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正編
08 魔力が戻る可能性
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ギルド街には、冒険者御用達のショップがずらりと並び、道ゆく人も腕自慢ばかりだ。冒険者の中には強面も多いせいか、先程の裏道に比べるとそれほど治安は悪くない。
手動のドアを開けると、来店を知らせるベルが店内に響く。夕刻のショップには、プロの幻獣使いからペット感覚で飼っているらしい子供まで幅広い客層が集まっていた。
「いらっしゃいませ。アマチュアの幻獣使いですか、それともプロの?」
「ええと、長旅の連れ歩きペットとして引き取ったんだけど。首輪とか、見てくれません?」
「なるほど! 連れ歩き用ですかっ。では飼い主様との情報を連携出来る良いアイテムがこちらに……」
一瞬だけ、お客さん達の視線がティアラとポメに集まった。が、会話からクエストを受けない一般旅行者と見做したのか、それ以降は関心を持たなかった。
彼らは、チカラのある者にしか、興味を示さない。良くも、悪くも。
「ところで、この幻獣ちゃんは魔力ランクはどれくらいなのでしょうか? 数値によって、着ける首輪の種類も異なりますが」
「最近までは、ギルドでレンタル幻獣をしていたそうなんだけど、魔力切れでリリースされそうなところを引き取ったの。私も魔力がないし、ちょうどいいと思って」
「あぁっ! そういう事情でしたかっ。大抵のレンタル幻獣は魔力切れを起こすと、施設に送られてしまうか……或いは捨てられる場合も。いやぁ幻獣ちゃん、キミは運が良いねぇ」
「きゅきゅーん」
魔力切れの幻獣がごく普通のペットになるのは珍しい話なのか、店員の男性はポメの頭をわさわさと『本当に良かった』と言いながら撫でている。
「では、万が一魔力が回復した時のことを踏まえて、それなりの制御ランクの首輪を着けましょう」
「途切れた魔力って、回復することもあるんですか?」
「ええ。人間と同じで、エネルギー切れを起こしても数年で元通りになる場合もありますよ。ただ、無理は効かないはずですが」
(人間と同じで……ということは、私にも魔力が戻る可能性が?)
一度は失った魔力であっても、そのうち回復するかも知れない。ティアラはまだ自分やポメに『魔法』を取り戻す可能性があることを知るのであった。
それはティアラが将来の危険因子として、狙われる理由となることも暗示していた。
手動のドアを開けると、来店を知らせるベルが店内に響く。夕刻のショップには、プロの幻獣使いからペット感覚で飼っているらしい子供まで幅広い客層が集まっていた。
「いらっしゃいませ。アマチュアの幻獣使いですか、それともプロの?」
「ええと、長旅の連れ歩きペットとして引き取ったんだけど。首輪とか、見てくれません?」
「なるほど! 連れ歩き用ですかっ。では飼い主様との情報を連携出来る良いアイテムがこちらに……」
一瞬だけ、お客さん達の視線がティアラとポメに集まった。が、会話からクエストを受けない一般旅行者と見做したのか、それ以降は関心を持たなかった。
彼らは、チカラのある者にしか、興味を示さない。良くも、悪くも。
「ところで、この幻獣ちゃんは魔力ランクはどれくらいなのでしょうか? 数値によって、着ける首輪の種類も異なりますが」
「最近までは、ギルドでレンタル幻獣をしていたそうなんだけど、魔力切れでリリースされそうなところを引き取ったの。私も魔力がないし、ちょうどいいと思って」
「あぁっ! そういう事情でしたかっ。大抵のレンタル幻獣は魔力切れを起こすと、施設に送られてしまうか……或いは捨てられる場合も。いやぁ幻獣ちゃん、キミは運が良いねぇ」
「きゅきゅーん」
魔力切れの幻獣がごく普通のペットになるのは珍しい話なのか、店員の男性はポメの頭をわさわさと『本当に良かった』と言いながら撫でている。
「では、万が一魔力が回復した時のことを踏まえて、それなりの制御ランクの首輪を着けましょう」
「途切れた魔力って、回復することもあるんですか?」
「ええ。人間と同じで、エネルギー切れを起こしても数年で元通りになる場合もありますよ。ただ、無理は効かないはずですが」
(人間と同じで……ということは、私にも魔力が戻る可能性が?)
一度は失った魔力であっても、そのうち回復するかも知れない。ティアラはまだ自分やポメに『魔法』を取り戻す可能性があることを知るのであった。
それはティアラが将来の危険因子として、狙われる理由となることも暗示していた。
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