捨てる神あれば拾う神あり こんな僕でいいってどこ見て言ってんの?

琴音

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一章 神様はいじわるだけど

6.応えきれない

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 ちーちゃんちーちゃんと耳元で声がする。

「ひろちゃん…あっ…」
「好き……大好きなんだ」
「あっひっ……うぅん……」

 週末の朝。昨日の夜から泊まってたんだけど、広翔の帰りが遅かったからすぐに寝てしまっていた。

「ちーちゃん……キスしてよ」
「うん」

 彼はバックからはしない。顔見てしたいからバック嫌いって。

「ふふっちーちゃんキスうまくなったよね」
「だから……そういうこと言わないの」

 僕は貪るようなキスが……んんっ……中が勝手にヒクヒクする。

「イキな、ちーちゃん」

 奥に押し込みグリグリ。快感が走りキツく首に抱きついた。

「ひろ……んんーっ」

 僕の変化を感じて、僕が気持ちいいように動いてくれる。愛撫も丁寧で、入れる前にはトロンとしてしまう。

「クッ……」
「あ、ああ……ハァハァ……」
「ちーちゃん?」
「触らないで……待って…あ…」

 僕は前触らなくてもイケるようになっていた。こんなの……全くなかったわけでもないけど、相手に合わせたセックスが多くて、僕の気持ちいいは置き去りで、前ないとイケなかった。

「エロいね」
「ふえ?」
「その蕩けた顔俺好き。ごめんね」

 僕をきつく抱くとズンズンと!ちょっ待って!苦しっ

「ひろちゃ…待って!ひうっ……」
「待てない」

 こんなエロいの無理だよって耳をネロネロ。

「気持ちいい……ちーちゃん」
「あっ…うっ…ヒィッ…」

 イッた後の敏感な時は……くうっキツい。体をよじるように動こうとしてるけど、押さえつけられているように動けない。

「ちーちゃんごめん……出る」
「ああ…っ…んっ」

 ムクムクと大きくなり激しく奥を責めてくる。なに……?待って?

「ひろちゃ…!待って…なんか!うわあ」
「グッ……」

 ほぼ同時にイッたと思う。朦朧と…これなに?あう……快感が長く続く……止まらない…あうっ……体がおかしい…

「ちーちゃん?」
「あ……う……」

 放心してムリ。中がビクビクする。

「ちーちゃんすごい。出さないでイッてる」
「は、はは……あ…」

 これはマジで初めてだ。尋常でない快感が……動けない。

「コレキツい?出す?」

 たまから擦り上げる手の刺激でビクッとした。

「あ~よく分かんない……」

 ぼんやりしていると、股間がぬるっとしてあったかくなった。

「ちーちゃんの大きいね」
「うっ…ひろ……やめて……なにして!」

 口でされるとか……うっ…

「俺ここ好きなんだ」

 そう言うと穴に舌を差し込んでグリグリとした。待って!

「ああ、あ…あ……」
「気持ちいいでしょ」

 僕は広翔の頭を掴んで震えた。僕咥えられたのいつぶり?こんな……あん…もう頭がなんか考えるのを拒否しだして喘いだ。

「ちーちゃんエロ」
「で…でる……ひろ……ちゃ、あっ、いやぁ…うっぐぅ」

 グボグボと……快感が!グっ……ッ


「ちーちゃんいっぱい出たね」
「ハァハァ……だから言わな…もういいか」

 飲み込んだだけでキスしてくるから、口に自分の味がした。これって誰のでもこんな味。

「ちーちゃん自分の精液どう?」
「美味しくない」
「俺は美味いよ。ちーちゃんのだから」

 唇を離してジッと見つめた。なに?って。

「ひろちゃん。なんでこんなに大切にしてくれるの?」
「うん?理由……ねぇ」

 エロい発言も僕を悦ばせたくて、愛撫の一環としてやってるって最近気がついた。恥ずかしさは快感が増すんだ。

「僕もひろちゃん好きだけど、僕ばっかりもらってる気がする」
「そう?愛情は受け取ってよ」
「うん……」

 僕は広翔に見合うほどあげてる?すっごく不安。ジッと見つめる僕にチュッって。

「どうしたの?不安そうだ」
「僕ひろちゃんに返せてる?」

 ああって。返せてるよ、ちーちゃんが俺の隣にいてくれればそれでいいんだ。俺に笑いかけてくれればいいって。はあ、余計不安。
 広翔は僕から降りると腕枕してくれた。ちーちゃんはしょうがないなあって頬を撫でる。

「俺ね。ちーちゃんのどこが好きって聞かれたら分かんないって思う。一緒にいると落ち着くし、笑ってくれたら嬉しい。もう千広の存在が好き」
「お、おお…う……」

 これ言葉にしたら「溺愛」って言うんじゃないのか?嬉しいと同時に恐怖も感じた。これほど愛される資格が僕にあるとは思えない。

「広翔、僕はこの愛情に恐怖にも似た感情が湧いた。そんな資格がない気がするんだ」
「あれ?そう……か。また」

 僕は以前の反省から、感じた言葉を口にするようにしていた。言わなきゃ伝わらないこともあると広翔も言ってたし。

「あ~あ、またやっちゃってたかな。俺ね、好きな人にはこれでもかって愛を伝えるから。セックスでも相手に気持ちよくなって欲しいんだ」

 広翔はため息の後、ごめんねって。

「見た目がこんなだから勘違いされるんだけど、相手を愛しすぎるのか重いとかウザいとか言われることあるんだ。前の彼はそれで逃げたのが本当」

 相手しか見えなくなるんだ。なんでもしてあげたくなるし、要求もいっぱいして欲しい。愛してる、好きとか言葉以外も行動で示したいそうだ。
 彼は涼しい見た目のイケメン。爽やか青年って感じで、女性受けは抜群だろうなあって。
 ゲイでなければ、女性を取っ替え引っ替えが可能だろうって思う。僕と違って華やかな明るい雰囲気も持っててね。

「俺ねちこいし……寂しがりやだし。我慢してるけどちーちゃんとほんとは一緒に住みたいし。でも、ちーちゃん同棲から別れてるから言い出せなかった」

 あ~……これでも彼は我慢してるのか。僕はどうなんだ?愛しすぎるのを怖がっているのは本当。全ての気持ちを委ねて、裏切られた時のダメージを考えると怖い。

「ちーちゃん俺嫌いになった?」
「ならないよ。ならないけど……」

 僕は言葉に詰まった。彼と付き合ってもうすぐ一年になる。彼の仕事の都合で会えない時もあったけど、そんなのは気にもならなかった。
 そっか。彼が好きだってたくさん伝えてくれてたから安心出来たんだ。どこにもいかないってなぜか信じてたんだ。
 あはは……もう信じ切っていたんだね。改めて考えなければ気が付かず、僕も彼にどっぷりはまって……

「僕は自分に自信がないんだ。取り柄もないし、かっこよくないし」
「ちーちゃんかわいいよ?世間的にはかっこいいより、かわいいかなって感じだけど」
「そんで地味だよ。人の目を引くような感じじゃない。陰気臭いし」

 自分の悪いところなら何時間でも話せるくらいにはたくさんある。いいところ?どこだよそれ。人の愛情を疑って恐怖とかどの口が言ってんだか。愛されて傲慢になってる自分が嫌だ。
 むっすぅ……と自分で言ったくせ、自分を不機嫌にしただけとはバカだよ。そんな僕の頭を撫でてくれる広翔は優しい。

「俺は自信満々の人は苦手。どんなに好みでも声はかけない。でもちーちゃんの見た目がもろ好みで、小動物みたいなかわいさがもうね」
「はあ。ひろちゃん目が腐ってる」
「そんなことない。こーんなかわいくて、俺は幸せだよ?」

 僕を抱き寄せて大好きって。不安なのは俺も同じ。ちーちゃんいなくなったらどうしようっていつも思ってるって。戸惑う言葉。

「ちーちゃんゆっくりでいいんだ。俺をもっと信じて、絶対に裏切らない」
「うん……でも人に絶対はないよ」
「知ってる。でも信じて」

 僕は広翔が好き、それは疑いようはない。でも心の奥底のどこかで全てを受け入れられない。信じた先の絶望を知ってるから。

「僕は広翔が好きだよ」
「うん。ちーちゃん大好き」

 腕に力が入り俺のでいてねって、さらに脚絡めてガッツリ締め上げる。

「ひろちゃん!苦しい!」
「ああごめん」

 一年近く一緒にいるのに広翔の強い愛情を正面から受け止め切れてはいない。いつか、いつか出来るかな。信じることが出来るかな。

「広翔ご飯食べようよ。お腹すいた」
「うん。あ~もう昼になるのか、そりゃ腹も減るわな」

 でもってうつ伏せにされてずぶり。え?

「あんひろちゃん!」
「もう一回させて。俺を感じて俺をもっと愛して。顔見ないで俺を強く感じてくれよ」

 そう言うと腰持ってズンズンと。あっという間に気持ちいい。顔が見えない分広翔のちんこに意識が集中した。

「ああん……ひろとぉ」
「千広俺だけを見て。俺は千広だからこんなにも好きなんだ」

 ゆさゆさと揺れる。僕の気持ちいいところに当てて擦ってくる。

「出ちゃ!待ってぇ……そこだけ擦ったら……ああ…ん……」
「ちーちゃんの体は知り尽くしたもん。ここいいよね」
「いい……も…むり……」
「出していいよ。ちんこが穴から出たり入ったり。俺を受け入れるこの景色は……」
「だからやめ……あーっ」

 想像出来てゾクッと……どぷん。

「いい締め付け。ちーちゃん中もビクビク。俺ので悦んでると思うと堪んないよ」
「ハァハァ……もう…」

 僕のイッた後、激しく奥を突いてドクンと射精した。

「ハァハァ…バックも気持ちいいけど、ちーちゃんの顔見ながらのほうが興奮するね」
「ハァハァ……好きにして」
「うん!」

 どんどんご飯は遠くなり、中にいる広翔が熱くて気持ちよくて、色々考えてたのが遠くに感じられた。










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