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水族館。
しおりを挟む『真夜中の水族館って知っている? 思うんだ、ガラスの向こうに行ったら死んでしまうけれどさ、君達もこちらに来たら死んでしまうんだよって』
春も終わろうかという中、コタツに顎を乗せた雪乃さんが何やらトンチンカンな事を口ばしった。まぁ今に始まった事ではないのだけど、何かと会話に主語がかけているのはもはや性分なのだろう。
「そりゃそうですよ魚なんですもの」
「それって魚座の人間でも同じなのかなぁって」
「雪乃さんって魚座でしたっけ?」
「んや、山羊座。の藪入り生まれ。いや、だからね私以外の人はみんな魚座なのかなって思ったんだよ」
「僕は獅子座ですよ? どうしたんですか、いきなり」
コタツに乗せていた顎をくるりと頬にした雪乃さんは随分と嬉しそうな顔で僕にありがとうと言った。
ーーまったく、いちいちめんどくさい人だ。
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