
佐久間さん何言ってんの?と顔真っ赤。自分が関わらないのは楽しく聞けるけど、自分のはムリ!恥ずかしくて下向いてる間に広翔が会計して引きずられて帰宅。
「あっ……んっ…うっ……っ」
「ちーはすぐ蕩けるから」
帰ったら速攻だよね。玄関入ったら脱ぎたしてさ。
「ちー……くっいい」
「あっ…もう……ダメかも」
昨日もしてるからすぐにずぷん。ゆさゆさ体が押し込まれるたびに揺れて、快感が増す。
「俺セックス好きだわ。ストレスもセックスで癒える」
「そ、そう……あん……」
僕はソファでうつ伏せで喘いでいた。バックでされることも増えている。自分のが僕の中に入ってるのを見たくてって。深く押し込んで、
「ここさ、俺のとローションで白いの溢れてさ。エロ過ぎ」
穴を指で撫でる。ビクッとして、
「ハァハァ……気持ちい……え?まさか生?」
「うん」
またかよ!ダメだよここは基本出すところだからぁ……でも気持ちいい……抗議も曖昧になるくらい……あう……
「文句たれてる割に……もうダメなんだろ?」
「うっ……あぁ……出ちゃ……」
何度か腰が止められてるうちに少し……
「中すげぇびくびく。軽くイッてるだろ?」
「い、言わなくていいから……あ~」
「俺イキたい」
「へ?」
ドンッと奥に突かれてゆさゆさ揺れる。もうどうでもいいってくらい気持ちいい。
「ちーダメだ」
グッと奥に押し込みドクンドクンと……中に温かいものが広がり漏れて……僕は当然出ちゃってる。ぬちゅって抜けた。
「この穴堪んないよね、ヒクヒクしながら俺の精液が出てくるの堪んない」
「解説は……ひろはホントにエッチだよね」
「うん。好きな人といる時は常にエッチなこと考えてる」
お尻掴んで指を入れてぐちゅぐちゅと。
「入れた後は柔らかい。穴も広がっててなんて……」
「うーっそこやめて!あ、あぁ……ふぅ……ん」
ちーのすましてる顔が色っぽく蕩けるのがいいんだ、その声がいいって。
「うっ……そんなしたら出ちゃ…あ…ん」
「ならこれね」
勢いよく押し込まれ……あは……もういい
するだけしてシャワーを浴びて中掻き出して。
「出るね。中すごい」
「感想いらないから!」
「でも指動かすとドロって」
「もう!」
何年一緒にいてもこのエロトークは慣れない。体をきれいにして外に出て水飲んで、意味なくテレビを付けた。休みらしい日が一日終わる。二日もあるって思っても、あっという間に土曜日は過ぎた。不意に広翔が、
「たまに思い出すんだよね。女とは違うなって」
「え?したことあるの?」
「うん、一度だけ。人としてとても好きな人がいて、飲んで……つい」
親も孫欲しがってたし、この人となら生涯いけるかもって。
「エッチだけ言えば、男の中は締め付けキツい。子供産むためなんだろうけど、比べれば優しい締め付けでローションいらず」
「そりゃあ……」
「おっぱいもふかふかで乳首もおっきくて、全部柔らかい」
「まあ……」
でもやはり違うと寝て分かったんだって。彼女を尊敬してただけで愛とは違った、好きの意味が違って、少し年上の方だったそう。
「このまま知らんぷりして続けるのも選択肢だったとは思うよ。世間的には結婚して、子供いて幸せに見えるし。だけど彼女にも申し訳ないし、俺自身が許せない」
「うん」
彼女はそれでもいい、外に恋人作ればいいって言ってくれた。俺が好きだからって。
「そんな人も世間にはいるのは知ってる。でも俺は無理でさ」
「うん」
負い目ばかりで、そのうち潰れるのが分かりきってた。だからその後少ししてごめんって別れ、彼女はその後同業他社に転職していった。顔見ると辛いって言われて、今は旦那さんと幸せに暮らしているらしい。
「前にちーもキスして違うって言ってたよね」
「うん。あれはねぇ」
俺言いにくくて言わなかったんだ。キスどころじゃないし、バーのみんなにも言ったことないそう。
「あの違うって感覚はさ。俺は子供無理なんだって気持ちと、やっぱりなって安心と複雑だった」
「うん……」
何年経っても自分のこと全部を話す訳ではないよね。僕も思い出してないだけで、話してないことがあるかもしれない。
「妻と子供を持つ最後のチャンスではあったけど、子供そんなに好きじゃないし、俺はちーがいればいい」
「ありがと」
こんなこと思い出すのは、広翔が弱ってるからなんだろう。仕事のつまずき、工藤さんの不調も、早めに見つければ復帰出来たかもって後悔があるって言ってたからね。それに、何も失敗しない人なんていないのも事実だ。
「僕はひろちゃんがどんなでも好き。色のない世界に色をくれたのはひろちゃんだから」
「そうなの?」
マグカップを両手で持ってカップを見つめた。
「うん。人が多い都会はより寂しさを強く感じる時もあるんだよ。たくさんの人の中の孤独は、より実感する時があるんだ」
それを自覚すると景色がモノクロになっていく。僕はこの世界の異質な生き物って気分で、誰も僕が見えていないんじゃないかって。
「そこに彩りをくれたのがひろちゃん。僕は幸せだよ」
「そう……俺もちーが好きだ」
カップをテーブルに置いて肩にもたれると、腕が僕の肩に。たったこれだけ、これでいいんだ。僕はひとりじゃないって思えてね。心が暖かくなって、この優しい腕が僕の心を満たしていく。
「だーっていいって言うから、つい」
下品な話題に。
「でも悦んでたよ?初めてなのにあんあんしてたもん」
「ひーっあはは。俺は無理だ!」
佐久間さんは別の店で知り合った人とホテルで楽しんで、相手はタチの人だったんだけど、興味あるって言うからプスッと。
「あはは、タチ出来なくなったらお前のせいだぞ?」
「うーん……大丈夫でしょ?」
「分かんないよ?お尻の快感って強いんだろ?」
人により戻れなくなる人がいるのは聞いたことはある、完全に受けに変わる人。こういうワンナイトではあまり聞かないけど、恋人とチャレンジしてとか。愛撫されて愛を囁かれているうちに、前だけでは足りなくなってとか、受け身の愛情の幸福感にやられるとか。
「うん。だから世の中ネコが多いんだよね。片方だけだと相手なんて見つかんないよ。バリタチなんてお前以外見たことないもん」
何の話してんだか。
「若い子をダメにするとはお前らしい」
「え~ダメになんかしてないよ。かっこいい子で、俺うっとりしたもん。若いちんこはいいよ?硬いし体力あるし」
「あはは!」
ママとゆうはあ~やだって。
「佐久間はひろちゃんのこと下品て言ってるけど、同じよ」
「そうそう。ワンナイトの子のさ、ベッドの中の話とかこういうとこで話すのはなあ」
「ほんとにね」
この二人と寝たいなんてのは頭おかしいよって。なら僕は頭おかしいね。
「ちーちゃんはホントにこんな奴でいいの?マジで下品よ?」
「いいんだよ。僕にはいい人だから」
「そう……ちーちゃんも頭おかしい部類か」
「ゔっ」
ふたりは楽しそうに歴代の相手の話しをしている。おじさんはおじさんでかわいいんだよ?こなれてるから俺堪んないのって佐久間さん。
「あ~……俺はそんなに上の人とはないかな。若い頃に四十前後くらいが最高か」
「それはおじさんと呼べるか微妙」
「うん」
ふたりは会えば楽しそうで、僕は目に入らなくなる。でもね、こんな広翔を見るのも悪くないと思う僕もいる。きっと学生時代はこんなだったんだろうなあって。
「ねえねえ、ちーちゃんはどうだったの?」
「え?なにが?」
「んふふっ」
ゆうは何が聞きたいのかによによ。
「なに?」
「ひろ以外の時はどうだったの?表向きの関係とかでなくて、その、えっちは?」
「うっ……そういうのはぶっちゃけない方針です!」
「ええ~聞きたい!」
聞きたいと言われてもないから。ワンナイトは一度のみ、恋人は少ないし……話す内容がないんだよ。目が期待に満ちてるからまあ……
「うーん……僕ね、エッチに関してはあんまりないんだよ。相手主導でさ、ここいいんだろ?って勝手に決められるような……エッチは楽しくなかったのが本当だね」
「えっ……」
「だからワンナイトも挑戦してみたけど、さほど変わらず突っ込まれただけでさ」
ゆうは言葉を失う……そうだよね、うん。
「かわいそうなちーちゃん。今は?」
「え?え~っと……」
広翔に会話が聞こえたのかゆうって。
「俺が満足させらんない訳ねぇだろ?ちーはかわいいんだよ」
「へえ……ちーはどう思ってるんだろうね?」
「ぼ、僕?」
ブワッと顔が赤くなるのが分かった。言いたくはない。
「ふふん、ちーちゃんの顔見れば分かるか。よかったね、腐れちんこでも役に立つんだね」
「うるせえぞ!俺はセックス上手いの!」
「ほう?数こなせば上手いのは当たり前だよ。やだねぇコイツ」
この店はあちらこちらからこんな話をしている人がいる。当然驚いてる人もいないわけじゃないけど、そんなもんかとすぐに慣れてるようだった。
「はい、おかわり」
「ありがとう」
ママは大変なことがあったのに、広翔は変わんないよね。あれが強さなんだろうけど、あたしがそうならこんなに早く立ち直れないわって、腕組みして視線を広翔にやる。
「うん、僕も無理かな。未だにウジウジしてると思う」
「そうよねぇ」
でもね、広翔も未だに苦しんでるのは知ってる。自分に前向きにって言い聞かせてるだけだってね。時々ガバッて夜中に起きてるのも知ってる。寝言でうなされてるのも知ってる。
自分と戦ってるんだ。何に対しての後悔かは分からないけど、なくならないんだろう。
「ひろちゃんなりに耐えてるんですよ」
「そう?……そうかな。確かにいつもより更に下品だけどさ」
「あはは」
休みだからどこかにとは思ったけど、どこかはここでね。普通の休みなんかこんなもん。食事してここで飲んで、佐久間さん呼びつけて楽しむ。まあいいのかなあと思う。
「ちーそろそろ帰ろうよ。俺ヤリたくなった」
「ああ?」
「太陽の話聞いてたらさ。な?」
佐久間さんは俺のせいにすんなよ。なら俺もと携帯を取り出し誰かに連絡をしている。
「あら……んふふっ」
「ちー楽しめよ」
佐久間さん何言ってんの?と顔真っ赤。自分が関わらないのは楽しく聞けるけど、自分のはムリ!恥ずかしくて下向いてる間に広翔が会計して引きずられて帰宅。
「あっ……んっ…うっ……っ」
「ちーはすぐ蕩けるから」
帰ったら速攻だよね。玄関入ったら脱ぎたしてさ。
「ちー……くっいい」
「あっ…もう……ダメかも」
昨日もしてるからすぐにずぷん。ゆさゆさ体が押し込まれるたびに揺れて、快感が増す。
「俺セックス好きだわ。ストレスもセックスで癒える」
「そ、そう……あん……」
僕はソファでうつ伏せで喘いでいた。バックでされることも増えている。自分のが僕の中に入ってるのを見たくてって。深く押し込んで、
「ここさ、俺のとローションで白いの溢れてさ。エロ過ぎ」
穴を指で撫でる。ビクッとして、
「ハァハァ……気持ちい……え?まさか生?」
「うん」
またかよ!ダメだよここは基本出すところだからぁ……でも気持ちいい……抗議も曖昧になるくらい……あう……
「文句たれてる割に……もうダメなんだろ?」
「うっ……あぁ……出ちゃ……」
何度か腰が止められてるうちに少し……
「中すげぇびくびく。軽くイッてるだろ?」
「い、言わなくていいから……あ~」
「俺イキたい」
「へ?」
ドンッと奥に突かれてゆさゆさ揺れる。もうどうでもいいってくらい気持ちいい。
「ちーダメだ」
グッと奥に押し込みドクンドクンと……中に温かいものが広がり漏れて……僕は当然出ちゃってる。ぬちゅって抜けた。
「この穴堪んないよね、ヒクヒクしながら俺の精液が出てくるの堪んない」
「解説は……ひろはホントにエッチだよね」
「うん。好きな人といる時は常にエッチなこと考えてる」
お尻掴んで指を入れてぐちゅぐちゅと。
「入れた後は柔らかい。穴も広がっててなんて……」
「うーっそこやめて!あ、あぁ……ふぅ……ん」
ちーのすましてる顔が色っぽく蕩けるのがいいんだ、その声がいいって。
「うっ……そんなしたら出ちゃ…あ…ん」
「ならこれね」
勢いよく押し込まれ……あは……もういい
するだけしてシャワーを浴びて中掻き出して。
「出るね。中すごい」
「感想いらないから!」
「でも指動かすとドロって」
「もう!」
何年一緒にいてもこのエロトークは慣れない。体をきれいにして外に出て水飲んで、意味なくテレビを付けた。休みらしい日が一日終わる。二日もあるって思っても、あっという間に土曜日は過ぎた。不意に広翔が、
「たまに思い出すんだよね。女とは違うなって」
「え?したことあるの?」
「うん、一度だけ。人としてとても好きな人がいて、飲んで……つい」
親も孫欲しがってたし、この人となら生涯いけるかもって。
「エッチだけ言えば、男の中は締め付けキツい。子供産むためなんだろうけど、比べれば優しい締め付けでローションいらず」
「そりゃあ……」
「おっぱいもふかふかで乳首もおっきくて、全部柔らかい」
「まあ……」
でもやはり違うと寝て分かったんだって。彼女を尊敬してただけで愛とは違った、好きの意味が違って、少し年上の方だったそう。
「このまま知らんぷりして続けるのも選択肢だったとは思うよ。世間的には結婚して、子供いて幸せに見えるし。だけど彼女にも申し訳ないし、俺自身が許せない」
「うん」
彼女はそれでもいい、外に恋人作ればいいって言ってくれた。俺が好きだからって。
「そんな人も世間にはいるのは知ってる。でも俺は無理でさ」
「うん」
負い目ばかりで、そのうち潰れるのが分かりきってた。だからその後少ししてごめんって別れ、彼女はその後同業他社に転職していった。顔見ると辛いって言われて、今は旦那さんと幸せに暮らしているらしい。
「前にちーもキスして違うって言ってたよね」
「うん。あれはねぇ」
俺言いにくくて言わなかったんだ。キスどころじゃないし、バーのみんなにも言ったことないそう。
「あの違うって感覚はさ。俺は子供無理なんだって気持ちと、やっぱりなって安心と複雑だった」
「うん……」
何年経っても自分のこと全部を話す訳ではないよね。僕も思い出してないだけで、話してないことがあるかもしれない。
「妻と子供を持つ最後のチャンスではあったけど、子供そんなに好きじゃないし、俺はちーがいればいい」
「ありがと」
こんなこと思い出すのは、広翔が弱ってるからなんだろう。仕事のつまずき、工藤さんの不調も、早めに見つければ復帰出来たかもって後悔があるって言ってたからね。それに、何も失敗しない人なんていないのも事実だ。
「僕はひろちゃんがどんなでも好き。色のない世界に色をくれたのはひろちゃんだから」
「そうなの?」
マグカップを両手で持ってカップを見つめた。
「うん。人が多い都会はより寂しさを強く感じる時もあるんだよ。たくさんの人の中の孤独は、より実感する時があるんだ」
それを自覚すると景色がモノクロになっていく。僕はこの世界の異質な生き物って気分で、誰も僕が見えていないんじゃないかって。
「そこに彩りをくれたのがひろちゃん。僕は幸せだよ」
「そう……俺もちーが好きだ」
カップをテーブルに置いて肩にもたれると、腕が僕の肩に。たったこれだけ、これでいいんだ。僕はひとりじゃないって思えてね。心が暖かくなって、この優しい腕が僕の心を満たしていく。
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