捨てる神あれば拾う神あり こんな僕でいいってどこ見て言ってんの?

琴音

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二章 お互い足りない

2.忙しい中にも

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 脳みそがそろそろ死ぬ。
 何もかも違う。採用担当と言われたけど、実際は人事全般に渡ってしているからね。僕は入社以来営業しか知らない。だから全部知らなくて、ほぼ知らない会社に来たような感じになった。柳瀬とも離れて仲の良い人もいない。

 そして営業とは違うこの空気感がもう……いつもザワザワして活気があったフロアとは違い、セキュリティ万全な一室に詰め込まれ、ずっとデスクワーク。おお……息が詰まる。数ヶ月過ぎたけど慣れない。

「斎藤さん」
「はい!」

 課長に呼ばれた。なんだろう。

「何でしょうか」
「ちょっとこっち来て」
「はい」

 課長の席に行くとこれって。会社説明会のパンフレット。

「これ君も参加してね。初めてだし、今年はいるだけでいいからさ」
「はい」
「高山さん説明してあげて」
「はい」

 大学生の就活のあれ……そうそう我社も参加してたよ。僕は違う会社の説明を聞いてたけどね。結局ああいったところのは参考にするだけだったんだよねえ。僕はね。
 席に戻り、隣の高山さんに説明を聞いた。

「これはひと月後、大学の夏休み最初の頃になります。うちの会社のブースで……」

 営業の頃のような忙しさはないと思ってたのに!内定までは忙しすぎるんだけど?これなんなんだ!

「そっかあ、これから冬までかあ」
「うん。全部じゃないけどね。僕は違うことしてたから急にでさ」
「でも、メリハリが出来ていいんじゃない?」
「いやいや、新入社員の対応が落ち着いたらこれだよ?ほとんど一年中忙しいよ。隙間に少し暇があるくらい」
「俺と同じだ」
「うん……僕もっと広翔と一緒いる時間欲しかったのに」

 一緒に住んでかれこれ半年。人は慣れる、そう慣れるんだよ。自分で広翔が好きってことを伝えられるようになっていた。

「ちーちゃん俺もだ。ちーちゃんが合わせてくれてたからなんとかなってたけど……」
「うん……」

 僕は広翔に抱きついた。寂しい……それでなくともいない時もあるのに。

「ちーちゃんかわいくなって俺は嬉しいなあ」
「ゔっ……」

 まあいい。僕の気持ちを説明する必要はないもん。久しぶりに一緒にいられたから広翔に付き合って映画観に行って、ご飯食べて。デートらしいこともあんまり出来ないから大切な一日なんだ。しっかり広翔を感じたくてべったりくっついていた。

「ねえ」
「なに?」
「……勃った」
「へ?」
「ほら」

 下着からいきなり出した。……っ!

「して欲しい。こんな日じゃなきゃ言えないから」

 すっごいエロい顔してるよね。してよって目がね。圧に負けて。

「あ、……うん」

 僕はソファから降りて股の間に…咥えると熱い……

「あっ……」

 小さな声がして更に硬くなった。自分がされて気持ちいいところを咥えて舌を動かす。

「……っはあ…くっ……」

 このさ、相手の気持ちよさそうな声って興奮するよね。広翔は僕の頭を優しくて撫でてくれる。

「俺フェラ好きなんだ。ちーちゃんのエロい顔が見れるから」
「なに言ってんの……」
「ちんこそのものも気持ちいいんだけど、ちーちゃんの舐める姿がいいんだ。俺の咥えて蕩けてんのがさ」

 僕どんな顔してしてるの?と考えたらブワッと顔が赤くなった。

「ほらね。その照れた顔してるの。いつまでもエッチな言葉に慣れないちーちゃんがかわいいから」

 恥ずかしくて広翔の好きなところを責ながら擦った。もうイッてしまえ!

「ち、ちーちゃん!そんなしたら楽しめないだろ!」
「いいよ……楽しまなくて」

 先に舌突っ込んでネロネロ。ここ好きなの知ってるもん。

「や、出ちゃ……うだろ」

 グイッで頭を掴まれて口から離された。

「あんっ」
「ちーちゃんの中で出すんだから。ハァハァ……」

 しゃぶってるだけでそんなに触られてもいないのに、僕……お尻がウズウズしていた。
 抱き上げられてソファにうつ伏せにされるとお尻をペロン。つぷっと指が差し込まれて。

「あ、ああ……はあっ…」
「こんなにちんこ硬くなって、中もキュッて」
「うん…うぅ……あぁ…あ…」

 気持ちいい……どうしよ…気持ちい……

「しゃぶってる間我慢してるみたいになるよね」
「あん……ソコ……っ」
「ここ気持ちいいよね」
「ううーっ」
「すこい締め付けるし、おお吸っていく」

 もうムリかと思ったら指が抜かれてズンッと広翔が入ってくる!

「あーーっ」
「ふふっビクビク。動かしたらすぐイクね」
「うあ…ぁ……」

 案の定広翔の言う通り少しで吹き出した。

「いいね」
「ひろちゃ…ん……」
「うん」

 僕に乗ってズンズンと押し込む。うわあ……くっキツいっ刺激が強く……ううっ

「ひ、ひろ……待っ…て……え……っ」
「むり」

 背中も首にも舌が、唇が……あうぅ…乳首強くしないでぇ……そのうち蕩けてきてよくわかんない……気持ちいいだけ。

「ちーちゃん」
「あっ…ふっ……っ」
「すげえ蕩けてるね……いいよ」

 もう気持ちいいだ…け……あ…?くる?ゾワッとして……え?

「うう…うあ……ぐうぅーっ」
「くっ……ちーちゃん締め過ぎ……」
「あっ……あ、あ……っ…」

 あの強い快感が……止まんない……あ、ああ……っあ……

「ちーちゃん?……すげぇとまんないね」

 ダラダラとずっと出てる……のを感じる。クルッと仰向けにされた。

「うわ…なんて顔を……堪んねえ」

 抱かれて、キツく抱かれてキスを……ああ……

「かわいい……」
「欲しい……キス……」

 頭を寄せて僕が求めた。ひろちゃんが欲しい。もっとして……強い快感が欲を……

「俺もう……くっ」
「んうぅ……ひろちゃ……」

 奥に強く押し込んで射精……あ…う……

「ハァハァ……千広愛してる」
「うん……僕も愛してる……」

 唇に触れて……んん~っ舌気持ちいい……ずっとこうしていたいよ。

 なんて日はすぐに過ぎ去り一人ぼっち。
 いつものスーパーで買い物して、夕飯を一人分作って食べて、ぼんやりテレビを観ての繰り返し。寂しいけど……寂しさが違った。
 僕らの部屋で待ってるんだもの。広翔だけの部屋じゃないから変な安心感があった。

 暇な日は一生懸命掃除したり、丁寧に洗濯したり。普段やらないベランダ掃除した。
 この部屋出窓があったんで小さい観葉植物を買って飾ったり。後はいつも通りの僕の日常。仕事は忙しいけど、広翔みたいに終電でとかにはならない。
 
 人事部長が優秀な方だったんだ。スケジュール組むのが上手くて、人をよく見てる。向く向かないを把握して仕事を振ってるなって、最近慣れてきたから分かるようになってきた。
 柳瀬みたいな仲のよさはないけど、それなりに世間話が出来るくらいには、同僚とも関係が築けてきたし。

「斎藤さんコレお願いします」
「はい」
「お昼どうします?」
「あ~そこらに食べに行こうかと」
「あの一緒しません?行きたい店があるんですけど、一人は緊張して」
「はい。いいですよ」

 隣の席の一つ先輩になる金子さん。普段厳しい顔して働いてるから怖い人かと思ってたんだけど、公私を完全に別けるタイプの人なだけだった。

「ココ!かわいいお店過ぎて男一人で入るのが……あはは」

 看板も手書きでふわふわした感じの、女の子が好きそうな店だね。ん~中も女性が多い。そりゃそうだ。ここオムライスやさんだもの。メニューには他もあるけどさ。
 ふたりで店に入って席に付く。周りほぼ女性だよ。

「よかったあ、斎藤さん来てくれて。さすがに男一人は浮いてたね」
「そうですね」

 おしぼりで手を拭きながら金子さんは、

「俺オムライス好きなんだ。有名どころは結構行ってる。ココ最近できたみたいで来たいって思ってたんだけど、敷居が高くて」
「あはは。これだけ女性ばかりだとね」
「だろう?一度入れば諦めるんだけど、初めがね」

 今回はここのおすすめをふたりで頼んで食べることにした。

「斎藤さんは人事慣れた?」
「うーん……半年過ぎましたけど、みんなに迷惑かけてるだけなんじゃと未だに不安です」
「あはは。そんなことないよ、さすがに営業で課長代理だよねってみんな言ってたよ」
「ほんとですか?」
「うん」

 要点掴むのも早いから説明楽だし、イベントも裏方をしっかりやってくれるし。自分が求められていることが何かをしっかり理解してるからやり易いってさ。

「まあ、全部把握するには一年は必要だね」
「そうですね。一通りしてみれば全体が分かりますから」

 ぞうだね、一年通せば流れが見えるから楽だよって。

「俺は一年総務にいてすぐ人事に異動したからほぼ人事しか知らない。うまっ」
「ああ、美味しいですね」

 とろふわ系の卵とデミグラスソースのオーソドックスな物に、小さなハンバーグとトマトのスパゲティが付いていた。他はサラダと飲み物。

「チキンライスも美味しい。また来よ」

 彼いわく、これが美味しくないと他もまあそんなもんのことが多いそうだ。

「オフィス街で不味いとかすぐ潰れちゃうからね」
「そうですね」

 特にこんな女性をターゲットにしたような店は、噂話であっという間な気はする。

「このデミグラスソース美味しい」
「な。ずいぶん煮込んでるんだろうって味」

 色も濃く滑らかで高級店のビーフシチューのようで本当に美味しい。

「また付き合ってよ」
「ええ、僕でよければ」

 少しずつだけど、僕は人事課に慣れ始めていた。




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